【シボレー タホ】でかすぎる!だからありがたい!? 日本からはみ出すフルサイズSUVの中身とは?

遠目から見ていると、アメリカ人の文化というのは大きく力強くあることこそが、根本的な正解だと考えている様に思えます。と言うか、無理な程小さい空間に部品や道具を詰め込んであまったスペースに人間がきっちりはまり込むなんてこと、およそ理解できないと彼らは考えているのかも。ともあれ、自動車の世界ではシボレー タホのようなフルサイズSUVと呼ばれる車が、世界中にアメリカの良さをアピールしているんです。

全3世代があるシボレー タホの系譜

ハリウッド映画の中でも、NSAとかFBIのエージェント連中は、かならず黒塗りの大型SUVでやってきます。そんな風にずっと以前から、数人以上の大柄な男性を載せても十分に走る巨大なクルマは、映像文化の中でもアメリカ感を演出するアイテムでした。そして、そのSUVの代表的な一台であるシボレー タホですが、実は20年以上前の1992年に初登場したクルマだったんです。

1992年から2000年までのモデル

実は、シボレーの親ブランドであるジェネラレル・モーターズから販売されているユーコンというSUVが、シボレー タホと言わば兄弟関係にあるクルマなんです。シボレーが、もともとはブレイザーと呼んでいた2ドアの大型SUVが1992年にプラットフォームの入れ替えを受け、フルサイズ版へ進化したのが今のタホの始まりでした。
とは言え、ブレイザーとう名前をタホへ改めたのは、1995年に4ドア版を追加した時です。ちなみに、この名称『タホ』は、カリフォルニア州とネヴァダ州の境目にある大きな湖レイク・タホから取った名前です。この時に導入された新しい車台(プラットフォーム)は『GMT400』というタイプ。しかしこれは乗用車向けではなくピックアップトラック用のプラットフォームで、トラックのフレームに車体を被せるという方式が、今でもこのサイズのSUVには好まれる要素だそうです。
この代に使用されたエンジンは、シボレー製の直列6気筒4.1Lをはじめとして多彩です。ガソリン燃料としては、同じくシボレーのスモールブロックV8OHVの5.7Lが搭載。ディーゼルとしては、シボレーの6.5LOHVデトロイトディーゼルV8(ターボ)、そしてMWM社製ターボディーゼル4.2Lなどです。みな、全長が5,055 mm(5ドア)もあるフルサイズの車にふさわしい大型エンジンと言えるでしょう。これらに組み合わされたトランスミッションは、5速MTおよび2種類の4速ATです。また、このモデル初期の頃から、FR&4WD二通りの駆動方式を備えていたのが、シボレー タホです。

2000年から2006年までのモデル

2000年になると、あたらしい『GMT800』というプラットフォームに新型のV8エンジン2種類を載せ、シボレー タホはフルモデルチェンジを受けます。この新型エンジンは、ダウンサイズしつつも出力をアップしたという、以前より高効率を達成したものでした。形式はすべてV8で、排気量は4.8L(出力205kwから220kw)および、5.8L(出力209kwから220kw)。両方のタイプに、エタノール混合燃料も使えるフレックスフュエルが選べました。これらのエンジンは全て、燃焼室内に過流を発生させ燃焼効率を改善するという、当時の最新技術『Vortec』を使ったものだそうです。また、この代のタホはマニュアルトランスミッションを廃止して、すべて4速ATとなっています。
『StabiliTrak』と言う呼び名の、車体姿勢制御がタホにはじめて投入されたのも、この2代目です。

2007年から2014年までのモデル

いわゆる、サブプライムバブル崩壊と前後して発表された3代目のシボレー タホは、それでも予想を上回る売れ行きを示しました。あいかわらずピックアップトラック用でしたが、新型となった『GMT900』プラットフォームに載せられた動力源は全てV8ガソリンの8種類です。排気量は、4.2L / 5.3L / 6.0L / 6.2Lの各タイプが用意されています。
この2007年モデルは発売前に、あの超有名実業家ドナルド・トランプ氏がホストを務めるテレビ番組『ジ・アプレンティス(The Apprentice)』の中で、その題材として扱われ話題となりました。番組では、新型タホに関する知識を二組のチームに競争で探求させたり、あるいは新型タホを賞品にして手作りCM動画のオンラインコンテストなどが企画されたそうです。後者のコンテストでは、フルサイズSUVの環境に対する負荷を揶揄した内容のネガティヴな動画も数百件投稿されるなど、なにかと物議を醸したとのことです。

ハイブリッド版もあるシボレー タホ

2008年には、ゼネラルモーターズがダイムラーやBMWなどと共同開発したハイブリッドシステム、『Advanced Hybrid System 2』が、シボレー タホおよびGMCユーコンへ投入されています。このシステムはオートマチックトランスミッション内に、モーターとエンジンのトルクを結合する遊星歯車(プラネタリーギア)を設置しているタイプで、どちらかと言うとトヨタ プリウスの機構に近いです。と言ってもGM版のシステムでは、遊星歯車に複数のギア比を仕込んだという、それはそれで手の混んだ感じがするシステムになっています。
このシステムの導入により、ノーマル動力のタホが最高でも6.2km/L程度の燃費であるところを、約9km/Lまでの改善を実現しました。まぁ、60kw級の電気モーター二つと組み合わせても、このハイブリッド内部で使用するエンジンが6.0LでV8OHV、出力が248kwというデカブツなので、ドラスティックな数値にならないのは仕方のないところでしょう。

パトロールカー、そして従軍車両としてのタホ

映画の中で、冷徹なエージェント達の一団が逃げる主人公を猛スピードで追跡する。このフルサイズSUVシボレー タホにはそんな車のイメージがある、と先述したのですが、実はそれはリアルの用途でもあります。1997年にトラックのサスペンションを換装した『9C1 police option』というモデルを発売して以来、警察を含めた司法保安関係さらには救急救命車両などの公共用途にも多く採用されてきたのが、このクルマなのです。
SUVとしては当然所望されるだろう4WDの車体、シボレーではこれを『SSV(Special Service Vehicle)』と呼称しており、意味は高速での追跡任務を除く全ての用途に使用可能な自動車です。なぜ高速での行動を除くかと言えば、4輪駆動にするとどうしても重心が高くなるからです。したがって例えば、超高速でのカーチェイスも想定されるハイウェイパトロールなどでは、2WDのタホが多く採用されるのだそうです。とは言え、数多くある公共任務用SUVの中でも高速チェイスでの使用が可能なモデルも、シボレー タホだけとのことです。
そして、タホにとってもう一つの公務用途が軍用車両です。GMの元一部門でハマーなどを作っていた『AM General』が、タホを含む数種類の車に6.6LのV8ターボディーゼルを換装して仕立てた軍用モデルは、『LSSV(Light Service Support Vehicle)』などと呼ばれています。トランスミッションとしては4速と5速のオートマチック、車体は2ドアおよび4ドアが採用されました。もちろん、その外装は迷彩塗装に代えられ電気系統も12Vと24Vの2通りが装備していたり、ダッシュボードにはこの用途に合わせたコントロール系やデーター表示なども追加されているそうです。

最新シボレー タホの魅力

最新のシボレー タホは、2014年の2月に次世代シルバラードのコンポーネントをベースに設計され、市場へ投入されたものです。一部の噂では、この時シボレーの経営陣にはタホなどのSUVへモノコック構造の車体を与える選択もあったそうです。それでも、トラック系から流れてくるユーザーは、やはりフレームの上にボディーを乗せる構造を好むので、このモデルチェンジでは旧来通りの作り方を踏襲したと言います。
シボレー本社の公式ぺージによれば、シボレー タホに現在用意されているのは、以下の3グレードだそうです。

スタートアップ版の、LS

シボレー タホは、全グレードに2WDと4WDの選択肢があります。中でも、この最もシンプルなグレードである『LS』では、車体希望小売価格が47,000ドル(2WD)から購入可能です。まったくオプションを付けない状態でも、大容量のエンジンオイルクーラーにリアのロック付きディファレンシャルギア(Differential, heavy-duty locking rear)が装備。さらには、所望の車速を自動維持するオートクルーズと低速後退時に超音波センサーが後方を監視するリア・パーク・アシスト(Rear Park Assist)などのドライバーエイドも標準装備。また、盗難防止警報装置や車内に4G LTE対応のWiFiを提供する通信機能などなど、結構な装備が付いてきます。
ほかに内装装備では、8インチのタッチスクリーンを中心にUSBおよびBluetoothを介して外部音楽プレーヤーや、ヴォイスコントロールによる携帯の利用などができる『MyLink』とういのもあります。エアコンは、前の2座席と後部の車室3つのゾーンに分けて温度調整できるオートエアコン、さらに110Vの電気コンセントも標準です。
エンジンは、この最廉価版LSから全車種共通で5.3LのV8が使われトランスミッションは電子制御6速ATで、4輪ABSも全グレード共通の装備になっています。またこのLSを含めた全グレードで、基本価格に3,000ドルのプラスで4WDを追加することができます。

中心価格のLT

希望小売価格52、030ドル(2WD)から購入できるのが、おそらく中心的な顧客層を狙ったこの『LT』グレードです。この仕様になると、前出のLSに加えて設定可能な前後左右の車間距離を監視して状況に応じたアラートを発する機能(Forward Collision Alert)、ハイウェイ上などで車線をはみ出しそうな時に警報を発しステアリングのアシストをする『Lane Keep Assist』が追加になります。さらに自動防眩式のミラーなど、安全装備の方もやや充実してきます。

最上級はLTZ

車体希望価格が61,740ドルから始まる、このシボレー タホ最上級グレード『LTZ』で、最初に目に付くのは『The Magnetic Ride Control』と呼ばれる可変減衰力ダンパーだと思います。その名が示す通り、通常のオイルではなく、磁気により粘性が変化する磁気粘性流体を封入したタイプのショックアブソーバーです。
従来、サスペンションのダンパーは、内部に封入した流体の経路に適当な流れ抵抗を与えて外部から入ってくる伸縮力を熱エネルギーに変換し減衰させています。結果的に、外力の低い周波数成分(ゆっくりした動き)には大きく反応し高い周波数成分には小さく反応する、というダンパーの動的な特性を実現しているのです。
しかしこの特性、ダンパー内部の流路の形状(つまり抵抗)で決まってしまうので、一般的にはそこそこ良さげなポイントを見つけて固定的に設定することになります。これがつまり、時に固すぎまたは柔らかすぎるサスペンションが生まれる、その大きな原因の一つになっています。
そこで登場するのが、可変ダンパーというアイディア。シボレーがタホなどのダンパーに採用した磁気粘性流体は、それを貫く磁束の大きさで粘性を可変できるという優れものです。したがって、それを封入したダンパーの動きを非常にスムーズなものから固いレベルまで、自在に可変できる様になった訳です。
フルサイズSUVとしては、車重も相当重くなりますし搭載する人と物の重量も大きく変わるので、最低地上高なども配慮してサスペンションの設定を決めるのは面倒な作業と想像されます。そんな意味合いにおいても、磁気粘性流体ダンパーがかなり有効ということなのでしょう。

共通のV8エンジン、EcoTec3

シボレー タホのようなフルサイズSUVは、おそらく明確な目的を持つ人しか購入しないだろう、そんな気がします。まぁ、連邦特別捜査官の一団、なんていうのがその典型ということになります。通常の用途で考えるとすると、大量の荷物を抱えた老若男女7人が例えばレイク・タホの湖畔にある別荘へバカンスへ向かうということになるでしょう。そういったアクティビティを頻繁に行う人の目には、やはりタホの巨大な車体は魅力的に映るはずです。
そんな風に明確なターゲットに対して、タホのためにシボレーが提案した動力源は、これまたシンプルに一種類のみ排気量5.3LでOHVのV8です。その出力は355hp(約265kw)、トルクは519Nmを達成しながら気筒内燃料直接噴射や可変バルブタイミング機構を搭載。さらには、『Active Fuel Management』と呼ばれている気筒休止システムなどにより時代にあうような燃費効率を追求しており、米国のEPA(合衆国環境保護庁)が公認した推定値ではハイウェイ走行で23mpg(約9.7㎞/L)の性能を出しています。
そしてその動力性のテストでは、大きなSUVの車体をゼロ発進から7.1秒で60mph(約96km/時)まで加速し、同じ加速で400m通過までが15.6秒という結果が出ています。

【基本情報】
名称:シボレー タホ LTZ AWD
エンジン排気量:5,328cc
エンジン出力:355hp(265kw)/5,600rpm
エンジントルク:383lb-ft(519Nm)/4,100rpm
全長:5,182mm
全幅:2,045mm
全高:1,890mm
重量:2,611kg
ホールベース:2,946mm
サスペンション:ストラット(前)/ マルチリンク(後)

シボレー タホを購入するには?

なんと言っても、その大きさこそが最大のウリ。と胸をはってアピールしてしまうシボレー タホのような車は、とうてい日本の市場には入りきらないものかもしれません。したがって現在のシボレージャパン公式サイトでも、このクルマを選ぶことができないようです。どうやったら手に入るでしょうか?

購入法1:独自輸入業者をあたる

もし、近い将来に関税などの輸入障壁が相当低くなったら、シボレー タホの様な特別なアメ車も購入しやすくなるかもしれません。しかしそれを待たなくとも、今現在ちゃんと輸入してくれている業者さんはいるようです。

たとえば、株式会社ティムスターは『トレンド オート』の販売チャンネル名で、数々のゴツいアメ車を輸入している企業さんです。こちらのサイトを見ると、あくまで予想としながらも目安の価格を知ることができ、例として4WD仕様のLTグレードだと8,300,000円という値段が出ています。加えてこちらでは、8ナンバー車両を1ナンバーや3ナンバーに変更する『構造変更検査』も提案していて、場合によると自動車税がかなりお得になることもあるそうです。

もう一つ、シボレー タホを買える会社として、1991年からアメ車の販売をつづけている、ワーコーポレーションがあります。こちらでは、新車の輸入のみならず、必要なパーツ類全般も週一回の定期便で取り寄せているそうで、購入した後のアフターケアにも安心感を与えてくれます。新車輸入の際は、港でコンテナーから車を取り出す作業も、同社のスタッフの手により行われるというくらいですから、新車輸入のノウハウはかなり高そうですね。

シボレー車の各種グレード、新車価格、装備内容を紹介しています。人気のシボレー タホ、サバーバン、シルバラード、エクスプレス、アストロ、コルベット、コロラド、などを、日本一の低価格で販売できるよう努力しています!

WHAコーポレーションは、愛知県名古屋市・輸入車・アメ車の新車、中古車を取り扱っている販売店です。セコイア、SRXなど人気アメ車を取り扱っています。

中古車市場で探す

先に挙げた輸入業者でも、シボレー タホの中古車が在庫している場合があるようですので要チェックではあります。また、他に広く中古市場を調べてみると、たとえば2015年型のLTグレード4WD仕様で走行距離3.0万kmという車体だと価格818.9万円とか、2009年型のハイブリッドで走行距離が7.6万kmだと価格が395.8万円などもあります。
いっその事、フルサイズSUVをとことん遊び倒してしまおうと言う人には、1999年の4.8Lエンジン車両で28.0万円というのもあります。修理やメンテナンスと共に、自分好みにモディファイするという向きには意外とおすすめかもしれませんね

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結局気になるランニングコスト

日本社会の規格には当てはまらないのが良いところ、と言えるシボレー タホですので、低い維持費を望むこと自体がナンセンスと言えばそうです。とは言え2016年型のタホには、上記のとおりに『EcoTec3』と呼ばれる経済性も配慮した(シボレーいわく実績のある技術を統合して作られた)エンジンが与えられていて、経済性について最大限の配慮もなされています。
2WD仕様の場合、EPA推定燃費が市街地で16mpg(約6.7km/L)ハイウェイで23mpg(約9,7km/L)ですが、国内外のユーザーが出している実燃費はおおむね15mpg(6.3km/L)といった印象です。これを見る限り、実際に使い始めるとガクッと悪くなるなんてこともない、妥当な数値のように思います。

さて、自動車のオーナーが支払うコストには、もう1つ税金というものがありますよね。シボレー タホのように、平気で5.0Lを超えるエンジンを搭載する普通乗用車(3ナンバー)ということになると、年額で8,8000円の自動車税がかかることなります。しかしタホの場合、車体構造はトラックを基本としているので、普通貨物車(1ナンバー)としての登録を模索するオーナーさんも多くいるようです。東京都主税局のページにある表を参考に最大積載量1トン以下で乗用用途の場合で調べると、年額16、000円ということになりかなりな節約が可能のようです。しかし、厳密な登録のノウハウに関しては、先述した輸入業さんなどに確認するべきでしょう。
また2.5トンを超えるタホの重量は、自動車重量税の区分を一つ押し上げてしまいます。この場合、乗用車の当落ですと49,200円(エコカー減税なし)が基本税額です。トラックとして登録できた場合は、12,300円からとなります。

もう1つ気になるのが任意保険。これは、色々な人の話を総合すると、やはり10万円では収まらなそうで、11万円から13万円くらいは覚悟した方がよさそうです。

見た目も大雑把に見える(色眼鏡じゃないと思います)タホのような車は、やはり購入後の故障も気になるところです。聞こえてくる意見としては、パッキン・ガスケット類はマメに点検・交換した方が良い、という話や、エンジンから液体が流れる原因不明の音がするとか、13万kmも走った後のエンジンでミスファイヤ気味、などですが、とりわけ故障が多い部分がある、という話でもないようです。
あのがっちりした車体で、中身が繊細かつ脆弱だったら、SUVとして失格ということかもしれませんが、定期的な点検だけは怠らない方が良い、と、多くのユーザーが考えているようです。

まとめ

日本人が得意とする、節約やもったいないという志向は確かに一つの美徳だと思いますし、今どきの地球環境にとっては無くてはならない価値観です。でも一方で、どうせ生まれたんだから大きくのびのび夢を広げて暮らして行きたいと、誰もが潜在的に思っているはずです。そして、のびのび感を何のためらいもなく表現してくれるのが、アメリカの文化と自動車であるのです。
だから実際、我が国の中にもこのシボレー タホのファンが結構な人数、存在するのだと思います。
まぁ、我が家の駐車スペースには絶対おさまらないし、この車を維持する大変さを考えても個人的な選択肢には上らないのがフルサイズSUV。それでも、「あの大きな車体にアウトドアの道具や飲食物をたんまり詰め込んでどこか遊びにでかけたら結構楽しいのだろうなぁ」などと空想させてしまう、おおらかなオーラを発するのが大型SUVの一番良いところかもしれません。

シボレー タホの公式サイト(英語)