【ヴェルファイア 燃費】豪華、重量級ミニバンの実燃費と今後の課題は?

トヨタの最上級、豪華、大型ミニバンであるヴェルファイアの燃費は気になるところです。現在、ミニバンでは最も豪華な装備を誇り、法人需要専用とも思われる仕様は700万円を超える価格設定です。そして2015年年間販売ランキングは、小型車が多い中で兄弟車アルファードと合わせて10位を誇っています。でも燃費規制が厳しくなる中、もはや「反社会的」とも言われてしまそうな燃費についてレポートします。

ヴェルファイアのエンジン性能は?

3.5Lエンジンは十分な動力性能を備えていると思いますが、2.5Lでは不満を感じる場面もあるものと思います。ヴェルファイア・ハイブリッドの動力性能がどのようなものかも含めて口コミを見てみましょう。(主に価格.comを参考にしています。※は筆者のコメントです。)

ガソリン車のエンジン性能

口コミ(主に価格.com)
●車外で聞くエンジン音はガチャガチャと雑な印象です。直4なので期待してはいけませんが…。発進時は、ATのレスポンスに慣れた体ではCVT特有の鈍い印象を受けますが、市街地や高速はストレスを受けることなく走ることができます。山間部住まいということもあり、登り坂でストレスを感じるのではと思っていましたが、少しアクセルを踏むだけで、シフトダウンの引っかかりを感じることなくぐんぐん登っていきます。
●2.5のガソリンですが、走り出しにもっさり感があります。つねにエコモードにしてるから余計ですかね。
●そんなに飛ばすこともないので、2.5で、文句ありません。発車時に、よいしょって感じは否めません。

出典:review.kakaku.com

2.5L-2AR-FE-Dual-VVT-iエンジン

※【筆者コメント】
口コミは2.5Lエンジンについてと思われますが、おおきな不満を持つ人はいないようです。
●2.5Lエンジン、182ps/6,000rpm・24.0kg/4,100rpm、10.88kg/馬力・82.5kg/トルク、2tを超える車重では、街中の走行では特に問題はないでしょうが、山坂道では苦しい場面もあるでしょう。
●3.5L自然吸気(NA)ガソリンエンジンは、280ps/6,200rpm・35.1kg/4,700と強力で最高出力回転数が6,200回転と、かなり高回転型エンジンです。馬力当たり重量7.86kg トルク当たり重量62.68kgとなり、かなりの動力性能を発揮します。高速性能では、100km/h巡行はガソリンエンジンでは最も燃費の伸びる速度域ですので、市街地走行に比べ燃費も伸びています。それ以上の高速域では、ハイブリッド車がモーターアシストなしで、低回転型エンジンの駆動となりますので、速度が上がるほどハイブリッド車に徐々に迫る燃費性能となっているようです。

ハイブリッド車のエンジン性能

口コミ(主に価格.com)
●出だし電気モードで走るとスムーズに加速していきますね。エンジンが動き出すとグイグイ走ります。坂道は重たい印象です。また、エンジン音がうるさい。
●この重量なので、やはりパワー不足は否めない。これまで比較的走る車に乗ってきたので、上り坂ではあまりの遅さに最初は驚いた。ただ動力の切り替わりなどは非常にスムーズで、性能のよさを感じる。
●新型HVは、なめらかで、遅く走るには十分ですが、高速でエンジン全開というときは、エンジンがものすごい音をたてます。複数人乗車では、やや非力ですね。当然ながら、3.0のほうが力強く、前車ではアクセルべたふみということはありませんでした。高速利用ならV6のほうを勧めます。

出典:review.kakaku.com

ハイブリッドシステム

※【筆者コメント】
市街地走行では2tを超える車重では申し分のない性能です。動力性能については、街乗りの様な低速走行領域では問題はなく力強い走りを見せます。しかし高速巡行では90km/hまでが限界で、それ以上の速度では、燃費でガソリン車に迫られてきます。
課題は100km/hでの巡航時の燃費向上にあるようです。

ライバル車・エルグランドとの比較

日産エルグランド

by shutyopark

日産エルグランドにはハイブリッド車はなく、燃費では、ヴェルファイア・ハイブリッド車と比較された場合どうしようもありません。また全高を低く抑えたため評判を落とし、販売台数ではライバルとは言えません。国内唯一のヴェルファイアのライバル車であるので、てこ入れを期待したいと思います。

ヴェルファイア、実際の走行燃費は?

口コミは、主に価格.comを参考にしています。※は筆者のコメントです。

ガソリン車の口コミ

口コミ(主に価格.com)
●燃費はこの車体の大きさ、重さで平均燃費11km/Lくらいですかね.。そこそこ良いようにも思えます。
●タンクも10Lよけいに入るようになっているので、給油回数が減ります。
●山間部7割:市街地2.5割:高速0.5割を2,000kg+4WDを2.5Lエンジン(ecoモード)で走行して、10.1km/Lでした。
●20系よりも少しupしてますし、走りは初めから求めてません。

出典:review.kakaku.com

V“Lエディション”-(ハイブリッド車)

※【筆者コメント】
2.5Lエンジンのコメントが主なようで、11km/Lなど市街地と高速をとり混ぜての成績としては、この2tを超える車重としては優秀です。
しかし、JC08モードでヴェルファイア・ハイブリッドでも20km/Lに届きませんので、ハイブリッド車としてもプリウス40km/Lの半分です。車重の重いこと自体を問われる時代がもう目の前なのでしょう。
口コミから見ると2.5Lエンジン車で、市街地走行:7~9km/L 高速走行:10~12km/Lが実質的な燃費と考えられます。これはガソリン車として、2tを超える車重では大変優秀ですが、ヴェルファイア・ハイブリッド車のJC08モード燃費19.4km/Lの約半分ほどにすぎません。
重量級の車体の持つ現実を見ていきましょう。

参考までに、2015年のモデルチェンジ前の旧型ヴェルファイアは2.4Lエンジンでしたが、新型の2.5Lに排気量アップしたことで12馬力向上して182馬力となりました。燃費は、JC08モードでは僅かながら向上しています。アイドリングストップが2.5Lモデルにはオプションで取り付けられますが、これを付けると1.6km/L燃費が向上します。

ハイブリッド車の口コミ

口コミ(主に価格.com)
●1年通しての平均燃費がリッター13kです。
●2代続けてハイブリッドですが、新型エンジンになったが実質的に動力性能、燃費が改善したと感じることはありません。特に高速道路では燃費は全然よくありませんので、ガソリン車との差額を回収することは殆どできません。渋滞の多い一般道が唯一ハイブリッドの燃費がよいと感じられる部分です。
●秋のエアコン無しの時期は横浜~千葉往復、約120キロ走行してリッター20超えでした。
●実燃費は以下の通り。
ハイブリッドモデルで13~15km/l  JC08・18.4km/l~19.4km/l
ガソリンモデル(3500cc)で5~6km/l JC08・9.5km/l
ガソリンモデル(2500cc)で9km/l前後 JC08・11.4km/l~11.6km/l

出典:review.kakaku.com

※【筆者コメント】
おおむね、街乗り:11~14km/L 高速走行:14~17km/Lと言ったところでしょうか。それにしてもJC08モードの19.4km/Lと大差であり、半分ほどであることはかなり悪い数字と受け止め訂正しなければなりません。三菱自動車の不正が起きるのも、こうした実走行燃費とのかい離に国土交通省が疎いことにも問題があります。アメリカの規制値では実走行に近いもので、カタログにJC08モードの値を記載したら、詐欺行為で告訴されると言われています。
つい最近アメリカで、スターバックスコーヒーが、冷たい飲み物で氷が多いため詐欺であると、5億円を超える賠償を求めて裁判が起こされたそうです。これもどうかと思いますが、燃費規制の在り方を考える時期ではないでしょうか?

参考までに、旧型からシステム出力で190馬力から197馬力となり僅かに向上していますが、車重も70kg程度増加しているので動力性能としては変わりません。しかし、燃費では2km/L以上向上しており、重量の増加もありながら技術の進歩が発揮されています。ハイブリッド車の4WDは、E-Fourと呼ばれる電動モーター式で実用性の高いものですが、機械式4WDのように高速域までカバーするものではないようです。

ヴェルファイアの考えられない「ワイドバリエーション」

ヴェルファイアには、2.5L直4エンジン・3.5LV6エンジン・2.5L直4エンジン+モーター(ハイブリッド)があり、また2WD・4WD・E-Four4WDとあり、これではフロアパネルも違うはずです。考えられないほどのワイドバリエーションです。これらの違う車と言えるほどの多くの種類を、1車種として同じ生産ラインで組み立てできる生産方式が、今日のトヨタを作ってきた「トヨタかんばん方式」です。
ヴェルファイアは、TNGA適合前の車種ですので、これからは、アルファード・ヴェルファイア専用ラインでなく、他車種との混合ラインを目指しているはずと思われます。

【TNGA(Toyota New Global Architecture)】とは何?

コストダウンが目的

TNGAについては、専門家でも設計・製造技術と解釈しているようです。また、TNGAがコストダウンであることを批判しています。しかし、TNGAはコストを削減し、投資資金の劇的な削減を狙った世界戦略です。
その展開で、シャーシなど基本から設計し直すことが進められているので、設計、製造技術のように受け止められるのでしょう。部品を出来るだけ共通化し、全車種、全製品の整理を行うので、根本的に見直して商品力を高める努力が進められています。
コストダウンとは「ケチること」と誤解され、部品を共通化することで、設計の自由度が制約を受け、製品として出来が悪くなっていると受け止められているようです。これは明らかな間違いであり、経理的な知識と製造技術、生産技術、管理技術など全てを知らない為に起こる誤解であります。

工数の平準化がポイント

マーケットリサーチに基づいて多種多様なニーズに適合した製品を安く作りだすためには、多様な製品を同じ製品として生産できる体制が必要です。そのために何を固定化し、何を変化できるようにするのかを、設計と製造現場とが共に最初から参加して計画することが大事です。
もし、どのラインもトヨタの全車種を生産できる体制ができたら、売れる車と売れない車の変動が起きても、平準化してラインの稼働率を、いつも需要に対して最高に維持することが出来ます。すると売れなくなって遊んでいる専用ラインがなくなり、ラインの数そのものが数十パーセント下がることでしょう。ラインの共用化ができれば、新しい車種を作るラインも必要がないくらい、専用ラインの多い現在はラインの稼働率が低いはずで、現状では、増産のための新規投資資金を激減させることができるはずです。

企業として生き残りをかけての固定費の削減、投資資金の激減

ラインを共用化できれば、それぞれの車種ごとに必要であった専用ライン数を、まとめて減らすことが出来ます。ラインごとの稼働率を上げることができて、最大生産量に合わせるしかない人件費などの固定費が下がるのです。これで増産についての設備投資を劇的に減らすことができ、減産になっても固定費が落ちているので赤字に陥らないのです。
減産の調整弁になっていた派遣社員を正社員化できるチャンスが生まれ、社員にとっても身分が安定する可能性を作れます。

ヴェルファイアに、とっても不利な「燃費の3つの要件」

(1)軽量化

燃費にとって、軽量化することは第一の要件で基本中の基本です。ラリーなどレースに参加するとき、車の性能を上げるチューニングの作業の第一は軽量化です。エンジンの馬力を上げることは技術力が要りますが、軽くすれば馬力高めたのと同じ効果が得られます。
100kg軽量化すると1km/L燃費が伸びます。そのため、実燃費計測するときにも乗員など積載量が問題です。
現在各メーカーでは、高張力鋼板の使用量を増やし、ボディーの軽量化がすすめられています。さらにより値段が高く、より強度のあるカーボン素材を多く使用するようになってきています。

2tを超えるヴェルファイアの車重は、燃費にとって不利な要件の一つです。オプションなど豪華装備品を増やすほど、より不利になっていくことになってしまいます。

Executive-Lounge専用装備-パワーオットマン-(伸縮機構付)

(2)空気抵抗

100km/h巡行ではかなり燃費が悪くなりますが、その第一の原因は「空気抵抗」です。速度が上がると2乗で抵抗が増えますので、全面投影面積を小さくする必要があります。100km/hになると燃費の半分は空気抵抗に食われます。
新型プリウスでは空気抵抗係数Cd0.25で非常に低いですが、ヴェルファイアはなどのミニバン、SUVなどはCd0.4前後と高く、空気抵抗が高いことが分かります。

つまり、断面積が大きいヴェルファイアは、空気抵抗が大きく燃費効率が悪いことになります。特に90km/h以上では、効率が悪すぎます。

(3)転がり抵抗

転がり抵抗係数は、路面抵抗(舗装・水など)、タイヤ(幅・摩擦・空気圧)、車輪重量、軸受け状態(グリス温度など)で変化します。
車両総重量と共に、転がり抵抗係数のところでタイヤの状況が大きくかかわっています。転がり抵抗を小さくするにはタイヤの幅を狭くする必要があり、幅の広いタイヤをつけるのは重量増加と転がり抵抗の増加で燃費を落としていることになります。

ヴェルファイアでは、(1)(2)でかなりの損失を受けてしまっているので、転がり抵抗を考えてもしょうがない状態です。でも、ユーザーのヴェルファイアに求めているものは、燃費の良さではないのでしょう。

まとめ、課題の多い重量級ミニバンの燃費

大型車の課題

ヨーロッパの2021年からの規制値は、CO2排出量95g/km(EUでは1kmにつき排出されるCO2の排出量で現わさせるが日本では1L当たり走行距離kmで現わしている)=24.4km/Lに強化されます。(現状135g/km=17.8km/L)
現在は、車重の重い車は車重に従って規制が緩和される方式ですが、EUの2021年以降の規制では販売した全車両の平均値で規制するのだそうです。そのため小型車を販売するメーカーが有利になるので、販売した全車両の平均重量で調整を加えるそうです。2021年からの規制では、車重の重い車でも販売することで不利になることはありません。
しかし、ヴェルファイアのような豪華で重い車重の車は、プリウスの半分ほどしか1Lのガソリンで走れないのであり、燃費が悪いのは事実です。地球全体の環境破壊で、人類が生き残れるかの問題ですので、車重に従って緩和するなど、現実を知らない甘えなのでしょう。

プリウスクラスの車体では、日本の規制値では16.5km/L以上であればよく、EU表示で140g/kmとなり、規制値としては現状のEU規制値135g/kmよりも緩い規制値です。
ヴェルファイアの2tの車体重量では12.7km/L、EU表示182g/kmとなりますので、2021年以降はEUでの販売は絶望的な車となってしまいます。
1.2t以下の小型車クラスでも、平成32年度規制値で23.4km/L、99kg/kmとなり、EU2021年規制値にとどきません。しかもEUの測定法ですので、JC08モードよりはるかに実燃費に近い測定方法です。

アメリカのプリウスのカタログにある燃費は、市街地23km/L、高速巡行21km/L程度であるそうです。実燃費に近いアメリカでの表示をもとに見ると、2021年EU燃費規制をプリウスでさえも超えていないのです。

5年先の自動車のあるべき姿として、自動運転車よりも、燃費半減を求められていることの方が重要なのでしょう。それも重量のある車だからといった緩和処置は廃止しなければならず、絶対値で全車両が燃費規制を受けるものと覚悟すべきなのかもしれません。それも人類の生き残りがかかっていますので、仕方のない状況であると、私たちも自覚する必要があるのでしょう。