【日産 GT-R 2017年モデル】発売は夏!エンジン、空力、ボディ、サスペンションを大幅にリファイン!

先般、ニューヨーク国際オートショーで話題をさらった「NISSAN GT-R」2017モデルが国内でお披露目されました。今回は2007年の発売以来、最大規模のリファインが加えられ、パフォーマンスの向上が図られたと言います。さっそくご紹介しましょう。(飯嶋洋治/RJC会員)

NISSAN GT-Rとは?

プリンス自動車から日産自動車へと引き継がれた名車の系譜を受け継ぐ!

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現代の日本を代表するスポーツカーと言えば「NISSAN GT-R」で、ほぼ異論は出ないでしょう。残念ながら2007年より「スカイライン」の呼称こそ消えたものの、1964年の第二回日本グランプリでの伝説的なプリンス・スカイラインGT-Bとポルシェ904との戦いからはじまり、1969年には日産自動車から「ハコスカ」GT-R(C10型)が登場。70年代には50連勝という偉業を成し遂げました。その後、スカイラインは継続したものの「GT-R」は姿を消していましたが、1989年にR32スカイラインGT-Rとなり復活。「アテーサET-S」という電子制御4WD機構を持った新時代のスポーツカーとして、当時のグループAレースやN1レースを席巻しました。その後は、R33、R34、R35とその流れを受け継いで進化を続けています。

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ニューヨーク国際モーターショーに続いて国内でも披露!

今回、2016年ニューヨーク国際オートショーで公開された「NISSAN GT-R」が、夏の正式発表に先立って披露されました。披露会の冒頭には、西川廣人副会長が登壇。「GT-Rは日産の技術を詰め込むと同時に、クルマに対するパッションを相当詰め込んで作った。GT-Rをはじめとして、2016年は日産の技術をさまざまなカタチで具体化をして魅力のある商品として皆様に届ける」と今後の抱負を述べました。

また、同じく登壇したチーフ・プロダクト・スペシャリストの田村宏志氏は、「NISSAN GT-Rの2017年モデルはキープコンセプトだが、速さの追求など変わらぬ約束を果たした」とした上で、モデルの狙いを「点」から「線」そして「面」にわけて語りました。具体的には、560hpという最高出力やニュルブルクリンク北コースを7分8秒で走るという「点」を極め、その裏側の「線」として、使いやすさに繋がる広い回転域で太いトルクカーブを実現したこと。そして奥行きをどう表現していくか? を「ラインマネージメント」と表現し、プレミアムを実現したエクステリア、インテリア、佇まいを「面」としてあげました。それぞれについてもう少し詳しく見ていきましょう。

エクステリアは?

フロント、サイド、リヤと空力特性を大幅に見なおした!

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全体的に迫力感を醸し出しているGT-Rのエクステリアですが、重要なのはスタイルだけではなく、空力特性と結び付けられた機能性の部分といえるでしょう。例えば、フロントグリルはGT-Rらしさを強調するとともに、日産のデザインシグニチャーであるVモーショングリルを採用しています。これは、存在感を示すとともに、パワーアップに対応して冷却効率をアップしたものです。

フロント開口部を広くしながらもCd値削減にも取り組む。

マットクローム仕上げとしてメッシュパターンとなった新デザインのグリルですが、開口部が大きくなっています。2017年モデルでは、出力、トルクとも上がっていますから、当然エンジンの発熱量が多くなっており、それに対応するためです。ただ、やみくもにラジエターを大きくするというのは、走行風がよく当たる高速走行を考えた場合にはメリットが少なくなります。どちらかというと、ラジエターの大型化というのは低速域で効果的な面があり、高速では「そこまで必要ない」という面もあるのです。

今回は高速域もトータルで考えて空力性能を考えたそうです。具体的には空気を上手く使うということに注力したといことになります。風を通すために穴を開けると、冷却性能はアップしますが、それが「壁」にになってCd値が落ちるデメリットがあります。こうなると特に最高スピードや燃費を考えると好ましくありません。その冷却とCd値のトレードオフを「スパイラルアップしていく」ということをテーマとしたのです。フロントに広い開口部があってもCd値やダウンフォースを落とすことなくキープできたのは、下部にリップを装着することで、空気を綺麗に剥離することが可能となったからといいます。これは2013年に出したGT-Rニスモのノウハウを使っているところです。

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フロントからサイドシルに目を移すと、乱流を綺麗にながすことによってサイドの空気の流れを良くする工夫が施されています。サイドシルの前部を張り出させることによって、流線型のフォルムをそのままに、より空力性能を改善しているのです。

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リヤはこれもGT-Rニスモのモチーフを使った立壁(たてかべ)を上手く使い空気を上手く剥離させることを考えています。トレードマークともいえるリング型テールランプは、従来より変わらぬアイデンティティともいえるものとして採用しつつ、新形状のサイドアウトレット、新是ザインのシルバーフィニッシュのリヤディフューザーはバンパー下部によって囲まれ、ここも空力性能を考えたものとしました。このようにして、フロント、サイドシル、リヤとボディ形状全体での空気の流れを再構築したのが2017年型の大きな特徴と言えるでしょう。

インテリアは?

ドライバーオリエンテッド+上質な作りを追求する!

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インテリアデザインは、インパネを中心に全面的なグレードアップを果たしています。ドライバーオリエンテッドでありながら、ひろがりのある空間を目指しました。インストゥルメントパネルは高品質なレザーを使用。ステアリングは新デザインとなりステアリングホイール固定パドルシフトが装着されています。これによりドライバーが手を離すことなくシフトチェンジができる操舵角領域を広くしています。さらに操作力、ストローク量に加えて、操作時のクリック感も最適化したという凝ったものとなりました。日産はGT-Rを「マルチパフォーマンスのスーパースポーツ」と位置づけていることもあり、いつでもどこでも常に高性能な走りを楽しめる装備を施した部分といえるでしょう。

コクピットは安定感を感じさせるようなフラットな流れがあるものとしています。ただ、メーターからセンターコンソールまではドライバーをホールドするような機能性のあるものとして、ドライバーを「その気」にさせる演出となっています。

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スポーツカーとはいえ必需品のナビディスプレイを改良。

付帯的な部分となりますが、ナビディスプレイは従来は7インチだったものを8インチに拡大。大型のアイコンを採用して、わかりやすく使いやすいものとしています。モニター操作は基本は停車時に行うものとはいえ、身体を大きく動かさねばならないと煩わしいものです。そこで今回は、センターコンソール上にITコマンダーを配置し、簡便に操作が可能となっています。

キャビンの遮音も配慮した部分と言えます。外からの音はプレミアムなハンドリング、加速感など快適なドライビングの阻害要因となる場合もあり、ある程度シャットアウトすることを考えました。ただし迫力は感じられるようなある程度の音は感じられるようにキャビンを造り込みました。それは遮音材であったり遮音ガラスであったり、最新のテクノロジーを余すことなく投入することで得られたと言います。

内装色も外装色と同じくビビッドなものです。セミアニリンレザーの内装はプレミアム・エディション専用とし、「アンバーレッド」、「アイボリー」だったものに新色である「タン」と「アンバーブラック」を加えることにより、さらにドライバーの多様な好みに応えるものとしています。

パワーユニット、ドライブトレインは?

今回は気筒別点火時期制御などを採用し、さらなるパワーアップに対処!

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パワーユニットは、3.8L24バルブV6ツインターボで、今回は気筒別点火時期制御という精緻なシステムが採用されました。これによって、北米仕様で最高出力565hp/6,800rpm、最大トルク467lb-ftとパワーアップが図られました。このパワーユニット横浜工場の5名の「匠」により手組みされたもので、「匠」名前が刻まれたプレートが付けられています。

マフラーには、新設計のチタン合金製マフラ(電子制御バルブ付)を採用しました。これはドライビングを興ざめとさせるような不快なエキゾーストノートを排除し、心地良い「エキゾーストサウンド」を目指しているものです。チタン製ということで、走行性能に直結する軽量化を果たすのにも一役買っています。これは室内側からも音量をコントロールできる「アクティブ・サウンド・コントロール」機能も付加されています。


トランスミッションは、改良型6速デュアルクラッチトランスミッションです。スムーズな加速には素早いシフトチェンジとともに円滑さも必要とされます。これは中速から高速域での滑らかなシフトチェンジを図るべく改良されたものとなっています。さらに、変速時のノイズへの対応も行っています。従来、微妙にアクセルを踏み込んだ時にも、ロックアップをしてガツンとつながっていたところを、スムーズに流れるようにするような細かい制御もされており、これも「プレミアム」に相応しいものとなっているそうです。

シャシー、サスペンションは?

詳細は不明ながらボディ剛性アップでしなやかさも求めた!

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今回は具体的な部分には触れられませんでしたが、2017年型モデルでは定評のあるコーナリング性能をさらに進展させたものとなっていると言います。サスペンションをいかにチューニングしても、それを支えるボディの方が頼りないものでは、設計通りの走りをしません。その点を十分に考えた上でボディ剛性の向上。硬すぎることなく設計通りにサスペンションを動かすようにしています。

具体的にはキャビンを「ただ固めればいい」という発想ではなく「どう固めればいいか?」ということを考え、結果として前後の変形量が同じになるようにして気持ちの良い走りを追求したといいます。そうすると気持ちのいい足回りができ、ボディとの一体感が出ると言います。結果としてサスペンションもきっちり仕事をして、タイヤがしっかり使えるようになるわけです。

直進安定性の向上も図られました。これはアウトバーンを走った時にどれくらい修正舵を当てるかなというのが一つの判断基準で、2014年型の半分以下となったといいます。これで高速で飛ばすときの安心感を確保しました。

ホイールには「Y字スポーク」アルミ鍛造を採用しました。これも単にファッションということではなく、路面とタイヤの接地性の向上を図るとともに、高速走行安定性を確保することに一役買っているのは間違いないでしょう。

主要諸元

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【エンジン主要諸元】※北米仕様
型式 VR38DETT
種類 DOHC
シリンダー数 V型6気筒
総排気量 3.8L
最高出力 565hp/6,800rpm
最大トルク 467lb-ft/3,300-5,800rpm
【主要諸元】
全長 4,710mm
全幅(ドアミラー除く) 1,895mm
全高 1,370mm
ホイールベース 2,710mm

まとめ

チーフ・プロダクト・スペシャリストの田村氏は「最高のパフォーマンス、より洗練されたスタイリングとともに輝かしいレースの歴史を持つ究極の『NISSAN GT-R』と自信ももってユーザーに届ける」と締めくくりましたが、レースでの活躍は大いに期待したいところです。

過去を振り返れば、1989年にR32GT-Rがデビューして早27年が経ってしまいましたが、すでにモータースポーツ誌の新米として働いていた私には鮮烈な印象となって覚えています。編集部でもデビュー直後に関東ジムカーナフェスティバルに参戦したGT-Rを密着? レポート。タイヤ以外はノーマルの状態で強豪を抑えていきなり優勝してしまいました。おそらく、これがR32GT-Rの国内イベント1勝目となると思います。ジムカーナというのは、「ターン」で勝負が決まってしまうようなところがあり、それまで4WDでは無理(不利ではなく)と言われていたターンを綺麗にこなす姿に、トルクスプリット4WDの威力を魅せつけられた気がしました。

ことモータースポーツに限ってみるとR32GT-Rで終わってしまった感もありますが、スーパースポーツカーという意味では、GT-Rの進化はとどまることなく続いてきました。今回は試乗記はお届けできませんでしたが、機会があればぜひご紹介したいと考えています。

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