駆動方式の違いによるクルマの特徴を徹底分析!FR、FF、MR、4WDの特性を知り、違いの分かるオトナに!

「最近はFFばかりでつまらない」「クルマはやはりFR」「スポーツカーならMRだ」などクルマ好きは話していたりしますが、本当のところ、それを十分に理解している自信はあるでしょうか? なんとなくFFはファミリーカーっぽいからとか、ロードスターはFRだから……などとイメージで言っていることも多いように思います。今回はそんな駆動方式に関するウンチクを紹介します。(飯嶋洋治)

駆動方式とは?

駆動方式はエンジンと駆動輪の組合せで決まる。

駆動方式とは、エンジン搭載位置と駆動輪の関係で表されます。エンジン搭載位置にはフロント、ミッド(シップ)、リヤの3パターンがあります。駆動輪はフロント、リヤ、4WDの3つのパターンがあります。その組合せでFR(フロントエンジン/リヤドライブ)、FF(フロントエンジン/フロントドライブ)、MR(ミッド/リヤドライブ)、RR(リヤエンジン/リヤドライブ)があります。4WDの場合は、フロントエンジンが多いですが、特殊な例でミッドシップ4WDやリヤエンジン4WDがあります。

どの駆動方式がベストということはなくケースバイケース

このエンジンの搭載位置とどのタイヤを駆動するか? ということが、ある程度クルマのパッケージと操縦性を決めてしまうために、今までさまざまなトライが行なわれてきた中で、現在の駆動方式が残っています。つまりベストはどれか? というと、ケースバイケースでオールマイティなものはないと言っていいでしょう。4WDがオールマイティとはいえるのでしょうが、コストが高いものになりますから、お金の問題もあります。さらに駆動方式に寄ってスタイルもある程度制限されますから、好みの問題などを含めると、一概には言えません。ここから、その駆動方式によるクルマの特徴を解説していきます。

駆動方式の種類と特徴・特性:FR

FRは古典的な駆動系式であるとともに、今でも根強い人気がある。

かつて主流で今も根強い人気のある駆動方式です。FRというのはフロントエンジン(F)・リヤドライブ(R)の略となります。フロントのボンネット内にエンジンを置いて、通常はそれとつながるトランスミッションからリヤに向かってプロペラシャフトが通っています。プロペラシャフトはリヤデフにつながり、左右のリヤタイヤに駆動力を分配するようになっています。基本的にシンプルな作りであり、フロントは操舵だけで済むなど、技術的にも難しくないことから普及しましたが、大きなエンジンだと、室内スペースが制約されること、フロントからリヤにかけてプロペラシャフトが通るということで、室内にセンタートンネルができるので、スペース効率的には今ひとつといえます。

操縦特性は、フロントに重量物があるのでコーナリング初期にアンダーステアが出やすいという面はありますが、しっかり荷重をかければ、ターンインもさほど難しいものではありませんし、一旦コーナリングに入ればリヤタイヤが駆動することで、アクセルコントロールでリヤタイヤを制御できるというメリットがあります。簡単に言うとパワースライドやその延長線上でドリフト走行もしやすいために、今だに強い支持を得ている面もあります。本格的にスポーツ走行するにはLSD(リミテッド・スリップ・デファレンシャル:差動制限装置)が必要になりますが、これは別の機会に解説します。

駆動方式の種類と特徴・特性:FF

FFは英国のミニが乗用車としての実用性の高さを実証した。

フロントボンネット内にエンジンがあり、フロントタイヤを駆動する方式です。現在では横置きエンジンで、直列に装着されたトランスミッションとデフから左右にドライブシャフトが出て、前輪を駆動する方式(ジアコーザ式)が主となっています。英国のBMC(ブリティッシュ・モーター・カンパニー)の技術者であるアレック・イシゴニスは、ミニ(オースチン7/モーリス・ミニ・マイナー)を設計して、FFのコンパクトなパッケージングの優位性を示しました。この方式はエンジンの下にトランスミッションが来る2階建て方式でした。また富士重工業やアウディなどは縦置きエンジンのFFを製作しています。

いずれにしてもボンネット内でパワーユニット、ドライブトレインが完結するために、スペース効率に優れるのがメリットです。このFF方式は戦前からありましたが、フロントタイヤが駆動しながら操舵も行なわなければならないということから、当時の技術では難しいものがありました。一般的に普及していくためにはドライブシャフトの等速ジョイントの開発、信頼性の向上までまたなくてはなりませんでした。初期のFFがステアリングの切れ角が少なかったのも、こんなところに一因があります。

初期のクセのある操縦性も現在では大分改善された。

操縦特性は、主要部品がボンネット内に集中するためにフロントヘビーになることや、コーナリング中にアクセルオンをするとアンダーステアになってしまうこと、アクセルオフをするとオーバーステアになること(タックイン)、さらに左右のドライブシャフトが不等長の場合、急加速をするとハンドルがとられるトルクステアが出ることなどが問題視された時期もありました。ちなみに、トルクステアの面では富士重工などの縦置きFFは等長ドライブシャフトとなることで解決できるメリットがありました。ただし、横置きの方がスペース効率では良くなります。現在では、サスペンションやボディ全体の適正化により、FFの操縦性のクセは大分影を潜め、スポーティで乗っていて楽しい車種も増えています。

駆動方式の種類と特徴・特性:MR

MRは操縦性を再優先したスポーツカーのための駆動方式。

エンジンを後輪の前、ドライバーの後ろに搭載してリヤタイヤを駆動する形式です。FFと同様に横置きエンジン、縦置きエンジンがあります。ホンダS660は横置きミッドシップです。形式的には後部座席となるところにエンジンが来てしまいますから、必然的に2シーターとなってしまうことがほとんどです。少数ですが4シーター(2+2)の車種も存在しています(ランボルギーニ ウラッコなど)。

エンジンの搭載方法について、もうちょっと解説しておくと、イメージとしては縦置きの方がよりスポーツカーらしい…という面はあります。フォーミュラカーなどの純レーシングカーも基本は縦置きです。ただ、横置きの方が重量物を中心にまとめられるという面ではより「ミッドシップらしい」とも考えられます。この場合、FFのパワーユニットを使えば、比較的安価にMR車ができるというメリットもあります。かつてのフィアットのX1/9やトヨタMR2がこの方式と言えます。ホンダNSXも横置きミッドシップとしていました。

操縦性に関しては本格的なレーシングカー(F1、スポーツカーなど)がこのレイアウトを取っていることを見てもわかるように、速く走ることには適していると言えます。重量物が中心に寄っていますから、回頭性がよくなる=コーナリングの際に自転しやすくなるということです。ただし、その分ピーキーとなり、テールを降りだした時には即スピンなどということもあり、繊細なドライビングと素早くステアリングワークが求められるということでもあります。

駆動方式の種類と特徴・特性:RR

RRはテールが振り子のように振り出すマニアック? な特性。

リヤ(後輪の後ろ)にエンジンを置いてリヤタイヤを駆動する形式です。初代のワーゲンビートルや911系のポルシェがこの形式を採用しています。メリットは発進加速時に荷重のかかるリヤタイヤよりさらに後ろにエンジンがあることで、トラクション(駆動力)がかかりやすいということと、後部座席が事実上設けられないMRよりは、後部座席を設置しやすいことなどがあげられます。

操縦性はリヤに重量物があるということからオーバーステア傾向になることがあります。特にポルシェでは、振り出したリヤをカウンターステアでコントロールして走るドライバーを「ポルシェ使い」と称して、優秀なドライバーの代名詞のように言われることもあります。また、急制動した場合には4輪にバランス良く荷重が配分され、安定してスピードダウンできる面もあると言われます。

駆動方式の種類と特徴・特性:4WD(AWD)、ハイブリッド4WD

4WDは走破性に富み、オールマイティに近い。

4WDとかAWD(オールホイールドライブ)とか言ったりしますが、4輪車の場合、4輪とも駆動する形式です。ここでは乗用車タイプの4WDを解説します。エンジンはフロントに搭載する場合が大多数ですが、ポルシェ959はリヤエンジン4WD、ラリーで活躍したランチア・デルタS4やプジョー205ターボ16はミッドシップ4WDで高性能を発揮しました。ポルシェの場合は「ここまでリヤエンジンにこだわるか!」と思ったのですが、パリ~ダカールラリーなどでの活躍は鮮烈でした。4WDは、トラクション(駆動力)がかかるという面では素晴らしいのですが、システムが大掛かりとなることで、車両重量がかさむという問題があります。

システムもいくつか種類があり、スバル・レオーネなどの初期の4WDでは、パートタイム4WDといって、2WDと4WDを切り替える方式をとっていました。この場合、センターデフがないいわゆる直結4WDとなってしまうために、タイトコーナーでは曲がりづらかったり、エンジンが止まってしまう「タイトコーナーブレーキング現象」という問題がありました。

センターにビスカスLSDを採用することで、さらに乗用車として乗りやすくなった。

その後、アウディ・クワトロがセンターデフを装着した「フルタイム4WD」を出してきました。これでタイトコーナーブレーキング現象はなくなりましたが、今度は1輪がスリップしてしまうと、どのタイヤにも駆動力が伝わらなくなってしまい、滑りやすい路面では不都合だったため、センターデフロック機構を装着してそれを解消していました。その場合はタイトコーナーブレーキング現象が起きてしまいます。さらにビスカスLSD付きセンターデフが装着されることによって、問題が解決されていきました。その他、ランサーエボリューションやインプレッサWRXなどの中には電子制御式センターデフを持っているものもあります。

一般的に操縦特性はアンダーステアが強く、FF車に近いものになります。ただし、スカイラインGT-R(R32)などが登場すると、そういうイメージが少なくなってきました。これは「ATTESA E-TS(アテーサ イーティーエス)」と呼ばれる電子制御のトルクスプリット機構で、前後のトルク配分を0:100から50:50まで変えることが可能で、曲がりやすい4WDとなりました。ですから4WDの操縦性は「システムに依る」というのが正しいと思います。

現在は、エンジンと電気モーターを利用したハイブリッド4WDというシステムも登場しています。フロントはエンジン、リヤが電気モーターでサポートというスタイルがスタンダードですが、中にはホンダ レジェンドのように、3つのモーターを持ち、駆動輪を前輪、後輪、4輪と切り替える機構もあります。これは後に解説します。

FRの代表的な車種

マツダ ロードスター

もはや世界的なライトウェイトスポーツカーとなってしまったマツダ・ロードスターですが、もちろんFR方式を採用しています。マツダ的には、フロントアクスルの後ろにエンジンを持ってきている「フロントミッドシップ」という呼称を使っています。2015年に登場した新型ロードスターでは、エンジンを1.5Lにダウンサイジングしながらも、軽量化しながらも高剛性としたボディや、エンジン位置、ドライビングポジションの最適化、サスペンションの作りこみで高い評価を得ています。アクセルでリヤをコントロールすることに特化したクルマと言ってもいいのではないかと思います。

現実的にロードスターのパワーを考えると、タイトコーナーでもないかぎり、アクセルオンだけでテールを振り出すのは難しいのですが、比較的高いスピードからブレーキングドリフトにもちこみ、弱カウンターを当てながらリヤをアクセルでコントロールする……の楽しみ方ができます。純正でトルセン(トルクセンシング)LSDが付いているのを選べるのもマニアックです。「速さ」という観点で考えると、現在の熟成されたFFの技術と、ロードスターという屋根が無いスタイルのために、バックボーンフレームを使用しなければならいので、同じサイズのクローズドボディに比べると重量がかさむという面があるのですが、ドライビングの楽しみに特化したクルマと言っていいと思います。

トヨタ クラウン

日本の高級セダンの代名詞ともなっているクラウンはFRを採用しています。クラウンにかぎらず高級セダン系はFRを採用している場合が多くなっていますが、その理由のひとつにはハイパワーエンジンを搭載しているというからという面があります。ある程度のパワーになると、そのパワーを路面に確実に伝えるには、加速時に荷重がかかるリヤを駆動した方がいいと言えます。また、一般的に高級車となると直列6気筒やV型8気筒以上という長いエンジンを搭載することになりますから、事実上横置きが難しく、縦置きにした結果、リヤ駆動が妥当と判断したとも言えます。

クラウンの場合は、2.5L直列4気筒エンジンなので、横置きもできるとも考えられますが、ハイブリッドシステムの設定もありドライブトレインにモーターが組み込まれることを考えるとやはり縦置の方が有利となります。車両サイズ自体も大きくなりますから、わざわざ横置きにして室内スペースを稼がなくても大丈夫という面もあります。ただ、アウディなどはDセグメントのA4でもFFを設定していますから、必ずしも高級セダン=FRでなければならないということではありません。特にクラウンクラスともなると、テールスライドしたくてもVSC(ビークル・スタビリティ・コントロール)が働き、姿勢を安定させてしまいますから、アクセルコントロールを楽しむためのリヤ駆動という面は少なくなります。

FFの代表的な車種

ダイハツ コペン

ダイハツのオープン2シーターの軽自動車です。搭載されるエンジンは直列3気筒インタークーラーターボ。サスペンションはフロントがストラット、リヤがトーションビームという軽自動車としてはごくスタンダードなものです。エンジンは横置きでフロントを駆動するわけですが、操縦性はよくも悪くも古典的なFFという感じです。ちょっと不整地などでアクセル全開にすると、結構強力に加速しますから、ステアリングにしがみついていないとどこに飛んで行くかわからないというのは、「これぞFF!」というイメージでしょうか? ただアクセルのオフでのタックインなども顕著に出ますから姿勢の制御も可能で、FFに乗り慣れた人にはかえって楽しいクルマと言えるかもしれません。お洒落だけど、本気をだすと速いというのが、乗った時の印象でした。

スズキ アルト

昨年、プラットフォームから一新されたアルトは、洗練された乗り味となりました。パワーユニットの変更や、新設定のプラットフォームとサスペンションによって、あまりFFということを感じさせない仕上がりとなっています。これは走りに特化されたアルトワークスに関しても基本的に同じように思いました。もちろんワークスの場合、サスペンションの味付けはスポーティな方に振ってはいますが、かつてのじゃじゃ馬的な要素は、一般的な峠道程度では影を潜めているようでした。サイズや速さ、価格などを考えると、ドライビングテクニックの基礎を磨くにはマニュアルのワークスが適しているように思います。

ホンダ シビック(タイプR)

シビックもそうですが、「FFのスポーツカー」というのを世に送り出してきたのがホンダでした。特に初代のシビックタイプRは、1.6L直列4気筒ながらVTECを採用したパワーユニットの素晴らしさ、コーナリング性能の高さで、同クラスのFRを寄せ付けない速さを見せました。モータースポーツで使うならば、FFだとかFRだとか言う前に、シビック、あるいはインテグラでなくては勝負にならなくなってしまったと言えるでしょう。ちなみにVTECエンジンというのは、シリンダーヘッドに可変バルブタイミングリフト機構が備わるために、重心が高い上に重くなり、けっして操縦性に良い影響を与えるものではありません。ただしその辺はFFを知り尽くしたホンダのサスペンションの作りの良さからか、コーナリングスピードの高さは特筆されるものでした。FFのクセも良く抑えられていたと思います。残念ながら、その後、2代目、3代目となるにつれて、その尖った部分が少なくなってしまいました。

現在の4代目シビックタイプRはドイツ・ニュルブルクリンクの北コース(ノルドシュライフェ)最速を目指して作られ、7分50秒63というFF最速のタイムをマークしています。エンジンは2.0リッター直列4気筒のVTECターボ、6速マニュアルトランスミッション、電子制御のアダプティブ・ダンパー(ショックアブソーバー)システムなどでFFでは最速のクルマといっても過言ではないでしょう。私は乗ったことがないので、操縦性は推測の域を出ないのですが、おそらくFF的なクセは皆無になっているのではないかと思います。

トヨタ プリウス

すっかりFFのベストセラーカーとなった感もあるハイブリッドのプリウスですが、ハイブリッドにできたということが、FFのスペース効率の高さを示しているとも言えます。操縦性に関しては、あまり芳しい評判を得ていませんでした。どちらかというと、かさばるハイブリッドシステムと駆動用バッテリーをどこに効率よく搭載するか? が重視されて、走りの煮詰めは後回しにされてきたように思えます。ただ、4代目プリウスになって、ようやく走りを前面に出してきたようです。パワートレインを下げることなどによる低重心化、リヤは先代までのトーションビームからダブルウイッシュボーン式サスペンション(フロントはストラット式)を採用するなど、トヨタのやる気が見えてきます。私自身はまだ乗っていないのですが、ちょっと期待したいところです。

MRの代表的な車種

ホンダS660

待望のホンダのミッドシップオープンとして登場してきたS660。スタイリングの斬新さや、ユーティリティは犠牲にしても走ることのみに特化した思想は、ホンダならではと言えるかもしれません。走っても、もちろん楽しいのは間違いないのですが、さすがミッドシップで回頭性が良い! とまで感じられるような設定ではありません。鈍いということではないのですが、「割りと普通」というのが乗ったときの印象です。むしろ、ミッドシップの鋭さを前に出してしまうと、乗り手を選ぶことになってしまうので、あえてそういうセッティングにしているのかもしれません。もちろん、軽さや、操作系の自然さ、そして後ろから聞こえてくるエンジン音は、スポーツカーに乗っている! という気分を高揚させるものです。

RRの代表的な車種

ポルシェ911

RRといえばポルシェ……という定番です。もっともフェルディナンド・ポルシェ博士は、ポルシェ911の先代にあたる356ではMRを考えていたものの、居住性の確保のためにRRで妥協したという面もあります。リヤにエンジンがあるということは、基本的にはフロント荷重がかけづらく、コーナリングに入って遠心力がかかるとリヤが出やすく、アンダーステアから強オーバーステアになりやすいということで、決して操縦性的に有利ということではありません。

ただし、リヤのトラクションは良いですから、ドライビングテクニックのある人が、上手くリヤをアクセルでコントロールして走ると素晴らしく速く走ります。ブレーキングも、フロントにエンジンがあると極端な話、常に前荷重となっていて、ある程度のスピードまでなら走りやすいのですが、急制動をするとフロントに荷重が載りすぎるという面があります。その点、リヤ荷重のポルシェの場合、フルブレーキングだと4輪に適度に荷重がかかるので、止まりやすいという面もあります。もちろん、最新のポルシェは、RRだとしても、最高の技術で操縦安定性を確保しています。

4WD(AWD、ハイブリッド4WD)の代表的な車種

スバル インプレッサ

4WDのパイオニアともいえるスバルですが、インプレッサが登場する前のレガシィからフルタイム4WDを発売しています。これは縦置き水平対向4気筒ターボ(NAもあり)エンジンのFFをベースにして4WDにしたものです。ビスカスカップ式LSDをセンターデフに備える方式で、操縦性の良さは当初から注目されていました。これは水平対向エンジンは縦方向の長さが抑えられ、エンジン搭載位置が下げられたために、前後の重量バランスが良いことや、横置きに比べると左右がシンメトリカルになり、左右の重量バランスも良いことからくるものでした。

インプレッサも基本はこのままですが、STIバージョンになるとDCCDという電子制御のセンターデフが付き、路面状況によって前後のロック率が変更でき、サイドブレーキを引いた時にはフリーになりサイドブレーキターンがしやすいなど、さらに走行性能を高めたものとなりました。代を重ねるごとに、リファインされていきますが、その分、初代GC8インプレッサの軽さから来る、素の良さは薄くなってしまったようにも思います。ただ走る、曲がる、止まるが高次元でまとまったクルマというのは不変です。操縦性ですが、速いのですが、乗りやすいかどうか? というとドライバーの技量で大きく意見が分かれるクルマでした。美味しいところが狭いとも言われ、本当の性能を引き出すにはあるレベル以上の腕を求められました。

三菱ランサーエボリューション

三菱自動車工業が、WRCのグループA制覇を目指して開発、発売したクルマです。2L直列4気筒ターボエンジンを横置きにして、トランスファーで方向転換し、出力をプロペラシャフトでリヤに伝えるFFベースの4WDで、一番オーソドックスなカタチと言えます。センターLSDは初代からエボリューションVIまではビスカスカップリング式でした。インプレッサとどうしても比較されてしまうのですが、フロントヘビーのために鈍い(乗りづらいというわけではなく)操縦特性で、どちらかというとトルクフルなエンジンで直線で速く、コーナーは無理やり曲がるというイメージが強いクルマでした。

ただしエボリューションVIIにACDという電子制御デフが搭載されると、それまでとはイメージが代わり、曲がりやすい4WDとなり、エボVIIIに至って、極端に言えば誰でもドリフトできる4WDとなりました。その分、腕の差が出にくくなるなどとも言われたものです。その後、各部の電子制御を増しながらエボリューションXまで進化しましたが、惜しまれつつランサーエボリューションは姿を消しました。

ホンダ レジェンド(ハイブリッド4WD)

エンジンとモーターを積極的に利用したハイブリッド4WDにホンダ レジェンドの「3モーターハイブリッドシステム」があります。これは正式名を「SPORT HYBRID SH-AWD(スーパーハンドリングオールホイールドライブ)」と言います。エンジンはフロントに3.5LV型直列6気筒とモーターが組み合わされ、リヤには左右一輪ごとにモーターが備えられます。そして、リヤモーターのみで発進、急加速時はフロントエンジン+モーターで加速、クルージングは再びリヤモーターのみ、急加速や降雪ではAWD(4WD)に切り替わります。またリヤの左右のモーターはトルクベクタリングの機能を持ちコーナリング時に左右の駆動力をコントロールできます。こうなってくると、あまり駆動方式によるコーナリング特性など関係なくなってしまうかもしれません…。

まとめ

結局、自分の使用用途や好き嫌いによって駆動方式は選ばれる…

いろいろ説明してきましたが、普遍的にFRという駆動系式は人気があるようです。近年でいえばトヨタ86・スバルBRZの人気は高いものですし、中古車市場では今だにAE86が高値で取引されていたり、旧型のロードスターも人気があります。マツダで言えば、RX-7やRX-8も忘れてはいけない存在です。昔良く「大地を駆ける野生動物は後ろ足が発達しているから、速く走るには後輪駆動がいいんだ」と聞かされました。確かにチーターやジャガーなどを見るとそうかな? という気もします。筋肉が後ろ足あるということではMRかRRに近いのかもしれません。しかし、人間は技術を磨くことで、FFにFR以上の運動性能を与えたり、4WDを電子制御することで、(コストの面を無視すれば…)、オールマイティな速さを持つクルマを作ることができるようになってきました。現在のFFはコンパクトカーであっても、その居住空間の広さには驚かされることもあります。4WDは雨が降ろうが雪が降ろうが安心して出かけられます。でも、「FRがいい!」あるいは「リヤ駆動がいい!」という一定層がいるということは、人間は不合理な存在なのかもしれませんね。