【燃焼系チューニング】効率良く燃やすことで、エンジンの性能を最大限に引き出す!

エンジンは吸入、圧縮、燃焼、排気という4サイクルで動きますが、「良い燃焼」というのはエンジンの性能を語る上で大きなウェイトを占めます。ここでは、燃焼系の仕組みとそのチューニング方法を概観してみます。ちょっと専門的な話も入ってきますが、基本的が原理はそれほど難しいものではないので、イメージだけでもつかめると、エンジンの深い理解のカギになると思います。(飯嶋洋治)

燃焼系のチューニングとは?

比較的とっつきやすい点火系のチューニングは?

燃焼系のチューニングといっても、非常にざっくりとした括り方で、プラグ、プラグコード、点火時期、燃焼のために燃料を噴射するインジェクション、空燃比の問題などが絡んできます。インジェクションとなるとECU(エンジンコントロールユニット)にも触れなければなりません。ひとつひとつ見ていきましょう。

エンジン性能は、「良い吸気」「良い圧縮」「良い火花」がそろうことが重要と言われます。ガソリンエンジンの場合、エンジンの負圧で吸気された酸素は、インジェクターで燃料を噴射されて混合気となるのですが、酸素と燃料が良い割合で混合されると、効率的に燃える状態になります。その後の圧縮行程では、各気筒の圧縮比にばらつきが無く、ノッキング(異常燃焼)を起こさない程度に高いことが必要です。続くスパークプラグによる「良い火花」を主に点火系が受け持ちます。ここから詳しく見ていきましょう。

スパークプラグの選択からはじめよう。

スパークプラグにはさまざまなタイプがあります。使用するエンジンによって、適切な選択をすればエンジンの性能をもっともよく発揮できるとも言えます。チューニングをしたエンジンは燃焼効率が上がっているために、燃焼室の発熱が多くなっています。そうした場合は、高い燃焼温度に耐えられるようにコールドタイプ(冷え型)のプラグを選択するようにします。このタイプは、プラグから熱が逃げやすく、冷えやすい性能を持たされています。逆に、熱が逃げにくく焼けやすいタイプのものはホットタイプ(焼け型)と呼ばれます。

選択の判断は、プラグをエンジンから外して電極をみて行います。正常な焼け具合だったらキツネ色になっていますが、焼けすぎると白っぽくなります。これは電極の材質にも注意が必要です。現在多いプラチナ電極の場合は、周辺が白っぽくなりやすい特徴があります。条件によって判断が難しいこともありますが、よくわかっている人のアドバイスを受けながら、経験を積むのがいいでしょう。

コールドタイプ、ホットタイプは番数によって選択する。

コールドタイプ、ホットタイプは、熱価表示で判断することができます。表示はアメリカ式とヨーロッパ式があります。アメリカ式は数値が大きいほどホットタイプなり、ヨーロッパ式は数値が大きいほどコールドタイプになります。有名なNGKプラグの場合はヨーロッパ式を採用しています。具体的な番数で言うと、ノーマルの熱値は5番や6番が多く、コールドタイプになると7番、8番のように番手が上がってきます。

プラグ交換の価格は1本3千円から5千円くらい。気筒数分だけ必要になるので気をつけてください。工賃は数千円というところだと思います。ただし、プラグレンチとトルクレンチさえあれば自分で交換できないこともないので、チャレンジしてみてもいいかと思います。

プラグコードの選択も効果がある。

プラグコードの交換も自分でやりやすいメンテナンス&チューニング。

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スパークプラグを交換した場合には、プラグコード(ハイテンションコード)も強化品に変えるとチューニングの効果がでやすいと言われます。プラグとプラグコードがセットになっているものもあり、こうしたものの場合は、単品よりも強く安定した火花を飛ばせるように配慮されているといえます。太いプラグコードは電気抵抗が低いので、より多くの電流が流れ強い火花を飛ばすことができます。ただし、皮膜が太いだけということがありますから、中身がどうか? にこだわる必要があります。アースを取ることによって抵抗を低減させているものもあります。

プラグコードは車種別に設定されて気筒分がセットになっていることが多いと思います。1台分で数千円から数万円のものまで幅は広いです。交換工賃は高くても数千円でしょう。これは、DIYでもできる代表的なパーツだと思います。コードを引き抜く際にコード部分ではなく、端子を持って引っ張らないと断線する恐れがあるので、それだけ注意してください。エンジンを掛けたまま行なうとビリっとくるので、エンジンは切って行なった方がいいでしょう。

点火時期とはなにか?

どのタイミングでスパークすれば、もっとも強い膨張圧力を得られるか?

スパークプラグは、燃焼室で回転に応じて最適なタイミングで点火しています。このタイミングのことを点火時期と言います。エンジンの出力は、燃焼圧力によってピストンが押し下げられる圧力の大きさなので、ピストンにかかる力が最大になったところで点火する必要があります。それはエンジン回転数によっても異なります。低回転では、ピストンの速度がゆっくりですから、ぎりぎりまで待って点火しますが、高回転になったときに同じタイミングで点火したのでは間に合いません。当然、早めに点火する必要があります。

そのため、点火システムには点火時期を早めるための自動進角装置が付いています。ECUが普及する前の旧式の方法では、各プラグに電力を配電するディストリビューターという装置の中に取り付けられていました。内部は配電のためにローターが回転しているのですが、そこに遠心式のガバナーがあります。回転数が低い時は閉じたままになっていますが、回転が速くなるとガバナーが開き、その分だけ点火のタイミングを早くする方式でした。現在は、回転数や吸気圧力などをECUが総合的に判断してタイミングのコントロールを行なっています。

回転が上がれば点火時期を早める必要があるが……。

点火時期を早くすれば(進めれば)、ある程度のところまではトルクが増していきます。ただし、進めすぎると、早く点火しすぎるわけですからノッキング(異常燃焼)を起こしてしまいます。こういうときにもECUの制御は便利で、ノックセンサーがノッキングを感知するとECUから点火時期を遅らせる指令が出てエンジンにダメージが及ぶのを防ぐ制御もできます。プラグ、プラグ交換程度では必要ありませんが、エンジンをチューニングして高回転で回るようにすれば、点火時期を進角する必要が出てくる場合もあります。

チューニング費用に関しては、基本的にECUに手を加えなければならないので、ケースバイケースです。点火時期を調整できるサブコン(後述)を使用したとして、本体が5万円から7万円くらい。セッティングで数万円以上は必要になります。そうなると、点火時期だけというのは効率が悪く、後に紹介するようにエンジンチューニングをして全体を見直す方が効率的だと思います。

ECUのチューニングの基本を知ろう。

ECUのチューニングはプロに任せる部分。

電子制御式インジェクションの登場によって、ECUがエンジンにとって重要なシステムとなってきました。ガソリンエンジンへの燃料の供給はかつてはキャブレター(気化器)をもちいて、吸気に対して噴霧することにより混合気を作っていました。これはこれで合理的な機能だったのですが、排気ガス規制(CO、HCに関するもの)に対応することが出来ずに、姿を消していきました。電子制御式インジェクションでは当初は燃料噴射を主に制御しており、ECUの役割も小さかったのですが、時代が進むにつれさまざまな制御ができるECUの役割が大きくなっていきました。前記の点火時期の制御もそうです。ここでは基本の部分だけ触れておきます。

現在のエンジンは、燃料噴射、点火時期の調整をはじめとした制御は、CPU(中央演算装置)、ROM(リードオンメモリー)、RAM(ランダムアクセスメモリー)などにより構成されるECUが行なっています。いわゆるコンピューターチューニングというのはここに内部や外部から手を加えることです。エンジン関連の各所に取り付けられたセンサーは電子信号をECUに送っています。センサーとしては、エアフロー(吸気量)センサー、吸気温センサー、エンジン回転センサー、ノックセンサー(ノッキングを感知すると点火時期を遅らせる)、スロットルポジションセンサー、車速センサー、O2センサー(三元触媒を有効に働かせる)などがあります。

各センサーからの信号を受けてECUがエンジンを最適にコントロールする。

センサーからの電子信号は、あらかじめ設定されたECUのROM内のデータによって、燃料の噴射量、噴射時間、点火時期、排気ガス浄化のためのEGR、アイドル回転数の安定化、燃費を向上させるアイドル回転制御などを行なっています。最高速度や最大回転数もROMのデータで決まってしまうために、それを解除したり、変更するためには純正ROMの書き換えやチューニングROMへの交換が必要になります。またサブコンピューター(サブコン)、フルコンピュター(フルコン)と呼ばれるシステムを使用することにより、ソフトウェア面でのチューニングを行なう場合があります。

それぞれの方法をもう少し詳しくみていきましょう。純正ROMの書き換えは、データ(マップ)をロムライターを使用して書き換えます。これは電子系の専門的な知識とエンジンの専門的な知識の両方を持ってる必要があります。ROM内のマップのデータがどこにあるかは、自動車メーカー、車種によって違っていますので、どこが燃料系か、点火系かなどを判断するには経験が必要です。もちろん厳密にチューニングするためには実走行をしている状況を作り出したり、A/F計(空燃比計)をチェックしたりという作業も必須となりますから、機材と熟練が必要になります。その点では、チューニングROMとして市販されているものが手軽とは言えますが、同じクルマでもエンジンコンディション、チューニング度合いが違うということから、完全に合うというのはなかなか難しい面もあります。

本格的にチューニングするにはフルコンというのが現代の風潮。

サブコンは純正のECUはそのままに、付属的に装着することでECUの制御をコントロールする装置です。サブコンをセンサーとECUの間に割り込ませて、サブコン側の電圧を変化させて、燃料噴射量をコントロールしたりできます。ただ、おのずと調整範囲に限界があり、比較的軽いチューニング(ブースト圧アップなど)したエンジン向けということはできます。エンジンの内部にまで手を加えた場合には、対応しきれないこともあります。

より本格的なチューニングを行なう場合にはノーマルのECUからフルコンの換装が必要になります。フルコンには、初期設定としてエンジンを始動させる程度のデータは入っているものの、その他はチューニングに合わせたデータを、チューナーが書き込んでいく必要があります。専門的な知識、熟練、そしてチューニングに合わせた適正なデータを持っていることも必要とされます。そのため、基本的にはフルコンを製造販売するメーカーは特約ショップを設定して任せるようにしおり、DIYでは難しいという面があります。またレース専用車ならともかく、ナンバー付き車両では車検に通るようにすることも必要で、排気ガス検査に通すことも考えるとやはりDIYでは難しい面があります。

ECUによるセッティングは、市販されているROMを買ってきて付け替えるのが安上がりです。とはいっても5万円から10万円以上はかかります。サブコンは本体が5万円から7万円くらい。セッティングで数万円以上は必要になります。フルコンになると本体は30万円から50万円。セッティングは15万円以上という感じになるでしょう。

空燃比を合わせるってどういうこと?

ガソリンが多ければパワーが上がる…わけではない。

空燃比とは、エンジンが吸気した酸素と、インジェクターが噴射した燃料の重量比のことです。酸素と燃料がもっとも効率良く燃える値があって、これを理論空燃比【ストイキメトリー=ストイキ)といいます。レギュラーガソリンの理論空燃比は、ガソリン1に対して空気が14.7と言われ、「理論空燃比は14.7だね」などというように使われます。空燃比の値が大きくなると、ガソリンに対して空気の量が多くなりガソリンが少なくなった状態で、これをリーン(薄い)と言います。空燃比の値が小さくなると逆にリッチ(濃い)と呼びます。

エンジンの回転数、スロットル開度、点火時期を一定にして、空燃比を徐々にリッチの状態にしていくとどうなるでしょう? 実はトルクがある程度までは増大していき、それから低下していきます。そのピークに空燃比をセットするのが出力的にはもっとも良い値で、これは12から13.1になります。これを出力空燃比と言います。市販車のエンジンの場合は、排気系に装着されている三元触媒が理論空燃比のときに、最もよく排気を浄化しますから、リッチの状態で走行していいると、触媒自体にも良くありませんし、燃費も悪化します。

走行中のエンジンは、一定の空燃比を保っているわけではなく、走行条件に応じてリッチ傾向になったりリーン傾向になったりしています。こうした空燃比の設定も現代のエンジンは電子制御されています。エンジンチューニングをして、吸入空気量が多くなった場合、それに合わせて燃料噴射量も増やさなければなりません。これもまたECUのチューニングや次項で解説するインジェクターのチューニングとも関連してきます。費用はECUチューニングに準じると考えればいいでしょう。

インジェクターの吐出量は吸気量に応じる。

インジェクター交換は吸気系チューニングにマッチさせる。

エンジンは、適切な空燃比を保つことが、効率を良くするために必要です。吸気系のチューニングを行なった場合(特にターボによる過給圧アップなど)、それに合わせて燃料噴射量も増やす必要が出てきます。そうしないと、パワーアップできないだけでなく、エンジン破損の恐れもあります。インジェクターのチューニング方法には、噴射量の多いインジェクターに交換する方法がとられます。インジェクターを交換した場合には、フューエルレギュレーターとフューエルポンプをセットで見直すことも必要です。フューエルレギュレーターを変更することでも燃料の吐出量は代わります。これは燃料圧力をコントロールする装置ですが、高すぎても低すぎてもよくありません。もちろん、インジェクターを変更した場合にはECUのチューニングも必要になります。

インジェクターのみの価格で見れば、セットで5万円から数十万円まで。交換費用は一概には言えませんが1万円から数万円ということになると思います。もちろんECUのチューニングも必要になってくるので、その分が上乗せされます。

まとめ

いかがでしたでしょうか? ちょっと難しかったかもしれません。こういうことは一度に完全に理解しようとするのではなく、気になったところだけでも繰り返し読んでいると、なんとなく全体像がつかめたりするものです。もちろん、機会があれば自分のクルマの燃焼系(はじめは点火系であるプラグやプラグコードなどのとっつきやすいところから)を気にしてみると、より興味が湧いてくるように思います。

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