ルノー流フランス的クロスオーバー キャプチャーを徹底解剖

世は空前のクロスオーバー流行りで、各社こぞってリリースしています。ですが、クロスオーバーというジャンルに明確な決まりはありません。そんな中、ルノーが出したひとつの答えがキャプチャーです。発売以来、欧州ではベストセラーなのだとか。日本ではまだ中身がよくわからないキャプチャーを、徹底的に解剖してみます。2015年11月更新

ルノーという自動車メーカーとキャプチャーという車

出典:http://www.yenimodelarabalar.com/

ルノーについておさらい

ルノーはフランスの老舗自動車メーカーで、創業は1898年。自動車産業の創世紀にあたります。“FR”と呼んでいる、フロントエンジン・リアドライブを発明したのはこのルノーです。
第一次大戦中は戦車やタクシーの製造を手掛け、順調に生産規模を拡大していきます。ですが、フランスは第二次大戦に大敗しドイツの占領下に。終戦後の1945年、瀕死の状態だったルノーは国営化され、ルノー公団となりました。
やっとの思いで1986年に民営化しその後も着々と業績を上げ、1999年には日産自動車を傘下に収めています。
エポックメイキングが大好きで、小さなことから大がかりなことまで、なんにでもチャレンジします。この精神が、ファンを魅了して止まないのでしょう。

キャプチャーとは

出典:https://ja.wikipedia.org/

この写真は2011年のジュネーブショーでデビューしたコンセプトモデルです。小型の2ドアクロスオーバー (CUV) で、 デザインはローレンス・ヴァン・デン・アッカーです。あのデジールをデザインした人です。
「LOVE」「EXPLORE」「FAMILY」「WORK」「PLAY」「WISDOM」という6つのライフシーンを反映させたルノーの新デザインアイコン「サイクル・オブ・ライフ」の2番目にあたる「EXPLORE(冒険)」の役割を担うのがこのキャプチャーです。
メカニズムのベースになっているのは日産・ジュークですが、エンジンはジュークに採用されている1.6L・直噴ターボではなく、1.6Lのディーゼルエンジン(dCi)にツインチャージャー化されたターボを組み合わせたものが搭載されていました。
ルーフをカーボンファイバー製の着脱式にしたことで車重を1,300kgに抑えられた半面、22インチアルミホイールやガルウイングドア、LEDヘッドライト、を採用するなど、機能性とインパクトを高い次元で両立させています。

量産型キャプチャー

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量産型キャプチャーは、2013年1月に情報公開された後、3月のジュネーヴ・モーターショーで発表されました。ルノーにとっては、コレオスに次ぐCUVとなります。コンセプトモデル時代の名称とデザインテイストを継承しながら、5ドア化をはじめ市販向けに修正されました。
コンセプトモデルと同様に、ベースはBプラットフォームのジュークですが、面影はほとんどありません。ジュークがPCD114.3/5穴のホイールハブなのに対して、キャプチャーはクリオ(和名:ルーテシア)と同様にPCD100/4穴を採用しています。全長はジュークよりも更に15mm短くなり、全長4,120mm×全幅1,770mm×全高1,570mmというサイズです。CUVではありますが、街中~郊外でしか乗らないBセグメントユーザーの嗜好と、なるべく低価格にしたいという思惑から、FF・2WDのみの設定になりました。
エクステリアは、ルーテシアにも似た迫力あるフロントマスクと、伸びやかで力強いフォルムを採用しています。10色のボディカラーと同じ10色のルーフカラー、そして5種のルーフデカール(未選択も可能)の中から自由に組み合わることができます。
デザインはコンセプトモデル同様、ローレンス・ヴァン・デン・アッカーです。尚、カラーとマテリアルの選定にはBMW/MINIから転籍した日本人スタッフの渡邉加奈氏が携わっているそうです。
インテリアの目玉は、グレードにより採用されているルノーが特許を取得済の「ジップシートクロス」。ジッパーとベルクロ(面ファスナー)を開閉するだけで、シートの表皮を着脱できるようになっています。シートカバーのように季節や好みに応じての着せ替えができるだけでなく、洗濯機で丸洗いが可能です。「ジップシートクロス」は計8種が用意されていて、ユーザーの好みで選択が可能です。
主要部分をクリオから流用しつつも重心の上昇や重量増に対応するために、フロンサスペンションにはカラーを入れてロードクリアランスを確保し、リヤサスペンションはクリオエステートから流用しています。 エンジンは0.9Lと1.2Lのガソリン(後者は出力特性により2種存在)と1.5Lのディーゼルの設定があります。

日本での販売状況

2013年11月に開催された第43回東京モーターショーで日本仕様車が披露されました。そのまま「キャプチャー」の名前で2014年2月27日に日本市場に投入されることが発表されました。日本仕様は全車1.2L・TCe(H5F型)のみの設定で、16インチタイヤ&モノトーンカラーの「ZEN」と、ジップシートクロス、17インチタイヤ&2トーンカラーを備えた「INTENS」の2グレード構成となっています。
残念ながら、多くの販売国で採用されるインフォメーションシステム「R-Link」は日本仕様においてはオプションですら設定されていません。寸法は本国仕様と同じです。

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特別限定車“ROUSSILLON”

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2014年9月4日に、限定150台の特別仕様車「ルシヨン」を発売しました。「INTENS」をベースに、ボディカラーはノワールエトワール(黒)とイヴォワール(白)から選択でき、オランジュルシヨン(オレンジ)色に塗られたルーフ、オレンジ色加飾の入ったアルミホイール、内装のオレンジフィニッシャー、ジップシートクロス「キャプチャー」とデザインステアリングホイール「キャプチャー」(ともに標準設定のものと異なるオプション品を採用)など、専用アイテムを特別に盛りだくさん装備しています。

特別仕様車“First Anniversary Edition”

出典:http://blog.livedoor.jp/

(有)渡辺モータース  ◆ルノーサービスサテライト福井北 (ルノー 福井)様のブログより

2015年1月26日には、限定100台で日本市場登場1周年を記念した特別仕様車「FIRST ANNIVERSARY EDITION」を発売しました。「INTENS」をベースに、ベースのボディカラーにベージュサンドレを、ルーフはノワールエトワールとイヴォワールから選択できるうえ、パイオニア製(カロッツェリア)SDナビゲーション、ジップシートクロス「ロサンジュ」とデザインステアリングホイール「クロスロサンジュ」(ともに標準設定のものと異なるオプション品を採用)、クロームセンタークラスタ&スピーカーグリルなどの専用アイテムを特別にてんこ盛り装備しました。

さらに限定“+ナビ”

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さらに2015年5月7日には、限定50台で「+ナビ(プラス・ナビ)」を発売しました。「INTENS」のノワールエトワールルーフ仕様をベースに、オランジュルシヨンもしくはブルーメディテラネの車体色を組み合わせできます。価格は据え置きのままでパイオニア製SDナビゲーションを装備。

これでもか!“CANNES”

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さらにさらに2015年6月26日、限定40台で「CANNES(カンヌ)」を発売しました。カンヌとは、言わずと知れた世界三大映画祭のひとつ、フランスで毎年5月に開催される国際映画祭の舞台そのものです。
ルノーはオフィシャルパートナーとして30年以上にわたりカンヌでセレブリティを送迎する車両を提供してきましたが、カンヌの名を冠するモデルを発売するのは今回が初となりました。
世界中の注目が集まる華やかな映画祭の雰囲気と、スタイリッシュかつエレガントな雰囲気漂うキャプチャーの相性が素晴らしく、映画祭サイドに提案したところ、ルノーの長年の功績に応える形で快諾されたそうです。
「INTENS」をベースに、ノワールエトワールとイヴォワールを車体色とルーフ色のどちらかで組み合わせることを可能としています。また、特別装備として、CABANA製レザーシート表皮、FOCAL製スピーカー、パイオニア製8インチナビゲーション、カンヌ映画祭公式エンブレムが装着されています。

乗ってみよう!

出典:http://www.renault.jp/

気になるなら乗ってみよう!ということで試乗してみました。

外から舐め回す

ルノーディーラーのお姉さんが、気にしているのもそっちのけです。全体にルーテシアとよく似た雰囲気なのですが、実は使い回している部品はほとんどありません。グリル周りやヘッドライト、テールライトも別物でした。
ルーテシアの背が高くなったくらいに思っていましたので、ちょっと驚き。“ドアミラーは共通かもしれないなぁ“と思いながらも、ルーテシアはつやのあるブラック塗装なので、なんだか違うものに見えたりしますね。
ドア周りは共通な気がします。これはどちらも日産ジュークをベースにしていますので、仕方がないかもしれません。ただ、クーペスタイルに見せたかったルーテシアはリアドアのアウターハンドルをCピラーに隠してある(ジュークと同じ)のに対して、キャプチャーは潔く“4ドアだもん!”と言わんばかりです。
下をのぞき込んだ限りでは、ルーテシアとの違いはよくわかりませんが、これだけ背が高い(足が長い)ので、いろいろ工夫されているはずです。

中へ入ってみる

室内に入ってみても、全体的にルーテシアと似ているものの、全く同じ部品が見つかりません。メーター周りやマルチディスプレイ、ダッシュボードやグローブボックスもすべて別物でした。さすがにスイッチ類は共有していますが、ありがちな名札を代えただけの兄弟車ではなさそうです。
おもしろいのは、シート表皮がジッパーで外せること。これはナイスアイデアですね。お好みで柄を代えて遊べますし、万一汚してしまっても丸洗いできるそうです。なんで今までこんなアイデアがなかったんでしょうね。さすがルノーです。
こういうところがルノーファンになってしまう要因なんです。

いよいよ走ってみる

我が家にはルーテシアインテンスがあるので、比較しながら書いてみます。とは言え、普段はカミさんの足なので、私はそんなに乗っていないのですが・・・。ちなみに、エンジン&トランスミッションはルーテシアインテンスと共通です。違いは、少し背が高いのと重量が多いことぐらい。どれほど差が出るのか楽しみです。
カードを挿してボタンを押すと、聞き慣れたエンジン音です。ルノーディーラーのお姉さんが後ろに乗っていますが、私がルーテシアオーナーだからなのでしょうが完全に無言です。使い方についてのレクチャーは一切ありません。
走り出すと、タイヤサイズの違いか、ギヤ設定か、はたまたマップによるエンジン特性の違いなのか、ルーテシアよりも幾分重い動きだしですね。ただ、あくまでも“比較して”ですので、決して気になるレベルではありません。それどころか、そこそこ加速してくるとキャプチャーのほうが軽快な走りに思えます。これはタイヤサイズの影響が大きいのかもしれません。
※ルノージャポンの公表値を見る限り、エンジン、トランスミッションの設定は全く同じのようです。
シフトフィーリング(シフトダウンも含めて)もよく似た感触です。もともとシフトチェンジを感じさせない、とても優れたトランスミッションですので、実に気持ちよく走れます。
サスペンションのセッティングは、ルーテシアよりも硬めの印象です。これは、背が高くなってストロークが増えた分のバタつきをアブソーバーで解消しているためでしょう。おかげで、ロールも大きめなのですが、ふわふわした感覚ではなく、しっかりと道路に踏ん張ってくれます。
街中をスイスイ・キビキビ走れる感じは、ルーテシアと同じ感覚でとても好印象です。快適装備も充実していて、文句のつけどころがありませんでした。

最後にまとめ

日本デビューからまだ2年経ちませんので、なかなかお目に掛かることはないキャプチャーですが、どうしても気になったらルノーディーラーへ行ってみましょう。決して損はないはずです。以前のフランス車のようなとっつきにくさはまったくなく、実にフランクに迎えてくれます。
やはり、行動派の女性に乗って欲しいですね。独身のかたなら、通勤はもちろん週末のレジャーやドライブにはもってこいの車です。既婚のかたでしたら、家族でどこにでも出かけられますし、お子さんやご主人の送り迎えにもぴったりな車です。1週間分のお買い物?お任せ下さい!って言っています。
カテゴリーこそCUVに入りますが、実際に乗ってみてもまったく感じさせません。少し背が高いですが、乗り降りも運転も乗用車と同じ感覚で大丈夫です。