【マセラティ クーペ】伝統のイタリアンブランドからの、V8スポーツ4座クーペ!中古車や故障の情報も!

強烈なブランド訴求力を持ちながら、歴史の中では何度も経営母体が切り替わってきたという、波乱万丈のスポーツカーメーカー。それがマセラティ。そんな事情も影響していたのか、1990年を最後に北米への輸出を一度停止したこともあったそう。そして、11年感の沈黙を経てアメリカに復活したマセラティが生産したのが、2枚扉で2+2の居住性を持ったマセラティ クーペでした。

成熟したGT、それがマセラティ クーペ & スパイダー

クルマに興味のない世の女性達でも、自分の旦那様やボーイフレンドがマセラティを乗り回しているのなら、間違いなく周りに自慢してもOKです。まぁ、フェラーリやランボルギーニなどの方が、セレブ向けスポーツカーとしては押しも強く分かりやすいと言えばそう。しかし我々としては、そいういった超ド級イメージのモンスターは、オイルダラーからの引きに任せておきましょう。

まぁ、現在のマセラティは、フェラーリの親会社であるフィアットの傘下。そして、以前はフェラーリに直属していた時期もあります。その意味では、いまだに血縁関係が維持されている両社でもあるでしょう。その「フェラーリ時代」のマセラティ社が製造・販売していたのが、マセラティ クーペという素敵なスポーツカーだったのです。

最近、日本市場にSUVの『レヴァンテ』を投入したりと、グループ内では4ドアのスポーツタイプを押し付けられ(いや、任され)ている感のある同社。しかし、その製品の血統は、あきらかに走りを主体にしたスポーツカーにルーツを持ちます。それは、同社にとって最初の量産モデルが、1957年発表の『3500GT』であったことからも分かるでしょう。

その偉大な先輩の名を復活させるように、1998年に発表されたのが『3200GT』、さらにその後を引き次いで2001年に登場するのが、このマセラティ クーペ(およびスパイダー)という4人乗りのスポーツGTだったのです。(実際には、オープンカーであるスパイダーが2001年のフランクフルト自動車ショーに、クローズドボディのクーペが、翌2002年のデトロイトショーでお披露目されました)

このクーペ、2007年まで製造されたモデルです。それでも、今現在どこのお座敷に引っ張り出しても、立派な「マセラティ」として胸が張れる一台だと思います。

フェラーリの息がかかった、その中身とは

このマセラティ クーペ(およびスパイダー)は、ジョルジェット・ジウジアーロのイタルデザインが、そのボディデザインを担当しています。その意味でも、エキゾチック・イタリアンカーの前提条件を、既に満たしていると言っても過言ではないでしょう。

クーペには、ライバルと目された『ジャガー XKR』や『ポルシェ 911(996)』より長いホイールベースが与えられ、後部に用意された2つのレザー張りシートを、ただの物置で終わらせない作りのボディとなっています。一方、2人乗りのスパイダーにはクーペより220mm短いホイールベースが設定されました。スパイダーのソフトトップは、電動によってトランクの前方へと畳み込まれます。それに要する時間は30秒程度だということです。

屋根を畳み込み、シート背後のロールケージが露出したスパイダーも格好良いですが、ジウジアーロの流麗なシルエットを楽しむにはクーペが良いかもしれません。ベースとなった『3200GT』では、テールランプの形状などを使って強い個性を演出しようとしていましたが、このクーペの代ではぐっとまとまった車体デザインでアピールします。(テールランプが4代目のホンダ プレリュードに似ている、かもしれませんが、それも良点の1つかと…)

近代的な技術を印象付ける曲面のパネルに、伝統の質感を内包した、そんなイメージで語ってもよい一台が、このマセラティ クーペ(&スパイダー)です。

伝統のV8エンジン&トランスミッション

一部では、『4200GT』と呼ばれることもあるというのが、このマセラティ クーペ系だそうです。その呼称から解る通りに、先代と思しき『3200GT』よりエンジン排気量が1Lアップされました。同時に、吸気系からは『ビトゥルボ』と呼ばれるツインターボが消え、自然吸気式に変わりました。ややもすると、このターボ過給が生むタイムラグが、良くも悪くも『3200GT』のキャラクターとなっていましたから、自然吸気となったこのモデルは扱いやすさは増したということでしょう。

まぁ、若干のじゃじゃ馬ぶりも、それを操るオーナーさんの楽しみの一部ではあります。とは言え、消費者の嗜好や許容度合も時代につれて変わるものです。だから、排気量を思い切って大きくし圧縮比11.1:1から287kW(390ps)の出力を確保したこのエンジンに、文句の出ようもなかったろうと思います。ちなみに、このエンジンはフェラーリと共用となった『F136』、90度V型8気筒DOHC32バルブの可変バルブタイミング付です。

F1にパドルシフトを最初に持ち込んだのはフェラーリ。そして彼らは、このマセラティ クーペにも、ステアリングホイールに備わったパドルスイッチにより操作する、セミオートマチックトランスミッションを導入しました。そして、その装着車には、『カンビオコルサ(Cambiocorsa)』という特別な呼称も用意しています

このセミオートマチックは、従来のマニュアルギアボックスの操作を、油圧を介して電子制御するというものです。したがってもちろん、制御機構のない純粋な6速マニュアルトランスミッションも、このマセラティ クーペでは選択できました。また、ギアボックスを駆動系のディファレンシャルギアと一体化して、後方へと配置したのも興味深い点だと言えるでしょう。それによって、前後の重量配分は48%対52%となり、ややテールハッピーなFRスポーツに仕上がっているようです。

とにかく、このマセラティ クーペに与えられたV8エンジンは、まさにイタリアン・スポーツを感じさせるサウンドを発したそうです。その音だけで、十分満足というドライバーも多くいたことでしょう。

シャーシ系

そのホイールベースは、ライバルであるジャガー XKRより76mm以上長く、ポルシェ 911に比べれば300mm以上長いのがマセラティ クーペ。このことは、後席にしっかりした居住性を確保するのに役立っています。その車体には、前輪へ合金製の上下アームをもつダブルウィッシュボーン式、後輪へはトーインレギュレーターというアームをもつダブルウィッシュボーン式のサスペンションが装備されます。特に、この後輪サスペンションの工夫は、アライメント変化を精密に制御してハンドリングを向上したそうです。

とは言え、車体が前後に伸びたことは、スポーツカーとしてはやや不利にも働きます。ポルシェ 911が、ドライバーに与えたほどのダイナミズムは、やはりこのマセラティからは受け取りにくかったようです。ポルシェと比べた時、そのステアリングホイールには不快な振動が伝わることが少なかった反面、前輪に働きかける外力を知るのも難しかったと言う評価も見られます。

まぁ、マセラティ社としても、無為にスポーツ性を捨てたという訳でもありません。このクーペの足回りには、『Skyhook』と名付けられた電子制御ダンパーがオプション設定されています。これは、ホイールと車体のの動きを6つの加速度センサーで監視し、ダンパーの減衰力を連続可変するシステムでした。

装備&インテリア

もちろん、この車はマセラティですから、内装は贅沢な革張りであることは当然。その意味では、他車に比べて十分な競争力があったことでしょう。反面その贅沢さの中で、走行中にはちょっとした「軋み音」のようなものが聞こえたりもしたようです。また、一部のプラスチック部品のフィッティングも、最高級とは言い切れない部分もあったとか。

ちなみに、このマセラティ クーペの操作系は、センターコンソールに集中的に配置されていました。その中に各種オプション、「GPSナビゲーション」や「ハンズフリー・フォン」、あるいは「CDチェンジャーつきオーディオ」などのオプションも収められることになります。

派生車種

2004年のジュネーブショーに、マセラティはクーペおよびスパイダーのグレードアップモデルを出展します。それが、「グランスポーツ(GranSport)」です。スポーティーをさらに増すため、このモデルはベース車両より10mmほど車高をさげ、外装には空力処理も施されています。また、標準で使用されるホイールは19インチで、足回りには当然ながら電子制御の『Skyhook』ダンパーシステムも装備。
エンジンの基本は、クーペなどから変更がないものの、その出力は294kW(400ps)に高められています。そのパワーを駆動輪へ伝える変速機構は、パドルシフト式の6速セミオートマチックです。公称の最高時速は290km、スタンディングから時速100kmまでの加速は4.8秒という性能でした。

そして、もう一つの派生車種が、2003年に発表されたレース仕様車両の『トロフェオ(Trofeo)』でした。これは、内装の多くを取り去りドアとエンジンフードなどをカーボン製に変更して、250kg近くの軽量化を図ったというモデル。エンジンには、309kWまでパワーアップしたものが搭載されています。この『トロフェオ』を使ったレースシリーズは、マシンのレンタルシステムを用意して、マセラティのマニア層を対象に行われました。

【基本情報】

名称:マセラティ クーペ
エンジン排気量:4,244cc
エンジン出力:287kw(390ps)/7,000rpm
エンジントルク:452Nm(46.1kgm)/4,500rpm
全長:4,523mm
全幅:1,821mm
全高:1,306mm
重量:1,670kg
ホールベース:2,659mm
サスペンション:ダブルウィッシュボーン式(前)/ ダブルウィッシュボーン式(後)

ハイセンスなトライデントを乗り回したい…中古を探す

大きなエンジンを積んで内装も豪華、そして4人座れるということで、高級車としての顔も持つマセラティ クーペです。大量生産品でもないこの逸品には、時代を超えて乗ることへの喜びと高い価値があるはず。特に、現行車両ではない4.2Lのクーペやスパイダーを綺麗に維持して運転したら、車に対するこだわりがかなり表現できるはずです。

しかし、現在の日本で購入が可能なのでしょうか?

意外と選べる中古車市場

これが面白いことに、ちょっと調べると少なくない数の、マセラティ クーペが中古車市場に存在することが分かります。

例えば、2002年登録で走行距離が8.6万kmの6速セミオートマ(カンビオコルサ)車だと、1,975,000円というのもあります(車検はなし)。あるいは、2007年登録で7.9万km走行のグランスポーツで、3,880,000円というのも。
さらに、もっと良さそうなので行くと、2006年登録の0.7万km走行の車体(グランスポーツ)だと5,980,000円というのもあります。中古なので、走行距離や年式という条件が良いほど値段も上がるのは仕方ないところ。それでも、おそらく新車価格の半分程度のお金で、意外と良い車体が手に入るのかもしれませんね。

ちなみに、一般的な平均燃費は6.0km/Lをちょっと超える程度のようです。4.2Lのエンジンを積んだスポーツカーにしては良いとも言えるのか、その大きなトルクが幸いしているかもしれません。また、乾式のクラッチを使う6速の変速機が、そこそこの効率を発揮しているようでもあります。

気になる故障とメンテ

中古市場をみると、やはりセミオートマの車体が多いようなのが、マセラティ クーペのようです。確かにF1ぽいシフトワークでコーナリングすれば、隣に乗せるガールフレンドも、あなたに惚れ直すこと必至です。と、同時に、この複雑な機構って耐久性などは大丈夫か気になりますよね…。

ちょっと調べてみると、やはりクラッチミートの制御は完璧という訳でもないようです。場合によると、(マニュアルと同じような)クラッチ版の摩耗が偏ったりして、シフトチェンジがうまくいかなくなることもあるようです。

また、透過照明式で文字が発光するセンターコンソールのスイッチ類が、「べたべたしてくる」という困った症状もあるそうです。これは、透明のプラスチックに色を塗って製造してあるので、その塗装が変質するということのよう。そうなると、ちょっと修繕には面倒な手がかかりそうですね。

こういった細かい点なども、イタリアン・スポーツカーの中古車購入時には、しっかりチェックした方がよいということなのでしょう。

マセラティの維持費とは?

マセラティ クーペは、排気量も大きくゴージャスなクルマですから、維持費もちょっと気になります。そして、とりあえず大きくきそうなのが重量税でしょう。

このグーペだと、1.5トンの閾値を超えてしまうので、2.0トン車の扱いになります。その場合の自動車重量税は(エコカーではないとして)2年分で32、800円という額が、車検時に納税する義務が発生します。そして、4.2Lという排気量も重くて、区分としては4.5L以下に入るので年額76,500円の自動車税も払う必要があります。

あと、任意の自動車保険も当然かかってきます。これは、某S損保さんで簡単にオンライン見積もりしてみた所、50,030円程度の額が中心のようです。また加えて、毎車検時には自賠責保険として27,840円も必要。

こうしてみてみると、やっぱりかかるところにはかかる、それがマセラティの維持費ということの様です。とは言え、この逸品を乗り回すことを考えれば、納得もできそうな金額でしょうか。

まとめ

出典:http://www.goo-net.com/catalog/MASERATI/COUPE/10031289/index.html

たとえば走行中の極小さな軋み音なども、エンジンが発する咆哮と車体のスタイリングの前では、問題にも感じさせない。そんなイメージのあるイタリアン・スポーツカーです。メーカー同士の競争を考えたら、ちょっとずるい立ち位置をゲットしているのかもしれませんね。郊外や地方都市の中古マンションなら、一部屋変えそうな値段がする高級車としては、本来は価格に見合った品質を保証するべきかもしれません。

しかし、そんな小さなことは気にしないようにしましょう。

なんといっても、そのフロントグリルには、あの「トライデント」が燦然と輝くマセラティなのですから。例えメンテナンスの回数が多かったとしても、それに応えられる人が乗り回せばよいのです。やはり、選ばれた人のために存在するのが、マセラティ クーペのような高級スポーツカーということでしょう。