【アストンマーティン DB9】英国風エレガントの中身はスポーツカーの真価が満載!維持費や中古情報も!

生活が十分以上に事足りて、更にゆとり分が持てるまでうまく暮らせた時、人が求めるのは今まで以上の機能ではなくむしろファッション的な満足感なのだと思います。衣服がその典型的代表ですが、クルマもまたデザイン性から自分を表現できる大きなアイテム。イギリスに本拠を構えるアストンマーティン社は、そんな風に繊細なデザイン性で世界市場で訴求するメーカーの1つでしょう。今回はそのモデルの中からDB9をご紹介します。

歴史こそが品質の証

年齢や性別を問わず世の中との付き合いで十分な経験を積んだ人は、歴史とそれがもたらす文化に対しては、特別な敬意を払う必要があると理解しているでしょう。長い時間を生きてきたその威厳は、時に私達を委縮させもしますが、同時に落ち着きと安心感を生み出すものです。
その車名からしてアイコニックなアストンマーティン社も、その背景に他車の追従を許さないような時間的価値を抱いています。

1914年にはじめての車『Coal Scuttle』を発表以来、品質に一切の妥協をしない製品つくりを続けている同社ですが、その姿勢は企業経営とは相容れないものでもあります。結果的に、同社は幾たびかの経営危機に見舞われることになりました。特に世界経済が大打撃を受けた第二次世界大戦直後は、同社にとって厳しい季節だったでしょう。

その苦境の中、事態に窮したアストンマーティン社は、新聞に事業売却の広告を出します。その広告にいち早く反応し、たったの2万500ポンドで買収に成功したのがデービッド・ブラウンでした。これを切っ掛けに、彼のイニシャル「DB」がアストンマーティンの車名に含まれるようになった、という訳です。

ブラウンの指揮のもと1948年には、後に『DB1』と呼ばれるようになる『2-Litre Sports』を発売。これは、1939年に発表していた『Atom』の流れを引き継いで、ボディ全体を曲面で覆った近代的なスポーツカーでした。その時代時代に未来を感じさせるような、DBシリーズのデザイン性の系譜は、この時から始まっていたのですね。

DB9、妥協とは無縁のスペシャルクーペ

自動車本来の魅力を発散するボディーシェイプ

匠な仕事ぶりの妙は、無駄な主張をせずに本質的な要件を満たすことです。製品の製造工程に、匠レベルの職人の手作業を多く用いるというアストンマーティン社は、そういったモノ作りの本質を現代に残す企業だとも言えるでしょう。
その高品質の製品ラインアップ上でも、かなり高い位置にあるアストンマーティン DB9は、エレガントな高性能を売りにしている車のようです。2003年のフランクフルトショーでお披露目されたそのデザインとしては、先代の『DB7』からさほどの飛躍がある訳でもなく、むしろ古典的なスポーツカーのイメージに留まっているとも言えそうです。

全幅は2メートル、ホイールベースは2.7メートルもありながら、その車高は1.3メートルを切るという車体。そのフロント下部にはスプリッターを、リアのテールゲートには空気の流れを整流するフリップを装備。さらに下面にはデディフューザーさえも備える空力は、周囲を威嚇して存在感を押し付けるためではないでしょう。また、タイヤアーチ近くまで伸びる鋭角型のヘッドライトは、クラシカルな気品のあるボディに上手く未来感を演出してもいます。

クルマが本来持つべき魅力に立ち返り、その全てを余すところなく盛り込んだのが、この一台だと言っても過言ではありません。

技術の粋を詰め込んだパッケージング

とは言え、外側を飾ることなら、どのような会社でも(あるいは個人でも)行うことができます。アストンマーティン社が、このDB9(やその他の製品)を通じて品質を世界中に訴求できる理由とは、設計と製造にかかわる技術にあります。

それを最も顕著に物語るのは、同社が『VHアーキテクチャー』と呼ぶデザイン思想でしょう。その中心にある物こそ、アルミ押し出し材をエポキシ系接着剤で接合させるという、他ではまね出来なさそうな組み立て方式です。いくつかのパーツを組み合わせて形を作る時、リベット締めやボルトあるいはスポット溶接で接合するより、はめ合わせ面の全体を接着した方がはるかに大きな強度を得ることができます。通常、航空宇宙産業など重量と強度のバランスを突き詰める必要から逃げられない分野で、採用されるのがこの方式。アストンマーティンは、投資家から採算性の悪さを指摘されそうなこの技術をあえて取り入れています。加えてマグネシウム合金や複合素材という、コストのかかるものも積極的に導入。その結果、今回の新型DB9の車体では重量を15kgの軽量化を達成しながら、30パーセントの剛性アップを実現したの高性能ボディを手に入れました。

性能を上げたシャーシと、それを包むエレガントなボディーの前方に搭載されるのは、新設計V12気筒の『AM11』エンジンです。その排気量は6.0Lで出力は517ps、トルクは63.2kgmというスペックを誇る、巨大な動力源です。実際、DB9が採用するFRパッケージングとしては、そのエンジン後端はコックピットにかなり迫っています。したがって、それに直結して後方へギヤボックスを置くことは、居住性を考慮してもかなり難しかったでしょう。そんなこともあってか、あるいは前後重量配分も考慮して(51:49の前後比)か、DB9の変速機は後部座席と駆動軸の間に設置されています。

エンジンから後方へ伸びるドライブシャフトが駆動するのは、ディファレンシャルギアと一体化した、『Touchtronic 2』と呼ばれる電子制御6速ATです。その操作は、コックピットのセンターコンソールにあるスイッチにより操作するというのも、アストンマーティンの個性となっているでしょう。加えて、タコメーターなど計器関係の針は、一般と逆の反時計方向に回転するというのも興味をそそります。

オーソドックスだからこそ安定する足回り

アストンマーティン DB9の走りを支える足回りは、前後ともにV字型のアームが、ホイール側のナックルを支持するダブルウィッシュボーン式。最近の高級車では、リアのアームを増やして多次元的な動きを実現するマルチリンクも普及している所へ、あえてシンプルな構造の採用です。ただ複雑にすることが進歩ではないと言う、同社のポリシーなのかもしれません。オーソドックスとは言うものの、フロントにはアンチダイブ性能を、リアにはアンチスクワット&アンチリフト性能を持っているのがDB9のサスペンション。これらを、サスペンションのジオメトリー設計によって実現している訳です。
一方で、最近の高級スポーツにはお約束事項でもあるドライブモードの切り替えが出来るのも、このサスペンションです。「ノーマル/スポーツ/トラック(サーキット)」の3つから、ドライバーが走りの特性を選択するのがこの機能。いくつかの試乗記では硬さを指摘するものもある一方で、総じてクイックな回答性に評価がなされており、V12気筒をフロントに抱える車としては意外でもあります。このDB9には、目新しくはなくとも良く設計されたサスペンションが与えられている、と言うことなのでしょう。

もう一つ、アストンマーティン DB9が特別なこだわりを見せるのが、ブレーキ系統です。四輪ともにベンチレーテッドディスクブレーキなのは当然ですが、その素材には真っ黒な『カーボンセラミック・マトリックス』というものが使われているのです。ブレーキにカーボンと言えば、F1などの高性能なレーシングカーを想起します。ですが、同社が「もっとも洗練された」と言うDB9用のこのブレーキは、優れたレスポンスと長寿命を両立するための技術だと言うことです。

【基本情報】
名称:アストンマーティン DB9
エンジン排気量:5,935cc
エンジン出力:517ps/6,500rpm
エンジントルク:620Nm/5,500rpm
全長:4,720mm
全幅:2,061mm
全高:1,282mm
重量:1,785kg
ホールベース:2,740mm
サスペンション:ダブルウィッシュボーン式(前 / 後)

ボディータイプはオープン&クーペ、グレードは4種類

品質というものを理解するヒトのみが、オーナーとして選ばれるアストンマーティン。そんな言い方をしたからといって、どこからも訂正を求められることにはならないでしょう。そして、その中でも上位に位置するDB9が用意している『ヴォランテ(Volante)』は、ただ黙っていてもグレード感を伝えてくる、オープントップのクーペです。
ソフトトップを背後に収納する必要があるオープンカーでありながら、ドライバー&助手席に加えて後方にも(十分な広さはないとは言え)2座席確保しているのは、DB9の大人らしさを表現する部分ともなっています。
そして、このボディー形状の区別以外に、DB9には基本グレードに加えて3種類のエディションが用意されているのです。

ハイパフォーマンスのGT

どのクルマにあっても、GTの称号は簡単に名乗ることはできないもの。それがスポーツカーであれば、ハイパフォーマンスが証明されない限り、このアルファベット2文字のバッジを身に着けてはいけないとも言えます。このアストンマーティン DB9 GTは、エンジン排気量6.0Lはそのままに、出力を547ps/6,750rpmまで高めたスペックのV12気筒DOHCエンジンが搭載されたグレードです。
DB9が基本的に持っている特別な品質感に加えて、ボディーにはGTを主張するバッジが張られ、内装には織り込みレザーシートなどの更なる贅沢さが与えられた仕様となっています。
価格はクーペが23,250,000円、オープンのヴォランテが25,200,000円からです。(価格は参考値)

気づかれないように衆目を集める、カーボンエディション

高品質なものだからといって、使わずにしまい込んでおくのはナンセンス。とは言っても、気取って人前に出たように思われるのも本位ではない… そんな風に大人びた人生感をお持ちのオーナーには、この『DB9 カーボンエディション(DB9 Carbon Edition)』が最適でしょう。カラーリングは白と黒の2色。特に「カーボンブラック」のペイントはこのクルマの持つ深い存在価値を表現しているます。
内装にも「カーボンインテリアパック」と呼ばれるオプションがあり、ダッシュボード周りに光沢のある黒を取り入れたり、トレッドプレートに特別な刻印がされます。また、インテリアのスティッチなどに「レッド/シルバー/イエロー」から選んでアクセント色を与えることもでき、DB9にさらなるスペシャル感を加えることが可能。
DB9を選ぶオーナーの方にとっては、このクルマに対して自身の感じる深い満足感を、子供っぽい自己主張などしなくても表現できるというのがこの仕様。純正にして十分なカスタム感を得ることができるエディションです。カーボンエディションのオプションは、インテリアパックが619,920円、エクステリアパックが1,043,280円です。(価格は参考値)

これぞアストンマーティンを選ぶ意味、DB9 GT Bond Edition

紳士の中の紳士にして、諜報部員の中の諜報部員、ジェームズ・ボンドが好んで利用するのがアストンマーティン です。アストンマーティン DB9には、映画「007 スペクター」公開を記念して、150台限定で特別車両に仕立てたGT仕様が作られました。そのボディーペイントは、クールなスパイをイメージさせるかの『スペクターシルバー』という特別カラー。本来のGTバッジに加えてフロント両サイドには、特性の『純銀製のアストンマーティン・ウィング』もあしらわれています。
サイドステップに貼られた銘版には、「007」のロゴとともにシリアルナンバーも刻印されていて、特別なクルマのなかでも特別な一台であることを明確にしているのがこのエディションです。

更に自分だけの一台がご所望? ならばQ by Aston Martinへ

アストンマーティン DB9を購入後、カスタムパーツを取り付けて自分だけの一台を作る、とお考えの方にはご一考の余地があります。それは、この「Q by Aston Martin」という純正サービスのことです。メーカーいわく「オーナーの個性を完璧に反映したアストンマーティンを創るための、究極のパーソナライゼーション・サービス」がこれ。
あらゆる特注カラーやパターンを、オーナーの好みに合わせて実現してくれるそうで、それはエクステリアからインテリアに及びます。ボンネットにエアスクープを追加したレーシーなスタイルから、ダイナミックなグラデーションの効いたボディ色。さらには、ショーモデルを模したドレスアップなども可能です。
メーカーの仕事としては考えられないほどの細やかさに、メーカーならではの安心感。これぞアストンマーティンに最もふさわしい、カスタマイズと言えるのではないでしょうか。

DB9、モータースポーツへ!

20世紀の初め頃の操業時から、自動車レースの場で自身の技術力を証明してきたと言うのも、伝統あるアストンマーティンとしては当然のことでしょう。そして、そのスタンスは今現在にも、しっかりと受け継がれています。
最近のルマン24時間レースを含む耐久選手権では、V8のヴァンテージが主役のようになっていますが、我がDB9にもちゃんとレース仕様が存在しました。その名前は『DBR9』。これは、FIAがGT1というカテゴリーで世界選手権を開いていた時期に、そのシリーズへ投入されたマシンです。エンジンのスペックでは、排気量は6.0LのV12気筒DOHCのまま、出力は600ps以上のトルクも66kgmへとパワーアップされています。その動力が1170kgに軽量化されたボディーを強烈に引っ張り、最高で時速310km以上まで加速しました。
このマシンは、2010年と2011年のGT1世界選手権で、2年連続のチャンピオンを獲得するという、実績を残しました。

実際に触れてみたい

アストンマーティン DB9は、多くの意味で他に類を見ない特別な存在でしょう。押し出し成形のアルミ材を接着してつくったフレームワークに、レーシングカー並みのV12気筒エンジンを積んだ車とは、どのようなものなのか気になる人は多いはず。
それを知るには、実際に触れて動かしてみる他ありません。と言う訳で、アストンマーティンでも公式サイトから試乗の問い合わせ&予約が出来るようになっています。ぱっと見ても、年収とか学歴や勤務先の書き込み欄は「ない」ので、意外と門戸が広いと言えるのではないでしょうか。
まぁ、地方の中古マンションなら一括で買えてしまいそうな価格のクルマですから、試乗するにも相当な勇気もしくは愛着が必要ではありそうです。

DB9と共に暮らす者の心得(維持費)

まずは屋根付き扉付のガレージが必須。と言う所ではありますが、このような高級車を乗り回す方々には、世の中が他の負担もお願いしなければなりません。つまりは税金です。
自動車税はエンジン排気量により区分されます、アストンマーティン DB9は6.0L以下ですので、年額8,8000円の納税義務が発生します。一方、車検のたびに収める自動車重量税では、1.5トンから2.0トンの区分になりますので、3,2800円(減免なし2年分)の納付義務が課せられることになります。500馬力のエンジンを積んだピュアスポーツカーとしては、比較的に軽い車体を作ってくれたアストンマーティンの技術が、日本の税制上でも若干の救いになってくれたと言うところでしょうか。

そのV12エンジンと先進のシャーシ、そして特殊な素材を多用したボディ、さらに精密に設計された足回り。もしオーナーになったなら、例えば箱根の上り坂で気持ちよく振り回してみたい、あるいはサーキットへ持ち込んで腕試しを、と思うかもしれません。そのクラスの方が、「1リットルあたり何キロで…」などと細かいことに拘ったりしないかもしれませんが、燃費は自動車の性能の大きなファクターの1つでもあります。米国EPAの公認値ですが、ハイウェイ&市街地の混合モードで、おおむね6.3km/LというのがDB9の燃費性能です。それを実際に運転した場合の結果としては、複数のソースを見る限り、(平均値として)5kmは下回らないと思ってもよい印象を感じます。

もう1つ、日本の社会で自動車を運転するものなら必須と言えるもの、そうそれは任意保険です。自動車保険は、その車の価値によって決定される階級により、保険料を区分しているそうです。全世界の車を見渡し比べても、まちがいなく高級の上位に入りそうなアストンマーティン DB9。試しに某S損保の簡単見積もりを試してみると、50,280円(年額)という結果が表示されました。これは、国内にちゃんと正規輸入チャンネルが存在し、高い技術で支えられたクルマである、と保険会社が査定した結果と言えるのではないでしょうか。

ちなみに…中古では!?

DB9は、エンジンなどで細かいグレード設定をしていない分、中古でも選びやすい車かもしれません。本質的に高品質なことも値崩れを防いでいるはずで、逆を言えば、中古車を探すときにはある程度の価格を覚悟するべきでしょう。
とりあえず調べた範囲では、2010年より前のモデルが多いように見受けられます。たとえば、2008年登録で0.7万km走行の車体が9,850,000円とか、2006年登録で走行が3.9万kmのヴォランテが6、380、000円などです。まぁ、値段の変わりようは年式と走行距離によっているところは、どの自動車も一緒です。相当な高額になる新車と比べれば、リーズナブルなものも見つかる可能性はありそう、と言ったところでしょうか。

まとめ

個人的に正直を申すと、航空機なみの技術で作られたシャーシにV12エンジン、などというクルマは夢にも見れない高級品です。それだけに憧れがある、と言えばそうですが、それは愛着と言うよりむしろ好奇心だと言ってよいでしょう。
まぁ、同様に大型のスポーツカーの比較対象として、OHVの大きなエンジンをフロントに積んだアメリカンな車というものもあります。しかし、もっと洗練された技術を投入された(と思しき)ブリティッシュカーには、俊敏なハンドリングなど車の味わいも期待できてしまいます。
そして、繰り返し個人的に正直をもうせば、絶対に手が出ないし一生に一度見るかもわからないのが、このアストンマーティン DB9かもしれません。それでも、こういったスーパースポーツが世界に存在するという事実だけで、私たちの生活にちょっぴりの覇気が与えられる気もするのです。

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