【三菱 トッポ】三菱激動の時代に誕生!知られざる斬新な製造方法とは?

2016年4月現在、軽トールワゴンは様々なタイプが販売されています。例えばスズキ「MRワゴン」「スペーシア」ダイハツ「ムーブ」「タント」等のようにあります。これらの車が注目されている中、実はひっそりと姿を消した三菱の車があるのです。それが「トッポ」です。他メーカーと比較しますと聞きなれない車。果たしてどのような車だったのか今回、詳しく解説していきます。

【三菱 トッポ】三菱の軽トールワゴンを支えた立役者!

三菱自動車に軽トールワゴンがない!その原因は…

2004年5月、三菱自動車で唯一生産していた軽トールワゴン「トッポBJ(写真の車になります)」の生産が終了しました。売れている車種であれば現行のスズキのワゴンR・ダイハツのタントのように「フルモデルチェンジ」または「新型車」を出せば良いのですが、三菱自動車は「フルモデルチェンジするぞ!」「思い切って新型を出すぞ!」と言う状態ではありませんでした。

読者の皆さんは2000年代前半に発生した事件を覚えているでしょうか? 2000年~2005年に発生した「リコール隠し」です。このリコール隠しにより2002年1月10日には「横浜母子3人死傷事故」2002年10月19日には「山口トラック運転手死亡事故」と言う悲惨な事故が発生したのです。リコール隠しの問題はそれだけに留まらず各所に波及していきました。例えば下記のように挙げられます。

・テレビ番組「関口宏の東京フレンドパークII」で一時的にパジェロがなくなる
・運輸業界で三菱の買い控えが進み、トラック・バス等の大型車を持つお客様はいすゞ・日野等に流れてしまった
・影響はディーラーにも波及。新車販売台数が激減し2001年に愛知県にある大江工場が閉鎖

等のように波及していき、三菱自動車内はてんやわんやの大騒動になっていました。そのため、三菱自動車はリコールの解決費用・損害賠償の費用を捻出するため新車を開発するどころではなかったのです。

しかし、軽トールワゴンとして販売していたトッポBJが出てきて数年経つと中には買い替えを考える方々が増えていきます。現にスズキ・ホンダが扱うトールワゴンが続々とマイナーチェンジを進めていたのです。そうなるとトッポBJから買い替えを検討する方々が増えてしまう! と経営陣・開発陣も感じてはいたことでしょう。

ですが三菱リコール問題が2005年まで長引いた影響もあってか、残念ながら三菱には軽トールワゴンの新型を開発する力もお金も無かったのです。

軽トールワゴン【トッポ】復活!トッポBJから約4年4ヵ月後に登場!

開発する力が無い・資金が無い。そんな無い無いづくしだった三菱ですが、嫌な予感は的中していました。ライバル車でもあるスズキ「ワゴンR」ホンダ「ライフ」が2008年にフルモデルチェンジすると発表したのです! フルモデルチェンジによってもしかしたらお客様が流れてしまう! そう考えた三菱自動車はなんとしてでも軽トールワゴンを2008年に合わせようとします。

そして2008年9月17日に販売を開始したのが写真の「トッポ」と言う車種です。トッポBJの生産終了から約4年4ヵ月。三菱自動車で空白であった軽トールワゴン分野を埋める、大切な1台となりました。

突然ですが読者の皆さんに問題です。感の良い方でしたらお気づきかと思いますが「開発する力」「資金」が無い三菱自動車がどうやって新型を開発したのかと言った疑問を感じますよね? だからと言ってOEMをしたわけでもありません。ではどうやって製造~販売までできたのでしょうか? その答えは次の項目で詳しく解説していきます。

三菱 トッポ 車情報紹介

全長:3,395mm
全幅:1,475mm
全高:1,680 - 1,700mm
ホイールベース:2,340mm
車両重量:(2WD)830kg、(4WD)940kg

エンジン:3G83型 直列3気筒SOHC
駆動方式:FF/4WD
変速機:3AT(S)、4AT(M・G・T)

【三菱 トッポ】徹底的なコストダウンに成功!知られざる製造秘話

トッポ コストダウンの秘訣は既存車種からの流用にあり!

さて、題名で既に先ほどのクイズの答えが出てしまいましたが、正解は既存車種からの流用により新型となる「トッポ」製造~販売したのです。

まず車の大部分となる「プラットフォーム」最初から開発するには開発力・資金共に足りない状況。そこで上の写真で紹介している「ek-SPORTS」からプラットフォームを流用しました。先ほど紹介したトッポの写真と比べてみましょう。ek-SPORTSのプラットフォームを流用しているだけあり、外見はよく似ていると言えます。特にフロントマスクはek-SPORTSそのもの! と思わせるほどよく似ています。

次にリヤ部分の外板(と言うよりも外装の殆どがトッポBJからの流用になります)にトッポの前に販売されていた軽トールワゴン「トッポBJ」から流用してきました。こちらも比べて見ると分かりますが「確かにトッポBJのものを使っているな…」と良く分かります。

フロントはek-SPORTS、他はトッポBJと言う今まで車を開発してここまで流用した車(ちなみに約60%が既存車種からの流用になります)はあるのか? と驚くほど徹底的な使いまわし…いえ! コストダウンを行い2008年9月17日に販売をスタートしたのです。

徹底的なコストカットで販売価格も安価!

ライバルのスズキ・ホンダに負けない軽トールワゴンを製造したものの、それらを破る勢いで販売していかなければいけません。しかしリコール問題が解決しても、やはり三菱の風当たりは厳しく既存車種がなかなか売れない状況そんな中にトッポを送り込んだら、他のメーカーを破るどころか全く売れないと言う悲惨な結末を迎える可能性がありました。

そこで三菱はトッポの販売価格を他メーカーの軽トールワゴンよりも安価に設定したのです。値段は下記のようになります。

Sグレード:93万4500円
Mグレード:105万円
Gグレード:119万7000円
Tグレード:132万3000円(Tグレードのみターボ搭載)

G Roadestグレード:133万8750円
T Roadestグレード:144万3750円(Tグレードのみターボ搭載)

続いてライバルメーカーのホンダ「ライフ」スズキ「ワゴンR」を見ていきましょう。

●ホンダ ライフ

Cグレード:100万円
Gグレード:111万円
DIVA:134万円
DIVAターボ:153万円

●スズキ ワゴンR

FXグレード:107万円
FX-Sリミテッド:126万円
FXリミテッド アイドリングストップ:130万円

いかがでしょうか? 通常グレードでも三菱トッポのほうが7~10万円近く安くなっていますね! そしてターボモデルを比較するとホンダのライフよりも約20万円安くなっています。このように風当たりが強い中、なんとしてでも軽トールワゴン市場の中で生き抜くためにトッポは他社よりも安価な価格帯で販売されることになりました。

トッポは本当に魅力的な車なの?

三菱自動車がリコール問題でピンチに陥った際に製造~販売を開始したトッポ。とは言え、人によっては「ただ単に既存車両を流用しただけの車」「いくら価格が安くても魅力が感じられない」と言った意見があると思います。しかし! トッポは今もなお色褪せない魅力が詰まった1台になっています。続いての項目では三菱トッポの魅力を皆さんに「これでもか!」と言う程お伝えしていきたいと思います。

三菱トッポのここがすごい!色褪せない魅力紹介

当時としては小物入れが充実していた

現在新車として販売されている軽自動車の多くは「小物入れ」が充実しています。ペットボトルホルダー・カード入れ・ゴミ箱…等々、利便性の高さも軽自動車の魅力の1つと言えるでしょう。トッポは当時として珍しく、多くの小物入れを持っていた軽自動車でした。いたるところに小物入れを用意しており、足元には小さなゴミ箱まで完備。いかにも日常生活で使用していて不便ではない作りです。この小物入れの多さはトッポの魅力の1つと言えるでしょう。

トッポには三菱お得意の電装品の数々が揃っています!

三菱の車として欠かせないのが「電装品」の数々です。例えば電動ミラー(サイドミラーを電動で調整・格納ができる)ヘッドライトの自動消灯、一部のSUVにはコンセントまで完備しているものまであります。一般的に考えますと、コストダウンをするならこう言った電装品を省く必要があります。サイドミラーは手動にする・ヘッドライトは手動で調整と言ったようにするでしょう。

しかし三菱のトッポではそのようなことをせずに、電装品を充実させたのです。もちろん電動ミラー・ヘッドライトの自動消灯も用意されています。当時では他メーカーの軽自動車の場合「オプション」として用意されているのが多く、ここはトッポの魅力、そして強みでもある部分です。

軽自動車のターボモデル入門におすすめ!

「今新車で販売されている軽自動車のターボモデルは高いな…」確かに現在新車で販売されている軽自動車のターボモデルは高額です。例えば人気車種「N-WGN」では134万円もします。他の軽トールワゴンのターボモデルも今では乗用車並みの値段。「本当に軽自動車?」と感じるほどターボ搭載モデルに限らず値段がアップしています。

一方、三菱のトッポは新車は販売されていないものの中古車市場に多く出回っています。ターボモデルの「Tグレード」は数が少ないですが、状態が良く安価な価格帯で用意されているのが魅力的です。ちなみに2016年4月21日「価格.com」で調べてみますと車両本体価格「30万円~60万円」と大変手頃な価格帯が揃っています。

もちろん手頃な価格のターボ搭載車両と言うだけではなく、ランサーエボリューションを販売していた起業だけあり、軽自動車の足回りは他メーカーよりもしっかりしています。軽自動車には珍しい低重心に硬めの足回りと言う構成で、横へのふらつきを抑え気持ちの良い走行を楽しむことができます。

このように入門用、または現在販売されているターボに満足できない方々にはおすすめできる車両になっているのです。

ここがいただけない!三菱 トッポが抱える欠点

スライドドアを標準・オプションでも取り扱っていない

小さいお子さんをお持ちの読者の皆さんにとって「スライドドア」の恩恵は計り知れないものかと思います。子供は大人のように気を使いつつドアを開けず、殆どの場合は勢いで開けてしまいます。もし隣に車が無ければ良いですが、ありましたらドアをおもいっきりぶつけてしまうことも…。そこで子育て中の家族に人気を博したのが「スライドドア」でした。

このスライドドア人気の波はミニバンだけではなく軽自動車にも訪れ、有名どころですとダイハツ「タント」が挙げられます。ところが三菱トッポには残念ながらスライドドアを標準、そしてオプションにも組み込むことが無かったのです。したがって子育て世代の方々にとってはタントが魅力的な車となり、トッポにはそこまで注目が集まりませんでした。

目新しさを感じさせないデザイン

三菱の軽自動車を乗り継いできた方にとって、一番の欠点になったのが「目新しさを感じさせないデザイン」と言うところです。自分が愛している車メーカーの新型が出る・これまで乗ってきた車の新型が出ると思えば多くの方が「どんなデザイン?」「どんなシステムを搭載しているの?」と言う高揚感に包まれることでしょう。

しかし蓋を開けてみるとek-SPORTSのフロントマスクに、トッポBJを大量に流用した外装。同じく内装も流用されていますのでこれと言った特徴が無い。これでは今まで乗り継いできた方からすると残念なポイントになります。それにライバル車であるワゴンR・ライフの方が降るマイナーチェンジで一新しています。

そのため多くの三菱の軽自動車を乗り継いできた方々を逃がす結果を招いたのは言うまでもありません。

2013年9月 トッポ遂に終演を迎える…

トッポの欠点は先ほど紹介した以外にも「内装がチープ」「リアシートがスライドしない」「ライバル車よりも燃費が悪い」等、挙げるとキリがない程抱えていました。とは言え2008年からは三菱の軽トールワゴンを支えてきた立役者。三菱自動車全体で「もっとトッポを販売しよう!」と販売促進活動(特に多かったのはチラシ・手紙を用いた大幅な値引攻勢)を徹底していました。

しかし価格は安くても残念ながら、他メーカーの軽トールワゴンの牙城を崩すことはできず販売台数も下から数えた方が早いぐらいでした。そして2013年9月27日、遂にトッポは販売終了となり幕を閉じることになりました。後継車はekスペースです。

最後に

いかがでしたか? 三菱自動車がリコール問題で瀕死の状態の中、誕生したトッポ。流用約60%と言う斬新な方法で誕生したトッポは残念ながら成果を残すことはできませんでしたが、その意思を継いだ後継車の「ekスペース」は数多くの方々に愛される軽トールワゴンとなっています。

他メーカーの軽トールワゴンの印象が非常に強いですが、三菱にもトッポと言う軽トールワゴンがあったことを覚えていただけると幸いです。