ホンダ ライフ・ステップバン 先取り20年の早すぎた元祖軽トールワゴン

時代の先駆者「ホンダ」は、時代が「トールワゴン」の機能美に気付く20以上も前に「遊び心」をプラスして市場に送り出していました。「軽トールワゴン」の原型モデル「ライフ・ステップバン」に迫ってみたいと思います。

「Life・StepVan(ライフ・ステップバン)」

「Life・StepVan(ライフ・ステップバン)」は、1972年から1974年にかけて本田技研工業が生産していた軽自動車で、当時の乗用モデルの「ホンダ・ライフ」のプラットフォームを使用したセミキャブオーバータイプの軽規格のライトバンでした。そして、1990年代に登場して爆発的なヒット作となった「スズキ・ワゴンR」から始まった、現代では軽自動車の主流となっている「軽トールワゴン」の原型モデルといってもいいモデルです。

先進的なエクステリア

現在では、ほとんどのモデルがトールワゴンというパッケージを使用していますが、当時の軽自動車のモデルの中では、異色を放っていた「軽トールワゴン」として1972年に登場しています。フロントデザインは、独立したボンネットに丸目2灯式ヘッドライトと四角いグリルをセットし、「HONDA」の文字をロゴとして飾っています。ボディ全体は、当時の軽規格が全長3,000mm、全幅1,300mm、全高2,000mmと定められている中、軽商用車並みの全長2,995mm、全幅1,295mm、全高1,620mm、としていました。

荷台としても使用できたフロアパネルとリアゲート

ドアの数も4枚として前後の搭乗者が乗り降りしやすいデザイン、シート高も乗降しやすい位置にセットされて、リアシートは折りたためばフラットになり荷台としても使用できるように設計が行われていました。またウィンドウを多くしリアのハッチは上下分割タイプにすることによって、商用車としてはもちろんアウトドアなどでも使い勝手の良い、遊び心満載のデザインでした。

機能美溢れるインテリア

インテリアは、メーター類をダッシュボード中央に配置したセンターメーターを採用していました。またセンターメーターの下にステレオや空調パネルが配置されています。そして、ダッシュボードもフラットなデザインとして机として使用することもできたため商用車オーナーに好評でした。このセンターメーターのダッシュボードデザインは、機能重視にもかかわらず、今見るとシンプルさがオシャレなデザインといえます。セダンモデルの「ホンダ・ライフ」のプラットフォームを使用していたために駆動方式をFF方式のままとすることで室内の居住空間も広々としたものにしていました。

堅実なパワートレイン

「ホンダ・ライフ」のパワートレインをしており、走行性能は軽貨物ながらセダンモデル同様のポテンシャルを発揮しました。ボディの重量が増しているためフロントのストラット式、リアのリーフリジット式のサスペンションの見直しが行われておりスプリングは硬めにセッティングされています。ホイールベースもセダン同様にしているために直進安定性も保持していました。そのエンジンに組み合わされているトランスミッションは4速MTでブレーキシステムは前後ドラムブレーキが採用されていました。

ツインキャブレターは貨物車に必要なのか?

エンジンは、当時2サイクルエンジンが主流な中で4サイクルエンジン、排気量356cc 水冷4サイクル 2気筒 OHC エンジン(EA型)を搭載していました。メカニカルもバランサー付きクランクシャフト、特殊ゴム製のタイミングベルト、OHCヘッドによる使用パーツ点数の縮小などによって静粛性を向上させていました。また特殊合金を使用したバルブシートを採用していたためにレギュラーガソリン使用となっています。燃料供給方式は、ツインキャブレターとなっていました。このような仕様で圧縮比8.8:1から最大出力30PS/8,000rpm、最大トルク2.9kgm/6,000rpmを発生していました。

主要諸元

エンジン:356cc 水冷4サイクル 2気筒 OHC エンジン(EA型)
最大出力:30PS/8,000rpm
最大トルク:2.9kgm/6,000rpm
圧縮比:8.8:1
トランスミッション:4MT
速駆動方式:FF
サスペンション:F ストラット/コイル R リーフリジット/コイル
ブレーキ:F/R ドラム
全長:2,995mm
全幅:1,295mm
全高:1,620mm
ホイールベース:2,080mm
トレッド:F 1,130mm R 1,110mm
車両重量:605kg

「Life・StepVan(ライフ・ステップバン)」の中古車相場は?

すでに40年以上も前に生産されていたビンテージカーです。しかも、当時のホンダが目標にしていた月間生産台数は2,000台、そして生産年数は2年ほどです。中古車として出回ることも少ないのが現状です。当時の新車価格はオプション付けても40万円以下でしたが、現在の中古車相場は50万円以上のプライスがついておりプレミア価格となっています。状態の良い個体を探すと100万円前後が相場となっています。

「Life・StepVan(ライフ・ステップバン)」カスタム

カスタムパーツというよりもオリジナルのデザインを崩さずに、ホイール交換やローダウン、カラーリングの変更程度のカスタムでオシャレに乗るオーナーがほとんどです。手抜きのない機能美と遊び心あふれるデザインを壊さず乗るのが良いクルマです。

まとめ

「Life・StepVan(ライフ・ステップバン)」は、振り返ると革新的アイデアが詰め込まれた「ホンダ」らしいモデルでした。しかし、登場が早すぎ時代を20年くらいは先取りしていたことになります。今見てもオシャレに感じるのは、妥協のない機能性に遊び心を忘れずに設計したところにあります。この「名車」をリメイクして復活してくれることを望みます。