【ダイハツ ソニカ】少し惜しかったプレミアム軽自動車

ダイハツが軽自動車としての質感を高め、真面目にしっかり作った軽自動車がソニカです。しかしながらそんなソニカは2年2カ月という短期間で販売終了となってしまいます。ソニカは何がいけなかったのか、本当はどんな車だったのか、今日はその所を見ていきたいと思います。

ソニカとは

1代限りのプレミアム軽自動車

2005年に「爽快ツアラー」というコンセプトの元、軽自動車でもプレミアムな車として開発されたのがソニカです。タントやムーブなどのハイトワゴン系軽自動車が主流な中で敢えて室内空間を犠牲にした低重心なフォルムを採用し、前後にスタビライザーを標準装備することで足回りの質感を普通車レベルにまで引き上げています。低重心化も走行性能の向上に一役買っており、走行性能は同じ年代の軽自動車と比べても非常に高いものがあります。ドアに2重シールを施したり、エクステリアの形状に工夫を加えることでロードノイズの低減も実現しています。エンジンはターボを搭載するKF-DET型エンジンを搭載し、力強い走りを実現し、車としての基本性能が全体的に引き上げられています。
装備も電子キーを車両に近付けるだけで解錠・施錠できる電子キーを全グレードに標準搭載されています。
ソニカは特にシートの質感が高いことでユーザーからも評価を受けています。実際ソニカのシートはセルシオのようなシートを目標に開発されており、その質感は同クラスの軽自動車と比較しても非常に高い。軽自動車のシートとなるとホールド性はあまり期待できず、質感も低い物が多いなかで、このソニカのシートは非常に質感の高いものと言えます。とはいえ、さすがにセルシオレベルのシートというのは無理があり、「あくまでも軽自動車の中でもできが良い」と考えておくのが無難です。
走行性能、室内の質感、防音性などなど、同クラスの軽自動車、特に同時期に販売されていた安価な軽自動車エッセと比較して遥かに高性能な車と言えるのですが、あくまでも軽自動車というカテゴリーの質感からは抜け出せていません。スタビライザーなどもコペンのような専用ラインを持つスペシャルモデルに比べると細く、ショックアブソーバーも特別な物ではないため、コペンのような走行性能を期待すると肩透かしを食ってしまうかもしれません。

販売期間はダイハツ最短の2年2カ月

走りが自慢のソニカですが、トランスミッションはCVTの設定のみでした。KF-DETエンジンをMTで操りたいというマニアックなダイハツ信者は少なからずいたように思いますので、ソニカのMTモデルがあればそれなりに購入する人もいたのではないかと思うのですが、結局ソニカは販売面が振るわず、ダイハツとしても最短の販売期間となる2年2カ月という短さで販売を終了してしまいました。
販売期間が短かったため、グレード体系が見直されることもなく、特別仕様車の販売もなく、少し寂しい結末を迎えてしまいました。

諸元

ダイハツ ソニカ(SONICA)RS

ボディタイプ:軽自動車
ドア数:5ドア
乗員定員:4名
型式:CBA-L405S
全長×全幅×全高:3,395×1,475×1,470mm
ホイールベース:2,440mm
トレッド前/後:1,300/1,290mm
室内長×室内幅×室内高:1,915×1,320×1,230mm
車両重量:820kg

エンジン・燃料系
エンジン型式:KF-DET
最高出力:64ps(47kW)/6,000rpm
最大トルク:10.5kg・m(103N・m)/3,000rpm
種類:水冷直列3気筒DOHC12バルブICターボ
総排気量:658cc
内径×行程:63.0mm×70.4mm
圧縮比:9.0
過給機:IC付きターボ
燃料供給装置:EFI(電子制御式燃料噴射装置)
燃料タンク容量:36リットル
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン

環境仕様
10モード/10・15モード燃費:23.0km/リットル

足回り系
ステアリング形式 :パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション形式(前):マクファーソン・ストラット式コイルスプリング
サスペンション形式(後):トーションビーム式コイルスプリング
ブレーキ形式(前):ベンチレーテッドディスク
ブレーキ形式(後):ドラム(リーディングトレーディング)
タイヤサイズ(前):165/55R15 75V
タイヤサイズ(後):165/55R15 75V
最小回転半径:4.7m

駆動系
駆動方式:FF
トランスミッション:CVT(無段変速車)

変速比
CVT:3.327~0.628
後退:2.230
最終減速比:4.800

少し惜しいプレミアム軽自動車

この時期のダイハツでプレミアムなモデルと言えばコペンです。2ドアオープンスポーツというのは名ばかりでなく4気筒ターボエンジンを搭載しMTを搭載、足回りにはビルシュタイン製のショックアブソーバーを選択できBBSのアルミホイールもオプションで選択可能。前後のスタビライザーもソニカの物より太いのもが採用され、ボディは当然ながら専用設計と、まあ、軽自動車でプレミアムな路線、もしくは高い走行性能の車が欲しいなら大体の方はこちらを買うのではないでしょうか。
4人が乗れるスポーティな軽自動車としてならニーズがあるように思われるですが、実はここにも落とし穴がありました。ソニカと同時期にダイハツの際安価な車種として販売されていたエッセが、走り大好きのおじさんたちのハートを射止めてしまったのです。
元々エッセはソニカに搭載されるKFエンジンのNA版が搭載されており、パワーではソニカに劣るものの、NAのエンジンは高回転(なんと8,400rpmまで廻る)まで一気に吹けあがるエンジン特性も相まって、ドライバーをかなりその気にさせてくれるものがあります。装備がソニカに比べて遥かに簡素になっているため非常に軽量で、ソニカの820kgに対してエッセは660kgと220kgも軽いのです。製造が同時期ということもあり最低限の安全基準(いわゆる新規格軽自動車)を満たしているためボディ剛性もそれ以前のミラなどより引き上げられており、しかもエッセには5速MTモデルが選択できます。
実際に乗って頂くとわかるわかっていただけると思うのですが、エッセは運転していてメチャクチャ楽しい。車の走りに拘る、特に爽快さを求めるなら装備が多く重たいソニカより何も付いてないエッセです。
そんな車が同時期に60万円台で新車で購入できたのですから、ソニカはなんとも中途半端な立ち位置の車となってしまっていたように思います。

ダイハツ製軽自動車はパーツの転用が用意

ダイハツの軽自動車は販売時期が近ければ多くのパーツが流用できます。特にエッセを弄る場合においてはソニカのパーツの多くをエッセにそのままボルトオンで装着できたため、エッセを安く購入し、ソニカのパーツをヤフオクなどで仕入れてエッセをアップグレードしていくというマニアックな楽しみ方をしている方がおられました。特にエッセのリアシートはヘッドレストもなくペラペラなので、そこをソニカのものに交換するだけでエッセは一気にグレードアップできてしまいます。全席のシートに関してもソニカとエッセでは大きな差があります。

できれば欲しかったMTモデル

ソニカの搭載するKFーDETエンジンはMTと組み合わされているモデルはないので、せっかく走りが自慢の車なんだからソニカにもMTモデルを用意してほしかったというのが本音です。近年の新型アルトワークスの盛り上がりを見ればわかるように、元気な軽自動車のマニュアルモデルを熱望しているおじさんたちは結構います。ソニカの開発コンセプトからは確かにMTはいらないのかもしれませんが、軽自動車に走りを求める人は大体MTが欲しいのではないかと思うのです。
実際エッセにソニカのエンジンを換装する猛者や、エッセに搭載するポン付けターボキットを販売しているチューニング屋さんも存在しますし、意外とエッセターボは中古車市場に出てきます。
それだけ軽ターボとMTの組み合わせにはニーズがあったんだと思うのです。できればグレード展開の1つとして、装備を若干簡素化する代わりにMTを搭載したソニカを用意して欲しかったと思います。

ソニカの美点は操る楽しさではない

セルシオを目標にシートが製作されたことからもわかるとおり、ソニカが目指したのはスポーツカーの走行性能ではなく高級車のそれです。したがって先に挙げ得たエッセのような車に比較して重い車体は車の安定感・重厚な走りをもたらすと言えます。シートに代表される様々な装備はそのままゆったり車内でのドライブを楽しむことを可能にします。ターボ付きのエンジンはシャカリキにぶん回すのではなく、日常回転域から余裕を持った走りを実現させるために仕様するのが正解です。そうなると当然マニュアルトランスミッションではなく余裕を持った走りを実現させるため、操作が少ないCVTを採用することとなります。
クラスこそ軽自動車ですがソニカのコンセプトはラグジュアリーカーのそれで、考え方自体は決して間違っていないように思います。
もし間違いがあったとするならば、そういったラグジュアリーカーの車造りの手法をそのまま軽自動車に転用してしまった点でしょう。ただでさえ車重が軽く排気量い規制がある軽自動車に、余裕の走りを求める人は少ないでしょう。そこを求める人は大体普通車以上を求めます。
軽自動車は軽さにせよコストパフォーマンスにせよ、その突き抜けた所に美点があるのですから、普通車以上の車に求められる美点を取り入れても中途半端にならざるを得ないように思います。

中古車の購入について

さて、新車販売自体は振るわなかったソニカですが、2016年4月現在の中古車市場では割安で質の高い軽自動車として人気があるようで、価格もそれなりです。支払総額30万円以下となると走行距離が10万キロに迫るものがほとんどとなってしまいます。5万キロ以下の車両を狙うとなると50万円では選択肢が狭く、できれば70万円程は用意しておきたい所ではないでしょうか。
グレード展開自体は少なかったため、どの車両を購入しても基本的な装備はほとんど変わりません。しいて言えばカーナビやETCにドラレコなど後付け装備の有無やタイヤのコンディション、定期メンテナンスの状況を欲確認した上で、予算に見合った車両を検討するのが正解でしょう。

中古車をお探しの方はこちら

車としての基本性能がしっかりしている地味な名車

ソニカ最大の敗因はユーザー目線を勘違いしてしまったことだと思うのです。確かにラグジュアリーカー・プレミアムカーといった車造りの手法を考えた時に、ソニカの車造りは間違っていないかもしれませんが、軽自動車のユーザーを考えた時に、そんなニーズはあるのかなという話です。よく似た状況の車に近年ではアルトターボRSがあります。軽ターボプラスATの組み合わせですがこちらの場合はアルトというネームバリューがあるため軽のスポーツカーを熱望していたおじさんたちのハートを見事に射止めています。さらにコアなスポーツカー好きのおじさんたちはアルトワークスがでると読んでおり、実際アルトワークスは余に出ることとなり、多くのおじさんたちを今でも虜にしています。
ソニカだってアルトのようになれたかもしれません、実際KF-DET搭載の軽量スポーツモデルをMTで乗ってみたいという方は、一定数おられるように思います。
普通車並みの質感を持った軽自動車と言えばスバルのヴィヴィオが思い起こされますが、ヴィヴィオもスーパーチャージャー付きエンジンをMTで操る楽しさが売りの1つだったように思います。逆にゆったりとした運転を楽しみたい場合には、タントなどの重量級ハイトワゴン系軽自動車がありますし、こういった車は高級感こそないですが日常で運転していると室内は広いし見晴らしは良いしで楽ちんです。
と、どうしても否定的になりがちなソニカですが、軽自動車としての基本性能の高さはやはり一級品です。例えば同じ時期の安価な軽自動車であるエッセと比較すると、車を操る楽しさでは上記の記事でも紹介したようにエッセに軍配があがります。ですが、車内の防音性能やインテリアの・エクステリアの質感といった点から乗り心地に至るまで、車に求められる基本性能は全てソニカがエッセを大きく上回っています。車好きのおじさんよりも、普段から買い物などで車を運転する機会の多いお母さんにこそ、こういった基本的に質感の高い軽自動車がおすすめできるように思います。
という訳で、マニアックな車好きには物足りないが、日常の足としては非常に完成度の高い良質な軽自動車でした。今後どの軽自動車もソニカのように基本性能が引き上げられていくのを期待します。