【BMW 225xe アクティブツアラー(プラグインハイブリッド)試乗】コンパクトなボディにこっそりハイテク

すでにプラグインハイブリッドを4車種投入しているBMWですが、今回、その中でももっともコンパクトなモデルとなる2シリーズの「225xe」に試乗する機会を得ました。フロントをエンジンで、リヤを電気モーターで駆動する「オンデマンド4WD」となっている注目のモデルでもあります。条件が限られる中での試乗記となってしまいましたが、ご紹介しておきましょう。(飯嶋洋治/RJC会員)

BMW 225xe アクティブツアラーとは?

プレミアム・コンパクト・セグメントの2シリーズアクティブツアラーをPHEV化!

photo by iijima

コンパクトモデルである「BMW2シリーズ アクティブ ツアラー」をプラグインハイブリッド(PHEV)化したのが、「BMW225xeアクティブツアラー」です。もともと欧州では厳しくなる排気ガス規制のために各メーカーがPHEVの導入に積極的という面がありました。また先般のVWの「ディーゼルゲート事件」もあったために、さらにその流れが強くなっていると言えます。BMWでは、「i8」「X5 xDrive 40e」「330xe」、そして今回紹介する「225xe」と4車種がラインアップされたことになります。

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エクステリアは?

BMWであることを主張しつつも、実用性が前面に出る。

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2シリーズのアクティブツアラーは、2014年にBMWがプレミアムコンパクトとして試乗に投入したモデルです。エクステリア的にはフロントの「キドニーグリル」などはいうまでもないところでしょうが、ひと目でBMWであることが分かるデザインとなっています。

取り回しの良サイズで、余裕のある居住性を確保し、さらに一般的な機械式駐車場にも収まるというのがポイントと言えます。見た目でわかる部分では、ボディサイズに対してフロントオーバーハングを切り詰めて2,670 mmのロング・ホイールベースとしたこと、高い位置からテールゲート後端に向けてクーペのように傾斜したルーフ・ラインやボディ・サイドのラインでダイナミックなスタイリングを演出などでしょうか?

リヤ・デザインは、LEDライトバーが配置された幅広のL字型リヤ・コンビネーション・ライト、水平方向のボディ・ラインを入れることにより、見た目の安定感と、スポーティでダイナミックなキャラクターを表現するものとなっています。

インテリアは?

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コンパクトなサイズの中に最大限に居住空間を生かす!

室内に入ると、前席に関しては、コンパクトなボディサイズに対して、かなり余裕があるということが感じられます。ダッシュボードからドア・パネルは「レイアリング」という手法を採用したそうです。これはいくつかの水平ラインやサーフェスを重層にすることで空間を分割すること。これが空間の広がり感や、軽快でエレガントなインテリアの雰囲気の演出に一役買っています。

センター・コンソールはドライバーに向けて若干角度が付けられており、操作系の利便性を上げているのもBMWらしい特徴です。着座位置はやや高めとして、前方視界も良好なために、ビギナードライバーにとっても安心してドライビングできるといえるでしょう。乗降性にも優れています。

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PHEVユニットの存在は限りなく控えめに……。

同車はプラグインハイブリッドということで、かさばるEV系のユニットの搭載位置も気になるところ。これらはリチウムイオン・バッテリーの搭載位置をリヤシートの下、電気モーターをラゲージルームの床下としました。ラゲージルーム容量は400~1,350Lを確保。リヤシートは40:20:20の分割可倒式として利便性も保っています。

パワートレインは?

エンジンはBMW得意のダウンサイジングターボを搭載。

エンジンは、1.5リッター直列3気筒BMWツインパワーターボ・ガソリンエンジン。ターボチャージャーによる性能アップだけではなく、ダイレクトインジェクションシステム、VANOS(無段階可変バルブコントロールシステム:バルブトロニック、バリアブル・カムシャフト・コントロールシステム)を組み合わせることにより、100kW(136PS)/4,400rpm、220Nm(22.4kg-m)/1,250-4,300rpm)を発揮します。

リヤの動力源を電気モーター化してオンデマンド4WDに!

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以上は前輪ですが、今回は後輪に電気モーターによる駆動力を加え、オンデマンド4WDとしたところが最大のポイントです。電気モーターは65kW(88PS)/4,000rpmを発揮、その特性上、トルクは停止状態からすぐに165Nmの最大トルクを発揮することができます。MAX eDriveモードで走行すれば125km/hまでの速度域で電気モーターによる後輪駆動となります。バッテリーはリチウムイオン式となり、容量は7.7kWh。バッテリーによる航続距離は42.4kmということですから、日常生活での多くの場面でEVとして走行が可能といえるでしょう。

エンジンと電気モーターの組合せは3モードが選択できる!

電気モーターとガソリンエンジンのオペレーションモードは「eDriveボタン」で3モードが選べます。

AUTO eDrive

電気モーターとガソリンエンジンが最適なバランスで高効率に作動するデフォルトの走行モード。80km/hまではゼロ・エミッション走行が可能。

MAX eDrive

125km/hまでの速度域で、電気モーターあの駆動力のみでゼロ・エミッション走行が可能。キックダウン操作によりエンジンが始動。

SAVE Battery

バッテリーの充電量を減らさないように効率的な走行をするとともにガソリンエンジンによる発電を行う。現状のバッテリー残量の低減を抑え、バッテリーの充電量を最大50%まで増やすことが可能(充電量50%以上の場合は残量を維持)。

また、シフトレバーをM/S側に倒すことにより、ガソリンエンジンよる発電を行い、充電量を最大80%まで増やす「CHARGE Battery」や「ドライビング・パフォーマンス・コントロール・ボタン」で「COMFORT」「SPORT」「ECO PRO」の切り替え、エンジンレスポンス、ステアリングやトランスミッションの特性を、ドライバーの好みに合わせることが可能となっています。

満充電までは約3時間。スマートフォンで充電ステーション検索も。

充電に関しては、EV専用充電コンセント(車両に付属の普通充電ケーブルを利用)またはBMWiウォールボックス・ピュア(200V/15A)を利用し、満充電までの時間や約3時間となっています。また標準装備される「BMW コネクテッドドライブ・スタンダード」にはハイブリッド専用の「BMWリモートApp」が含まれ、スマートフォンから利用できる機能・サービスがあります。具体的には
・公共の充電ステーションを利用する必要がある場合、現在位置周辺の充電ステーションを検索し、その情報を車両のナビゲーションシステムに送信。
・バッテリーの充電状況や各種点検の実施時期、車両位置などの車両情報にアクセス。
・リモート・コントロールによる社外からのエアコンディショナーの起動。
となります。

乗り心地は?

すでにEVを意識させないドライブフィール。

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まず残念だったのは、一般道だったため仕方ないことではあるのですが、常に前走車によって前がつかえていたために、法定速度よりもかなり低速で走らなければならなかったことです。そういう意味では、225xeの真髄に触れることはできませんでした。

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昨年末、ツインリンクもてぎで行なわれた「RJCカーオブザイヤー」のテストデイで、わずかな時間ですが、2シリーズのアクティブツアラーに試乗する機会があり、思いの他軽快な走りを体感したので、今回も期待していたのですが、条件的にはちょっと残念でした。もちろん一般走行でも、アクセルに対する反応や、回生しているブレーキなども、ごく自然なフィールで、ことさら電気モーターで走っている部分を主張することはありません。そういう意味では、もう内燃機関だからとか電気モーターだからとこだわる時代は過ぎ去ったと思わせるに十分なものとなっています。

普段の使用でBMWらしさをどこに見い出すか?という面では考えさせられる面も。

幅は1.8mありますから必ずしもコンパクトとは言い切れない部分がありますが、全長は4.35mということで室内からの見切りも良く、BMWとしては乗り心地もソフトな方向に振ってあるようで、居住空間も快適なもの。国産コンパクトと同様な感じで運転できると思います。反面、国産のハイブリッドやプラグインハイブリッドから積極的に225xeを選ぶ理由はどこか? と聞かれると困るな、という感じもあります。

実は直前にBMW330xeに乗っており、その強力なパワーフィールや硬質な(個人的に好みの)乗り心地を体感した後だったという面では225xeには厳しい状況になってしまったかもしれません。今回は、事前の知識不足ということもあり、電気モーターとエンジンが最適なバランスで80km/hまではゼロ・エミッションとなる「AUTO eDrive」だけの走行となってしまいましたが、条件が許せば電気モーターでの走行から、キックダウンでエンジンが始動する「MAX eDrive」、エンジンによりバッテリーの残量の低減を抑える「SAVE Battery」の3つのモードを試すという宿題が残りました。

主要諸元

【型式】

DLA-2C15

【寸法】

全長☓全幅☓全高 4,355mm☓1,800mm☓1,550mm
ホイールベース 2,670mm
トレッド(前/後) 1,555mm/1,555mm
最低地上高 165mm
ラゲージルーム容量 400L(後席折りたたみ時1,350L)

【重量・定員】

車両重量 1,740kg
車両総重量 2,015kg
定員5

【性能】

最小回転半径 5.5m
ハイブリッド燃料消費率(JC08モード) 17.6km/L
充電電力使用時走行距離(プラグインレンジ)42.6km
EV走行換算距離(等価EVレンジ) 42.4km
平成17年排出ガス基準 75%低減

【エンジン】

型式 B38A15A-P160
種類 直列3気筒DOHCガソリン
総排気量 1,498cc
圧縮比(:1) 11.0
最高出力 100kW(136PS)/4,400rpm
最大トルク 220Nm(22.4kg-m)/1,250-4,300rpm
燃料/タンク容量 無鉛プレミアムガソリン/36L

【電動モーター】

型式 P160
種類 交流同期電動機
定格出力 28kW(38PS)
最高出力 65kW(88PS)/4,000rpm
最大トルク 165Nm(16.8kg-m)/3.000rpm

【駆動装置】

駆動方式 4輪駆動
トランスミッション 電子油圧制御式6速AT
変速比(後退) 1速4.459/2速2.508/3速1.556/4速1.142/5速0.672(3.185)
最終減速比 3.944

【駆動用バッテリー】

種類 リチウムイオン電池
個数 1(80セル)
電圧 292.8V
容量 26Ah
総電圧 332V
総電力量 7.7V

【操向装置】

ステアリング形式 ラック&ピニオン式、車速感応式パワー・ステアリング
【緩衝装置】
前輪 シングル・ジョイント・スプリング・ストラット式、コイル・スプリング、スタビライザー
後輪 マルチ・リンク式、コイル・スプリング、スタビライザー

【制動装置】

主ブレーキ形式(前/後) ベンチレーテッド・ディスク/ディスク
制動力制御装置 ABS(アンチロック・ブレーキング・システム)
ブレーキ倍力装置 真空倍力式
駐車ブレーキ形式 電気・機械式

【タイヤ/ホイール】※カッコ内はM Sport

タイヤ 205/55R17(205/55R17)
ホイール 7.5J☓17 アロイ マルチスポーク・スタリング481(7.5J☓17 Mライト アロイ ダブルスポーク・スタイリング483M)

まとめ

実用的には現時点でのベストに近い選択がプラグインハイブリッドかもしれない。

ディーゼルエンジンが主流と言われていた欧州ですが、厳しくなる排気ガス規制により実際にはプラグインハイブリッドにかなり力を入れています。VWのディーゼルの規制逃れの件も含めて、その方向はより強まっていると言えるでしょう。BMWは7シリーズにもプラグインハイブリッドの投入を予定しており、よりラインナップが強化されることは間違いなさそうです。

内燃機関は一定の回転数を保てば高効率を発揮します。それはひと昔まえでは考えられなかったほどのものです。しかし、どうしても特性上、低回転域では厳しいものがあります。その点、電気モーターはいきなり最大トルクを発揮するという大きなメリットを持っています。もちろん電気モーターで走っている限りは、タンクの燃料を使うことがありません。ただし、それだけでは走行距離に制限があります。もうひとつ有力視される燃料電池車にはまだインフラとコストの問題が立ちはだかっています。そういう意味で現時点の動力源としてだけ考えれば、プラグインハイブリッドはベストとはいえないまでもベストに近いと言えるのかもしれないと改めて認識させられた試乗となりました。

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