気になる【プリウス 燃費】実走行燃費は!理想の運転テクニックをご紹介!

プリウスは、1997年初代が登場してから、2015年モデルチェンジで4代目となりました。「ハイブリッドカー」から「普通の車」を目指してモデルチェンジしたといいます。その実態を知るにはトヨタのTNGAについても知らなければなりませんが、ともかく実際の燃費をとらえなければ仕方ないのがエコカー・プリウスの宿命です。その実態と実力を燃費を通して見ていきましょう。

プリウス、実燃費のばらつきはどのくらい?

プリウスの実燃費を測定しようとする試みをサイトや雑誌で数多く見かけるのですが、ばらつきが多く、どれが本当の燃費だかわからない状態です。その実態はどの程度なのでしょうか?
まず、実際に使っているユーザーの声を見てみましょう。しかし口コミの中にも、前提条件、つまり測定している道路条件が明確でないコメントが多く、実態がつかみにくい状態です。

価格.comより口コミ抜粋してみた

・街乗りで、ECOモードにしてリッター20km位です。
・私は、1,000kmくらい走行して、25km位です。高速道路は、21km位に落ちます。30プリが21km位だったので良いのですが、せめて、26~27km位走ってほしいですね。
・まだ納車されていませんが、試乗車に乗ったときの燃費ですが、エンジン停止したとき【だったと思いますが】にメーターに表示された今回の燃費が31km/Lでした。試乗車はSグレードでした。街乗りからバイパス約5kmほどを走ってまた街乗りをして、ディーラーに戻る約15kmほどのコースでした。急発進はほとんどしていません。ノーマルモードでの走行です
・Sグレードに乗っています。今日、60キロ位走って33km/Lでしたよ!乗り方次第で本当に良く走る車です。
・新型プリウスは、普段のチョイ乗りでも、25以上は軽くでるような良い感じです。
・12月26日にタイプS(2駆)が納車依頼、毎日乗っています。走行距離累計650キロ。内訳は都心500キロ、房総遠乗り150キロ。比較的優しく運転しています。燃費は現在26.3キロ。ちなみに条件が良ければ、時速100キロ超えでもEVで走行します。親戚の乗るアクアを借りた時と同程度か少し良い程度ですね。
・Sツーリング 2駆。現在走行800km。エコモードで走ることが多いですが燃費は気にせず運転してます。リッター22から23kmです。
・SツーリングE-Four。デイライト&各種ヒーター&暖房25度設定を常時つけっぱの状態でリッター25kmちょい。
・実燃費とカタログ燃費が大幅に剥離すると訴訟が起こるアメリカのプリウスのカタログ燃費を見ると、市街地でリッター約23km、高速でリッター約21kmなので、大体妥当な実燃費だと思います。
・米国EPAでエアコンの使用は多少考慮されてるみたいですがJC08モードではエアコン使用は全く考慮されていません。HVとEVと燃料電池車はエアコンの使用状況によって燃費が悪化します。ガソリン車より効率的ではありません。国土交通省は計測方法にエアコン使用を義務化しないと訴訟に発展しかねません。新しいエアコンシステムを認可しているのですからその時点で燃費計測方法を変えるのが実燃費との乖離を修正する手段ですから。いつまで野放しにしているのでしょうね。
・モデリストのアップグレードタイプのエアロ装着してます。ほとんど通勤で使用して500㎞程走ってますが燃費稼ごうと頑張って27.0㎞前後といった所です。
・燃費は100kmぐらい走らないとあまり意味はありません。30型ですが、山のてっぺんでリセットして、坂を下り20kmぐらい99.9km/Lを記録したことがあります。特に坂道は下りと登り往復の燃費で無いと実燃費とは言いがたいように思います。
・納車2ヶ月3000キロ走行しました。だいたい750キロ走り35リッター入るので燃費は21ちょちですが、乗りかたが悪いのかな。
・私もAツーリングでハイブリッド初心者ですが、街中で前車(マークX)と同じような乗り方をしていますと、やはり21km/L台です。それでも、前車と比べると3倍の高燃費なので、大満足です。

出典:review.kakaku.com

口コミの中で、「アメリカのプリウスのカタログ燃費を見ると、市街地でリッター約23km、高速でリッター約21km」とありますが、日本のJC08モードでは実燃費とのかい離が激しく、アメリカなら訴訟になるところであると言われています。三菱自動車の不正問題もあり、燃費測定モードを実燃費に近づける努力が必要だと思います。現在、アメリカの測定方法が実燃費に近いのであれば、すぐにでも併記させる柔軟性がほしいものですね。
それにしても、ガソリン車に比べると、圧倒的に燃費がいいのがわかります。

専門家による実走行試験記録をみてみた

前述のように、ユーザーの口コミにある実燃費データはばらつきが多く、どれが正解なのかと判断がつきませんね。それは走行する道路の環境や運転方法でかなりの差が出るために、実燃費と言ってもばらつきがあります。そこで、専門家による燃費テスト記録を集めてみました。

【ケース1】雑誌 「マガジンX」

テスト車:4代目新型プリウス・標準グレードS
テスト車:4代目新型プリウス・Aプレミアム

参照:マガジンX
by shutyopark

【ケース2】雑誌 「月刊自家用車」

テスト車:4代目新型プリウス・Aプレミアム
テスト車:3代目旧型プリウス・S

参照:月刊自家用車
by shutyopark

【ケース2】雑誌「モーターマガジン」

テスト車:4代目新型プリウス・E

参照:モーターマガジン
by shutyopark

テスト車:4代目新型プリウス・E-Four(Aプレミアム)

参照:モーターマガジン
by shutyopark

このとおり、専門家の試験でもかなりのばらつきです。そしてガソリン車の常識と違うのは、高速道路よりも郊外路で燃費記録が良いことです。ガソリン車で高速巡行すると、いわゆる市街地走行よりもかなり燃費が良くなる結果になるのですが、ハイブリッド車は違っています。なぜこうなるのでしょう? 原因を見ていくことにします。

【TNGA(Toyota New Global Architecture)】で何が変わったのか?

コストダウンはケチることではない

プリウスは、トヨタの「TNGA戦略車第1号」と言われています。TNGAの重要性を見ていきましょう。
TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)とは、トヨタのメーカーとしての大戦略です。これにについては、専門家の間でもかなりの誤解があるように感じます。ほとんどの車のジャーナリストは、設計・製造技術のように解釈しているのでしょう。そして、TNGAがコストダウンを狙っていることに批判的なのはどうしたことでしょうか。
間違いなくTNGAはコストを削減し、投資資金の劇的な削減を狙った世界戦略です。その展開の中で、部品を共通にすることなどが進められているのですが、全車種、全製品の整理を行うので、根本的に見直して商品力のある製品とするための努力も同時に進められています。
誤解というのは、コストダウンとは「ケチること」と漠然と受け止められていることです。部品を共通化することで、設計の自由度が損なわれ、新型プリウスも未熟な製品となっていると受け止められてしまっています。

狙いは工数の平準化

TNGAの実際は、多種多様なニーズにこたえられる製品を、できる限りマーケットリサーチのデータに沿って、忠実に製品化し、生産ラインでは多種多様な製品を「同じ製品として」受け止め生産することができるように、設計、製造過程を整えることです。それを世界規模で行うことで、車種ごとの専用ラインではなく、かなりの幅で共用できる生産ラインとして、車種ごとに売れる数が増減しても、ラインとしては「平準化」して生産数を整えられることを狙っています。

業務改善の基本的な手法の1つに「平準化」があります。
「平準化」とは簡単にいえば、企業内での活動にかかるコストや時間、作業量などを特定の場所や時間だけに集中させるのではなく、平均的に行っていけるようにするということをいいます。

出典:daikoukai-gyoumu-kaizen.com

最終目的は固定費の削減、投資資金の激減

専用ラインにしておくと、それぞれの車種ごとにラインが必要です。しかし工程を共用できれば、ライン数も減らし、ラインごとの稼働率も上げることができて、固定費が下がるのです。これにより、増産についての設備投資を劇的に減らすことができ、逆に減産になっても固定費が落ちているので、柔軟に減産しても赤字に陥らないのです。トヨタは、リーマンショックに直面した時、思うように減産できない体質になっていることに気付いたのです。
もう一つのメリットは、増減産の調整弁になっていた派遣社員を生産量を平準化出来れば、社員数をあるレベルで平均化できるので正社員化できるチャンスが生まれ、社員にとっても身分が安定する可能性を作れます。

ポイントは「同じ車種として生産できるライン」とすること

そのためどこを固定し、どこを変化させるのか? が重要になります。シャーシは共用と言っても、大型車だったらそのままでは共通に使うことはできません。
そこで、例えばマツダのスカイアクティブ・テクノロジーでは、基本的な構造部材は同じ形として柱になる部分なども断面は変えずに、使用する板厚を変えて強度を変えています。このように「制約」を受けているのではなく、どのようにして同じ部材として同じ車種と見立てるのかが、工夫→アイデア→技術革新になってくるのです。このような技術革新によって、「同じ車種として生産できるライン」が可能になります。

サブ組み立てラインはムダの巣

組み立て工程では、サブ組み立てをしておけば、ラインの作業が楽になります。ラインの工程間の工数が調整できます。しかしサブ組み立てを行うと、サブ組み立てが終わった部品の取り扱い工程が増えます。工程が増えることで中間在庫も増え、その置き場所となるスペースも増えるなど、次々に余計な手間暇、置き場所移動のための設備など、一度に組み立てた時と比べると、とんでもなく多くの資金を必要とするようになります。
工程は、できうる限り結合させることが大きなコストダウンを生みます。カメラやコピー機などの小型の機械は、一人でつなげて組み立てる(屋台方式)のが原則です。本当は、自動車も「屋台」と呼ばれる、工程を結合した方式にしたいのです。

段取り時間ゼロにすると、何でも速く作れる。それを分業じゃなく、だんだん一人でやれるようにしていく。多能工化をさらに進めた理想型が「一人屋台生産方式」です。作業しやすいよう部材や工具を周りに置いて、その光景が屋台のようだから。

出典:toyokeizai.net

世界規模で受注を分け合う「第4次産業革命」

最近、騒がれ始めた第4次産業革命とはなんでしょう? 世界中の工場の稼働状況をオンラインで結ぶことで、世界のどの地域で、どの車種が売れているなどのデータに合わせて、どのラインでどの車種を生産するのかなど、リアルタイムの生産管理と受注管理を結んだシステムが、第4次産業革命の方策として模索されています。自動車産業の主導権を握るのがIT企業となるのではないかと言われる中で、水面下では、各企業、各国がしのぎを削っているのです。ドイツの巻き返しが盛んだったのですが、VWのつまずきで日本企業は、一旦はほっと胸をなでおろしている状況でしょう。
ですからトヨタのTNGAが、第4次産業革命の進行の中で進められていることは確かです。しかし、その全貌はトップシークレットなのでしょう。そのものズバリの情報はあまり出てきませんが、「自工程完結」など周辺のトヨタの技術開発の一端が漏れ伝えられてきます。スピードを要求される、これからのIT革命に備えて、TNGAが結びついていることだけは確かなのです。熾烈な競争の中で乗り遅れれば、企業の存続が危ぶまれます。プリウスも、生き残れるかどうかがかかっているのです。

プリウスの燃費はこれで決まる! 3つの要件

さて、トヨタのTNGAの概要がわかったところで、何が燃費と関わってくるのでしょう?
燃費を考えるとき、エンジンなどの技術的進歩だけ考えるのではなく、そもそもの基本的技術開発を先に見ておきましょう。
プリウスではTNGA適合の新シャーシを使って、「TNGA戦略第1号」と言われています。その技術的ポイントがどこにあるのかを知ることで、TNGAを展開するにあたり、トヨタが基本に戻ってすべて見直していることが分かってきます。

(1)軽量化されていること

プリウス新剛性骨格ボディ

燃費を悪くする要件の第一は、やはり重いことでしょう。大きな車は何をするにも大変です。燃費にとって、軽量化することは第一の要件であり、基本中の基本です。
ツーリングカーレース、ラリーなどのレースに出るとき、車の性能を上げるチューニングの作業を行います。そのとき、まず取り掛かるのが軽量化です。エンジンの馬力を上げることも大事ですが、軽くなれば馬力が大きくなったのと同じ効果が得られます。
100kg軽量化すると1km/L燃費が伸びると言われています。そのため実燃費を計測するときにも、何人の乗員であったのか、機材などはどの程度の重さであったのかなどのデータが伴わないと正確ではありません。

TNGAのシャーシとして登場したプリウスのシャーシも、軽量化に力を入れています。
高張力鋼板の多用です。軽量化と言うと、アルミ素材の使用など軽い素材を思い浮かべるかもしれませんが、ボンネットなど耐力部品でなければアルミ素材で正解なのですが、多くのボディーは耐力部品です。そのため、より強度のある素材を使うことで、軽くしても同じ耐力を持たせる工夫がなされています。
高張力鋼板は、通常使われてきたいわゆる「生材(SS35など)」とは違って、炭素含有量の多い引っ張り強さであらわされる高張力であり、この最も強い鋼板は防弾鋼板で戦車に使用されているものです。でもデメリットもあり、高張力鋼板は強いのですが割れやすく加工が難しいものです。
さらに、BMW7シリーズなど高級車ではより値段が高く、より強度のあるカーボン素材を多く使用するようになってきています。

また旅客機の世界では、ボーイング787が胴体の一部を丸ごとカーボンで作ることを取り入れて、本格的なカーボン時代の到来を感じさせています。なので、自動車産業も本格的にカーボン時代に突入するものと考えられています。カーボンは、より軽量化の切り札でありましょう。値段がまだ高いので、使用はなかなか広がりませんが、カーボンで車を作ると100kgの軽量化は楽に行えるので、多量に使用すれば、大変な燃費向上が見込まれ、使用率が多くなることは時代の要請であると考えられています。

もうひとつ、オプションなど装備品をやたらと付けるのも重量を増やすことになるので、燃費を悪くする原因になっています。プリウスにカッコ良さを求めたけれど、燃費は逆に悪くなっていた、ということもあり得ますからご注意を。

(2)空気抵抗が低いこと

プリウス床下整流

プリウスも、100km/h巡行ではかなり燃費が悪くなっています。その高速燃費の伸び悩みの第一の原因は「空気抵抗」であると考えられます。
以下は、空気抵抗の計算式です。
<Ra(空気抵抗)=λ(空気抵抗)×S(車両全面投影面積)×V²(車両走行速度)>
そして、空気抵抗馬力の計算式は以下の通りです。
<空気抵抗馬力=空気抵抗係数Cd×全面投影面積×空気密度×車速の3乗×1/2>

速度が上がると2乗で抵抗が増えますので、全面投影面積、つまり断面積が小さいほうが有利になるのです。空気抵抗は、80km/hを超えると急速に高くなり、それとともに燃費が落ちてきます。100km/hになると、なんと燃費の半分は空気抵抗であると言われます。なので、燃費のことを考えると、ミニバンに限らず、現代のブームになっている背の高い車を好む傾向は考え直す時期に来ているのではないでしょうか。
新型プリウスの空気抵抗係数は、驚きのCd0.25で、旧型より0.01向上しています。一方、ミニバン、SUVなどはCd0.4前後なので、大変高くなっていることが分かります。

(3)転がり抵抗が低いこと

転がり抵抗を出す公式は、次の通りです。
<転がり抵抗=車両総重量×転がり抵抗係数>
転がり抵抗係数は、路面抵抗(舗装・水など)、タイヤ(幅・摩擦・空気圧)、車輪重量、軸受け状態(グリス温度などで変化します。
ここでも車両総重量が大きくかかわっていますが、転がり抵抗係数のところでタイヤの状況がかかわっていることに注目してみてください。空気圧で大きく変化したり、タイヤ幅でも変化します。転がり抵抗係数を考えると、むしろタイヤ幅は狭いほうが良いようです。最近は、必要以上に幅の広いタイヤをつける風潮にあるようで、車輪重量の増加と幅の広さで燃費を落としている状況が考えられます。

いすゞ自動車のホームページ。

ハイブリッド・システムについて、見てみよう!

プリウスの初代は、1997年「ハイブリッド車」専用車として登場し、そのスタイルとともにハイブリッドの象徴となりました。当初は赤字覚悟の値段であったと言われ、売れる車でもありませんでした。しかし、アメリカで有名人が省燃費に協力するキャンペーンとして搭乗するなどしたため、その名は一躍知られるようになりました。なので、現在でも最も注目される性能は「燃費」であり、常に世界のトップ水準にあります。
4代目となる新型プリウスも、JC08モードで40km/Lを記録して世界のトップに立っています。ハイブリッドシステムでの現在の主流は、明らかにプリウス方式であると言ってよいのでしょう。
しかし、ハイブリッド車が珍しくなくなった現在、トヨタもこの4代目では「普通の車にしました」と宣伝しています。ハイブリッドシステムだけで売れる車ではなくなり、普通の車のように、走行性能その他でも注目される存在となりつつあります。

初代プリウス

トヨタ方式とホンダ方式を比べてみる

トヨタ方式

トヨタ・プリウスE-Fourハイブリッドシステム

トヨタが採用している「THSⅡ(TOYOTA Hybrid System Ⅱ)」は、シリーズ・パラレル方式と言われる2モーター方式で、ホンダも現在この方式に変換しつつあります。
おおむね3つの走行モードを持ち、発進から有効なトルクを発生するモーターで発進、低走をEVモードで走り、速度が上るにつれて燃費効率が高いエンジンで走る率を高めます。エンジンで走行中、余裕のある場面では発電してバッテリーに充電します。アクセルを踏み込んだ場合、モーターとエンジンを併用し、強力な加速を実現します。
現在、EVモード・EVとエンジン併用モード・エンジン直結モードと3つのモードを備えるのが標準となってきました。さらにエンジンとモーターを併用する場合、バッテリーを介さずに発電機から直接モーターに電気を供給し、充放電ロスをなくしているシステムもあります。また、エンジンとモーターを同時につないで駆動するシステムと、エンジンは発電だけを受け持つタイプなどがあります。

ホンダ方式

出典:http://www.honda.co.jp/ACCORD/webcatalog/performance/

ホンダのハイブリッドシステムの基本は、パラレル方式でした。1999年インサイトに搭載したシステムでは、エンジンの出力軸線上にモーターを配して、エンジンは常に稼働していて、必要な時にモーターがサポートする方式でした。現在では、モーターの数によって、1モーターの「SPORT HYBRID i-DCD」、2モーターの「SPORT HYBRID i-MMD」、3モーターの「SPORT HYBRID SH-AWD」の3種類を持っています。
先ごろ発売されたオデッセイ・ハイブリッドの「SPORT HYBRID i-MMD」は、発電用モーター、走行用モーター、ハイブリッド専用エンジンを搭載。モーターだけで走る「EVドライブモード」、エンジンで発電しモーターに直接電気を供給し駆動はモーターとなる「ハイブリッドドライブモード」、エンジン直結で駆動する「エンジンドライブモード」の3つの走行モードで、最も燃焼効率の良いモードを使い分けています。

プリウスのハイブリッド・エンジン

アトキンソンサイクルエンジン

アトキンソンサイクルエンジンをハイブリッド専用エンジンと限定する必要はないのですが、現在、燃焼効率の良いエンジンとして使われることの多くなった形式です。吸気行程より爆発行程のストロークが長いのが特徴で、爆発の力を十分に活用できるので、馬力の割には排気量が少なく省燃費になります。また、ポンピングロスと呼ばれる吸気時の負圧を軽減できるのでロスが少なくなります。
現在では、ハイブリッド専用エンジンではなく、単独で搭載されるコンベンショナルエンジンとして、アトキンソンサイクルエンジンが開発されています。

出典:http://www.honda.co.jp/tech/power/exlink/

メカニカルに実現すると複雑なメカニズムで摩擦ロスが多くなりそうですが、実際に実現している自動車用のエンジンでは、吸気弁を電動制御により閉じるタイミングを遅くして、いったん吸入した空気が一部吸入管に戻されて、実質上吸入ストロークが短くなった状態になります。そうです、電動吸入弁で実現しているのです。そのときスロットル弁が開いていても、その開き具合より少ない吸入となるので、アクセル開度より出力は出ません。それで吸入行程の時にスロットル弁をアクセルワークよりも開いて、吸入負荷を少なくしているのです。

出典:http://toyota.jp/technology/powerunit/gasoline/

直噴エンジン

直接燃焼室に燃料を噴射することでノッキングを防ぎ、圧縮比を高くできるメリットがあります。それは、噴射した瞬間に気化熱でシリンダー内の温度を下げるためです。高圧縮によりトルクを高められ燃焼効率が良く、高出力と省燃費の両立が図られます。

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ターボチャージャー

ターボチャージャーは、ダウンサイジングに欠かせない技術となっています。排気ガスの圧力で回したタービンで吸入側で加給することで、自然吸気(NA)の場合に比べて高圧縮となり、出力が増します。直噴エンジンとの相性が良く、ダウンサイジングして、省燃費エンジンでありながら高出力エンジンとすることができます。

プリウスの方式

アトキンソンサイクル・直噴・エンジンとハイブリッドトランスアクスル(モーターとリダクションギアユニット)

プリウスのエンジンは熱交換率40%を達成したエンジンで、小型軽量化されたモーターとこれまた損失を少なくしたリダクションギアとの組み合わせで、現在、世界最高レベルの効率の高いシステムを構築しています。

プリウス:トランスアクスル

理想的! プリウス省燃費運転のコツ

実燃費は、運転方法でかなり左右されるようです。そこで燃費向上のコツを拾ってみましょう。

プリウスに限らない!いつでも、どの車でも、共通のコツは?

●アクセルを急激にふかさない。
アクセルを開ければエンジンはがんばります。そのため回転数が高くなるので、良いことは一つもありません。CVT・DCT・AT・MTどのミッションの車でも、アクセルを開けるときは静かに行うことが鉄則です。でも発進があまりにも遅くては、後続車に迷惑をかけてしまうので、そこは注意しましょう。

●90km/h以上は出さない。
前述のように、空気抵抗が急速に高まる速度がこのあたりです。高速道路上でもこれ以上は出さないことです。

●ハンドルを細かく切らない
運転中、小刻みにハンドル操作する人がいますが、これは蛇行しているのと同じで無駄な距離を走っていることになります。街中でも、レーサーのように遠くに注目してラインを決めて走ると距離は短縮されます。タイヤのスリップも極力なくす必要があるのです。
車の設計、セッティングでもハンドルを落ち着かせることは燃費向上に結び付くので、新型プリウスが低重心でサスペンションセッティングに努力したのは基本的な努力であり、燃費にも貢献しています。

●アクセルを動かさない
ハンドルと同様、アクセルも一定に保つことが燃費には効いてきます。高速道路などで緩やかな登坂に差し掛かると、速度一定を保とうとするのがマナーです。坂道でスピードが落ちるのを放置すると、後続車のどこかで渋滞が起きる可能があるのです。しかし、燃費を考えると、たとえ坂道に差し掛かってもスピード一定ではなく、アクセル一定を保つことが大事です。でも車が結構多い時などは、自分の燃費よりも渋滞を起こさないことを優先するのがマナーです。

●タイヤの空気圧を高めにする
タイヤの空気圧を高めにしておけば、タイヤの外径が大きくなったと同じで、タイヤ1回転で進む距離が長くなりエンジン回転を少なく抑えることができます。また空気が抜けていると、タイヤの接地面積が広くなって、前述のように転がり抵抗が大きくなります。空気圧が高いと多少突き上げ感が出てきますが、高速巡行に備えていると思って2割り増しぐらいにしておきましょう。タイヤ中央がすり減ってきますので、様子を見ながら調整してください。

●余計な荷物は降ろしておこう
100kg軽量化すると1km/L燃費が良くなるそうです。車に常時積んでいる荷物をできるだけ少なくしてみましょう。燃費を考えるなら、豪華装備やエアロパーツでさえ、余計な装備はつけないことです。ラリー車などレースで性能を争うときなどは、使わない後部座席や、必要のない内装材、マットも降ろしてしまいます。豪華内装品やステレオなどの機材、スタイルのためのエアロパーツなどは、燃費を悪くするためにつけているようなものなのです。
また、幅広のタイヤも転がり抵抗が上がり、重量増加などでろくなことはありません。燃費ではシンプルが一番です。内装材を剥がしてしまい、ビニールで内装したり、ドアハンドルをひもに置き換えたりしていたのが、ポルシェのレーシング仕様でした。ゴルフバッグを積んだままなどはもってのほかです。

冬場のプリウスハイブリッドについて

プリウスハイブリッドシステム:フロントのシャッターに注目

JC08モード燃費と実燃費の差が問題となってきましたが、その原因の一つがエアコンの使用の有無です。JC08モード燃費検査時にはエアコンを止めているので、それだけでも差が出るのは当たり前と言えます。
プリウスのエアコンの熱源は、ガソリン車と同じエンジンの冷却水です。冬場、寒冷の時にEVモードで走り出せても、エンジンが温まっていないので暖房が効かないことになります。暖房のためだけにエンジンを回しては燃費が悪くなります。
そこでプリウスなどでは、エンジンの冷却水を排気ガスの熱で効率よく温める工夫がなされていて、ラジエーターのごとく熱交換器にファンがあったり、エンジン冷却系と、ヒーターの熱源とは別系統にしたり、その別系統には排気ガス還元装置の冷却系を入れてヒーターに熱を移すようにしているなどです。さらに、プリウスのフロントグリルにはシャッターがあり、エンジンを冷却する必要がない場合には、冷却空気を止める構造になっています。これで、余分にエンジンを回してヒーター熱源を確保しなくてもよくなり、最小限のエンジン回転で済むようになっています。
夏場の対策も、クーラーの使用を極力抑える工夫でいっぱいです。塗装にも酸化チタンを配合して室内温度上昇を5度抑えることができるなど、あらゆる工夫があります。

そのほか、プリウス燃費向上の工夫

燃費向上グッズ

●添加剤など市販グッズ
多くの燃費向上グッズが販売されており、中には実績のあるものもあるようです。最近では、ディーラーの整備でもオイル添加剤などを勧めてくることがあります。効果のほどを尋ねるのですが、商品カタログを読みながら答えるのが精いっぱいのようです。
「貼り付けるだけ!」といった商品も見かけられて、効果がないとは言い切れません。プリウスでの個人的な実験結果を載せているサイトも見かけられます。でも燃費向上に熱心なのは良いのですが、効果があるにしても商品のメーカーがとらえきれていない「副作用」も考えられるので、やめておいたほうが無難です。

●「燃費監督」などの燃費計
各種の燃費計が発売されています。これはリアルタイムで燃料消費の状態を示してくれますので、運転の方法と燃費との関係を知るには良いものです。自己故障診断機能コネクターに接続するだけですので、取り付けも簡単です。また、坂道やカーブなどがどのように燃費に影響してくるのかを感じられます。「燃費監督」は、いろいろある燃費計の中の一つの商品です。
でも、燃費計を見すぎて事故を起こさないようにご注意ください。

プリウスの苦手な高速巡行で、燃費を向上させる奥の手

いろいろ燃費に関する販売グッズはあるでしょうが、燃費向上に何といっても効いてくるのは軽量化です。でも、軽量化も日常使用に支障をきたすほどは出来ませんので、奥の手として一つご紹介できるのは、「スリップストーム」です。
高速巡行時に前の車の後ろにつけて、負圧で引っ張ってもらうのです。大型の車を選んで、あまり近寄らなくても十分な負圧を得られるようにすると、1割ぐらいの効果があると言われています。近寄りすぎると、急ブレーキの時など危険ですので、ほどほどにして下さいね。前車追従機能の付いたクルーズコントロールの範疇にすると安全です。

プリウスの省燃費は、効率のあくなき追及の結果

●口コミから
「アメリカのプリウスのカタログ燃費を見ると、市街地でリッター約23km、高速でリッター約21km」とあります。日本のJC08モードでは実燃費とのかい離が激しく、アメリカなら訴訟になるところであると言われています。

●専門家による燃費テスト
プリウスの専門家による燃費テスト結果によると、高速道路での100km/h巡行よりも郊外路の走行のほうが燃費が良くなる傾向にあります。それは空気抵抗が80km/hぐらいから急速に高くなり100km/hのころには燃費の半分を空気抵抗のために使っている状態となることが大きな原因と考えられます。

●基本に忠実な努力
4代目新型プリウスで、車高を下げて、全面投影面積を少なくしていることは、車の基本的性能向上策と一致しています。また同時に、重心を下げることは車としての走行安定性に一番貢献する基本であり、トヨタがTNGAを展開するにあたり「基本に戻る」ことを目指しているように見えます。

●実燃費に近い規制を望みます。
アメリカのカタログ燃費は極めて実燃費に近いものであると考えられます。日本のJC08モードが100km/h巡行モードを取り入れないとメーカー各社が日本国内での高速巡行モードの燃費改善に注力しなくなります。三菱自動車工業の不正事件を良い契機に、国内高速道路最高速度も一部120km/hに上げることもあり、燃費計測モードを実燃費に近づける努力をしてもらいたいものです。

この様に、いろいろな角度からの緻密な情報収集と、繊細な対策の積み重ねが、車全体のシステムの効率を上げていきます。プリウスのモデルチェンジで見せた、旧モデルからの進歩は、少しでも前に進もうとするあくなき前進の努力です。TNGAは、それらの努力の方向性を整理し、いつまでも前進し続けられるように定めているのです。
この先の燃費規制の方向に合わせて、車重で緩和されない絶対値の省燃費化を進めるには、プラグインハイブリッドの方向性、燃料電池車の動向など、まだまだ定まってはいません。でも第4次産業革命を含めて柔軟に対応できる体制を作るには、TNGAの方向性で間違いないと思われます。

まとめ、ヨーロッパ(EU)の新燃費規制に向けて

2021年から、ヨーロッパとアメリカではより厳しい燃費規制が始まります。24.4km/L相当の燃費を、EUで販売した車は平均値として達成しなければならず、かなり厳しいものとなるようです。JC08モードで40km/Lを達成したと言っているプリウスでも、実燃費に近い規制値であるユーロ6の規制値をクリアできていないようです。
2021年はオリンピックの翌年です。人工知能自動運転(AI)との絡みがどうなるのかわかりませんが、理想的運転とともに開発は間に合うのでしょうか? 日本でも燃費規制制度の整備が進むことになるのでしょう。
地球の環境を考えると、近い将来、車両重量による規制区分がなくなり、絶対値の燃費規制となるのはやむを得ないことであると思われます。ですから、世界戦略TNGAによる、基本に忠実な現在のプリウスの目指す方向性は、将来も、やはりプリウスが生き残ると確信させてくれるものでます。