【ホンダ リコール】タカタのエアバッグ問題ってなに?そもそもリコールとは?

ホンダは近年リコールが続いています。特にタカタ生産エアバッグのインフレ―ター不具合は、ニュースでも皆さんご存じのところですね。世界で1,600万台の対象車があると言われていて、主な顧客であるホンダを巻き込み業績不振にまで及ぶ危険な状態となっています。世界のリコール事情を踏まえながら、エアバッグの仕組み、タカタのエアバッグリコール、ホンダの問題点など、今後の見通しをみていきましょう。

ホンダ・ライフのエアバッグ展開せず!

2016年4月7日、ホンダはライフ、アクティーのリコールの届け出を国土交通省に行いました。2車種で14万台余りになる対象車が存在するそうです。届け出内容によると、SRSエアバッグ・インフレ―ターに、事故の際衝撃が検知されても、ガス発生剤に点火する火薬が適切に燃焼せず、ガスの発生が不十分で、エアバッグが正常に展開しない可能性があるとのことです。このインフレ―ターはタカタの製品ではなく、タカタのエアバッグ不良とは真逆の「エアバッグが開かない」現象だそうです。
ニュースによると、富山県でホンダ・ライフが事故を起こしたのですが、エアバッグが正常に開かず運転していた人が左腕を骨折したとのことです。運転手が怪我をしたことがエアバッグが開かなかったことによるのか否かは判然としていないとの立場をホンダは取っているようですが、これは困った問題です。事故を起こした責任と装置の不備による怪我の増大などについては、ユーザー側から証明することは極めて難しいからです。また、メーカー側からの保証などの責任回避も起こってしまいます。
今後の運転支援装置の不具合などで事故が起きたとき、責任の所在を証明することはユーザー側からはほとんど不可能と言える状態です。AI(人工知能)による自動運転が推進される中で、今後、大きな議論を呼ぶかもしれません。その意味でも、現在のリコールの問題をカーユーザーもじっくり見ていかなければならないでしょう。

リコール制度って何?

リコール制度とは、設計・製造過程に問題があったために、自動車メーカーが自らの判断により、国土交通大臣に事前に届出を行った上で回収・修理を行い、事故・トラブルを未然に防止する制度です。

出典:www.mlit.go.jp

つまり、「自動車メーカーは事故やクレームの内容を見て、危ないと気が付いたら届出て、修理・回収しなさい」とする制度です。ですから「企業モラルの高さ」が必要で、これまでのところ「逃れようとする姿勢」の企業が目立っているのが現実でした。
リコール制度は、自動車の品質を守り、問題があった場合には直ちに対応し、事故を防ぐ目的がその基本の趣旨になっています。そのためにはメーカー各社の部品を含めた品質保証が条件となるため、各社の品質管理技術が問題となってきます。それは、人事や組織の作り方、組織運営技術に及び、企業の実力そのものと言えるでしょう。

リコールは増え続けている!

参考資料:国土交通省 自動車局審査・リコール課

年々、リコールの対象車両台数は増え続ける傾向にあり、リコール対象率は2014年度現在で12%近くに達しています。リコールが増え続ける現実は、ユーザー側にとっても無視できないほどになっています。

参考資料:国土交通省 自動車局審査・リコール課

日米の届け出基準が異なるので、必ずしも、そのままの数字を比較はできないのですが、届け出基準の差を見ると米国のほうが広い様にとれるので、国民感情の違い、三菱自動車の欠陥隠しなど、影響しているものと見られます。
でも、製造から5年経過すると「リコール対象」となる確率が42.7%とは驚きですよね! ほとんどの人が、一生涯の自動車保有の経歴の中では欠陥車に出くわしていることになります。

リコール件数、増えている原因は3つ

前述の通り、日本社会ではリコールが増える傾向にあります。その原因として考えられる3つの点をみていきましょう。

1.三菱自動車工業、欠陥隠しからの社会の変化

1つめは、自動車メーカー全体が、リコール制度を積極的に利用するようになってきたからです。2004年、三菱自動車工業(三菱自工)リコール隠しの問題が起こった時、隠ぺいすると逆に危険があることを学んだので、リコールを誠実に届け出るようになったと言われています。

三菱のリコールを覚えている人もいるでしょう。2002年1月、横浜市でのタイヤ脱落によって、ベビーカーを押し歩道を歩いていた母親がタイヤの直撃を受けて死亡、子供2人が怪我を負った悲惨な事故がありました。その事故を調べるうちに、1992年から51件の同様の事件が発生していたことが判明しました。三菱自工、三菱ふそうは「使用者側の責任」としてきましたが、リコールに相当する事案を組織的に隠ぺいしてきたことが明るみに出たのです。
それ以前、2000年6月には三菱自工の乗用車部門が、ランサー、ギャラン、パジェロなど主力製品で幅広く23年にわたり、リコール相当事案を組織的に隠ぺいしていたことも、内部告発によって発覚していました。これらは刑事事件化して、当時の責任者が起訴され有罪となりました。
それまで企業は、リコール制度はあるものの、PL法の未整備など日本の状況ではユーザー側からの告発が極めて難しいことを見越して、企業犯罪を起こしていたことになります。

三菱自工がこの事件でユーザーの信頼を失い、「財閥系企業でなければ倒産していた」と言われるほど、企業としては打撃を受けたことから、各社の「欠陥車隠し」が収まってきたと言われています。
また、三菱自工のタイヤ脱落事故は、経済小説で有名な池井戸潤さんが書いた「空飛ぶタイヤ」の下地となっています。それだけ社会に影響を与えた大問題だったことを物語っています。直木賞を受賞した「下町ロケット」は記憶に新しいですね。

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2.部品の共通化

トヨタのTNGA、マツダのスカイアクティブ・テクノロジーの企業戦略による部品の共用化が増え、一つの部品の不具合が見つかると、多くの車種、台数がリコール対象となることが増えました。

自動車生産の各社が、ラインの稼働率の平準化を目指して部品の共通化を極力進めている中で、一つの部品が問題を起こすと多くの台数に及ぶこととなります。この流れはますます加速することがあっても後退することは技術的に考えにくいことになります。この流れに沿って対応するには、製造業として不良率を一ケタ下げる必要があり、品質管理の手法の進歩が必要となってきています。
しかし、将来AI化が進む中、次に挙げる「3.電子制御の増加」のために、ソフトウエアのバグをなくすのは、むしろ難しい情勢になってくるのではないかと危惧されます。

3.電子制御の増加

車のミッション・エンジン・ブレーキなど各システムの電子コントロール化が進み、ソフトウエアの量そのものが爆発的に増え、それに伴いバグの実数が多くなっていることが考えられます。20年以上前からこの傾向が出てきて、輸入車を含めて多くのソフトウエアのバグが原因とみられる不良が起きていたのですが、メーカー側が、それと知っていながら揉みつぶしてきた実態があります。
中には「エンジンの突然の吹き上がり」などが確認されており、最近、話題になる「アクセルとブレーキの踏み間違い事故」の中には、いくつかの制御プログラムのミスが原因となっているケースが含まれていると考える必要があるのが実態です。

電子制御の中での不良は、半導体のハード面とソフト面があるのですが、ソフトの不良が圧倒的に多いと考えられます。この実態は現在でも捉えられていないものと考えられ、今後社会問題化する恐れも見えます。

技術的な進歩と不良は常について回る問題で、これを乗り越えるには「品質管理」「信頼性工学」の世界です。これを社会全体で取り組む必要性が感じられます。

バグとは、コンピュータプログラムに含まれる誤りや不具合のこと。
人間が作成する以上、よほど小規模のものでない限り、バグのまったくないプログラムを作成するのは不可能である。このため、ソフトウェアの開発過程ではバグを取り除く作業(「デバッグ」と呼ばれる)が非常に重要となる。デバッグ作業は、バグの発見や修正を支援する「デバッガ」と呼ばれるソフトウェアを使用して行われるのが普通である。ソフトウェアの開発者はバグが見つかったらそれを修正し、新たな版として再配布したり、修復プログラムを配布することが多い。

出典:e-words.jp

電子制御の中での不良は、半導体のハード面とソフト面があるのですが、ソフトの不良が圧倒的に多いと考えられます。この実態は現在でもすべてを捉えられていないものと考えられ、今後社会問題化する恐れも見えます。
技術的な進歩と不良は、常について回る問題で、これを乗り越えるには「品質管理」「信頼性工学」の領域となってきます。しかし、これほど一般に普及するとなると、社会全体で取り組む必要性が感じられます。

不良を起こす企業体質とは?

前述の通り、リコール問題は企業の「品質管理」が直接の問題です。それは企業組織の運用の内容であり、人間でいえば「性格」の差で決まってくる情勢があります。ホンダのリコール問題を考える時、ホンダがどのような「性格」の会社であるのか、つまり「企業体質」を理解しておくことが、ホンダという会社、ホンダの車を理解することであろうと思います。それには、リコール問題を考えることは、大変良い機会であると考えます。
次に、各社のリコールについて、少しだけみてみましょう。

三菱自動車工業のリコールを考えてみる

三菱自動車は、この2016年4月燃費性能の数字を虚偽記載していたことを認めました。これは日産自動車がOEM供給を受けていた車両を検査しなおして発覚したようです。詳しい経緯、範囲はまだわかりませんが、「またですか!!」との感想が正直なところです。このように「捕まらなければよい」として違反を繰り返すことは、企業体質、つまり「企業の性格」になっており、根絶が難しいものと感じます。
三菱自工は三菱重工から分離独立した会社で、財閥系企業でもあり、政・官会ともつながりの太い企業体質を持っています。自動車産業に参入初期のころは重工業体質が色濃く出て、「コルト」などの製品は苦戦していました。その体質を払拭すべく分離独立させて、「ギャラン」などで若さを前面に出し再生してきたのです。しかし、欠陥車隠しなどの「隠ぺい体質」「官僚体質」と言われてしまうような「企業の性格」ともいうべき「企業体質」は改善できなかったようです。

本田技研工業のリコールを考えてみる

ホンダは、「フィット」でこれまでに5回のリコールを繰り返してきました。「フィット」のリコール5回のうち3回は制御プログラム関係となっており「ヴェゼルハイブリッド」など多くの車種が同じシステムを搭載しているので、それに関係した不具合があるようです。
この不具合は、ハイブリッドシステムを根本から変えたことによる「初期故障」の様相で、トヨタのハイブリッドシステムに後れを取ったことに対する焦りがあるのかもしれません。
ホンダのハイブリッド方式は、トヨタのプリウスとは根本的に違っていて、エンジンは常に起動していて必要に応じてモーターがサポートする仕組みでした。当初、エンジンのフライホイール(バランサー)のある位置にモーターを組み込んで必要な時に駆動する、とてもシンプルで小型軽量な、ホンダらしいシステムでした。プリウスのように複雑な制御などは狙わず、創業者の本田宗一郎氏も好むであろう「シンプルでメカニカル」な仕組みでした。しかし、燃費向上を突き詰めていくと、エンジンとモーターの効率のよう部分を繊細に使い分ける必要が生じてきて、現在のオデッセイ・ハイブリッドなどに採用されている3ドライブモードを選べる複雑なシステムが必要になってきたのです。
その開発時期に起きた「初期故障」の様相で、電子制御技術の取り込みの遅れが生んだリコールとも言える内容と思われます。
ホンダのリコールは4輪に限らず、2輪バイクにも多くあり、どれかに原因が集中していることはないようです。人気のあるモンキーでは、2009年6月3日届け出をしていて、ブレーキケーブルの切断の恐れがある不良をリコールしています。その後は、モンキーについてはありません。
4輪のタカタのエアバッグ以外では、全般的な品質管理の問題でこれといって特長は見当たりません。

創業者、宗一郎氏亡き後のホンダが、AIの基本技術をボッシュから買い取る契約をするなど、SONYの犯した誤りの方向に動いていることが、品質の確保にも影響を与え始めていると感じます。F1に参戦するも、なかなか成績が出ない理由を聞いていても、かつてのホンダではない企業体質を感じます。やはり「ファンド体質」のように経営陣が「投資家」になってしまっているのでしょうか? 宗一郎氏の時のような「がむしゃらに車をつくる楽しさ」がホンダに感じられなくなっている様な気がします。

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トヨタのリコールを考えてみる

このところ、トヨタが大量のリコールを出しているのは、リコール隠しに陥らずに、問題は積極的に開示して、逆にユーザーの安心感を得ようとしているとも考えられます。その証拠に、トヨタは「技術的必要性からのリコールだけでなく、ユーザーの不安感を取り除くためのリコールを実施の動機に加えるべき」と言っています。「隠ぺい体質は逆に破たんを招く」と自覚しての行動ですが、それには、やはり技術的優位、営業的優位にいることが必要なのでしょう。
フォルクスワーゲンの不正、そして三菱自動車がまた不正をしているのも、このトヨタに技術的、営業的に追いつけないことへの焦りが背景にあるものと感じます。
トヨタのリコールの場合、車種も原因も様々で、リコール制度についてのこれまでの業界の常識である隠ぺい体質から方針転換したものと考えられます。それはやはり、ユーザーにとっては信頼感を増すものとなります。
その結果として、統計を見るとトヨタがリコール台数が多いのですが、TNGAの構想の中には当然に不良率の低減がうたわれています。例えば、1/100万の不良率に抑え込む必要があると言われるエアバッグの品質ですが、これは航空機産業に等しい不良率なので、難しいことではありますが、コストを抑えながら達成する技術開発に挑んでいるのでしょう。
これから運転支援システム・自動運転と進む中で、「ソフトウエアのバグ」について多くの問題を解決しなければなりません。トヨタの製造技術・生産技術・管理技術・組織運用技術など高度なノウハウを蓄積していることから、さらなる発展、展開を期待したいと思います。

自動車の品質管理技術とは?

ホンダの社運がかかったタカタのエアバッグ問題を取り上げるには、品質管理を知っておいた方がよいでしょう。ここでは簡単に、「品質」の項目だけを取り上げておきます。
タカタのエアバッグの問題の中で、少しずつ技術的な関連性を説明していきましょう。

1.設計

各要素をバラバラに考えるのは間違いですが、設計に間違いがないことが重要であることは、誰でも分かることでしょう。タカタの問題では、「硝酸アンモニウム」を使ったことの是非が問われていますが、これは設計段階での前提であり、製造技術、生産技術との連携で決まるものです。

2.材料

設計が良くても材料が安定していないと、当然ながら品質を保つことができなくなります。材料の品質安定をどのように確保するのかもメーカーの責任です。

3.加工

加工による不良は、直接品質の問題につながります。しかも、今回のタカタのエアバッグについては10年~15年と言う経年変化と、温度、湿度など環境の持続的変化に対応する品質ですので、テストも十分にできていなかった状況が考えられます。

4.メンテナンス

車のような機械ものは、整備なくして正常に動けません。最近のディーラーの現場では、「売上至上主義」が整備にまで入り込み、必要のない整備をユーザーの無知に付け込んで強要している一方で、本当に必要な整備を提案しないなどの、「モラルの低下」とも言える事例が目立つようになっています。
これは危険を伴うことで、リコール問題と共にモラルの維持をどのようにするのかも大きな課題なのです。

5.安全意識

車が身近な存在になってくる中で、国民誰もが運転免許を持てて、日常的に使うのが当たり前となってきた車ですが、その一方で、事故の可能性を常に持った危険な存在でもあります。
ユーザーは「リコール」と聞くと、大変不安がったり、デマに等しい情報を信じてうわさに左右される傾向が強くなってきています。そのため、技術的な必要性以上にリコールをかけて改修することで、安心を得るべきであるとの考えが強くなってきました。
デマはネット社会の特徴でもあるのですが、ドライバーの安全を考えると、真実を伝えるため構造技術的な講義を、免許更新時に受けるべきではないかと思わせます。

ホンダ、エアバッグ以外の主なリコールについて

所有する車両がリコールに該当するのかなど詳細は、ホンダ公式サイトに行って、車体番号で検索できます。車検証を見て検索してみてください。

ホンダ公式サイトへ。

フリードのリコール(平成23年2月17日届け出)

不具合の部位(部品名):原動機(ロストモーションスプリング)
基準不適合状態にあると認める構造、装置又は性能の状況及びその原因:
可変バルブタイミング機構に用いているロストモーションスプリングのリテーナーとロッカーアームのスリッパー部との面圧設定が不適切なため、エンジン始動直後のアイドリング時に潤滑が十分に行われずリテーナーの摺動抵抗が高くなることがあります。そのため、当該スプリングが横方向に動き、スプリングホルダーと干渉を繰り返して疲労限度を超えると折損して異音が発生し、最悪の場合、折損したスプリングがカムシャフトに噛み込み、エンジンが停止して再始動できなくなるおそれがあります。
改善措置の内容:ロストモーションスプリングとリテーナーを対策品に交換します。

出典:www.honda.co.jp

ライフのリコール(平成22年9月9日届け出)

不具合の部位(部品名):制動装置(踏込み式駐車ブレーキ)
基準不適合状態にあると認める構造、装置又は性能の状況及びその原因:
踏込み式駐車ブレーキの構成部品であるラチェットポールとブラケットとの隙間設定が不適切なため、樹脂成型されたラチェットポールに塗布したグリースで樹脂が膨潤し、炎天下の駐車時に更に膨張するとラチェットポール端部とブラケットが干渉して摺動抵抗が増加するものがあります。そのため、駐車ブレーキペダルを踏んでもラチェットポールの動きが渋り、駐車ブレーキが保持出来なくなるおそれがあります。
改善措置の内容:対策品のラチェットポールを組付けた駐車ブレーキペダル一式と交換します。

出典:www.honda.co.jp

ヴェゼルのリコール(平成27年9月3日届出)

不具合の部位(部品名):原動機(点火コイル)
基準不適合状態にあると認める構造、装置又は性能の状況及びその原因:
1)点火コイル内部の電気ノイズを除去する雑防抵抗の構造が不適切なため、点火時の通電によるアーク放電により、当該抵抗端末部が断線するものがあります。そのため、そのまま使用を続けると、プラグシールが劣化して放電し、点火コイルの出力が不足してエンジン不調となり、エンジン警告灯が点灯し、最悪の場合、エンジンが停止するおそれがあります。
2)点火コイル内部の電気ノイズを除去する雑防抵抗の構造が不適切なため、一定車速での走行時に大きなアクセルペダル操作を繰り返すと、点火時の通電によるアーク放電により、当該抵抗端末部が断線するものがあります。そのため、点火コイルの出力が不足してエンジン不調となり、エンジン警告灯が点灯するおそれがあります。また、点火時に発生するノイズによりエンジン制御コンピューターが正しく制御できず、エンジンが停止するおそれがあります。
改善措置の内容:
1)点火コイルを対策品と交換するとともに、点火プラグを新品と交換します。
2)点火コイルを対策品と交換します。

出典:www.honda.co.jp

ゼストのリコール(平成24年6月28日届出)

不具合の部位(部品名):乗降口(テールゲート)
基準不適合状態にあると認める構造、装置又は性能の状況及びその原因:
車いすに乗ったまま乗降できる福祉車両において、テールゲ-トヒンジ取付け部の強度が不足しているため、テールゲート開閉操作を繰返すとヒンジ取付け部が変形するものがあります。そのため、そのままの状態で使用を続けると、テールゲートに亀裂が生じ、テールゲートが閉まらなくなるおそれがあります。
改善措置の内容:
テールゲートヒンジ取付け部の状態を点検し、テールゲートに亀裂がないものはテールゲートヒンジを対策品と交換します。亀裂があるものはテールゲートを対策品と交換します。

出典:www.honda.co.jp

タカタ・エアバッグのリコールについて

ステップワゴンのリコール(平成27年7月9日届出)

不具合の部位(部品名):エアバッグ装置(インフレーター)
基準不適合状態にあると認める構造、装置又は性能の状況及びその原因:
特定タイプの運転者席側SRSエアバッグのインフレーター(膨張装置)において、市場回収品を調査した結果、ガス発生剤の密度にばらつきが大きいものを確認しました。このため、原因は判明していませんが、エアバッグ展開時に正常に展開しないおそれがあることから、予防的措置として当該インフレーターを新品に交換します。
改善措置の内容:予防的措置として、平成27年5月14日付け、届出番号「3567」に含め、運転者席側SRS用エアバッグインフレーターを年式の古いものから新品と順次交換、回収して原因調査を実施します。

出典:www.honda.co.jp

上記のように、ステップワゴンの場合は予防処置的なリコールとなっています。この様な場合を含めると、ホンダのほとんどの車種が、タカタ製エアバッグのリコール対象となっています。HPを見て、確認してみてください。

タカタ・エアバッグの不良はどんなもの?

簡単に言えば、タカタのエアバッグに限らずエアバッグは、衝突を感知してから0.02~0.04秒で開かなければ間に合わないので、火薬を使ってバッグ拡張ガスを発生させる仕組みなのです。それは「爆発」と言ってよい状況です。なので、問題になっている不良は、ガス発生剤に点火する火薬が異常爆発して、インフレ―ターと呼ばれる発生装置の容器が破壊されて破片が飛んだために、死亡事故まで起きています。

タカタ製エアバッグ、女子高生が死亡事故 米で10件目(2016年4月7日)
自動車部品大手タカタ製のエアバッグの不具合をめぐる問題で、米高速道路交通安全局(NHTSA)は6日、米国で10件目となる死亡事故を確認したと発表した。当局は「従来のリコール(回収・無償修理)の告知だけでは不十分だ」として、リコールの周知を徹底するよう求めた。

NHTSAと米南部テキサス州フォートベンド郡の保安官事務所によると、同州ヒューストン近郊で先月31日夕方、17歳の女子高校生が運転する2002年製のホンダシビックが、止まっていた車に追突。エアバッグから飛び出した破片が首に刺さり、女性は出血多量で現場で死亡した。

女性の車は2011年のリコールの対象となっていたが、修理は行われていなかったという。タカタのエアバッグに関連する死亡事故は、マレーシアの1件を含め世界で11例目。タカタは声明で「ご遺族にお悔やみ申し上げます。車の安全性向上のための全ての対応の支援を続けます」とコメントした。(ワシントン=五十嵐大介)

出典:www.asahi.com

この爆発のための火薬の材料が、長期間コントロールできていない可能性が高いと言われています。
タカタは硝酸アンモニウムを使用しているのですが、これは温度変化に伴って膨張、縮小する性質があり、それを抑える技術がタカタにはあったので、効率の良い材料として選ばれたのでした。硝酸アンモニウムに混ぜ物をしてペレット状にし、インフレーターの中に入れます。しかし、吸湿性も強いため湿気の多い地方で長期間使われていると、ペレットにひびが入り、火薬は空気に触れる面積が増えると瞬間に燃えるので、爆発力が強くなってしまうのです。
そのため、当初タカタは「多湿地域からリコールする」と言って、そのほかの地域では安全であると言い張ったのです。しかし、多湿地域ではないところで事故が起きたので、このタカタの姿勢が米国運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)の怒りを買ったようです。

また、原因特定が遅れているのは、これ以外の原因で異常爆発したと思われる事例もあって、断言できないのでしょう。その中には、加工工程での作業ミスも入っていると思われていて、タカタの製品全体に信用の棄損が広がっている情勢なのです。

タカタとホンダは、どのような関係なの?

タカタはサプライヤーです。では、サプライヤーとはどのような企業なのでしょうか? つまり部品供給会社です。部品供給会社でも2つの形態の会社が存在します。一つは、ボッシュやタカタのように、どのメーカーにも部品を供給する企業で、欧米ではほとんどがこの形態です。もう一つは、日本的な下請け企業、系列会社と呼ばれるメーカーの子会社です。親会社または、系列内の企業にのみに部品供給するのがほとんどです。
タカタは、グローバルに通用するサプライヤーと呼ばれる企業です。エアバッグ・インフレ―ターでは世界第2位のシェアをもっています。エアバッグが義務化され、取り付けが始まったとき、ホンダはタカタと組んで開発を急ぎました。燃焼効率の良い硝酸アンモニウムの技術を持つタカタと共に開発してきた経緯があります。

トヨタは日本式の【系列】の下請けを使い、独自の生産技術「トヨタ・かんばん方式」を編み出しました。現在、この考え方は世界の製造業、サービス業と問わず広がりをみせています。
郵政民営化を契機に郵便局でも多く取り入れられて、一時は普通葉書が5日もかかって配達されるなど、瀕死の状態であった郵政事業ですが、現在は信頼を勝ち得ています。現在、配達員はバイクの事故を最小にするために、毎朝全員で点検し、荷物の偏りのチェックするスラローム走行などを行ってから出かけていきます。この、トヨタを筆頭とした品質管理にかける日本企業の努力は、世界に日本製品の良さを認めさせています。
一方で、日産自動車は外資系となってグローバル発注が基本となり、世界のサプライヤーと取引することを進めてきました。
このように、自動車メーカーとひと口に言っても、生き方が全然違います。タカタとタッグを組んできたホンダですが、これからはどんな生き方を選んでいくのでしょう。

トヨタ生産方式(トヨタせいさんほうしき、Toyota Production System、略称TPS)は、トヨタ自動車の生み出した、工場における生産活動の運用方式の一つ。
現在では多くの企業がこれにならった方式を取り入れており、工場等の製造現場やそれに付随するスタッフ部門だけでなく、間接部門でも取り入れている企業も見られる。一方、設計・開発業務やホワイトカラー業務等、単純作業の組み合わせではなしえない業務に関しては、トヨタ流マネジメントという方式が提唱されている。

出典:ja.wikipedia.org

もし、創業者・本田宗一郎氏がいたら?

ホンダは「地産地消」の方針をとり、海外生産を8割にしてグローバル化を一気に進めてきました。その中では、為替変動などに左右されない営業成績を上げることができているのですが、一方で「日本の品質管理の精神」を失いつつあるようにも感じます。特に、AI(人工知能)自動運転の基本ソフト開発を自社で行わずボッシュから買う契約を結ぶなど、現時点のコスト比較で決断しています。

創業者、本田宗一郎氏は、排気ガス規制が始まった当初、毎日、朝早く現場に顔を出し、開発現場の床に自分のアイディアを書いて、それを技術者が実際に作って実験を繰り返す日々が続いたと言います。力学の計算も熱効率の計算もできなかった宗一郎です。しかし、GM・フォード・ベンツ・VW・トヨタ・日産など世界の巨大企業が誰もできなかったマスキー法をクリアしたエンジンを、副燃焼室を設けたCVCCエンジンで、しかも触媒を使わずにクリアして見せて、世界を驚かせました。その当時、宗一郎氏は「ケツ拭きになるな!」と「触媒を使った後処理方式」に頼らずクリアすることを叱咤激励しました。のちに触媒を使うことにはなるのですが、現在も続くエンジン本体のクリーン化は、宗一郎氏が示していた「元を断つ」ことを基本とすることに変わりはありません。

もしいま本田宗一郎氏がいたならば、AIの開発について、ボッシュなどから買わずに「自分の頭は自分で作れ」と、げきを飛ばすのではないでしょうか。この現在のホンダの経営陣の「グローバルスタンダードの経営判断」が、「日本的品質管理体制」を崩しているようにも感じます。

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エアバッグとは、どのような部品? タカタ製の特長は?

エアバッグは、それほど複雑な部品ではありません。衝撃を感知するGセンサー、ECU(制御システム)、インフレーター(拡張ガス発生装置)、エアバッグで構成されてます。原因の追究を難しくしているのは、火薬の成分と環境との関係など、化学反応と経年劣化との因果関係です。そこに生産工程でのミスや、想定外があり仕訳できないのです。

エアバッグの構造はこうなっている

出典:http://www.honda.co.jp/tech/auto/safety/airbag/detail-03/

出典:http://www.honda.co.jp/tech/auto/safety/airbag/detail-03/

実際のエアバッグの作動

[iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/47kk4j5wC4g" frameborder="0" allowfullscreen][/iframe]

エアバッグ展開実演(運転席、助手席)

タカタ・エアバッグの特長とは?

なぜ、タカタ製エアバッグだけが問題になるのでしょう?
最大の特長は「硝酸アンモニウム」をガス発生の起爆剤として使っていることです。硝酸アンモニウムは、火薬としては燃えにくいと言われていますが、ガス発生量が多く効率が良いので使いたい材料なのです。しかし硝酸アンモニウムには「転移」という特徴があります。それは温度が変化すると変化をきたすことです。密度が変化する温度が多数あり、膨張と縮小を繰り返す特性があるので抑えるのが難しいのです。

硝酸アンモニウムをペレットにしてインフレーターに入れるのですが、膨張、縮小を繰り返して、ペレットにひびが入ってしまうと、空気と触れる面積が大きくなります。すると通常、燃える面積が増える分、一度に燃え始めて、燃える速度も増し、爆発力が強くなります。火薬は徐々に燃えれば「線香花火」ですが、一瞬に燃やせば砲弾にもなります。
それを抑える技術開発に成功したのが、タカタであったわけです。「相安定化硝酸アンモニウム」と呼ばれる状態で商品化に成功したのです。

しかし、吸湿性があり多湿地域で長い期間使われていると、吸湿が「相安定化」に悪い作用をしてしまうので、ペレットにひびが入り、燃焼時間を短くして、爆発力を強めペレットの入ったインフレーターの容器を壊して、飛ばしてしまいケガ人を出したものと推察されたのです。

なぜ、問題が拡大したのか?

米国運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は、多湿地帯だけではない事例が発生しているにもかかわらず、リコールを全米に広げないのはおかしい」と考えたのですが、タカタは、「多湿地帯から対応する」として譲らなかったため問題が大きくなってとも言われています。

最も問題と考えられるのが、タカタが安全であるとした生産ロットからも異常爆発が起こる事例が発生し、それが1度ならず2度、3度と起きたことからタカタの信用は地に落ち、ホンダもついにタカタの見解を支持することをやめ、一転してタカタを非難してリコール対象を全米に拡大しています。

不良品が経営に及ぼす影響

たしかに、タカタの対応は遅くなり、市場の信頼は地に落ちてしまいました。しかし、三菱自動車のように悪意ある故意の結果ではなく、製造工程も含めた湿度管理と、長期にわたる使用については制限をするなどの概念が持てなかったことが、最大の問題点だと思われます。つまり、長期テストも十分には行えない事案でありながら、製品としてしまったことは、人間の「知恵足らず」と言えるのですが、後述のコメットの時のように、新しい技術的な概念を生み出すことが、人間には「事故の経験が出ない」と難しいことなのでしょう。

それでも「何人かの人間を死に追いやり」、顧客を失い、株価は暴落、企業存続の瀬戸際に立たされるのですから、企業活動とは恐ろしいものです。
でも、一つの製品を生み出すのにどのくらいの努力をするものなのか、以下にご紹介する書籍を読んでみてはいかがでしょうか。

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※ホンダのエアバッグ開発秘話がおもしろい。
その中で「エアバッグで子供を殺すな」とあります。

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まとめ、ここでホンダは何をすれば解決できるのか?

ホンダをはじめ各社のリコール内容は、特に際立った問題を感じさせるものではないようです。それは残念ながら、人間の文明の利器ではどうしても起こしてしまう間違いの範疇に思えます。そのなかで「タカタのエアバッグ問題」は、長期使用した時の品質に考えが及んでいたかったことです。実験も長期使用に耐えうるかどうかまで綿密には出来ず、現在の技術水準では前もって察知するのが困難な事例であったと感じます。特に怠慢でもなく、悪意はもちろんない内容です。

これはまれに起こることなのです。印象的な事例は、ジェット旅客機が登場した当時、世界で最初に就航したイギリスのコメットという旅客機のことです。就航してしばらくすると、なんと4機が空中分解してしまいました。空港で地上にいる時には1気圧の圧力が機体にかかっていますが、ジェット化で1万メートル近い高空を飛ぶようになり、気圧が下がった上空では風船のように膨らんでしまいます。そしてまた下りてくると1気圧で潰されるようにもとの状態に戻ります。それを幾度も繰り返したことにより、機体が「金属疲労」を起して破裂してしまったのです。その後、開発段階で胴体を水槽に付けて幾度も水圧をかけたり抜いたりの試験を繰り返すようになりました。それまでは誰も「金属疲労」の概念に気付かず、技術的に取り入れることができなかったのです。タカタが、エアバッグの材料である硝酸アンモニウムを長期使用したときの性質に考えが及んでいたなかったことと似ています。

今の飛行機は、数十年も耐えられるように作ってありますが、御巣鷹山に墜落した日航ジャンボ機は、尻もち事故の修理個所が十分に補修されていなかったために、この風船のように膨らんだ時、金属疲労の切り口から破裂して、尾翼と油圧を失い墜落しました。これは分かっていたにもかかわらず起した「人間のミス」ですが、コメットは「人知が届かなかった」事例です。

コメット連続墜落事故

コメット連続墜落事故(コメットれんぞくついらくじこ (de Havilland Comet disasters))は、1950年代中期、世界最初のジェット旅客機であるイギリスのデ・ハビランド社製「コメット」Mk.Iに連続して発生した、構造上の欠陥による航空事故(空中爆発)の総称である。
事故原因の調査過程で、最先端の航空機であったコメット機に内在した、当時の航空工学および金属工学の分野で未知の領域にあった重大な欠陥が解明された。
この事故を契機に、故障の拡大を食い止めるフェイルセーフ思想が発展普及し、その後の航空機の安全性を著しく向上させ、かつ航空事故の科学的検証手法の雛形が構築された。航空分野に限らず、技術欠陥の防止や事故検証のあり方において、多くの貴重な教訓を残した重要な歴史的事件とされる。

出典:ja.wikipedia.org

タカタのエアバッグは硝酸アンモニウムの安定化の「期限切れ」とも言える状態で、むしろ「人知が届かなかった」形です。都合の良い結論ではなく、タカタもホンダも故意でもなく悪意でもないけれども、安定化に期限があることを知ったわけなので、改めて対策として「配合原料を変えるか?」「期限を切って交換するか?」どちらかの方策、あるいは両方を対策するべきだと思います。

莫大な損害が出るので、企業が存続できるようにしながら新たな事故を防ぐには、思い切ったリコール体制を一度取って、その後企業の体力を見ながら緩和していく方策が、とるべき姿だろうと思われます。
ホンダ・タカタのエアバッグ問題で学べることは、技術には「人知を超える」出来事が時折襲うということです。でも東日本大震災の時の原発については、怠慢を言い逃れるために、この理論を言い訳に使わないでください。
創業者・本田宗一郎氏に誓って、ホンダ社員が奮起して再び世界のホンダを目指してほしいものです。