【三菱ふそうキャンター】2016年モデルはドライバーにさらに優しく!

「キャンター」といえば小型トラックとしては主役の一台と言えます。もともと高い信頼性を誇っていますが、今回、ドライバーの負担の軽減と省燃費という面でさらにリファインされて2016年モデルが登場しました。注目の「DUONIC2.0」なども含めて概観していきましょう。(飯嶋洋治/RJC会員)

「キャンター」2016年モデルとは?

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トラックドライバーに快適な「第2のリビングルーム」を!

三菱ふそうトラック・バス株式会社は、小型トラック「キャンター」2016年モデルを4月26日から発売を開始しました。全日本トラック協会の調査では、トラックドライバーは1日平均で5時間40分ドライビングし、休憩や待ち時間も含めると車内で過ごす時間は合計8時間にも及ぶというデータがあるそうです。今回の「キャンター」では、そういう面を鑑み、「ドライバー優先」の居住空間を重視しているそうです。また、経営者から見たときのコストを下げるためにクラストップの婦負燃費を目指し、ドライバー及び、運送業などを営む経営者のメリットを考えた仕様となっています。日本の物流をささえるすべての人のためを考える! という強いメッセージを込めたのが「キャンター」2016年モデルと言えるでしょう。

エクステリアは?

スタンダードとカスタムを設定して、ユーザーに選択肢を与える。

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エクステリアの基本は機能優先で無骨なスタイルと言えます。目立つところではスタンダードの主要装備として、異形2灯のハロゲンヘッドパンプ、運転席&助手席手動格納式ミラーステーなどがあげられます。CUSTOM(オプション)仕様では、エクステリアもグレードアップしています。ここでは新たにメッキコーナーパネルとフォグランプを追加して差別化を図っています。

また、スタンダード、CUSTOMとも、「FUSOトラック」のアイデンティ統一を図ることも目的として、フロントグリルにブルーラインを配しました。これは「エコイメージ」を演出するものとなっているそうです。

インテリアは?

トラックだからこその快適性を追求した!

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トラックドライバーにとっては、一日の3分の1を過ごすという全日本トラック協会のデータもあるように、キャビンはドライバーにとって第二のリビングルームでもあります。先述したように、ドライバーが長時間を過ごす場所としての快適性と機能性も求められると言えます。もちろんそれが「陳腐」であることは許されません。今回はインテリアのグレードアップということに力が注がれています。

室内はブラックとシルバーを基調としました。これによってラグジュアリーさを演出しています。

収納するものはドライバーによって様々……そんな期待に応える!

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もちろんドライバーの疲労の軽減や、運転への配慮も行き届いたものとしています。運転席シートにはサイドサポートを採用。これはホールド性の向上に一役買っていますし、座面クッションを拡大したことにより、疲れにくく快適な運転環境を確保する工夫がなされています。走行したわけではありませんが、実際に座ってみた感じも確かに適度な硬さとともに高級感まで感じさせるものとなっていました。

実用性を求める装備として、多くの収納スペースを備えたことが上げられます。例えば作業用のヘルメットの置き場所やティッシュペーパーの箱を奥スペースなどを設けたこと。あえてスタンダードではダッシュボードのリッドをあえて外してあることなどは、やはり使い勝手を求めてのことです。働くクルマならではのものと言えるでしょう。

優れたトラバース(移動)性を実現するための、インパネシフトや可倒式パーキングブレーキレバーを採用したのも特徴と言えます。

その他、疲労を軽減する運転席アームレスト、集中ドアロック、キーレスエントリーシステムなどドライバーの負担を減らす機能が標準装備となっています。

パワートレインは?

ハイパワー&省燃費をコンピューターチューニングを詰めてさらに追求!

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搭載されるパワーユニットは「4P10型」と呼ばれ、すでに省燃費性能では定評を得たものを使っています。これは直列4気筒インタークーラーターボで、総排気量は2,998ccとなります。今回はさらに燃費効率を向上する努力がされ、これは主にソフトのチューニングによって行なわれているといいます。またISS(アイドリングストップ&スタート)付きの車両の場合は、平成27年度重量車燃料基準+10%を達成(エンジン出力129kW、最大積載量3.5t超~7.5t以下の車両を除く)。また、その他の車両も全車で平成27粘度重量車燃費基準+5%を達成しています。自動車重量税、自動車取得税がそれぞれ減税となるのも、働くクルマとしては重要なところでしょう。

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エンジン本体でも対策はされていますが、ディーゼルエンジンということで、PMとNOxがトレードオフで発生してしまう問題は残っています。PMに対しては再生制御式DPFを採用しました。これはフィルターをメンテナンスフリー化することで、稼働率の向上と整備コストの低減を実現するとともに、再生制御方式の精度を高め、自動再生インバーバル、および手動再生インターバルの延長を果たしました。

NOxの発生に関しては、Blue Tec排気後処理装置を採用しています。これは、いわゆる尿素SCR(NOx還元触媒)と呼ばれるもので、ダイムラー・トラック部門により名付けられたものです。

より快適性を高めてドライバーの負担を減らす「DUONIC2.0」を搭載!

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動力性能とドライバーの負担軽減のポイントとなるのが、ドライブトレインです。ここはデュアルクラッチ式AMT(Automated Manual Transmission)の「DUONIC(デュオニック)2.0)を採用したことです。これは従来からバージョンアップされたものとなります。

デュアルクラッチを用いることでシフトアップ時、ダウン時のギヤをあらかじめ選択しておき、クラッチを切った状態で、次のギヤをプリセレクト。ギヤチェンジの際には瞬時に切り替えることで動力の伝達効率を高めるとともに、シフトショックも軽減しました。基本はMTと同じでトルクコンバーターも使用しないので、省燃費にもつながります。

クラッチ操作がいらない2ペダルのイージードライブとなりますので、オートマチック限定免許での運転が可能というのも現代的と言えるでしょう。もちろんマニュアルトランスミッションの操作に不慣れなドライバーにも適したものとなっています。

エンジンからの動力伝達は湿式クラッチを採用しています。これはトルクコンバーターのようなクリープ走行も可能ですので、微低速での走行やプラットホーム着けなどでもスムースなコントロールが可能となっています。

また、DUONIC2.0搭載車には「ヒルスタートアシスト機能」も搭載しました。これは、坂道発進時のずり下がりを抑える機能です。ブレーキペダルから足を話てからアクセルペダルに踏みかえるまでの間ブレーキ力が保持され、坂道発進をサポートします。

「キャンター」にはハイブリッドモデルの設定もあります。これは、燃費性能を向上させたエンジンと、DUONIC2.0に内蔵された高効率モーターによって構成されるシステムを搭載しています。モーターは小型・軽量化を果たしながら40kWの出力を発揮。バッテリーにはリチウムイオン電池を使用し、10年間のバッテリーモジュール交換費用を無料とすることで、安心して使える配慮がなされています。このユニットを搭載したバージョンは重量車モード燃費値で12.8km/Lとなり、CO2排出量で-1.0t/年になるといいます。

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安全装備は?

4輪ディスクブレーキとABS+EBDで、制動時の信頼性を向上!

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主ブレーキはディスクブレーキとなっています(2WD車、4WDキャブ車、ハイブリッド車に標準装備)。小型トラックではまだリヤにはドラムブレーキ(リーディングトレーリング)が使用されることもありますが、キャンターでは放熱性にすぐれフェード現象が起こりにくいディスクブレーキを4輪に装備しました。

またABS+EBDを全車に標準装備しています。これは急制動時にブレーキロックを防ぎ、ステアリングによるコントロール性能を保つABSに加え、EBDで空車・積載時にかかわらず前後輪の制動力配分を最適にコントロールし安定した制動力を確保する機能を持たせたものです。フェールセーフ(誤操作回避)のひとつとして、アクセルペダルを踏んだままブレーキペダルを踏んだ際に、ブレーキを優先させるブレーキオーバーライドシステムも全車に標準装備としています。

エアバッグ、高剛性セーフティキャブ「FUSO-RISE」で万が一のときの安全性も確保!

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その他、衝撃から乗員を保護するSRSエアバッグシステム、及びEA機構装備のプリテンショナー付3点式ELRシートベルトの標準装備、手動により光軸(照射角)の調整が可能な遠方まで照射するハロゲンヘッドランプの標準装備、優れた衝突安全性を実現した高剛性セーフティキャブ「FUSO-RISE」の採用、セキュリティ性に優れたイモビライザーの採用などが安全装備として挙げられます。

主要諸元

※代表として2WD、ハイルーフキャブ、標準ボディ・全低床、2トン積車(アイドリングストップ&スタート付き、キャブ付きシャシー、ヒルスタートアシスト機能付き)、DUONIC2.0採用車の主要諸元を掲載しました。

【車型】

TRG-FEA50

【エンジン諸元表】

型式 4P10(T4)型ディーゼルインタークーラーターボ
燃焼方式 直接噴射式
シリンダー配列・数 直列4気筒
内径☓行程 95.8mm☓104.0mm
総排気量 2,998L
最高出力 110kW(150PS)/2,840rpm
最大トルク 370N-m(37.7kg-m)/1,350ー2,840rpm
燃料供給装置 電子制御式燃料噴射(コモンレール装置)

【トランスミッション諸元表】

形式 M038S6
形式 6速DUONIC
ギヤ比 1速(5.397)/2速(3.788)/3速(2.310)/4速(1.474)/5速(1.000)/6速(0.701)/後退(5.397)
最終減速比 4.875

ブレーキ形式

前/後 ディスク/ディスク
補助ブレーキ形式 エキゾーストブレーキ
ABS+EBD 標準
ブレーキオーバーライドシステム 標準

寸法

全長 4,770mm
全幅 1.695mm
全高 2.105mm
ホイールベース 2,500mm
トレッド(前/後) 1,390mm/1,235mm
最低地上高 165mm
荷台内法 長☓幅☓高 3,120mm 1,615mm380mm
床面地上高 900mm

車重

車両重量 2,350kg
最大積載量 2,000kg
乗車定員 3人
車両総重量 4,515kg

性能

最小回転半径 5.1mm
燃料消費率(重量車モード燃費値:ISS付) 11.60km/L
主要燃費改善対策 高圧燃料噴射、電子制御式燃料噴射(コモンレール装置)、過給器、インタークーラー、アイドリングストップ装置

タイヤサイズ

前 205/75R16
後 205/75R16(小型ダブル)

まとめ

三菱ふそうトラック・バス株式会社副社長・セールスジャパン本部長である三輪為夫氏によると「この新型キャンターは、ハイグレードなインテリア、疲れにくく快適性を高めた新型シートなど、居心地のより居住空間を実現しました。このキャンターに乗りたい、乗ることでステイタスを得られる、そう感じていただける商品に仕上がったと自負しております」とした上で、

「他方、事業者様にとって重要な燃費の面においても、クラストップの低燃費を実現し、燃料コスト削減に貢献できる自信作です。三菱ふそうは、お客様が弊社製品を所有すること、乗ることに誇りを持てると同時に、省燃費技術による生涯保有コストを低減できる商品を、今後も開発・提供して参ります」
と締めくくっています。

日本の物流はトラック無しには語れないのが現実ですし、その中で事業者も厳しい競争に置かれていますし、ドライバーが過酷な労働を強いられているという面は現実的にあります。そのための大切な道具であるトラックが、特にドライバーにとって快適であり、ストレスが低減できるということは重要な面だと考えます。

実は、先代のDUONICは、当初は優勢だったもののだんだんMTの採用率が多くなってしまったという面もあるそうです。それはまだ機構として洗練されていない面や、コストの面もあったのでしょう。今回、DUONIC2.0は機能面でさらに洗練することによって、期待にそえるものを目指したという面もあると思います。ぜひともストレスフリーで安全運転につながる機構として普及していって欲しいものだと思います。