【アストンマーティン ラゴンダ】世界初のデジタルメーター搭載車。新型・中古・価格まで

アストンマーティンと言えば、英国を代表するスポーツカーメーカーです。ヴァンテージやDB9、DB11、ヴァンキッシュなどとてもスタイリッシュな2ドアスポーツクーペのイメージですが、ラピードという4ドアスポーツモデルも生産しています。そして、アストンマーティンにとって特別な名前、“ラゴンダ”。アストンマーティンとラゴンダの関係や4ドアモデルへの想いなど、アストンマーティンの歩みも含めてご紹介します。

車名としての“アストンマーティン ラゴンダ”

“アストンマーティン ラゴンダ”を語る上で、気を付けなければならないことがあります。それは、1つはアストンマーティンが過去に販売していたクルマの名前としての“アストンマーティン ラゴンダ”です。実は現在も、台数と顧客を限定してごく少数がデリバリーされてます。

アストンマーティン ラゴンダタラフ

出典:http://www.astonmartin.com/en/lagonda

2014年7月に発表された“アストンマーティン ラゴンダ タラフ”というクルマです。残念ながら、実車を拝める機会はないのかもしれません。なぜならこの“ラゴンダ タラフ”は、中東の富豪向けに開発されたクルマなんです。“アラブの選ばれし者”しか手にすることができないと言われていました。しかも、その生産台数は“200台が上限”とされています。ですが昨年(2015年)3月にその販売エリアが、欧州大陸、イギリス、南アフリカまで拡大されました。ここで気になるのが“200台限定生産の枠が外れるのか”ですよね。それについてはアストンマーティン社から正式な発表はない模様です。いずれにしても、残念ながら日本の地を走ることはないようですが、きわめて少ない顧客向けの特別なモデルでありながら、右ハンドル仕様も用意されるそうです。これは「アストンマーティンが英国のブランドであることの証である」とアンディ・パルマーCEOが説明しています。

過去の“アストンマーティン ラゴンダ”については、もう少しあとでご紹介します。

ラゴンダ タラフの価格

“ラゴンダ タラフ”の価格は非公開で、すべての車両が1台ずつ顧客のオーダーによって仕様を決めていることから金額に大きな差があるためと説明されています。ですが昨年の夏に、ディーラーであるH.R.オーウェンのホームページで一瞬だけ公開されたことがあるんです(すぐに削除されてしまいましたが)。その内容は£696,000(1億3500万円)というものでした。参りました。

社名としての“アストンマーティン ラゴンダ”

もうひとつは、社名です。現在、日本の正規販売店は“アストンマーティン”の表記を使っていますし、世間一般の見解としても同様です。ですが、アストンマーティン社の正式名称は“アストンマーティン・ラゴンダ”なんです。この項では、なぜ社名に“ラゴンダ”がついているのかをお話しします。

アストンマーティン社について

1913年、イギリスのバッキンガムシャー村、“アストン・クリントン”という地でライオネル・マーティンとロバート・バンフォードによって創立された会社です。と名の前半と創立者の一人のラストネームを組み合わせて“アストンマーティン”を名乗りました。創業以来、一貫して品質を重視した車作りを手がけています。現在でもボディメイク、ペイント、インテリア生産、組み立てなどの製作工程の大半を熟練した職人の手によって内製しています。生産効率や採算よりも品質が優先され、第二次世界大戦後には経営不振に陥ってしまいました。そんなアストンマーティン社を1947年に買い取ったのが、農業用トラクターなどの製造会社を経営していたデビッド・ブラウン(David Brown)でした。モデル名に“DB”と付くのは、デビッド・ブラウンのイニシャルをとったものです。ところが1970年代にDBグループの経営は破綻し、経営権が実業家の間を転々とする状態になってしまいました。長い流浪生活の末、1987年にフォード・モーター傘下に納まりました。フォードがデビッド・ブラウンを役員として再び招聘したことで、DB7以降の車種では再び“DB”の車名を名乗るようになります。ようやく経営状態は安定するようになりました。フォード傘下になったことで、ジャガー、ランドローバー、ボルボ・カーズ、デイムラーとともに“PAG(プレミアム・オートモーティブ・グループ)”を構成するメーカーの一員になっています。2007年3月、WRCで活躍するプロドライブの創設者、デイヴィッド・リチャーズやクウェートの投資会社2社などで構成される投資家グループに、4億7900万ポンド(8億4800万米ドル)で売却されました。近年では新車の製造販売だけでなく、過去に製造された自社の車両をレストアする事業にも力を入れていて、主に投資対象として旧型車両を購入した富裕層からの受注に応えています。アストンマーティン車は、歴代全出荷台数の9割が実働車として現存しているそうです。

ラゴンダ社について

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Lagonda

ラゴンダ社の創業は1906年、ウィルバー・ガン(Wilbur Gunn)によって起業され、1907年から自動車の生産を始めました。ロンドン~エディンバラやモスクワ~サンクトペテルブルクの公道レースをはじめ、ベントレー、アルファロメオ、ブガッティなどの強豪を押しのけてル・マン24時間レースでの優勝経験もあります。レーシングカー直系の高級スポーツカーを得意とするメーカーでした。ただ経営は常に不安定で、“M45Rラピード”でル・マン優勝を果たした1935年にはアラン・グッド(Alan Good )に買収されてしまいました。第二次世界大戦後、自動車業界が大衆車の大量生産を中心としたビジネスに切り替わると、ラゴンダはその波に乗ることができず経営破綻に陥ったのでした。1948年にラゴンダを買収したのが、前年にアストンマーティンを手に入れたデビッド・ブラウン(David Brown)でした。デビッド・ブラウンの経営の元でアストンマーティン傘下となったラゴンダは、顧客層の近いアストンマーティンとの棲み分けのために4ドア車専用のブランドとなったのです。

出典:https://commons.wikimedia.org/

1035年 ル・マンを制したラゴンダM45Rラピード

その後は、親会社であるアストンマーティンとともに長い流浪生活の末現在に至りますが、アストンマーティンの社名にはいつも“ラゴンダ”がついています。

過去のアストンマーティン ラゴンダ

それでは、過去に生産されたラゴンダを見てみましょう。

“ラゴンダ・ラピード”

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Lagonda

デビッド・ブラウン率いるアストンマーティン傘下でラゴンダ復活の試金石となったのが、“ラゴンダ・ラピード”です。その車名はル・マン24時間レース優勝車である“M45Rラピード”にちなみ、1961年から1964年にかけて生産が行なわれました。メカニズムやコーチワークはアストンマーティン・DB4を基にしています。スタイルはゆったりとしたボディーに小ぶりなキャビンを組み合わせた伸びやかなプロポーションに控えめのテールフィンを備えていました。フェラーリ・330GT2+2シリーズIのチャイニーズ・アイに似た異径の4灯式ヘッドランプ、フォード・エドセルに似た、長円形の”ホースカラー(Horse collar)=馬車馬の首輪と呼ばれる”のラジエターグリル、その左右に配されたアルファロメオ・1900スプリントやジュリエッタのようなひげ状のサブグリルなどその時代の流行が散りばめられていました。ですがラピード独自の新しい提案は盛り込まれていなかったため、評価は芳しいものではありませんでした。車体はアストンマーティンのセールスポイントともなっていた“スーパーレジェッラ(Superleggera)”工法で造られていて、内装もイギリス高級車のお約束とも言える本革がふんだんに使われ、ウォールナットのダッシュボードとピクニックテーブルを備えるなど贅が尽くされています。ラピードには新設計のアルミ製直列6気筒DOHC4.0Lエンジンが用意され、その後DB5にも流用されました。ブレーキ配管は完全な二系統で構成され、サーボ付きのディスクブレーキを備えていました。目新しいところでは、リアサスペンションに採用された車軸懸架ながらデフをばね上架装にした“ド・ディオンアクスル”で、これもDBSまで使われることになりました。親会社のデビッド・ブラウン製4速M/Tもラインナップされていましたが、車の性格とユーザーの嗜好が反映され完成車のほとんどが4速A/Tで出荷されています。生産はオーダーメイドで価格も4,950ポンドと非常に高価だったため、総生産台数は僅か55台に留まりますが、そのうち48台の現存が確認されているそうです。

アストンマーティンとしての“ラゴンダ”

出典:http://bestcarmag.com/gallery/1974-aston-martin-lagonda/page/3

前作“ラピード”はアストンマーティン傘下ではあるものの“ラゴンダ”ブランドのクルマでした。生産期間はわずか4年でしたが、後のアストンマーティン車に流用できる技術を生みました。時は流れ、約25年間君臨したデイヴィッド・ブラウンが経営危機のために会社を去り、次にアストンマーティンを引き継いだカンパニーディヴェロップメンツも倒産直前の状況でした。そんな状況の1974年10月、ラピード以降消滅していた最高級4ドアセダンを再登場させたのが、DBSをベースに4ドアセダンに仕立て直された“アストンマーティン ラゴンダ”です。DBSのホイールベースを約300mm延長して4ドアとし、アストンマーティン製4ドアセダンの伝統に則って“ラゴンダ”と名付けられました。
●エクステリア
DBSの改良型にあたるアストンマーティン・V8を基に、全体がゆるやかな曲面で構成されていて、V8の4ドア版というイメージです。フロントフェンダーの2連ダクトが継承されていたり、リア周りにも主要部品の流用が多く見られます。V8と同様に、真正面から見た顔つきは同時代のフォード・マスタングにも似たデザインです。
●メカニズム
すべてアストンマーティン・V8からの流用で、5,340ccのV型8気筒DOHCエンジンはボッシュ製メカニカルインジェクションを搭載して280ps/5,500rpm・48.7kgm/3,100rpmを発揮します。 トランスミッションはZF製の5速M/Tとクライスラー製トークフライト3速A/Tから選択できました。最高速度は255km/hとのことです。サスペンションは前輪がダブルウィッシュボーン/コイル、後輪がド・ディオン式のパラレルトレーリングアームを採用しています。タイヤサイズは225VR15で、4輪ともディスクブレーキを装着していました。

全長:4,900mm
全幅:1,830mm
全高:1,370mm
ホイールベース:2,915mm
車両重量:2,000kg

1974年から1975年の間に7台のみ生産されました。
この後、モデルチェンジして継続生産されたことから、“シリーズ1”と呼ばれています。

アストンマーティン ラゴンダ シリーズ2

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%83%80

1976年10月、英国国際モーターショーで発表されたシリーズ2です。デザインから構造まで一新された新開発モデルで、“スポーツカーメーカーが作る4ドアセダン”というコンセプトです。当時の競合車種は“マセラティ・クアトロポルテ”や“デ・トマソ・ドーヴィル”といった少数の高価格車だけでした。日本向け価格は約3,900万円で、後年になるにつれ価格は上昇し最終的には4,500万円ほどになっていました。
●エクステリア
過去の伝統をすべて排し、低く長く未来的なデザインになりました。フロントには小さなグリルとその横いっぱいに並べたランプ類とリトラクタブル・ヘッドライトが搭載されています。リアもそれと対をなすように、ランプ類が整然と並べられています。極端なロングノーズ・ショートキャビンであり、エッジの効いたボディラインはペーパークラフトのようでもあります。当時としては異端ですが、最高級セダンとして極めて個性的でモダンな雰囲気を強く感じさせるデザインです。後部座席の空間を広げたロングホイールベース仕様やシューティングブレーク、2ドアクーペなど外部コーチビルダーによるいくつかの改装車があります。シリーズ2の途中で、初期モデルでは“はめ殺し”だった後席左右の窓に、開閉できる三角窓を追加しています。こまかなところでは、ドアミラーの取り付け位置をボディAピラーつけ根部分からフロントドアに移設してあります。
●インテリア
最上級コノリーレザーもしくはベロア、ウッドパネルの採用など贅をつくし、基本的にイギリス製高級車の定番を踏襲していますが、シリーズ2のシートは豪奢なデザインを採用していて外観の先鋭さと比べていささか異なった趣を持っています。
●メカニズム
ボディはアルミニウム製で、エンジンはアストンマーティン・V8と共通のボアφ100mm×ストローク85mmのV型8気筒DOHCで5,341ccです。圧縮比8.3にウェーバー製42DCNFキャブレターを搭載して243ps/5,000rpm・44.2kgm/4,000rpmを発揮します。タイヤサイズは235/70VR15で4輪パワーアシスト付きベンチレーテッドディスクブレーキを装備していました。

全長:5,182mm
全幅:1,816mm
全高:1,300mm
ホイールベース:2,910mm
車両重量:1,727kg

生産台数は465台とのことです。

世界初のデジタルメーター

出典:http://naviroom.com/history-1970-1979.htm

デジタルメーターの採用や車両管理コンピュータの採用などは市販車として世界初の試みです。メーターおよびコンピュータシステムには、車両本体の4倍に及ぶ開発費が掛けられたそうです。

アストンマーティン ラゴンダ シリーズ3

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%83%80

シリーズを呼び分けるほどの変更はありませんが、バンパーやグリルの形状など若干のマイナーチェンジを受けました。キャブレターからインジェクションに仕様変更されています。
生産台数は75台です。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%83%80

シリーズ3をベースとしルーツが作成したシューティングブレークです。

アストンマーティン ラゴンダ シリーズ4

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3%E3%83%80

1987年デビューのシリーズ4です。エクステリアデザインを大幅に変更して全体的にリフレッシュしています。角張ったボディの角を丸め、グラマーになりました。ボディサイドのキャラクターラインやクロームメッキのモールを廃止してフロントグリルもボディ同色にしました。リトラクタブル・ヘッドライトを廃止して角目6灯のヘッドライトを採用しています。フロントのターンシグナルをバンパー内部に位置変更しました。薄い長方形2段重ねだったリアランプユニットを一段に変更して、設置場所もトランクリッドからボディに変更しました。ホイールサイズを16インチに拡大し、タイヤサイズを255/60VR16にしました。最終製造車(シャシNo.13645)は、1990年3月18日にイギリス国内仕様車としてラインオフしました。同年6月14日に顧客に販売されてイギリスで保存されています。
生産台数は105台です。

25年ぶりに復活した新型“ラゴンダ”

出典:http://www.astonmartin.com/en/lagonda

冒頭でご紹介した“ラゴンダ タラフ”は、実に25年ぶりに復活した“アストンマーティン ラゴンダ”なんです。残念ながら日本への導入はありませんが、欧州での販売が決まっていますからいつかお目にかかれる日がくるのかもしれませんね。

ラゴンダの中古車

タラフは無理としても、ラゴンダの中古車はあるのだろうかと探してみましたが、日本では見つけられませんでした。海外に目を向けて見ましょう。なんとラゴンダラピードが3台も出てきますね。DB4ベースの4ドアスポーツですからぜひ乗ってみたい1台です。そして、ウェッジシェイプのラゴンダも4台ありました。40,000ポンドだと630万円くらいですね。日本へ持ってきてのりだすまでに750万円くらいになるんでしょうね。

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最後にまとめ

“ラゴンダ”はもともと自動車メーカーの社名で、アストンマーティンに買収されるかたちで“アストンマーティン ラゴンダ”になりました。同名のクルマも存在しますので混乱しますが、いまでもその息吹は確実に息づいています。残念ながら日本ではお目にかかれませんが、4ドアモデルとして直系である“ラピード”がありますね。もともとイギリスにはたくさんのスポーツカーメーカーがありましたが、今となっては稀少な存在です。アストンマーティンには英国の誇りを貫いて欲しいですね。