【KTM X-Bow(クロスボウ)】クルマとバイクのハイブリッドスポーツ

バイクメーカーのKTMが初のスポーツカーとして開発したX-Bow(クロスボウ)。アウディやダラーラなどレーシングスピリット溢れる自動車界の重鎮たちとの共同開発の末、この”唯一無二”の乗り物が誕生しました。今回はそんなクロスボウの魅力に迫ってみました!

KTM X-Bow(クロスボウ)

バイクメーカー製造のスポーツカー

クロスボウはオーストラリアのバイクメーカーであるKTMが”KTM初のスポーツカー”として作り出したクルマで、2008年のジュネーブモーターショーにて発表されました。初年度で250台を売り上げ、その後どんどん売り上げを伸ばしました。当初は製造台数を年間500台に限定していたそうですが、売れ行きがよかったために年間1,000台へと変更されました。

その開発経緯とは?

KTMがクロスボウのコンセプトを発案したのは2005年になります。2000年代に入り、KTMのヨーロッパでのスポーツバイクの売り上げは下り坂となっていました。そんな中でKTMが目につけたのはバイクではなく、ヨーロッパで不動の人気を手にしているライトウェイトスポーツカーでした。そこでバイクメーカーとしての利点を活かしたライトウェイトスポーツカーのコンセプトが生まれ、クロスボウの誕生となりました。そしてプロトタイプが2007年ジュネーブモーターショーにて公開され世間の注目を集め、2008年に満を持しての生産開始となりました。

大手メーカーとの共同開発

KTMがクロスボウを製造するにあたり、自動車業界・モータースポーツ分野で名をはせる有名メーカー、アウディ、ダラーラ、キスカデザインとの協力がありました。シャシー設計は長年のモータースポーツ経験でノウハウのあるダラーラと共同開発し、エンジンにはアウディ社のエンジンを採用しました。

これでも乗用車です!

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/KTM%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%9C%E3%82%A6

クロスボウはバイクメーカーによって製造されたこともあり、その見た目は一般のスポーツカーや乗用車とは全く異なった外観をしています。屋根はなく、サスペンションも見えていて、一部のフレームやドライバー、乗員は剥き出しとなっています。一見すると、こんなクルマが公道を走れるのか? と疑問に思うかもしれませんがクロスボウは購入した状態のまま一切手を加えることなく公道を走れる、れっきとした乗用車です。というよりも、「4輪となったバイク」と考えるほうが自然なのかもしれません。

X-Bowのラインナップ

現在、クロスボウのグレードは、ベースモデルの「X-Bow R」、カーボンをより多用して作られた進化型の「X-Bow RR」(カーボンパッケージ)、そしてスーパースポーツとして快適性を高めた「X-Bow GT」の全3車種となっています。

インパクト大のエクステリアデザイン!

出典:http://www.x-bow.jp/3.html

バイクのような外観!

クロスボウは他の大半のクルマとは違い、まず見た目に大きなインパクトがあります。美しいと言うには少しひょうきんで、カッコイイと言うのもどこか違うような、そんな何とも言えない独特の世界観を持ったエクステリアをしています。この”何とも言えぬ違和感”はおそらく、クロスボウを純粋に”クルマ”として見ているからでしょう。今までにもケーターハム セブンやアリエル アトムのような独特の外観を持つインパクトのあるクルマはありました。いずれも、クロスボウと同じようにドライバーやタイヤが車体から剥き出しとなるフォーミュラカーにも通じる外観をしていましたが、セブンやアトムのそれはクルマらしさが漂うものでした。一方で、クロスボウの外観からはクルマとはまた違うテイストを感じられるのです。その理由にはキスカデザイン社が大きな鍵を握っています。

1990年代半ばより、KTMのバイクのデザインはキスカデザインが全面的に手掛けています。そしてそれはKTMにとって初のスポーツカーとなるクロスボウでも引き継がれ、実際クロスボウのデザインにはバイクの要素が数多く取り入れられています。例えば、クロスボウのボディーパネルはまるでバイクのカウルのような“フローティング・エレメンツ”が採用され軽量化と単純化が図られるなど、その外観の随所にバイクを思い起こさせるような何かがあるのです。そしてこれこそが、クロスボウを単にクルマとして見たときの違和感に繋がるわけです。つまり、クロスボウを見たときに感じるテイストは「クロスボウはバイクとクルマの申し子」であるということで、クルマとバイクのいいとこ取りで生まれたのがこのクロスボウのデザインだったのです。

X-Bowの詳細!

アウディ製の上品質なエンジン

出典:http://www.ktm.com/x-bow/x-bow-r/

クロスボウに採用されたエンジンはアウディが開発を担当したAudi TFSI 2.0L 直列4気筒ターボチャージャー付きエンジンとなっています。直噴ターボ機構を持つこのエンジン特性は、3,000回転あたりから一気に加速を始め、中速域の加速が圧倒的なものとなっています。アウディの技術によりエンジンは最大限の軽量化が施され、それと同時に高いパワーを産むことに成功しています。「X-Bow R」と「X-Bow RR」に搭載されたエンジンは300ps、「X-Bow GT」には285psもの最高出力を発揮するエンジンを採用しています。

レーシングスピリットの詰まったカーボンファイバーモノコック

出典:http://www.ktm.com/x-bow/x-bow-r/

近年、レーシングシーンではもちろんスーパーカーのボディにも用いられることが多くなったカーボンファイバー。今や最先端のクルマのほとんどにカーボンファイバーが使用されていると言っても過言ではありません。そしてこのバイクメーカーから飛び出してきたクロスボウにもその技術が用いられています。クロスボウのシャシーを担当したのはレーシングカーのシャシー製造で有名で定評があるダラーラ社。そのダラーラのエンジニアリングのおかげで、クロスボウのシャシー、モノコックは軽量で剛性が極めて高く、なおかつ安全性にも優れるという、スポーツカーとしてあまりにも贅沢な仕上がりとなりました。

レーシングカー顔負けのダウンフォース

そのシャシー性能もすごいのですが、車体のエアロダイナミクスレベルも非常に高く、その性能は抜群です。クロスボウは見かけからしてレーシングカーみたいな外観をしてますが、そのダウンフォースレベルは、ベースモデルの「X-Bow R」で200km/hの時点で200kgにも近くなるというスーパーカーを蹴散らすほどの優れたエアロダイナミクスを持っています。ツーリング向けにおとなしめのチューニングが施された「X-Bow GT」でも200km/h時点で100kgものダウンフォース量確保に成功しています。さらにすごいのは、「X-Bow RR」。このモデルは他の2つのモデルよりもレーシング仕様に近づけられているため、200km/h時点でのダウンフォース量はなんと400kg! ベースモデルよりも2倍もの空力性能となっています。
実際の走行ではこのエアロパッケージにダラーラ製のシャシーが合わさり、コーナリングでは2G近くもの横Gを発生させます。

屋根もない、窓もない内装 X-Bowは意外と質素?

クロスボウのコクピットですが、最近流行りの高級車やラグジュアリーカーにあるような装備は一切ありません。そのコンセプトは単純明快で、速さや動力性能を追求するために必要最低限の装備しか搭載しないというわけです。実際にこのコンセプトのおかげでクロスボウは車両重量を大幅に軽減することが可能になり、スーパーライトウェイトの名の通り、超軽量スポーツカーとなりました。
実際にクロスボウに装備されいるのはシート、ステアリング、シフトレバー、ペダルなど、走りに必要な物のみです。シートはコクピットを覆うカーボンモノコックと一体化しており、ホールド性に優れるというレーシーな仕様。ペダルもアジャストが効くようになっていて、最適なドライビングポジションを確保することが可能になっています。さらに、タコメーターやスピードメーターといったメーター類は装備されておらず、代わりとしていろいろな走行インフォメーションを提供してくれるディスプレイがセンターコンソールに装着されています。
また、ご覧の通りルーフもドアもクロスボウには取り付けられていません。「X-Bow R」、「X-Bow RR」にはフロントガラスやサイドウィンドウすらなく、徹底した軽量化がなされています。「X-Bow GT」にはフロント/サイドスクリーンが装備され快適性が高められていますが、その分他の2モデルより車両重量が50kg重くなっています。

X-Bow スペック

「X-Bow R」

エンジン
駆動方式:MR
エンジン:アウディ TFSI 直列4気筒ターボチャージドエンジン
排気量:1,984cc
最高出力:300ps@6,300rpm
最大トルク:400N/m@3,300rpm
トランスミッション:6速マニュアル
燃料タンク容量:40L
燃費:8.3L/100km

サスペンション:ダブルウィッシュボーン(フロント/リア)
ブレーキ:Bremboディスクブレーキ 305mm(フロント)Bremboディスクブレーキ 262mm(リア)

寸法
全長:3,738mm
全幅:1,915mm
全高:1,202mm
ホイールベース:2,430mm
車両重量:790kg

パフォーマンス
最高速度:231km/h
0-100km/h:3.9秒
100-0km/h距離:32.9m
ダウンフォース量100km/h時点:48kg
ダウンフォース量200km/h時点:193kg

「X-Bow RR」

エンジン
駆動方式:MR
エンジン:アウディ TFSI 直列4気筒ターボチャージドエンジン
排気量:1,984cc
最高出力:300ps以上@6,300rpm
トランスミッション:6速マニュアル
燃料タンク容量:40L

サスペンション:ダブルウィッシュボーン(フロント/リア)
ブレーキ:Bremboディスクブレーキ 305mm(フロント)Bremboディスクブレーキ 262mm(リア)

寸法
全長:3,738mm
全幅:1,915mm
全高:1,202mm
ホイールベース:2,430mm
車両重量:810kg

パフォーマンス
最高速度:231km/h以上
0-100km/h:3.6秒
100-0km/h距離:32.9m
ダウンフォース量200km/h時点:400kg

「X-Bow GT」

エンジン
駆動方式:MR
エンジン:アウディ TFSI 直列4気筒ターボチャージドエンジン
排気量:1,984cc
最高出力:285ps@6,400rpm
最大トルク:420N/m@3,200rpm
トランスミッション:6速マニュアル
燃料タンク容量:40L
燃費:8.3L/100km

サスペンション:ダブルウィッシュボーン(フロント/リア)
ブレーキ:Bremboディスクブレーキ 305mm(フロント)Bremboディスクブレーキ 262mm(リア)

寸法
全長:3,738mm
全幅:1,915mm
全高:1,202mm
ホイールベース:2,430mm
車両重量:847kg

パフォーマンス
最高速度:231km/h
0-100km/h:4.1秒
100-0km/h距離:32.9m
ダウンフォース量100km/h時点:25kg
ダウンフォース量200km/h時点:100kg

気になるその価格!

現行モデルの価格

これまで紹介した通りの圧倒的な動力性能に、風を切って走れるオープンスタイルがバイク好きにとっても、クルマ好きにとっても魅力的なスーパーライトウェイトスポーツカーであるクロスボウですが、欲しいと思う方はたくさんいると思います。そこで気になるのがその価格! ということで以下にまとめてみました。

「X-Bow R」:9,700,000円
「X-Bow RR」:10,500,000円
「X-Bow GT」:12,800,000円

中古車を狙おう!

出典:http://www.carsensor.net/usedcar/detail/CU4419656061/index.html?TRCD=200002

現行車はチョットお高い。という方には中古のクロスボウがおすすめです!
中古車市場でもクロスボウは出回っていて、特に今はラインナップから姿を消したクロスボウの元祖標準仕様モデルである「X-Bow Street」であれば最高出力は現行モデルより60ps劣る240psとなりますが、600万円で手に入れることができるため、狙い目となっています。

番外編:ハードトップモデルのX-Bowも登場!

出典:http://blog.livedoor.jp/motersound/archives/51656610.html

このハードトップ仕様のクローズドクロスボウはKTMの公式モデルではありませんが、イタリアのMonternergy社によって、「KTM X-Bow Montecarlo」として発表されました。
このモデルでは完全にクローズドコクピットとなったボディだけでなく、エンジンにもチューニングが施され最高出力は310psにまで引き上げられました。
価格は8,600,000円となっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
生粋のバイクメーカーが産んだスーパーライトウェイトスポーツカーとして誕生したクロスボウですが、その仕上がりは双方のよさを持った唯一無二の存在として高い評価を得ています。ノーマルのままでレースに出られるほど高い次元の走りを可能にしたこのクロスボウは、バイク界、自動車界、そしてモータースポーツ界に大きな反響を呼びました。クロスボウは他のクルマやバイクでは味わえない”走り”を持っているのです。