【キャデラック DTS】フラグシップモデルを務めたトラディショナルプレミアムセダン!

当時キャデラックの最上級車として展開されていたDTS。その実力は有名スポーツ選手やセレブから大統領までこぞってDTSを愛車とするほど。DTSはそれほどの名車だったのか? その魅力とは何だったのか? 今回はDTSを振り返ってみたいと思います。

キャデラック DTSとは

キャデラックのフラグシップモデルとして堂々たる存在を示したDTS

DTSはキャデラックが製造・販売していたフルサイズ高級セダンです。ゼネラルモーターズの高級ブランドであるキャデラックのフラグシップを務めるモデルということで、事実上ゼネラルモーターズ系列のトップに君臨していたクルマです。2005年2月に行われたシカゴモーターショーにて初めて市販モデルが世間にお披露目されたDTSは、それまでキャデラックのフラグシップモデルだったフルサイズセダン、ドゥビルの後継車として登場しました。こうして2005年から2011年まで販売が続けられたDTSは、アメリカでのトータルセールスで20万台近くもの売り上げを記録しました。その後、2012年よりこのポジションを引き継ぐのがXTSとなり、今年2016年からはCT6も販売が開始となります。DTSはキャデラックのセダンとしては少し変わったFFレイアウトが採用されています。というのも、キャデラックの代表セダンであるCTSやATSはいずれも車両重量とパフォーマンスを重視してFRレイアウトが採用されているのです。それにも関わらず、なぜフラグシップモデルともあろうDTSはFFなのか。それは一重にキャデラックのフラグシップモデルの”流れ”を素直に受け継いだモデルだからと言えるでしょう。DTSの先代ドゥビルは伝統的なキャデラックのフラグシップモデルであり、1949年から歴史が続いていたクルマでした。FRのレイアウトが採用されていた時期もありましたが、1985年モデルから2005年モデルまでは一貫してFFレイアウトが採用されるという”流れ”があり、DTSもまたそれを真面目に受け継いだ形となったわけです。ちなみに、このキャデラックの近代伝統にもなりつつあるフラグシップモデルのFFレイアウトはDTSの後継車であるXTSにもしっかり採用されています。

DTS グレードラインナップ

ベース+パフォーマンス、ラグジュアリー、プラチナムで構成されたグレード

DTSのグレードラインナップは標準モデルの「スタンダード」を基盤として、そこから「パフォーマンス」モデル、「ラグジュアリー」モデル、「プラチナム」モデルと展開されました。価格はアメリカで$45,000(500万円ほど)から。日本でのDTS新車価格は850万円ほどからでした。標準モデルと「ラグジュアリー」モデルはエンジンの性格をおとなしめな方向に振った、スムーズで力強い加速を実現しています。一方でパフォーマンスモデルは使用エンジンは同じですが、チューニングを施すことによって最高出力を引き上げています。そのため、「スタンダード」と「ラグジュアリー」では279psだった最高出力は「パフォーマンス」では296psになっています。トルクに関しては「スタンダード」と「ラグジュアリー」のほうが僅差ではありますが優れています。最上級グレードの「プラチナム」は「スタンダード」仕様のエンジンか「パフォーマンス」仕様のエンジンか、ユーザーのニーズに応じて選択可能となっています。

リムジン仕様のDTSも!

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E7%B5%B1%E9%A0%98%E5%B0%82%E7%94%A8%E8%BB%8A_%28%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD%29

2005年、世界に初めて公開されたDTSはプレジデンシャルステイトカー、つまり大統領専用車両としてリムジン仕様となっていました。DTSリムジンは全長8.5mで後部座席には8人の乗車が可能。内装装備にはアイスクーラー、シャンパンクーラー、プレミアムサウンドシステム、電動パーティション、エンターテイメントモニターなど贅沢な機能が一通り揃っています。

エクステリアやインテリアは?

クラッシックラグジュアリーを体現したエクステリア

DTSの外観は高級感はもちろんありますが、どこかモダンさに欠けるというか最近のクルマとは少し雰囲気が違ったクラシカルなデザインが特徴的です。キャデラックが意図してそうした方向のデザインを採用したのかは知りかねますが、1つこのデザインを作ったきっかけとなるのが「Gプラットフォーム」と呼ばれる存在です。DTSが使用しているプラットフォームが「Gプラットフォーム」なのですが、実は先代のドゥビルが使用していたプラットフォームも同型のもの。使用するプラットフォームが同じためルックスもそれを多少なりとも引き継ぐ方向性となったのかもしれません。現にDTSの後継であるXTSでは「GM Epsilon II」という新プラットフォームが採用され、エクステリアはドゥビルやDTSの面影を全く残さないデザインとなりました。

落ち着いた空間の広がるインテリア

エクステリアに違わずインテリアもかなりクラッシック調なDTS。エンジンスタートにはキーが必要だし、フロアに配置されたシフトレバーやセンターコンソールも非常にシンプルな構造となっています。それでも内装の質としては完成度の高い、高級感溢れるデザインとなっています。シートはタスカニーレザーで完全に覆われ、インレイには木目の美しいウッドを使用。また、室内を覆うレザーは全て職人の手作業によって切り取られて貼り付けられているため精巧な作りとなっています。ほかにもドアトリムやインパネトップのデコレーションはDTSの室内をまた1段と落ち着かせるデザインをしています。また、運転席・助手席はもちろん後部座席にも温度調節機能付シートが採用されているため、外部・室内気温に応じてヒーターやクーラーを使用できます。シートだけでなくステアリングにまでヒーター/クーラー機能が付いています。乗車人数はモデルによって5人用と6人用が存在しますが、室内空間はさすが5mを越すフルサイズセダン、各スペースに余裕があります。座り心地もソフトな感触が気持ちいいので、長時間乗車していても快適に過ごせる居住空間だと思います。

DTSの気になる性能や運転性は?

ドライブトレインや燃費性能は?

DTSの心臓であるドライブトレイン。キャデラックはその自動車メーカーの象徴とも言えるフラグシップモデルであるDTSにどんなエンジンやトランスミッションを搭載したのかDTS発表当初は注目が集まったポイントでしたが、DTSに搭載されたエンジンは4.6L V型8気筒ノーススターエンジン。最高出力は前述しましたが、最も高出力を発揮する「パフォーマンス」と「プラチナム」モデルでも296psとなっていて、フラグシップモデルとしてはかなりおとなしい設定ではないかなというのが正直な印象でしょう。同時期に展開されていたミドルサイズセダンのCTSでも上級グレードは300psを超えてきていたわけですから。トランスミッションに目を向けてもDTSは4速オートマティックのみの搭載。フラグシップモデルとしては少し拍子抜けする仕様ではないかと思われても仕方ないドライブトレインとなっています。燃費性能に関しても、1,800kgを越える巨体にこのスペックのエンジンですから、燃費消費率は平均で7.7km/Lいけばかなりいい数値です。やはり、DTSは性能を楽しむような”走る”ためのクルマではなく、車内で快適に過ごすことを目的とした”乗る”ためのクルマとして作り込まれたということでしょう。

では、走りや乗り心地は?

上記したドライブトレインや車体情報を元に考えると、多くの人がDTSをおっとりとした優雅な走りをしたセダンと考えるのが普通だと思いますが、意外にもDTSはかなり迫力あるスポーティな乗り味をしているのが現実なのです。あくまでも、FFレイアウトで車重1,800kgのクルマが300psに満たないV8エンジンと4速オートマティックを擁したにしては、という話ですので過度の期待はできません。それでも、このスペックのクルマの走行性をスポーツ方向に振ることができたのはひとえにキャデラックのエンジニアリングの賜物です。キャデラックが持つ独自のFF車作りのノウハウはDTSの先代であるドゥビルの後期モデルを開発していた時点でかなり成熟していたことと思います。これに加え、近年キャデラックが得意とするCTSやSTSなどのスポーツセダン系のエンジニアリングを併用すれば、パワー控えめのFFレイアウトセダンでもスポーティテイストを持つセダンに仕立て上げることは実現できることです。こうして見ると、キャデラックはDTSをスポーツに特化したセダンというよりもラグジュアリーさに重点を置いたセダンであるがゆえにFFレイアウトを採用し、プロペラシャフトなどの必要性のないパーツを省くことで室内空間を広く確保したことが覗えます。それがわかると、途端にDTSが持つキャラクターはむしろキャデラックのフラグシップモデルらしい必要条件をきちんと揃えたセダンに思えてきます。

DTSの評価や故障は?

試乗した方の感想と評価

【結論】
所謂ダウンサイジングされたターボエンジン(2L)を搭載しており、排気量は小さいですが走行性能は”極めて良い”といえます。雑誌などで高く評価されていますが、その通りだと思います。
エクステリア、インテリアも非常に洗練されており、好感が持てます。
乗り味はシャキッ、ドシッとしていて非常に運転しやすいし、運転していて楽しかったです。
このクラスのクルマを購入できる層であれば、ベンツやBMWから検討を始めるのでしょうが、今まさに購入を検討されるなら、このクルマを試乗・体感することは意味あることだと思われます。

※ 私はサンデードライバーで、運転技術もごく普通で、普段はトヨタ車に乗っています。
※ クルマについてはそんなに詳しくありません。
※ なお、試乗時間は20分程度です。

【走行性能、非常に良いです】
加速性が優れています。気持ちいいです。
1.7トンを2Lのエンジンで引っ張るわけですが、280馬力の出力を有する優れたターボエンジンと足回りのおかげで、シャキシャキ走ります。でかいクルマがしゃきしゃき走るのって、気持ちいいものですね。
たしか、開発においてはドイツのニュルブルクリンクで走りこんでいるはずで、走りについて良く研究された結果がちゃんと製品にフィードバックされているんだと感じました。
また、ブレンボのブレーキだそうですが、しっかり止まります。

【エクステリア】
デザインは好みの問題ですが、私自身は非常に好感が持てるデザインだと思います。
他にはない、キャデラックにしかないデザインであり、遠くから見ても存在感抜群です。
塗装の質感も、凝視したわけではありませんが高級車の塗装です。

【インテリア】
7~8百万円するクルマですから、ちゃんと作りこまれています。
シートは、しっかり体をホールドしてくれます。
走行性能とシートの質感からすると、長距離も疲れないんだろうな、と思います。まあ、20分しか乗っていませんが。
インパネ周りも高級感があり、かつキャデラックらしさを主張する、オリジナリティ十分のつくりであり、価格相応でしょう。

ご興味をお持ちの方の参考になれれば幸いです。

出典:review.kakaku.com

本当に故障は少ないのか?

上の方が示唆されているように最近のキャデラックは昔のイメージと違い、めっきり壊れなくなったと聞くことが多くなりました。DTSが販売され始めたのは2005年となりますが、DTSの故障事情について少し調べてみました。そうするとウワサで聞くよりも案外多くのDTSが故障に悩まされていることが判明。

イグニッショントラブルでリコールされた経緯あり

キャデラックの公式サイトによると、平成18年2月16日~平成22年5月21日までに販売された250台弱のDTSがリコールの対象となっており、その内容は、イグニッションキーにキーホルダー等を装着していると、走行振動等により、イグニッションキーが”RUN”位置以外に動いてしまう事態が発生する可能性があり、そうすると車両電源が断たれてエンジンが停止するとともに、ブレーキ補助やパワーステアリング等が機能せず、運転に大きな支障をきたすおそれがあります。また、この状態で事故を起こした場合、エアバッグが展開しないこともあり大変危険な状態となっています。これに対し、キャデラックジャパンは全車両にイグニッションキー対策用のキーリングを装着し、オーナーズマニュアルに追補ステッカーを貼付することで対策を取りました。

冷凍防止用ヒーターの不具合でリコール 火災の可能性も

こちらは平成18年5月25日~平成19年12月20日までに販売された150台あまりのDTSを対象としたリコールです。その内容は洗浄液の凍結防止用ヒータを制御する電子回路に、製造工程で異物が付着したものがあり、回路が短絡し、火災が発生するおそれがあるというもの。これに対して、キャデラックジャパンは全車両に対策配線キットを装着することを検討。しかし対策品の供給に時間がかかるため、暫定措置としてヒータの電源供給用ヒューズを取り外し機能を停止させるという動きを見せました。

DTS中古車情報!

出典:http://kakaku.com/kuruma/used/item/12488474/

気になる中古車価格は?

日本での新車価格が850万円ほどというかなり強気な設定だったDTS。現在、中古車の価格幅は49万円~298万円、平均価格は247万円となっています。最上級グレードとして君臨した「プラチナム」の新しい年式、低走行距離の個体ででさえ、280万円となっているため、目に見えて不人気車であることがわかります。逆に言えば、アメ車マニアにとってはかなり手頃で狙えるラグジュアリーサルーンであるため熱狂的なファンは結構いるようです。そういったユーザーにとってはかなり嬉しいDTSの中古車事情かもしれません。なお、中古車を購入の際は上記のリコール情報の件もありますので、しっかりご確認を!

DTS スペック

スペック詳細

寸法・車両重量

全長:5,273mm
全幅:1,900mm
全高:1,463mm
ホイールベース:2,936mm
車両重量:1,818kg

ドライブトレイン

駆動方式:FF
エンジン:V型8気筒ノーススターエンジン
排気量:4,600cc
最高出力:279ps@6,000rpm/296ps@6,300rpm
最大トルク:400Nm@4,400rpm/390Nm@4,500rpm
トランスミッション:4速オートマティック

まとめ

いかがでしたでしょうか?
7年間もの間キャデラックのフラグシップモデルとして君臨したDTS。その実態は最近のキャデラックのラインナップでは少なくなってきた”アメ車”というテイストを強く残した高級セダンであることがわかりました。そのため日本での需要は高くありませんが、アメ車好きならぜひ手にしてみたい1台ではないでしょうか。