【トヨタ ラッシュ】ベストコンパクトSUVの魅力とは!? 中古車情報や燃費についても!

すでに生産こそ終えてしまいましたが、トヨタには「ベストコンパクトSUV」を銘打って世に送り出したラッシュという車がありました。2016年現在ホンダ・ヴェゼルをはじめ各自動車メーカーのラインナップにコンパクトSUVが追加されている状況を見ますと、ラッシュは時代を先取りしていた名車だったように思えるのです。現在のコンパクトSUVとの比較を交えつつ、トヨタ発のベストコンパクトSUVの魅力に迫ります。

ベストコンパクトSUV・ラッシュ

トヨタ最小のSUVラッシュについて

ラッシュはダイハツ・ビーゴのOEM供給モデルとして2006年1月17日より販売が開始され、発売当初の1ヶ月1,500台という販売目標をあっさり上回る約6,000台を売り上げ、好調なスタートを切りました。ビーゴの設計段階でトヨタ自動車も開発に加わっているため、生産こそダイハツ工業が担当していましたが、事実上トヨタとダイハツの共同で開発したSUVとなります。
ラッシュは今では珍しくなった縦置きのエンジンレイアウトに後輪駆動を合わせたFRと、それをベースにセンターデフを搭載したフルタイム4WDという2種類の駆動方式を採用していました。この駆動方式は後述するトヨタ・キャミと同様のレイアウトをしており、車種としてはパジェロミニやジムニーなどを意識して設計されていたことがうかがえます。
エンジンは可変バルブタイミング機構VVT-iに電子制御ガソリン噴射システムEFIを搭載した3SZ-VE型1,495リッター直4DOHC を搭載しています。エンジンラインナップはこの1種のみでした。車体重量が前期型で1,150kg から1,190kg、後期型で1,160kg から 1,200kgとSUVとしては軽量な部類に入るのですが、重いホイールとタイヤからくる重量やエンジンの出力特性からか、発進時には力不足を感じるという評価が多く見られます。
ラッシュに使用されているボディはトヨタおよびダイハツが主にインドネシア向けに開発した7人乗り小型ミニバン(ダイハツ/セニア・トヨタ/アバンザ)のフレームをベースに、新たに開発したビルトインラダーフレーム式モノコックボディを採用しています。このボディはモノコックボディにはしご型のフレームを組み合わせて一体化させた強固なもので、このボディを採用していることからも、ラッシュがシティユースではなく悪路での走行を想定したRVの側面を持っていたことがうかがえます。2013年モデルからは廃止されてしまいましたが、5MTのモデルも用意されており、4WD・5MT・高い車高が必要とされる東北など雪国で重宝されていました。

主要諸元・スペック

トヨタ ラッシュ(RUSH)G Lパッケージ(2014年4月)

新車価格
2,260,800円

ボディタイプ:SUV・クロスカントリー・ライトクロカン
ドア数:5ドア
乗員定員:5名
型式:ABA-J210E

全長×全幅×全高:4,005×1,695×1,690mm
ホイールベース:2,580mm
トレッド前/後:1,450/1,460mm
室内長×室内幅×室内高:1,800×1,385×1,240mm
車両重量:1,200kg

エンジン型式:3SZ-VE
最高出力:109ps(80kW)/6,000rpm
最大トルク:14.4kg・m(141N・m)/4,400rpm
種類:直列4気筒DOHC
総排気量:1,495cc
内径×行程:72.0mm×91.8mm
圧縮比:10.0
燃料供給装置:EFI(電子制御式燃料噴射装置)
燃料タンク容量:50リットル

使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
JC08モード燃費:13.2km/リットル

ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション形式(前):マクファーソン・ストラット式コイルスプリング
サスペンション形式(後):5リンク式コイルスプリング
ブレーキ形式(前):ベンチレーテッドディスク
ブレーキ形式(後):ドラム(リーディングトレーディング)
タイヤサイズ(前):215/65R16 98S
タイヤサイズ(後):215/65R16 98S
最小回転半径:5.0m

駆動方式:フルタイム4WD

トランスミッション:4AT
変速比 第1速:2.730
第2速:1.526
第3速:1.000
第4速:0.696
後退:2.290
最終減速比:5.571

ラッシュはここから始まった、1995年発売のテリオス/キャミ

ラッシュ・ビーゴの先代車種と言えるのが、今から紹介するキャミ/テリオスです。
(ヴァージン・ヨンク)というキャッチフレーズで登場した車種でした、構成するパーツの多くをダイハツの軽自動車テリオスキッドと共通となっています。テリオスキッドとの違いはリアオーバーハングの違いであり、それを多くとっているテリオスではテリオスキッドより大きな荷室寸法を確保しています。
エンジンも軽自動車のものから変更され、直列4気筒SOHC自然吸気エンジンと後期には直列4気筒DOHCインタークーラー付きターボエンジンの大きく2種類を選択できました。
縦置きエンジンレイアウトのFRと、それをベースにした4WDに5MTを選べるモデルということで、車の性格としてはジムニーの普通車バージョンであるジムニーシエラを意識して開発されたのではないかと思われます。
元々軽自動車であるテリオスキッドの派生車種として開発された車ですので、自動車のクオリティとしては軽自動車のそれに近い部分が多く、現代のコンパクトSUVに比べると内装や装備に質感と言った面では非常に寂しいものがある、逆に言うとそういう部分を割り切った方へ向けたモデルだったと言えます。
このテリオスの特徴から縦置きエンジンレイアウトにFRベースの4WDという特徴を引き継ぎ、専用設計の5ナンバーコンパクトボディを与えて発展させたモデルがラッシュです。

ラッシュ後継!?新型!? 2016年8月発売のCH-R

2016年3月を持って発売が終了するラッシュですが、その後継車種と思われるのがトヨタ・CH-Rです。ラッシュと比較してみますと、まずボディサイズがラッシュに比べて大きくなっています。ラッシュと比べて全長・全幅・ホイールベースが大きくなっており、代わりに全高は低く抑えられています。車の縦・横・ホイールベースを長くとることで室内空間を確保しつつ、全高を低く抑えることでラッシュよりスタイリッシュな、スポーティな印象のSUVに仕上げています。今流行のヴェゼルやCX-3と同じ手法ですね。
エンジンはハイブリッドのTHSIIIとオーリスにも搭載された1.2リッター直列4気筒ダウンサイジングターボエンジンの2種類になります。ハイブリッドであるTHSIIIはJC08モード35.0km/L、1.2LターボはJC08モード18.0km/Lを目指して開発されており、どちらのエンジンを選んでもラッシュより高い燃費性能になる予定です。ハイブリッドもダウンサイジングターボも日常で使用する低速トルクを補えるので、ラッシュの出足が遅いという弱点をうまく補える対応だと思われます。
エクステリアは現行プリウスにも採用されているキーンルックのフロントフェイスを採用し、全高を低く抑え全幅を大きくとったことで低く構えたスタイルで、最近のコンパクトSUVとなっています。そのパッケージングやハイブリッドエンジンなどから、現在SUV試乗で最も売り上げているホンダヴェゼルの対抗馬として、相当な売り上げが想定されるモデルです。

小型SUVの雄、ホンダヴェゼルとラッシュ

先に挙げたCH-R同様の特徴をホンダヴェゼルも備えています、まあCH-Rヴェゼルの対抗場として設計されているから当然といえば当然です。そのヴェゼルとラッシュを比較してみますと、ラッシュの価値が見えてきます。
確かに最新のコンパクトSUVであるヴェゼルやCH-Rに比べるとラッシュはインテリアの質感も劣りますし、ハイブリッドやダウンサイジングターボに比べて燃費も悪く、低回転域のトルクも細いので出足も悪いです。しかし、ヴェゼルと比べてラッシュはFRレイアウトをベースとした4WDと強固なラダーフレームで武装し、悪路での高い走破性を持っています。さらにラッシュはヴェゼルより1回り小さいボディサイズのため取り回しが非常に楽です。全高がヴェゼルよりも高いため、横の広さこそないものの天井までにゆとりがあり予想よりも広く感じる室内空間を得ているのも美点といえます。
雪国などで悪路の走破性が高く、日常の取り回しが楽で、荷物を十分に備えた車が欲しいのなら、ラッシュは十分検討する価値のある車であると言えるでしょう。

番外、トヨタアバンザについて

ラッシュおよびビーゴとベースとなるボディフレーム共有しているアバンザおよびセニアは、ラッシュの兄弟車種とも言えます。このアバンザはインドネシアを中心に東南アジア・中近東・アフリカ・中南米と世界中の途上国で販売されている世界戦略車です。ラッシュと同系統のボディにK3-VE型直列4気筒 DOHC 1.3リッターエンジンをFRレイアウトで搭載する7人乗りの小型ミニバンとして開発されました。後にラッシュと同じ3SZ-VE型直列4気筒 DOHC 1.5リッターエンジンに変更され、ラッシュベースの7人乗りの小型ミニバンと呼べる車となっています。
トヨタの小型ミニバンと言えばシエンタですが、こちらはシエンタというよりもノアに近いボディ形状をしていて、ぱっと見て小型な印象を受けることは少ないと思います。今は珍しい後輪駆動のミニバンということで日本でも一部のマニアな方には受けそうな車種と言えます。
2011年にフルモデルチェンジをしていますが、プラットフォームとなるボディは同じ、エンジンラインナップも同じ、エンジンの搭載形式もFR、ボディサイズも若干拡大されているがホイールベースは変わっていないなど、「これってマイナーチェンジでは?」と疑いたくなるようなフルモデルチェンジを果たしています。外観が若干今風になっていますが、モデルチェンジ前とさほど変わりありません。

新車販売が終わったラッシュ、中古車相場動向は?

新車販売価格自体が159万円から226万円と安かったこと、中古市場での寝落ちが少ないことから、コストパフォーマンスを重視すると、いまいち魅力に欠ける車種だと言えます。特に2010年以降の年式は市場価格で90万円台から180万円台高めの相場価格を維持しているため、この年式を狙うのはあまりおすすめできません。
狙い目は2006年から2007年に発売されたモデルです。60万円から90万円までの間に多くの車種が流通しているため選択できる車両が多いこと、60万円以下のモデルは極端に玉数が少なく過走行車両が多いことから、予算を100万円程用意した上で、上記の年代の車種から程度の良い車両を探すと良いでしょう。
特に4WDモデルでオプションのLSDを取り付けているモデルなどはお得感が強いため、FRにこだわりがないのなら4WDモデルに絞って車両を探すとお得な買いものができるのではないかと思います。

FRレイアウトの5ナンバーSUV、高い基本性能こそがラッシュの魅力です

時代の流れか、すっかり廃れてしまったFRレイアウトのコンパクトSUVとして貴重な存在かもしれません。
よりRVとして本格的なモデルとなるとジムニーシエラが選択しに挙がるところなのですが、このラッシュという車は趣味性の高いモデルではなく、一般家庭での使用を想定し、雪道や悪路での走行性能を重視した、あくまでも実用的な車というキャラクターを持っています。
イメージとしては東南アジアなどの発展途上国で使用される実用車というイメージです。まだまだ未舗装の道路が多く悪路を走る機会が多い地域で、荷物も人も乗る必要十分なスペースを確保しつつ、十分なFRレイアウトと強靱なボディからくる十分な悪路走破性を持ち、多少のことでは壊れない品質を持っており、なおかつ低価格という車なのではないでしょうか。
そうした性格のラッシュとは違い、現在日本で流行りだしているコンパクトSUVは全幅・全長が長くゆったりとした室内を持ち、全高を抑えることでスポーティな印象の外観に仕上げています。内装はラッシュと比べより洗練され高級感があり、オーナーの所有欲を満たしてくれる魅力を持っています。エンジンもメーカーが打ち出している新しい技術が採用されたものがほとんどで、電気モーターとのハイブリッドエンジン・ダウンサイジングターボエンジン・直噴ディーゼルターボエンジンなどはその代表格と言えます。こうした付加価値の高いモデルはコストパフィーマンスを重視する発展途上国ではあまり見られません。
現在主流のコンパクトSUVとラッシュの違い、それはつまり付加価値の有無だと思うのです。内装・エンジン・スタイリングと付加価値満点で所有したいと思わせるのが最近のコンパクトSUVの魅力です。対してラッシュの魅力はその対局、素の車としての性能にあるように思います。FRベースの4WDは十分な走行性能を生み出し、出足は少し遅くても走り出せば十分な動力性能を発揮するエンジン、小型で小回がきき、十分な室内空間を確保しているボディと、車本来の実力は非常に優れています。基本性能が優れていて、かつ安価であるというのが、ラッシュの魅力です。