【エクストレイル ハイブリッド 試乗】街中からオフロードまでOK。EVモードで走行も可能な新世代SUV!

日産自動車は、2015年5月に「エクストレイル ハイブリッド」を発売しました。高性能SUVとして人気を集めていたエクストレイルですが、3代目ではディーゼルエンジン車がラインナップされていませんでした。同車は、その「穴」を埋めるべく投入された感もあります。モーターによるエンジンのサポートはもちろんEV走行も可能な新時代のSUVはどのように仕上がっているのか見てみましょう(飯嶋洋治/RJC会員) 

エクストレイル ハイブリッドとは?

日産はクリーンディーゼルではなくハイブリッドシステムをエクストレイルに与えた!

photo by iijima

日産の本格的SUVとして人気を集めてきたエクストレイルは、現在3代目となっています。実は2代目にはクリーンディーゼルの設定がありましたが、3代目の発売時にはラインナップがありませんでした。低速トルクでモリモリ走れるディーゼルは4WD向きでもあり、ディーゼルを望む声もありました。それに代わるのが「エクストレイル ハイブリッド」と言えます。もともと「ALL MODE4☓4-i」などによる走行性能の高さに定評のある同車ですが「エクストレイル ハイブリッド」がラインナップされたことで完成形となったと言えるでしょう。「エマージェンシーブレーキ」、「インテリジェントパーキングアシスト付のアラウンドビューモニター」などの安全装置、そして従来の高い走行性能を維持しつつ、高い環境性能を両立すべくクリーンディーゼルに代わりハイブリッドエンジンを搭載したということです。今回は「エマージェンシーブレーキ(自動ブレーキ)」も標準装備となり、安全性により一層の配慮がされています。

エクステリアは?

スタイリングはガソリン車ど同じ。ハイブリッド専用エンブレムが存在感を示す!

photo by iijima

エクステリアに関しては、従来(3代目)のエクストレイルと基本的に同一となります。曲面ラインでファッショナブルさを印象付けようとする意図は見えますが、それでもどこか無骨さを感じさせるのは、本格的SUVらしい面ともいえるでしょう。印象的なグリルからエンジンフードへのつながりは「Vモーションシェイプ」と呼ばれるもので、スポーティな感じを抱かせるものとなっています。その他、ブーメラン型のLEDヘッドランプシグネチャーとリヤランプシグネチャーなどがエクストレイル全般の特徴となっています。「エクストレイル ハイブリッド」を強調するものとして、左右フロントドアとバックドアの三ヵ所にハイブリッド専用エンブレムが装着されています。

photo by iijima

インテリアは?

コンパクトなリチウムイオンバッテリーで、積載性も確保した。

photo by iijima

インテリアもラグジュアリーでありつつも、機能性を強く感じさせるものとなっています。インストルメントパネルからドアトリムにつながる水平基調のラインのモチーフは「羽ばたく鳥」ということで、快適に移動できる広々とした室内空間を表現しています。これは実用面の配慮ということになりますが、リヤウインドウの角度と室内容積のバランスを考えたことで、広い室内空間、荷室の使い勝手のよいものとしています。

モーター電源にコンパクトなリチウムイオンバッテリーを用いたことで、ガソリン車と遜色ないVDA容量400Lのラゲッジスペースを確保しています。その他、幾何学パターンのジオメタリカルフィニッシャー、クロームやシルバー加飾の素材や色調などが特徴となっています。スマートフォン携帯機能を採用した「NissanConnectナビゲーションシステム」を搭載し、スマートフォンのアプリのナビ画面表示、位置情報の目的地設定、メールの送受信などのサービスも利用できるようになっているのは、イマ風の装備と言えるでしょう。

photo by iijima

エンジン、ドライブトレーンは?

2リッターガソリンエンジンをモーターでアシストし力強い走り!

phto by iijima

エンジンは2リッター「MR20DD」と呼ばれるガソリンエンジンです。これは補機ベルトの廃止、低フリクションオイルシールを採用することによって基本性能を向上しています。燃費も向上しました。組み合わされるトランスミッションはエクストロニックCVTです。すでに日産車には長年使われており、スムーズな変速には定評のあるものです。これはガソリン車と同じくステップ変速制御を採用し、燃費性能の向上とともに加速力の増加に貢献するものとなっています。

ハイブリッドシステムは「インテリジェント デュアル クラッチ コントロール」と呼ばれるものです。駆動と発電を1つのモーターで行い、2つあるクラッチの1つでモーターとエンジンを完全に切り離すことで、高速域でのモーター走行と効率の良いエネルギー回生を可能としています。これによって、モーターのみの走行、エンジンをモーターがアシスト、エンジンのみの走行と切り替えが可能となっています。JC08モードの燃費は20.0km/L(2WD車は20.6km/L)。これで同車は、全車「平成32年度燃費基準+20%」を達成して、免税措置が適用されました。モーターの電源は、コンパクトなリチウムイオンバッテリーです。

photo by iijima

ボディ、サスペンションは?

ボディ下面の空力性能改善で高速巡航の燃費性能を追求!

ボディはガソリン車のエクストレイル同様ですが、フロア下の空力性能を向上させ、よりいっそうの燃費性能の改善を狙っています。サスペンションは、フロントが、ストラット式、リヤが独立懸架マルチリンク式で、SUVとして必要な操縦安定性を確保するとともに、悪路や降雪路でも十分なストロークが確保できるものとなっています。スタビライザーは前後に採用しこれも操縦安定性を高める一助となっています。ブレーキは前後ともベンチレーテッドディスクに回生強調できるブレーキシステムも搭載。ハイブリッド専用低転がり抵抗タイヤを採用しています。

乗り心地は?

しなやかな乗り心地で、街乗りにも十分対応。

試乗したのは都心の一般道なので、エクストレイル ハイブリッドの本来の性能を試すのには必ずしも適した状況とはいえませんでした。とはいいつつも、まず普通に乗っている限りは室内スペースや適度に引き締まった足回りで快適と言えると思います。今回の注目ポイントはハイブリッドの部分がどうかということになります。特にモーターのみでの走行がどれだけできるのかという部分に注意していました。インストルメントパネルのインジケーターでEV走行時の表示がされるのですが、なかなかその表示をさせるのが難しいという感じを持ちました。

EV走行に期待したが、街中ではちょっと厳しい?

ある程度スピードを乗せた状態ではEVとなっていることがわかるのですが、ゴーストップの多い都内では、なかなかそのメリットが生かせないという感じです。ただ、アクセルをちょっと踏み込めばモーターのトルクを活かして力強い加速性能をみせますし、動力性能という面では十分ではないかと思いました。違和感がどうしても残ってしまったのがブレーキフィールです。これは回生ブレーキを使用しているからということが大きいと思うのですが、2段ブレーキのような感じで柔らかく効いているところから急に効きが強まるような感じがして、改善して欲しいポイントと思いました。

主要諸元と実際の燃費

2.0X HYBRID エマージェンシーブレーキパッケージ(4WD)主要諸元
型式 DAA-HNT32
【寸法】
全長 4,640mm
全幅 1,820mm
全高 1,715mm
車内寸法 長 2,005mm
車内寸法 幅 1,535mm
車内寸法 高(サンルーフ付車) 1,270mm(1,220mm)
ホイールベース 2,705mm
トレッド F/R 1,575mm/1,575mm
最低地上高 195mm
【重量・定員】
車両重量 1,630kg
乗車定員 5名
車両総重量 1,905kg
【性能】
最小回転半径 5.6mm
燃料消費率(JC08モード) 20.0km/L
【諸装置】
駆動方式 4輪駆動(ALL MODE 4x4-I)
ステアリングギヤ形式 パワーアシスト付ラック&ピニオン式
フロントサスペンション 独立懸架ストラット式
リヤサスペンション 独立懸架マルチリンク式
主ブレーキ F/R ベンチレーテッドディスク式/ベンチレーテッドディスク式
タイヤ F/R 225/65R17
エンジン&モーター主要諸元
【エンジン】
型式 MR20DD
種類・シリンダー数 DOHC筒内直接燃料噴射直列4気筒
シリンダー内径☓行程 84.0mm☓90.1mm
総排気量 1,997cc
圧縮比11.2
最高出力 108kW(147PS)/6,000rpm
最大トルク 207Nm(21.1kg-m)/4,400rpm
燃料供給装置 ニッサンDi
使用燃料 無鉛レギュラーガソリン
タンク容量 80L
モーター
型式 RM31
交流同期電動機
最高出力 30kW(41PS)
最大トルク 160Nm(16.3kg-m)
動力用主電池 種類 リチウムイオン電池
【変速比・最終減速比】
トランスミッション エクストロニックCVT(無段変速比)
エンジン MR20DD
変速比(Dレンジ時) 前進2.631~0.378/後退1.960
最終減速比 6.386

燃費はJC08モード燃費で20.0km/Lとこのクラスとしてはけっこう頑張った数値となっています。実燃費は現在のところ想像の域でしかありませんが、積極的にEV走行ができる状況であれば、モード燃費近くまで狙えるのではないでしょうか? 街中ではさすがに厳しいと思います。

エクストレイル クリーンディーゼルとの違いは?

ハイブリッドシステムでクリーンディーゼルを超える低速トルクと経済性を狙う!

先代のエクストレイルにはクリーンディーゼルエンジンが搭載されていました。これはこれで魅力的なモデルでした。特に4WDが必要なシチュエーションでの使用を考えると、どうしても荒い使いかたになります。ディーゼルは耐久性が高くドルクも厚いの選択肢はありですが、残念ながらモデルチェンジで消滅してしまいました。それに代わるのが「エクストレイル ハイブリッド」で、新システムによりディーゼルを凌ぐ低燃費とトルクの厚さ、そしてガソリンエンジンとモーターによる静粛性の高さを果たしたと言えるでしょう。このハイブリッドシステムにより、2.5リッターガソリンエンジンを超えるパワフルさとともに「ハイブリッド全車免税」を達成し、経済性も高いものとしています。

比較されやすいハリアーハイブリッドとの違いは?

ハリアーよりもよりオーソドックスな分、安心感の高い4WDシステム。

トヨタのハリアーハイブリッドはE-Four(電気式4WDシステム)を採用しています。FFベースで前輪をエンジンで駆動し、リヤは必要に応じてモーターが駆動する方式となっています。システム上はモーターはいつもサポート側に回ることとなりEV走行はできません。それに対してエクストレイルハイブリッドは、前輪と後輪をつなぐプロペラシャフトが存在しており、オーソドックスな型式といえます。電子制御で2WDモード、AUTOモード、LOCKモードなどの切り替えができるエクストレイルハイブリッドの方はよりヘビーデューティということは言えると思います。ちなみにですが、ハリアーハイブリッドは林道を含めて乗る機会がありましたが、取り回しの良さや乗用車的な足回りなど、これはこれで良いクルマだと思いました。

おまけ:CM曲が素晴らしいと噂がある?

TVCM曲は「I've got nothing to lose」!

[iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/F84wP6K9WMA" frameborder="0" allowfullscreen][/iframe]

エクストレイル ハイブリッドのTVCM(Off-road City篇)曲が話題になっているようです。曲名は「I've got nothing to lose(作曲:五十嵐文武)」で、このCMのためのオリジナル曲です。SUVらしい力強さと爽快感がよく表現されているように思います。作曲の五十嵐さんはCM曲の作曲で有名な方のようですね。

まとめ

日産はリーフの存在により、EVに関しては先を行く自動車メーカーというイメージがあります。今回、ハイブリッドではあるものの、EV走行がウリであるのは事実で、大分楽しみにしていたのですが、走行条件のせいか、そこだけ見ると期待はずれの感は拭えませんでした。ブレーキのフィーリングももう少し改善されればというのが率直なところです。ただ、SUVとしての使い勝手の良さや4WD車の場合は、かなりハードな使い方にも応えてくれそうですし、今回は乗れませんでしたが、2WD車も実用面や燃費性能などでは多いに期待できるでしょう。もちろん街中を普通に走るにはエクステリアもそれなりの「押し出し感」がありますし、ドライブサポートシステム、安全装置も充実していることから満足感の高い一台となると思います。

photo by iijima