モード燃費を徹底解説!JC08モード燃費や以前の10・15モード燃費との比較や欧州モード燃費も解説

現在、乗用車のカタログを見ると「JC08モード(燃料消費率 国土交通省審査値)20.0km/L」のような表示がされていると思います。かつては10・15モードなどの表示がされていました。このモードというのは、何を意味するのか分かるようで分からないかもしれません。昨今、三菱自動車工業やスズキもモード燃費の計測方法に不正があったということで注目されていますが、ちょっと解説してみましょう(飯嶋洋治)

モード燃費とは?

モード燃費という言葉を見たり聞いたりすることがあると思います。これは国交省の指示にしたがって、自動車メーカーが義務付けられた燃費測定方式です。現在の乗用車は「JC08モード」が適用されています。

カタログに出てくるJC08モード燃費とは?

カタログに記載されている燃費はJC08モードという測定方法による数値が記載されています。これは後に解説しますがJC08モードが採用される以前の10・15モードが単純過ぎるパターンで測定されていたため、実燃費と大きく異なるという声が高まった中で登場してきたものです。2008年から段階的にJC08モードに変更されてきました。これは、省エネ法に基づいて経済産業省と国土交通省が策定した燃費測定方法です。

2011年からは「乗用車の性能の向上に関する製造事業者等の判断の基準等」と「貨物自動車の性能の向上に関する製造事業者等の判断の基準等」の一部改正が行なわれ、同年4月以降に型式指定を受ける新型車については、すべてJC08モード測定方向による燃費値を表示することになりました。

ちなみにですが、「エネルギーの使用の合理化に関する法律」というのがあって、その中で自動車メーカーは国が定めた燃費基準を達成するとともに、その燃費値をカタログ等に表示することが義務づけられています。

出典:道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2012.03.30】 別添42(軽・中量車排出ガスの測定方法)(http://www.mlit.go.jp/common/001056718.pdf)

JC08モードは10・15モードに比べると、急加速が多く最高速度も上げてあるのに加えて、実際の走行に近い複雑なパターン(トランジェントモード)となっていることが特徴です。10・15モードは走行パターンを文章化できるのですが、トランジェント(一瞬の)モードと言われるように、文章化は不可能です。

一定速度で走る部分も少なく実情を反映したものとはいえるでしょう。これはJC08モード法のグラフの波形を見ていただければと思います。私がかつて交通安全環境研究所で取材をしたときには、ある次期の首都圏と大阪の市街地の走行状況を分析して作成したと聞いた記憶があります。JC08モードでは平均速度が22.4km/h、最高速度81.6km/h、モード測定の所要時間が1204秒となっています。

測定方法

出典:排出ガス路上試験等調査概要及び検証方法(不正ソフトの有無等)(http://www.mlit.go.jp/common/001121837.pdf)

JC08モード燃費の測定は、どこかの道で実走をして行うわけではありません。シャシーダイナモと呼ばれる計測機の台上で行なわれることになります。シャシーダイナモ上では、JC08モードの波形を示したモニターが映しだされ、そのモニターのとおりに自動車メーカーのドライバーはアクセルワークを合わせることになります。これによって排出した排気ガスからカーボンバランス法(燃費を算出する方法の1つ)にもとづく計算式によって燃費を割り出します。

ちょっと話がそれてしまいますが、各メーカーには、テスト時に素晴らしい燃費を叩き出す「燃費スペシャリストがいる」という話が出てきます。この疑問について、JC08モードを取材した折、に交通安全環境研究所の方にお聞きしたところ「2km/hのプラスマイナスは許容範囲にあり、そのマイナスぎりぎりをねらっていい燃費を出すというというのは可能性としては考えられます。ただ研究所の職員の立会のもとで計測していますから、故意にスピードの下限を狙おうとすれば、計測し直しもあります」という回答でした。できる可能性はあるけれど、かなり難しいということのように思いました。

以前の10・15モード燃費とは?

日本自動車工業会WEBより引用(http://www.jama.or.jp/safe/class/classification_g6.htm)l

10・15モードは、エンジン暖気後に街中走行を想定(平均時速22.7km/h)とした10モードと比較的高速を想定(最高速度70km/h)とした15モードを組み合わせたパターンで行なわれることから名付けられています。具体的には以下のとおりです。

10モード燃費測定パターン

(1)アイドリング状態 (20秒)
(2)20km/hまで加速する (7秒)
(3)20km/hをキープして走行 (15秒)
(4)20km/hから減速して停止 (7秒)
(5)アイドリング状態 (16秒)
(6)40km/hまで加速する (14秒)
(7)40km/hをキープして走行 (15秒)
(8)40km/hから20km/hまで減速 (10秒)
(9)20km/hから40km/hまで加速 (12秒)
(10)40km/hから減速して停止 (17秒)

15モード燃費測定方法

(1)アイドリング状態 (65秒)
(2)50km/hまで加速する (18秒)
(3)50km/hをキープして走行 (12秒)
(4)40km/hに減速して走行 (4秒)
(5)アクセルをオフにした状態 (4秒)
(6)40km/hから60km/hまで加速 (16秒)
(7)60km/hをキープして走行 (10秒)
(8)60km/hから70km/hまで加速 (11秒)
(9)70km/hをキープして走行 (10秒)
(10)70km/hから50km/hまで減速 (10秒)
(11)50km/hをキープして走行 (4秒)
(12)50km/hから70km/hまで加速 (22秒)
(13)70km/hをキープして走行 (5秒)
(14)70km/hから減速して停止 (30秒)
(15)アイドリング状態 (10秒)

測定方法

これもJC08モードと同様にシャシーダイナモ上で、ドライバーが波形に合わせてアクセルワークを合わせることによって行います。パターンが単純な分だけ、ある程度なれたドライバーなら、良い燃費を出せる可能性があるかな? と思うのは私の勝手な? 想像です。逆にJC08モードでのアクセルワークの難しさが浮き彫りになる面はあると思います。

JC08モードと10・15モード燃費の違いは?

JC08モードと10・15モードでの燃費の違いはおよそ10%から15%というところです。もちろんJC08の方が悪いデータとなります。急加速が必要となったこと、最高速も引き上げられたことの影響もありますが、10・15モードでは暖気後の状態で測定されていたのが、JC08では、コールドスタートが加味されていることなどが影響しています。

重量車燃費基準とは?

これは簡単にいうとバスやトラックのような大型車に用いられる燃費基準です。車両総重量が3.5トン以上のディーゼルエンジン搭載車が対象となります。2006年に重量車向けの燃費基準としては世界にさきがけて導入されました。JE05モードという都市部走行のモードと高速モードの組み合わせによって行なわれます。乗用車のようにシャシーダイナモを使用するのではなく、エンジン単体と、計測する代表車種の主要諸元のシュミレーションによって行なわれます。

海外のモード燃費は日本とは違う?

ヨーロッパやアメリカといった海外では、その国情に則ったモード燃費の計測が行なわれています。走り方や道路状況、あるいはガソリンのオクタン価が違いますし、何を持って実燃費と定義するのかが曖昧なので、単純に「実燃費に近い」という言い方が適切なのかは疑問がありますが、日本車を海外に持っていくと燃費が悪くなる傾向はあります。

欧州複合モード燃費

ヨーロッパでは、市街地部分ではECE15モード、高速部分ではEUDCモードを使って計測されています。簡単に内容に触れるとECE15モードでは、7km走行中に15秒間の停止を12回行い、最高速度は50km/hという条件、EUCDでは、最高速を120km/hという条件のもとでテストが行なわれます。全体的にJC08よりも低い値になる傾向なのは先に解説したとおりです。特にEUCDモードでは最高速が高く、高速走行では比較的小排気量のエンジンを回して使う傾向となるハイブリッドカーは不利と言われます。

アメリカはEPA燃費

アメリカではEPA(連邦環境保護局)が市街地走行を前提とするシティモードとハイウェイモードによる計測が2007年まで行なわれていましたが、2008年からはハイスピードモード、エアコン使用時モード、低温モードが加わり5つの項目によるテストが行なわれています。これもJC08モードよりは厳しい値が出る傾向です。

最近話題の燃費の不正表示はどういうこと?

昨今、三菱自動車工業が、燃費データの不正をしたことが問題となっています。これはJC08モードにもとづいてシャシーダイナモ上でテストを行っていましたが、事前に入力する走行抵抗のデータを不正に操作したために、本来よりも良い燃費データとして表示されていたことが問題です。

三菱自動車の燃費測定方法

三菱ekカスタムの惰行法デモンストレーションの様子(photo by iijima)

モード燃費を計測する際には、走行抵抗をあらかじめ計測しておく必要があります。これは重量、パワートレイン内部のフリクションロスであったり、タイヤの走行抵抗、また空気抵抗も車種によって大きく違ってきます。この計測については「惰行法」という方式で行います。具体的には、90km/hから20km/hまで、ギヤボックスがニュートラルの状態で、それぞれ10km/h速度が低下する時間を何度か計測し、その平均値から計算式によって抵抗値を割り出すという方法が取られます。

三菱自動車は「高速惰行法」という方式で行ない、そのデータを元に同型車種に関しては机上の算出したとしています。具体的にはekワゴンの燃費訴求者を高速惰行法で実測した後は、標準車、ターボ付き車、4WD車走行データが机上で計算されたものであると発表しています。また、以降、同車の他車種にも同様の不正があったというのは報道されているとおりです。ちなみに、交通安全環境研究所は「高速惰行法自体を良く把握していない」旨のコメントがあったりしており、実態の解明には、もうしばらく時間が必要だと思われます。

まとめ

現在、自動車を購入する層には「燃費」は非常に大きな選択のポイントであるということは間違いないでしょう。「エコカー減税」などの影響もあり、経済性を考えるなら見逃せないポイントとなっています。ただ、「モード燃費」はあくまでも、ひとつのものさしにすぎません。都心の通勤に使うか、空いた高速道路で使うかでも、もちろん大きく実燃費はことなってきます。モード燃費が良いクルマでもドライバーの乗り方次第では、極端に悪い数値となることもありますし、モード燃費が悪いクルマでも、上手に乗れば比較的良い燃費をマークすることが可能ということです。もちろん、モード燃費を実態に即したものとする努力は必要ですが、それとともにモード燃費に振り回されるのではなく、ドライバーがエコロジーに気を使ったドライビングをすることが求められているように思います。