【シトロエン CX】“純血シトロエン”が味わえる最後の宇宙船

シトロエンと言えば何でしょう? 私はハイドロニューマチックと“コクピット”と呼ぶにふさわしいデザインのメーター周りです。この頃のシトロエン車を人は“宇宙船”と喩えます。確かにハイドロニューマチックの乗り味は船に近いのかもしれません。加えてあのクラスターデザインは前衛的で、宇宙船と言われても納得のデザインです。DS、GS、CXは、プジョーとジョイントする前の“純血シトロエン”時代のクルマです。

これがシトロエン CXです

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Citro%C3%ABn_CX

“20世紀の名車ランキング”において第3位を獲得した“シトロエンDS”の後継車として1974年にデビューしました。後継車となるシトロエンXMが登場する1989年まで、実に16年にわたって生産されたクルマです。1975年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーに輝いています。シトロエンGSに続いて、シトロエンにとっては二度目の受賞でした。シトロエンは、1976年にプジョーとジョイントしてPSAグループとして活動し、プラットフォームやコンポーネントを共有するようになりますから、事実上このCXが“純血”シトロエンとしては最後のモデルになりました。

ボディサイズは、全長4,650mm×全幅1,770mm×全高1,360mm、ホイールベース2,845mmです。

名前の由来

車名の“CX”は、空気抵抗係数を表す記号“Cx”に由来しています。その名前の通り、優れた空力性能を持ったクルマです。ちなみにフランス語ではシトロエンCXは“スィトホェン・セェ・イクス”と発音します。

スタイリングデザイン

出典:https://drive-my.com/en/retro-carss/item/1762-citroen-cx-buyers-guide.html

ボディデザインは、ルーフがそのまま車体後端まで滑らかにつながった形状をしています。一見するとハッチバックのように見えますが、1つ下のクラスで先にデビューしたGSと同様、独立したトランクを持つセダンモデルです。 リアの凹面ガラスが特徴的で、これも空気抵抗を減少させるためのデザインと言われています。車体の構造的にはフルモノコックではなく、フレーム(ペリメーター型)のボディを乗せるという手法をとっています。この時代にはすでに珍しくなっていた手法ですが、これはロードノイズの低減のためと言われています。内外装ともにシトロエン社内でデザインされ、1974年当時の流体力学を駆使した外装は、GSとともにその後のシトロエンのイメージを定着させるデザインになりました。

インテリアデザイン

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Citro%C3%ABn_CX

太い1本スポークのステアリングホイールや、クラスタースイッチ(ターンシグナルやライト、ワイパー、ホーンのスイッチ類をメータークラスターに集中配置したスタイル)は、当時のシトロエンの内装としては一番の特徴と言えるでしょう。さらにクラスターの中に収まるメーター類はボビン式(回転ドラム)で、これも純血シトロエン車には定番の存在です。数字の書かれたドラムが回転する様は一見すると異様な雰囲気にも見えますが、見慣れてしまえば文字盤の上を針が移動する一般的なメーターよりも視認しやすいと思えます。アナログ仕掛けではありますが、すでにこの時代にデジタル表示のメリットを見出していたということでしょう。ごく普通のレバースイッチは一切なく、すべてのスイッチがクラスター上に配置されていて、必要に応じてプッシュ操作でON/OFFします。その構造上、ターンシグナルのキャンセル機構を持たず、コーナリング後にステアリングホイールを戻してもターンシグナルは点滅を続けます。ドライバーが慣れるまでは、直進時でもターンシグナルが点滅しっぱなしになってしまうのです。

エンジンバリエーション

出典:https://fr.wikipedia.org/wiki/Citro%C3%ABn_CX

エンジンはガソリン仕様とディーゼル仕様をあわせて全部で11種類用意されました。ガソリン仕様は、水冷直列4気筒OHVで排気量1,975cc・2,175cc・2,347cc、水冷直列4気筒OHCで排気量1,995cc・2,165cc・2,499cc。ディーゼル仕様は、水冷直列4気筒OHVで排気量2.2L、2.5L。排気量2.5Lのガソリンエンジンと2.5Lのディーゼルエンジンにはターボ仕様も用意され、のちにインタークーラー付きになりました。駆動方式はすべてFFです。ガソリンエンジンのターボ仕様は、上記のとおりインタークーラーなしとありが存在します。前者はCX25GTIターボ、後者はCX25GTIターボIIと呼ばれます。特にCX25GTIターボは、前期型特有のメッキバンパー仕様のままでエアロパーツが控え目なこともあり、通常のGTIと区別がつきにくいのですが、最高速度は220km/hとシトロエンとして初の200km/hオーバーカーでオートルートで速いCXというイメージを作り上げたのです。

サスペンション

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%81%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3

サスペンションは、前輪がダブルウィッシュボーン、後輪がトレーリングアームです。スプリングは言うまでもなく、前後ともにハイドロニューマチックです。

ハイドロニューマチックサスペンションについて

ハイドロニューマチック・サスペンションは、液体(ハイドロ)をダンパーおよび車体の支持に、気体(ニュー)をバネ力に用いるもので、これをダブルウィッシュボーンやストラット、トレーリングアームなどのさまざまなサスペンション形式と組み合わせることで、ハイドロニューマチックサスペンションとなります。エアサスペンションとの一番の違いは、車高が変化してサスペンションアームがストロークしバネに加わる力が変化した場合には液体の容積を増減して対応し、エアサスのような気体の出し入れは行いません。そのためシステムとしてエアコンプレッサーは不要ですが、車重を支えるために液体を加圧する高圧オイルポンプが必要になります。実は高圧の油圧は、ブレーキたパワーステアリングなどもともとクルマに存在するので、それらを統合して一元管理しています。たとえばシトロエンDSではギアセレクターとクラッチコントロール(セミオートマチックシステム)、ブレーキ、パワーステアリングに使われていますし、SMとこのCXでは、ブレーキとパワーステアリングにも使われています。油圧が必要な場所それぞれで油圧を作り出すよりも、配管を含めシステム構成部品の全てを小型軽量化できるというメリットがあります。これは、航空機の概念に通じています。それらは全てパイプで繋がっていて、エンジンの動力で高圧ポンプを動かし、アキュムレーター(蓄圧器)の基部のレギュレーター(調圧器)により油圧が制御されてアキュムレーターに140bar~170barという高圧で蓄圧されています。万一油圧に関するトラブルが起きた場合には、ブレーキ系を優先させるプライオリティー・バルブが働いて、どんなにオイル漏れを起こしても前輪ブレーキの油圧は残されるという合理的なシステムになっています。同様に、後輪ブレーキには後輪のサスペンション油圧が使われいますから、いかなる場合でもブレーキが作動しなくなることはなく、安全性は充分に確保されているのです。

マイナーチェンジ

出典:http://boitierrouge.com/2014/05/25/citroen-cx-la-derniere-vraie-citroen/

16年の生涯の中で何度か小変更が施されましたが、1985年に比較的大きな変更を受けていて、これを境に前期/後期を区別して呼び分けています。基本的にボディ形状は変更されていませんが、金属製だった前後のバンパーは樹脂製のエアロフォルムになり、それに伴いフロントフェンダーやリヤタイヤを隠すスパッツの形状も変更されました。同時にフロントグリルとドアミラーの形状も変更されています。内装も大幅な変更を受けました。ダッシュボードやメータークラスター、ドアトリムなどが大幅な形状変更を受けました。あわせてボビン式(回転ドラム)だったメーター類も一般的なアナログ式に変更されています。ただ、ターンシグナルやライト、ワイパー、ホーンのスイッチ類をメータークラスターに集中配置したクラスタースイッチは、デザインの変更を受けながらも引き継がれました。

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1985年マイナーチェンジ時のCMを見つけました。

日本への導入モデル

エンジンバリエーションと同様に、モデルラインナップもたくさんあるクルマです。ボディのバリエーションは3種類あります。日本へ導入されたモデルを紹介します。

シトロエン CX パラス

出典:http://pinthiscars.com/image-post/205-citroen-cx-pallas-wallpaper-3.jpg.html#

DS時代にも“パラス”は存在しました。パラスは豪華仕様です。下にあるGTiの写真と見比べてみて下さい。ドアサッシやドアハンドル、サイドシルなどがメッキ仕上げされています。室内にもメッキモールが使われていますし、本革シートが選べるグレードでした。

シトロエン CX 25GTi

出典:http://www.curbsideclassic.com/curbside-classics-european/car-show-classic-1985-citroen-cx-25-gti-automatic-series-2-a-retrospective/

名前からもわかるとおり、CXのスポーツグレードです。CX25GTiターボ、さらにCX25GTiターボIIもあるのですが、マニュアルトランスミッションしか設定がなかったため、フラッグシップのCXにはそぐわないという判断から日本への導入は見合わされました。

シトロエン CX プレステージュ(プレステージ)

出典:http://theautoz.com/image-post/205-citroen-cx-pallas-5.jpg.html#

プレステージュはボディとホイールベースを拡張して後席の居住性を上げた高級仕様です。全長とホイールベースは250mmも拡大されていますので、後部座席の居住性は格段に高まっています。このホイールベースは、同時にデビューしたワゴンモデルのブレーク、ブレークを3列シートにしたファミリアールと共通です。つまり、ワゴンモデルのルーフエンドをファー-ストバックにした感じです。このプレステージュをベースにリムジンも製作されています。

プレステージュ、リムジンは、全長4,900mm×全幅1,770mm×全高1,375mm、ホイールベース3,095mmです。

シトロエン CX ファミリアール

出典:http://www.autobild.de/klassik/bilder/bilder-glorreiche-sieben-sitzer-3538232.html#bild8

ステーションワゴンモデルのブレークをさらに3列シートにしたのがファミリアールです。この写真を見る限り、3列目もゆとりの居住性ですね。

ファミリアール、ブレークは、全長4,950mm×全幅1,770mm×全高1,465mm、ホイールベース3,095mmです。

シトロエン CX ロードランナー

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Citro%C3%ABn_CX

もともとは、新聞や雑誌の長距離輸送用にCXファミリアールを改造して作られた6輪仕様車です。シートはフロントの2座のみ。後部荷室容量を拡大するために車体後部を延長し、さらにそれを支えるために後輪が4つ(2列)あります。シトロエンが改造したものではありませんので、ロードランナー(Loadrunner)の名前は通称です。救急車やキャンピングカーなど、改造された目的に応じて形や仕様が異なっています。

シトロエン CXのメンテナンス

後期モデルの最終でも27年前ですし、シリーズ1(前期モデル)の初期でしたらもう40年以上になります。クラシックカーの域ですから、覚悟しなければ乗れません。言い換えればそれなりに手を入れながら乗られてきたハズですから、一通り手が入っていると考えればそれも一案かもしれません。やはり一番怖いのはハイドロ系のトラブルですね。高圧を作り出して分配するポンプやアキュムレーター、その圧力を受け取るスフェアは特に念入りにオイル漏れを点検して下さい。そのほかの部位は、走行距離に応じてメンテナンスが必要になりますが、エンジンやトランスミッションは特別手がかかるわけではありません。車齢が20年を超えると電気配線が老化して電装品のトラブルを引き起こすこともあります。ケーブルやハーネスの交換も視野にいれておきましょう。

シトロエン CXのレストア

この手のクルマは、信頼できるショップに頼るのが一番です。オーナーさんのご意見も参考にしながらショップ探しをしてみてください。

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シトロエン(CITROEN)の販売専門店アウトニーズです。シトロエンファンのみなさんが喜ぶ今村幸治郎グッズ取り扱い店。在庫状況毎週更新!見に来てね!

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某中古車サイトには10台ありました。そのうち2台は前期モデルです。ファミリアールもありますね。さすがによりどりみどりという状況ではありませんが、パラスありプレステージュありGTiありと、各グレードが揃っています。120万円前後ですから、ボディさえしっかりしていてくれればかっちりメンテして200万円くらいから乗り出しできそうですね。

最後にまとめ

いかがでしたか。プジョーとジョイントする前のシトロエンが、自社のアイデンティティを前面に押し出したフラッグシップモデルがCXです。ハイドロニューマチックがつくりだす得も言われぬ乗り心地と、クラスタースイッチと呼ばれるおよそクルマのものとは思えない運転席の風景から、人はこの頃のシトロエン車を“宇宙船”と喩えます。さすがに空は飛びませんが、たしかに船のような乗り心地ではあります。現代のハイドロモデルでも結構ですので一度体験してみてください。そして、古き良き時代がお好きな方にはぜひと言いたい1台です。