【ホイール】ドレスアップの要はクルマの性能を大きく左右するんです。

クルマには欠かせないパーツのひとつ“ホイール”のお話です。実に多くのデザインがあり、交換すると愛車の見た目が大きく変わりますから、ルックスアップカスタムの定番になっていますよね。ドレスアップパーツとしての要素はもちろんですが、実は機能性パーツとしての要素も持ち合わせています。見た目を重視して走行性能を欠いては、ドライブが楽しめなくなってしまいますから、両面を踏まえてドレスアップを楽しみましょう。

ホイールの役割

ホイールが付いている乗り物ってなんでしょうね。陸上を走る乗り物なら、ほぼすべてについていると言っても過言ではないですよね。逆にホイールが付いていない乗り物を探した方が早いかもしれません。キャタピラで走る乗り物にはホイールがありませんが、厳密に言えばキャタピラを動かすためのホイールがついています。リニアモーターカーは浮き上がって走行しますから要らないように思いますがどうなんでしょうか。浮き上がるまでと着地するときは必要なんでしょうね。
さて、乗り物に無くてはならないホイールですが、その役割を考えてみましょう。そもそもホイールは何をしているのか、なぜ無くてはならないのかを考えてみましょう。

支える

そもそも、ホイールが無くてはタイヤをクルマに取り付けできません。エンジンからトランスミッション、ディファレンシャルへと伝わった動力が、ドライブシャフトを介してホイールを回転させ、ホイールの外周に取り付けられたタイヤが路面を蹴ってクルマは進みます。ホイールが無くては動力を路面に伝えることができませんし、タイヤが路面から受け取った衝撃をサスペンションに伝えることもできません。つまり、ホイールはクルマとタイヤをつなぎ合わせるためにあります。
クルマを人の身体に例えるなら、サスペンションは“脚”です。“足”よりも“脚”のほうがしっくりきます。サスペンションは伸び縮みしながら衝撃を吸収したり、力を路面に押しつけたりしています。ちょうど人の脚がヒザを利用してカラダを支えたり路面の凸凹を吸収している様子に似ています。そして、タイヤは靴の底に貼ってあるゴム底と言ってもよいでしょう。裸足にゴム底ではうまく歩けませんよね。足だけが先に行ってしまってゴム底は取り残されてしまうでしょう。そこで靴の登場です。靴が足にぴったりとはまっていて、靴に靴底がしっかりと貼り付けられていればとても歩きやすいですよね。ホイールはまさに“靴”の役割をしています。

放熱

余りご存じではないかたが多いように思いますが、とても重要な役割ですのでしっかりと理解して下さいね。クルマのホイールの奥にはブレーキがいます。ディスクブレーキかドラムブレーキかは別にして、ホイールはブレーキを挟み込むように“ハブ”という部分に取り付けられています。この“ハブ”は、エンジンの回転をトランスミッションで変速したものを受け取っていますから、ハブにホイールを取り付けることで、ホイールが回転するようになります。そして、ブレーキディスクやドラムはこのハブにかぶさるように配置されていて、ホイールで挟み込むように固定されています。つまり、ホイールとブレーキは隣り合わせに配置されています。
ブレーキは、回転しているディスク(ドラム)にブレーキパッド(ドラムブレーキの場合はシュー)を押しつけて、摩擦力によって回転を止めています。摩擦エネルギーはたくさんの熱を生み出しますから、ブレーキはとても高温になります。走行直後でしたら確実に火傷しますから、不用意に触れないように注意して下さいね。
ホイールはこのブレーキの熱を受け取って、大気に放出する仕事をしています。ホイールの穴から空気を取り入れてブレーキに風を当てると言うよりも、ホイール自体が放熱版として作用しています。ホイールの性能次第でブレーキ性能も左右されるというわけです。

ブレーキの働きについてはこちらの記事にまとめてありますのでぜひ読んでみて下さい。

デザインの一部

どんなにカッコいいスーツを着ていても、履いている靴がイマイチだったら台無しじゃないですか。さきほどホイールは靴と同じと言いましたよね。どんなに優れたスタイリングデザインのクルマでも、履いているホイールのデザインが悪かったらとても残念な結果になってしまいます。ですから、ホイールのデザインは立派な役割なんです。ボディデザインにマッチするホイールを履いてこそ、お互いがお互いを引き立て合ってくれますし、全体のバランスが整います。だからこそ、自動車メーカーはそのデザインに頭を痛め、ユーザーはホイール選びに頭を悩ますのでしょう。当然ですが、支えるための強度とブレーキを冷やすための放熱効率を満たした上でのデザインですから大変なんです。

ホイールの種類

世の中には実にたくさんのホイールがありますが、なにがなんだかわかりませんよね。そこで、色々な角度から分類してみたいと思います。そこから自分が選ぶべきホイールはどんな製品なのかを見つけましょう。

材質の種類

まずは材質、素材によって分けてみましょう。大きく分けると3種類ですが、そこからさらに分類できますから細かく分けると5種類に分かれます。時代を遡ると木製ホイールもありましたが、現実的ではありませんので割愛しますね。

●スチールホイール
鉄製のホイールです。スチールホイールの中でもふたつに分かれます。

出典:http://jeepsparrow.shop-pro.jp/?pid=56461027

○スチールディスクホイール
一番オーソドックスと言いたいところなんですが、最近は軽合金製ホイールの普及によって、スチールホイール装着車のほうが少ないんじゃないでしょうか。スチールホイールの場合はデザインされたホイールキャップ(カバー)をかぶせるのが一般的です。トラックやバンなどの商用車には使われていることがありますが、最近は燃費性能を求めて運送車両やバスなどもアルミホイールを履いていることが多くなりました。乗用車ではほとんど見なくなりましたね。

出典:http://www.dragtimes.ru/en/blogs/view/158

○ワイヤースポークホイール
一部の高級外車や、レトロな雰囲気を出したいときに使われます。製造コストがかかることやメンテナンス(定期的にスポークの張りを調整する必要がある)が大変なので、ほとんど使われることがなくなりました。1950年代まではレーシングカーの主流でしたし、高級車のほとんどがワイヤースポークホイールを履いていました。今となってはクラシックカーが履いているくらいしか見たことがありません。

●軽合金ホイール
英語では“アロイホイール”と呼んでいます。オーソドックスなのはアルミホイールですが、他にもホイールの素材につかわれる軽合金があります。スチールに比べて放熱性が高いので、本来のホイールの役割に適しています。

○アルミホイール
一番ポピュラーな素材がアルミです。日本ではほとんどの市販車に装着されています。以前は生産コストを下げて新車価格を少しでも下げたい自動車メーカーが、“ユーザーが好きなデザインに交換できるように”という理由からスチールホイール+デザインカバーを装着していることがほとんどでしたが、燃費性能を向上させることを主な目的としてデザイン性もアピールできるように純正装着する例が増えてきました。

photo by hertylion

○マグネシウムホイール
アルミよりも軽量&高剛性という理由からマグネシウムを使うことがあります。ホイールを軽量化すれば運動性能が上がりますから、モータースポーツの世界では1960年代くらいから流行した素材です。今でもF1を筆頭にフォーミュラカーやツーリングカーレースではマグネシウムが当たり前です。アルミの2/3程度の重量ですから、スニーカーとランニングシューズくらい違うはずです。ただ、アルミに比べると酸化しやすい(腐食しやすい)ので管理が大変です。しっかりと塗装できていれば永久的に使えますが、そうでない場合は腐食によって強度がさがります。ホイールはブレーキの大きな熱を受け取りますから、酸化しやすい環境と言えます。塗装に傷が付いて地肌が出ている場合などは補修が必要です。

●複合素材
カーボンやケプラーなどの複合繊維素材を使ったホイールがあります。自転車やオートバイのレースでは普及していて、市販品もあります。強度の問題からすべてをカーボン製にするのではなく、スポーク部分のみやスポーク&リムをカーボン製にしたものが主流です。海外では自動車に装着されている例もあり、少しずつ生産されているようですが、日本の強度認定に適合している製品はいまのところありません。

出典:http://www.sau.com.au/forums/topic/403043-one-piece-carbon-fibre-wheels-ready-for-the-road/

製法の違い

出典:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11135037501

一般的にアルミ材の成型では、溶かして型に入れて固める方法をとります。この溶かして型に入れて成型する方法を“鋳造”と呼びます。上の図の上側ですね。比較的つくりやすいというメリットの反面、一度溶かしているため素材自体の強度が下がってしまうというデメリットもあります。結果的に、ディスク面のデザインにある程度の制約が生まれます。とくに純正採用されるものには十分な安全マージンが求められますから、一般的には“向こうがよく見える”ようなデザインではなくある程度“身の詰まった”デザインのものが多くなります。
少しでもホイールを軽量にしたいモータースポーツの世界ではこの鋳造製法では需要が満たされず、“鍛造”と呼ばれる製法を用います。上の図の下側です。ある程度の熱は加えますが、“溶かして流し込む”ようなことはしません。素材のインゴット(かたまり)を高圧プレスで押しながら、望みの形状にかえていく方法です。“鍛造”の名前のとおり鍛える製法で、元の素材よりも強度を上げることができるのが特徴です。刃物の“焼き入れ”にちかい手法です。鍛冶屋さんが刀を真っ赤に焼いてから叩くシーンを見ますが、こうすることで生の鉄よりも強くなるのです。鍛造製法はこの焼き入れの応用によって硬く強くすることで、余分な肉を落として軽量なデザインを可能にしています。

構造の種類

ホイールには大きく分けて3種類の構造があります。用途やデザイン性などいろいろな理由がありますが、それぞれの特徴とメリット・デメリットをお話しします。

出典:http://www.bbs-japan.co.jp/jp/products/ri_a.html

●ワンピース構造
名前の通りすべてが一体成形されているホイールのことです。一番オーソドックスな製法で、製品としてもワンピース構造の製品が一番多く流通しています。鋳造する場合に一番効率がよく、剛性を確保しやすい上に品質が安定するというメリットがあります。反面、全体で強度をもたせているため肉厚を薄くすることができません。軽量を望む場合は不向きと言えます。

出典:http://www.bbs-japan.co.jp/jp/products/rs_n.html

●ツーピース構造
ディスク部分とリム部を別々に製造し、ボルトで結合するか溶接して結合するタイプです。ディスク面のデザインの自由度が高く、リム形状やリム幅のバリエーションが増やせるというメリットがあります。反面、製作の手間が多くなりますので、コストが上がる傾向にあります。

出典:http://www.craft-web.co.jp/customize-car/customize/plan/step1.html

●スリーピース構造
ツーピース構造のリムを、さらに内外で分割したのがスリーピース構造です。3分割したパーツをそれぞれ別の素材で製作できるなど、デザインや形状の自由度が一番高い構造です。言うまでもありませんが、製作手間が一番多くかかりますので、一番コストのかかる製法でもあります。

ここで面白いのが、F1をはじめフォーミュラカーのホイールはワンピース構造です。対してGTレースやツーリングカーなどのカテゴリーでは3ピース構造が一般的です。高剛性で軽量なホイールを望むのであれば、マグネシウム、鍛造、ワンピース構造の組み合わせがベストなハズです。事実、フォーミュラの世界ではこれがあたりまえなんです。ところがGTカーではワンピース構造はほとんど見られません。これは、フォーミュラレースのカテゴリーでは、一度レギュレーションが決まると比較的同じタイヤサイズと、それに伴うホイールサイズを恒久的に使用します。ところがGTレースなどでは、たとえばシーズン中にリム幅を12インチから11.5インチに変更してテストする、といった特異なことが行われるのです。こうなると1ピース構造ではイチから金型を起こして作らなければならなりませんが、3ピース構造ならリム変更だけで対応できます。このような理由から、GTレースやツーリングカーカテゴリーではドライバーはより高スペックな1ピース構造を望みますが、現実はマグネシウム合金の鍛造3ピース構造が主流になっています。

ホイールのサイズ

ホイールにはさまざまなサイズが存在します。

出典:http://wheel.dunlop.co.jp/rozest/about_wh/

ダンロップさんのH.P.より

ダンロップさんのサイトにある画像がわかりやすいので拝借してみました。この画の中にあるA〜Iまで、すべて名称がわかりますか?
A:リムの中心線です。
これ自体がなにかを表すことはありませんが、これから説明するいろいろな数値を算出する上で必要になります。ただ、ホイール自体には書いてありませんので面倒なんです。
B:ディスク内面(ハブ面)です。
車に装着する際に、実際に触れ合う部位です。車側でこれに対峙するのが“ハブ”と呼ばれる部位ですので、“ハブ面”と呼ばれることがあります。
C:インセットと呼びます。
これは以前はオフセットと呼んでいました。2008年7月から、オフセットを3種類の名称で呼び分けることになりました。そのうちのひとつが“インセット”です。これは通常ミリ表記です。
D:リム幅ですね。
タイヤが勘合する部分の幅を表します。タイヤとの相性が悪いと、タイヤの性能を発揮できなくなるばかりでなく、最悪はタイヤが外れてしまうこともあります。これはインチ表記が一般的です。
E:リム径です。
これもタイヤと勘合する部分の数値ですが、こちらは外径です。つまり、タイヤにとっては内径を意味します。これは間違っていると勘合しないので物理的に危険は起きませんが、間違って用意した場合はどちらかが無駄になります。こちらもインチ表記が一般的です。
F:フランジです。
これは数値ではなく、形状を表記しています。流通しているホイールのほぼすべてが“J”タイプですので、あまり気にする必要がありません。
G:P.C.D.です。
アルファベット3文字の理由は“ピッチ・サークル・ダイアメーター”の略なんです。つまり、“ボルト穴を結んだ円の直径”という意味です。
4穴ホイールの場合は、ボルト穴同士の対角線の長さに等しいのですが、5穴の場合は違ってきますので注意が必要です。これはミリ表記が普通です。
H:ハンブ
コーナリング中など、タイヤに掛かる応力によってタイヤのビードがリムから外れるのを防ぐためにもうけられています。普段はあまり気にしなくてよいのですが、特殊な構造のリムの場合はその形状が明記されています。
I:ハブ径です。
これも車に適合していないと、装着できない場合があります。一昔前は、ホイールボルトを締め付けることでホイールのセンター(芯)出しを行っていましたが、より精度の高いハブセンターの勘合によるセンター出しが主流になりました。これもミリ表記(直径)が一般的です。

これを一同に並べると下の表記になります。

出典:http://wheel.dunlop.co.jp/rozest/about_wh/

ホイールサイズが変わると何が起きる?

ではこのホイールのサイズを変更するとなにが起きるのでしょうか。思いもよらない弊害が潜んでいるかも知れませんからよく読んでくださいね。

●リム径を変更する
これは、タイヤ径も替えることになりますね。大きくする場合はインチアップと呼んでいるカスタムです。ホイールが大きくなれば放熱性も上がりますから、ホイールの役割としてはプラスです。ところがホイールが大きくなることのデメリットもあります。小さな円盤と大きな円盤、回すのはどちらが楽でしょう。答えは決まっていますよね。ホイールが大きくなればなるほど回すのが大変になりますから燃費が悪くなります。

ホイールサイズとタイヤサイズの関係はこちらの記事にまとめてありますのでぜひ読んでみて下さい。

●リム幅を変更する
これもタイヤサイズに影響することがありますが、大きく変更しなければタイヤはそのままで大丈夫なこともあります。リム幅が変わると、タイヤの断面の丸みが変わります。広げると四角に近づきますし、狭くすると丸みが強くなります。これによってタイヤの性格が変わります。四角いときほど横によじれる力に強くなり、丸くなるほどよじれやすくなります。丸みが強いほうがクッション性が高いですから、乗り心地は良くなります。

フランジ形状はほとんどのホイールが“J”タイプですし、そもそもサイズではなく形状を表していますので割愛します。
同様にボルト穴数及びP.C.D.もクルマへの取り付けに関するデータでホイール自体のサイズではありませんので割愛します。

●インセット・アウトセットを変更する
これが走行性能に一番影響します。この数値は、ホイールをクルマに取り付けるハブ面とホイール幅ののセンターとの差(ずれ)を数値化したものです。ですからインセットを変更すると、クルマに対してホイール(タイヤ)の取り付け位置が外へ出てきたり内へ入ったりすることになります。現代のクルマでは、ほとんどのホイールがインセット設定になっているハズですが、これを減らす(アウトセット方向へずらす)と、相対的にタイヤは外へ出てきます。よく“ツライチ”と呼ばれる、フェンダーとタイヤの面を合わせる作業がありますが、まさにインセットを調整して行います。

では、ホイールを外へ出す(アウトセットにする)とどうなるのでしょうか。

出典:http://macasakr.sakura.ne.jp/WA.html

右の図は最近主流になっている設定で、多くのクルマが純正でこの設定になっています。タイヤが首を振るときに、回転軸とタイヤの接地面の中心がほぼ揃っていれば、その場で回転するだけです。対して左の図のようにタイヤが外側へ出ている設定だと、タイヤを移動させなければならなくなります。当然操作が重くなりますし、タイヤは余分に摩耗します。

出典:http://macasakr.sakura.ne.jp/WA.html

さらに、タイヤが首を振るときの中心線は少し傾いています。これはコーナリング中には荷重がかかってロールすることを見越しているのですが、タイヤが外へ出れば出るほどタイヤの上下動が増えることになります。

このような設定で良好な運動性能が得られるでしょうか。結果を理解してあえて調整するのなら良いですが、そうでなければ良い結果につながらないことは明白です。もう少し詳しい解説をこちらの記事でしていますので、ぜひ読んでみて下さい。

ホイールの歴史

ではホイールはいつ頃からあるのでしょうか。乗り物のルーツをたどっていけば見えてくるかもしれませんね。

現代の主流は軽合金製

よく“アルミホイール”と呼びますが、その名の通りアルミ製のホイールのことです。今では一部の商用車を除いてほぼすべてのクルマがアルミホイールを装着しています。アルミは溶かして型に入れて成型できますので、比較的自由にデザインすることが可能です。星の数ほどの種類が存在するのは、このつくりやすさが要因なのでしょう。
より軽量なホイールを求めるモータースポーツの世界ではマグネシウムを使います。アルミよりも軽量で強度が高く、アルミと同じように鋳造での製造が可能です。より軽量にしたい場合は鍛造製法を用います。F1をはじめとするフォーミュラカーはもちろん、ツーリングカーレースでもマグネシウムホイールはポピュラーです。ただマグネシウムは非常に酸化作用が速い素材なので、自然界に置いておくだけで強度が落ちてしまいます。レースごとに交換するような使い方でしたら問題ないですが、市販車に応用されない一番の理由はこのあたりなのでしょう。

軽合金ホイールの誕生

出典:http://www.toyota.co.jp/Museum/collections/list/data/0171_BugattiType35B.html

ブガッティタイプ35B

では軽合金ホイールはいつ頃からあるのでしょうか。歴史のわかる文献を見つけました。これによれば、アルミホイールの誕生は1924年とのことです。ブガッティタイプ35というレースカーに初めてアルミホイールが採用されたそうです。しかもアルミの放熱性の高さを理解した上で、ブレーキドラムと一体式になっていたと言いますから、エットーレブガッティ氏の先見性は素晴らしいとしか言いようがありませんね。実際にタイプ35は当時のGPレースやビッグレースを相次いで制覇し、“BUGATTI phenomenon”と呼ばれる一大ブームを巻き起こしたそうです。第二次世界大戦が終わりモータースポーツが再開された1950年代から、レーシングカーたちは軒並みアルミホイールを採用し、いよいよ市販車へも普及し始めます。そして1958年、ロータス率いるコーリンチャップマンがロータス15にマグネシウムホイールを採用したのを皮切りに、マグネシウムホイールはレースカーの足下を占拠したのでした。1963年には、ワイヤースポークホイールを伝統としていたフェラーリさえもがマグネシウムホイールを装着したのです。

出典:http://www.toyota.co.jp/Museum/collections/list/data/0088_Toyota2000GTModelMF10.html

国産市販車で初めてマグネシウムホイールを装着したトヨタ2000GT

軽合金以前は鉄だった

出典:http://www.toyota.co.jp/Museum/collections/list/data/0204_Peugeot402.html

アルミやマグネシウムなどの軽合金が採用される以前は、スチール(鉄)製のホイールを使っていました。1908年に自動車用オールスチールのホイールを開発したことがはじまりとされ、その2年後には現在のようにボルトで固定する仕組みも考案されています。また同じ年に、ハブにボールベアリングを組み込む機構を考えて、センターロッキング式の脱着可能なワイヤースポークホイールを作りだしています。
これらの技術は、高性能化を続けるクルマ用にも十分な強度と機能を備えた現代のホイールの原型となるもので、1910年代ごろから普及していったのでした。とくにセンターロック式のワイヤースポークホイールは、剛性が高く脱着が容易なことからレーシングカーやスポーツカーで重宝されて、1915年に開催されたインディアナポリスのレースでは出場車の約8割が装着していたそうです。
このワイヤースポークホイールのスポークの組み方は、初期の単純な放射状から剛性を追求してスポークを互い違いに交差させるクロス配置に変わっていったのです。このワイヤーが交差するメッシュ状(網の目)のパターンは、力学的な合理性と精密な機能美が特徴で、現代においても軽合金ホイールのディスク・デザインのひとつとして生き残っています。
このころから比較的コストが低いディスクタイプは一般乗用車向けに、そしてワイヤースポークホイールはスポーツカーやおしゃれな一部の高級車のホイールとして使い分けられるようになっていました。ワイヤースポークタイプは製作に手間がかかる上に、真円を保つためにときどき調整が必要です。このために量産車には適さなかったというのが、その当時使い分けられた理由のようです。ただ、30年代前後には電気溶接技術が開発されたおかげで、ワイヤースポークホイールも生産性が向上しました。1928年に米国で大衆車として発表されたT型フォードのAタイプに採用されるなど、一時はかなり幅広く用いられていました。

鉄の前は...

出典:http://www.toyota.co.jp/Museum/collections/list/data/0008_CadillacModelThirty.html

スチールホイールが開発されるまでは、木製のホイールを使っていました。ここに一大革命を起こしたのは自転車界での発明です。自転車のホイールでは、スチール製のスポークを用いた軽量なホイールが実用されていました。自転車は人力で動かすので、何よりも軽量であることが必須でした。それまでの木製スポークでは軽量化のために細くすると強度が不足し、太くすれば重量がかさんでしまいます。そこで考案されたのがスチール製のワイヤー式スポークで、軽さと強度を兼ね備えた現在のようなスマートなホイールが登場したのです。これをクルマに応用したのは他ならぬベンツでした。1886年に登場した“ベンツ1号車”には、いかにも軽量そうなホイールが装着されていました。2年後の1888年、ジョーイ・ダンロップが息子の自転車用に空気入りのタイヤを考案すると、乗り物の走行速度が飛躍的に向上するのでした。ゴムの塊を巻き付けただけのタイヤに比べ乗り心地が良いのは言うまでもありませんが、悪路での転がり抵抗が格段に減少したのです。事実、ダンロップはこのタイヤを装着して自転車レースに出場し、圧倒的な速さで優勝しています。言うまでもありませんが、タイヤメーカーであるダンロップ社の創立者です。
この頃エンジンの技術も進化の一途をたどり、いよいよクルマの速度競争が加速していきます。スチールスポークホイールの開発とともに空気入りタイヤのクルマへの応用が急務でした。最初に手を挙げたのがあのミシュランです。こうしてスチールホイールと空気入りタイヤが一般化していくのでした。

出典:http://www.toyota.co.jp/Museum/collections/list/data/0057_BenzPatentMotorwagenReplica.html

乗りもの以前のホイール

では、乗りものが発明される以前にホイールは無かったのでしょうか。そんなことはありませんよね。身近なところで言えば“リヤカー”や“一輪車(荷物を運ぶ手押し車)”などもホイールがついていますよね。現代のものはタイヤがついたスチールホイールが採用されていますが、時代劇に登場する“大八車”なんていうのはタイヤがありませんよね。ですが、木材を組み立てて車輪として活用しています。

実は古代文明から存在したホイール

出典:http://chikuwa.tumblr.com/post/265671498/%E5%AD%90%E9%80%A3%E3%82%8C%E7%8B%BC-%E4%B9%B3%E6%AF%8D%E8%BB%8A%E5%85%A8%E9%9D%A2%E3%81%AE%E6%89%89%E3%81%8C%E9%96%8B%E3%81%8D%E6%96%89%E7%99%BA%E9%80%A3%E7%99%BA%E9%8A%83%E3%81%8C%E5%87%BA%E7%8F%BE

木材を組み立てたホイール以前は、切り株を薄くスライスした無垢の木板を使っていました。もっと遡れば、丸太をひいて荷物を転がす“コロ”と呼ばれるものがホイールのルーツとされています。

出典:http://www.keishouen.com/index.php?%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%BA%AD%E5%9C%92%E6%96%BD%E5%B7%A5%E4%BE%8B

最後にまとめ

ホイールについてあれこれ考えてみましたがいかがでしたか。ホイールの性能や特性を理解して、自分のドライビングスタイルに合ったホイール選びをしましょう。ホイールの寸法が変わるといろいろな事が起きることも理解していただけたでしょうか。せっかく交換するのでしたら、運動性能もルックスもアップする選択をしてください。