【ダッジ ダート】マッスルカーのパイオニアとしてアメ車を代表したモデル

元祖マッスルカーとして登場し、一時は0-400mを10.0秒台で加速するスペックを持つスペシャルモデルも存在した「ダッジ・ダート」の魅力に迫ってみたいと思います。

「ダッジ・ダート(Dodge Dart)」

「ダッジ・ダート(Dodge Dart)」は、アメリカの「クライスラー社」がダッジブランドで1960年から1976年まで生産していた大型クラスの乗用車であり、2012年からは小型クラスのセダンとして販売されました。また4thモデルまでは「プリムス・ヴァリアント」の兄弟モデルとして、5thモデルは「アルファロメオ・ジュリエッタ」をベースモデルとして開発されました。

1thモデル(1960年-1961年)

「ランサー」の後継モデルとして1thモデルは、1960年にショートホイールベースのフルサイズカーとして登場しました。搭載されるエンジンは3.7Lの直列6気筒の「スラント6」、5.2LのV型8気筒エンジン、5.9LのV型8気筒エンジンが用意されていました。ボディバリエーションは4ドアセダン、ステーションワゴン、2ドアセダン、2ドアハードトップと幅広い設定となっていました。翌1961年のマイナーチェンジで改良され、エクステリアは「ヴァージル・エクスナー(Virgil Exner)」がデザインし、大幅にエクステリアデザインは、変更されています。

「スラント6」エンジン

搭載位置を30°片側に傾けて搭載していた当初の「スラント6」エンジンは、アルミニウム製ブロックでは耐久性を持たせるために軽量合金ではなく密度の粗い丈夫な鋳造製が採用されていました。1961年から1963年にかけて50,000基以上の鋳造アルミニウム製バージョンの「225 cu.in.(3.7L)」エンジンが製造されたようです。

2thモデル(1961年-1962年)

1961年に登場した2thモデルになると、1thモデルと比較するとボディは、コンパクト化しました。また、ボディバリエーションは、より拡大され1thモデルの4ボディに2ドアコンバーチブルと4ドアハードトップを加えたバリエーションとなりました。さらに、このモデルではエンジンに6.8LのV型8気筒も追加されており、パワートレインも強化されたモデルとなりました。

3thモデル(1963年-1966年)

「ダッジ・ダート」は、1963年に早くも3thモデルにモデルチェンジしました。3thモデルは、「ダート」に切り替わった後に廃止されるはずだった、「ランサー」はその後1963年まで継続生産されていましたが、廃止となった後に「ランサー」のポジションを埋めるためにサイズダウンしたボディとなっていました。そして、改めて「ランサー」の後継モデルとしての位置づけが与えられポジションを確立した形となりました。サイズダウンしたボディタイプは、2thモデルに設定されていた4ドアハードトップが消滅し計5タイプのバリエーションとなっています。このモデルでは、搭載されていたエンジンは直列6気筒の「2.8L」と「3.7L」の「スラント6」と4.5LのV型8気筒エンジンの計3タイプとなり、サイズダウンしたボディに合わせてエンジンもダウンサイジングされていました。

1963年モデルは、映画でも登場

ピクサーによる映画「カーズ(原題 Cars)」は、2006年7月に公開されたアニメーション作品で、第64回ゴールデングローブ賞アニメーション映画賞受賞していますが、その中に「ダッジ・ダート」をモチーフにしたキャラクターがいます。作品自体は、車を中心とした乗物を擬人化したキャラクターによって物語で人間は登場しない映画です。そして、「ダッジ・ダート」をモチーフにしたキャラクターが名前は、「ラスティー」という名称でモチーフモデルとなったのは、1963年モデルの「ダッジ・ダート」です。主人公「マックイーン」のスポンサーとして登場しています。

4thモデル(1967年-1976年)

1967年にフルモデルチェンジを行い4thモデルとなりました。3thモデルのボディバリエーションからステーションワゴンが廃止され、その代わりに2ドアクーペが新たに設定されています。ボディスタイルは、「クライスラー社」のコンパクトクラスでは初となる湾曲したリヤウインドウやカーブを効かせたエクステリアデザインとなっています。また4thモデルではさらにボディのサイズダウンを行っています。搭載ユニットとしてエンジンは、排気量2.8Lから3.7Lの直列6気筒の3タイプの「スラント6」エンジンと排気量4.5Lから5.9LのV型8気筒エンジンの4タイプは、「LAエンジン」と呼ばれるもので、そのほかにハイパフォーマンスモデルの7.2LのV型8気筒「RBエンジン」、そして426cu.in.(7.0L)V型8気筒の「HEMI」エンジンが用意されていました。

「DART GTS」

「ダート GTS」の搭載ユニットは、7.2Lの「440マグナム」と呼ばれる市販ドラッグレーサー仕様のエンジンを搭載していました。またエンジン5.6Lの275PSと6.3Lの275PS仕様のエンジンも存在していました。4速MTが組み合わされていて、275PS仕様の5.6Lエンジン搭載モデルでも軽く0-400m加速は、15秒以下のポテンシャル発揮したそうです。

1968年「DODGE SUPERSTOCK HEMI DART」

1968年に限定100台の生産が行われたモデルで「ダッジ・ダート」と「プリムス・バラクーダ」に「A864/900レースヘミ」エンジンを搭載した、通称「スーパーストック・ヘミダート」と呼ばれています。このホモロゲーションモデルは、アンダーコートや遮音材が排除され、ボンネット、フロントフェンダー、ドアなどはFRP製かアシッドディッピング鋼板が装着されていました。そしてシートは軽量なダッジバン用を採用しており、リアシートは最初から装着されておらず、軽量化のためにウインドシールド以外の窓ガラスは全てプレキシグラス製が採用されていました。またサイドウインドウの上下動作でさえ、開閉はヒモを引っ張って行うという徹底した軽量化が図られていました。さらにFRP製のフェンダーにはサイドマーカーやエンブレム類はセットされておらず、リアフェンダーのホイールアーチなどはドラッグスリックを装着したワイドホイールをクリアするために大きく切り抜かれていました。搭載されていたエンジンは、圧縮比12.5:1まで引き上げられた純レース仕様で、ストリート用の「ヘミ・エンジン」との外観の違いは、アルミ製クロスラムマニホールドとフッカーパフォーマンス製の専用へダースが装着されていたことでした。そこに組み合わされたトランスミッションは「A-883マニュアル」と「トークフライトAT」を選択でき、ストリート仕様とは別物の強化タイプが装着されていました。ポテンシャルは、出荷された状態でドラッグスリックを履かせただけで0-400mは、10秒台を可能とするほどでした。

1971年「DODGE DEMON 340」

1971年に「DODGE DEMON(ダッジ・デーモン)340」が、ハイパフォーマンスモデルとして登場しています。ボディスタイルは、2ドア・クーペのみの設定でした。「プリマス・ダスター」と共用のボディを持ち、フロントマスクとリアのデザインを変更したものに仕上がっていました。搭載ユニットは、「340 cu.in.」エンジンで圧縮比10.3:1から275PSを発生するものが搭載されていました。このエンジンにノーマルに設定されていたファイナルギアレシオ4.10:1のセッティングとシュアグリップのLSDを使用した場合の0-400m加速は、13.98秒という記録を持っています。サスペンションシステムは、ヘビーデューティー仕様のラリーサスペンションが採用され、強化フロントトーションバーとリアリーフスプリング、そしてアンチスウェイバーが装備されていました。またオプションでフロントにはディスクブレーキも装備できました。

1972年/1973年「DODGE DEMON 340」

1972年モデルになると「デーモン340」はエンジンの圧縮比を8.5:1に落とされ、エンジンの最大出力も240PSに低下しました。しかし、「ダッジ」のエンジンラインナップ間で比較すると「チャージャーR/T」の「440マグナム」エンジンが1971年の370PSから1972年には280PSとなっており、フルサイズの「マグナムでは無い」440エンジンが230PSでした。比較してみると1972年モデルで「デーモン340」は「440」エンジンの最高出力を上回っていたということです。これはスモールブロックが使用されていたことのメリットの結果でした。その後、「ダッジ・デーモン」は1973年モデルになると「ダート・スポーツ」と名称を変更し、1973年モデル半ばには、フロント・ディスクブレーキを標準装備とし、翌1974年モデルからは、「340」エンジンを「360cu.in.」に排気量をアップしました。この「360」エンジンの最高出力は245PSに向上が図られており、そのままパワーを継続して1976年モデルまで生産されていました。

5thモデル(2012年-)

「ダッジ・ダート」は、4thモデルの廃止から30年の時を経た、2012年5月にコンパクトカーの名称として復活しました。現在の「クライスラー社」の親会社であるイタリアの「フィアット社」のもとにあるブランド「アルファロメオ社」のコンパクトハッチバック「ジュリエッタ」をベースモデルとして全長が4,671mm、全幅は1,828mm、全高を1,465mmとし、ホイールベースは、2,702mmの3ボックスセダンスタイルとして登場しました。搭載エンジンは、「ジュリエッタ」と共通の1.4Lエンジンにターボを搭載した「マルチエア」、そして新開発の2.0Lモデルの「タイガーシャーク」エンジン、さらに2.4Lの「マルチエア」の計3タイプの「フィアット社」製の直列4気筒エンジンを用意しています。すべてのエンジンに6速MTが標準設定となっています。生産は、アメリカのイリノイ州にある「クライスラー社」のベルヴェディア工場で行われています。

「ワイルド・スピード ユーロ・ミッション」に登場?

また「クライスラー社」が「ダッジ・ダート」の売り上げのために、人気映画シリーズの「ワイルド・スピード ユーロ・ミッション」とコラボCMを制作しています。しかし、 実は「ダッジ・ダート」はこの映画に登場していません。なぜコラボしたのか自動車メディアによると、「人気シリーズ映画と提携することは新しい広告の形態だ」と考え、今回のCMを制作したということです。「ダッジ・ダート」ファンとしては是非、映画にも登場することを期待します。

「ダッジ・ダート GT」

「ダッジ・ダート」の高性能バージョンが「ダート GT」です。搭載されるエンジンは、「タイガーシャーク マルチエア2」と呼ばれる2.4リッターの直列4気筒エンジンです。「フィアット社」の技術を採用し、184PSの最高出力と24.0kgmの最大トルクを発生させます。それと同時にハイウェイモードで14.5km/ℓという燃費の向上も図られています。組み合わされているトランスミッションは、「クライスラー社」の「パワーテック」と呼ばれる6段のロボタイズドMTが組み合わされています。

「ダッジ・ダート GTS 210 トリブート」

「GTS 210トリブート」は、旧モデルの1960年代に活躍した「ダート GTS」のオマージュモデルです。エクステリアパーツとして、大型エアスクープ付きのカーボンファイバー製ボンネット、フロントリップスポイラー、サイドスカート、リアスポイラー、リアデフューザーを装備しています。またホイールが18インチの10本スポークアルミホイールに変更され引き締まった印象となっています。エクステリアだけでなくパワートレインも変更されています。エンジンチューニングが施され、「2.4L 直列4気筒 DOHC」エンジンには、GTS専用エグゾーストシステム、エアフローインテークなどを追加しています。これによって最大出力は184PSから26PS引き上げられた210PSを発揮するようにセッティングが施されています。

まとめ

「ダッジ・ダート」は、1thモデルは元祖「マッスルカー」と呼ばれるモデルとなり、アメリカにおける市販車パワーウォーズに火をつけたモデルでした。過激なハイスペックモデルも登場し、一旦は姿を消したものの再び、「アルファロメオ」によって復活を遂げたモデルです。新旧モデルともに現在でも人気のあるクルマです。