【オペル オメガ】コンサバなFRカー、だけど世界中を走り回りました

GMグループの一翼として、世界中の多様な地域へ製品を送り出しているオペルAG。その中でもかなり上の位置に置かれていたのが、このオペル オメガと思われます。そして、2002年に製造が終了するまで、フロントエンジン&リアドライブとして存在しつづけました。今回は、華にはちょっと欠けるけど固い実用性で世界の人を支えた、そんな一台をご紹介。

フラッグシップとして登場の初代オメガ

1986年に登場した初代オメガは、「エグゼクティブ・カー」との位置づけが与えられたクルマでした。とは言うものの、全長や全幅で比べた時、現行のトヨタ カムリより少し小さい車体の持主です。車重も1、200kgない位なので、現在の日本車市場に上級クラスとして落とし込んだら、それほど存在感はない一台となるかもしれません。まぁ、自動車というのは時間(モデルチェンジ)と共に大型化し、ある究極に達すると消滅するという性質があるものですからね。

この初登場当時から、オペル オメガは、セダンとエステートワゴンのボディタイプが売り物の一台でした。

さて、この時のオペル社の戦略において奇異な感じもするのが、組み合わされるエンジンの取り合わせです。基本的には広い車室を提供するのが、上級セダンの役割であるわけで、その一台であるオメガにも当然のこと十分な馬力が必要と思われます。しかし、オメガが持っていたエンジンは最小のもので排気量は1.8Lの直列4気筒、出力は高々83psでした。それが出発点となり、2.0Lおよび3.0L級を網羅して、最大のものは排気量4.0Lの6気筒エンジン(272ps)に展開します。
これだけ手を広げてしまうと、生産と販売の効率が落ちてしまわないかと思うのですが、全世界を視野にいれるセダンとしては選択肢を提供することも強みになるのでしょう。エンジン的には、排気量2.3Lの4気筒ディーゼルおよびターボディーゼルも選べました。

見方につけたのは、風

実は、原油価格の先高が懸念された時代に生まれたというオメガ。この初代オメガ、余計な燃料を使わないという訴求ポイントを抑えるのも、世界戦略車としては大切だったろうと思います。その表れとして、この初代が追求したのが低いCd値です。曲線を上手くまとめ上げ、グリル開口部も可能な限り絞った外観デザインは、Cd=0.28という空力性能を手に入れました。走行中にぶつかる空気の抵抗を小さくすれば、例えばアウトバーンでの燃費がぐっと良くなるという訳ですね。
おそらく当時の日本人消費者から見たら、派手なギミックはないものの曲面で構成されたそのデザインは、「ヨーロッパっぽさ」を演出していたろうとも思います。

特別モデルも豊富

当初のグレード体系としては、商用車向けである『LS』から始まり、『GL』に『GLS 』そして『CD』と言う風に並びました。

上記の基本装備には、『Omega Diamant』というオプションを追加可能。それらは、スモークガラスやアロイ性ホイール、レザー張りの内装などが含まれます。そしてこの装備はかなり良い売れ行きを示したそうで、同様の名前で第2世代のオメガにも採用されました。

大人な雰囲気を醸し出すのが、オペル オメガ。それでもやはり、スポーツ仕様の設定があります。それが『Omega 3000』。このグレードでは、エンジンを直列6気筒で排気量3.0Lとし、サスペンションを低く設定したりリアのLSDを追加しています。1989年のマイナーチェンジで、このエンジンはDOHC24バルブに改良され、最終的に出力は207psとなります。これによって、最高時速は240kmに到達しました。

また、この24バルブエンジンは『ロータス』により更なるチューニングが加えられ、『Lotus Omega』としてリリースされました。3.6Lへの排気量アップと、インタークーラー付きツインターボでの過給などで、出力を382psにアップ。シボレー コルベット ZR-1から、6速のマニュアルトランスミッションが換装されたりしています。

正常進化ながら洗練度を高めた、2代目オメガ

1994年のフルモデルチェンジで、オペル オメガは上級クラス志向を強めます。曲面を駆使して新たにデザインされたボディ形状は、ホイールベースはそのままに、全長で103mmの全幅では13mm拡大されました。また、エンジンも1.8Lはなくなり、最小のものでも直列4気筒の2.0L(116ps)となっています。さらに上位グレードのエンジンはV型6気筒となり、最大のものでDOHC24バルブの排気賞3.0Lから、211psを発揮するタイプまでが用意されています。
ディーゼルエンジンは、排気量2.0Lで直列4気筒のものと、2.5L直列6気筒の2種類がありました。このモデルは、1995年アイルランドにて、『Semperit Irish Car of the Year』を受賞しています。

1999年には、かなり大きなデザイン変更を含むマイナーチェンジが行われます。この変更で、ボンネットの形状は、よりエグゼクティブ志向の強い膨らみが与えられました。そういった意匠の変更に加え、『ESP(エレクトロニック・スタビリティ・プログラム)』なども加えられています。同時にエンジンにも、3.2LのV型6気筒24バルブで、218psを発揮するハイパワー版が与えられました。

さらに未来へ手を伸ばそうとしていた、V8モデル

『Omega V8.com』は、ネット接続やシート個別に備わるLCDディスプレイ、またビデオカンファレンス機能などを盛り込んだコンセプトカーです。この「移動するオフィス」は、オペルがBMW5シリーズや、メルセデスのEクラスと競合するクルマを目指している、1つの表れでした。その名から解る通り、エンジンにはシボレー コルベットなどに搭載の、V型8気筒で排気量5.7LのOHVタイプが使われています。

上記のプロトタイプは、2000年のジュネーブ自動車ショーにて量産試作車として披露されます。この時点で、同年秋には市販化される予定でした。しかし、このエンジンはアクセル全開で長時間走行する状況、つまりアウトバーンでの信頼性が確保しきれなかったそうです。結果的に、オペル オメガのV8モデルは幻と消えてしまいました。

そんなオメガのオーナに!?

中古車ってあるの?

後輪駆動のオペル オメガ。保守的なイメージも持っていますが、ワゴンやスポーツ仕様もある欧州車です。今の時代でも乗り回したら、ちょっと楽しいかもしれませんよね。と言え、新車は存在しないので中古車でということになります。

調べてみると、2002年登録のワゴンで走行距離が2.8万kmの車体で、修復歴なしでも528,000円というのがあります。一応輸入車ですので、値段はまぁまぁでしょうか…。ただ、ぼろぼろ見つかるという程、市場に余っている訳ではないらしいです。逆を言えば、オメガ独特の人気が存続(あれば売れる)しているとも言えそうですね。

気になる故障と修理(メンテナンス)

オペル オメガの面白い所は、ある種地味なクルマであるのに、確固たる愛着をもって乗られているオーナーさんの声も少なくない所かもしれません、それでも、ちょっと古い車体を購入する際に気になるのは、やっぱり整備や部品交換。さらには、乗り始めてからの故障個所です。

そして、年数が経ったクルマとしては当然のように、オイル系の漏れやシーリングの劣化は無視できないようです。カムシャフト用の潤滑油がプラグ穴に漏れ出て、エンジントラブルというようなケースも見られます。深刻度合は低いかもしれませんが、(おそらく同じような理由で)エアコンが効かないというトラブルも、ある程度覚悟した方がよさそう。

「それでも、やっぱりオメガが良いんだけど…」、という愛着をにじませるオーナーさんもおり、車としての味わいには相当な魅力があるのも事実なようです。そんなオーナーさんの中には、古くなったヘッドライトをHIDなどに交換される人も結構いるらしいです。古いクルマの場合、レンズのくすみも気になるところですが、アマゾンなどでもランプが売られている様子。結構、その需要があるということでしょうか。

やはり、いろいろ部品を探すオーナーさん方が多いのなら、それはオメガへの愛情がにじみ出る部分と言えるでしょう。

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まとめ

上級セダンを作っても、コンパクトな車(コルサやアダム)を作っても、丸みを感じさせるボディが特徴となるのがオペルだと思います。控えめとも言えるそのカタチからは、どこか人の良ささえ滲み出ているよう。

同時に、欧州などを中心にしたGMグループの世界戦略として、大きな位置を占めているのもこの企業です。オペル以外にもボクスホール(英国)のブランドで売られ、北米では『キャデラック カテラ』、オーストラリアでは『ホールデン コモドア』という名前も持つのがオメガです。

そんなオメガの、セダンとステーションワゴン。ヨーロッパを中心に、広く消費者に受け入れられ17年間製造・販売されました。そして、同じクラスの後継車種がないまま消滅したのは、類型で80万台近くを出荷するに至った2003年のことでした。