【プジョー407】プジョーの400番台を締めくくる名作品

戦前から続いたプジョーの400番台、それはプジョーにとってミドルサルーンの歴史でもありました。今回ご紹介する407は、この400番台の最後を飾ったクルマです。407の素性はもちろんですが、長く続いた400番台の歴史も含めてプジョーの歩みや400番台の歩みをご紹介します。いつかまた400番台が復活することを信じて。

プジョー407ってこんなクルマです。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%BB407

プジョー407は2004年に発表されました。中型のセダンで、日本車で言えばマークXくらいの大きさのクルマです。日本では2005年6月から販売開始されました。当時のプジョーが推し進めていた猫科の動物を表現したファニーフェイスで、独特の雰囲気を醸し出しています。大きく口を開けて笑っているようにも見えますよね。

エリクシールコンセプトの具現化

出典:http://www.motordays.com/newcar/articles/407sw20050709/

2003年のフランクフルトショーでお目見えした“407Elixir(エリクシール)”です。407シリーズは、このコンセプトをもとにつくられました。

ボディタイプバリエーション

407には4ドアセダン、5ドアSW(ワゴン)、2ドアクーペの3種類のボディバリエーションが用意されました。これは先代にあたる406と同様ですが、ピニンファリーナの色が濃かった406からはがらりと変わり、大型のエアインテークグリルと切れ長のヘッドランプが特徴的なデザインになっています。また一回り大型化され、セダンモデルで全長で+121mm、全幅で+41mm、全高で+25mmサイズアップしています。

コンポーネント

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%BB407

搭載されたエンジンは、ガソリンエンジンが直列4気筒1.8L・2.0L・2.2L、V型6気筒3.0L、ディーゼルエンジンが直列4気筒1.6L・2.0LのHDi、V6気筒2.7LのHDiの全7種類です。この中から日本に導入されたモデルは、ガソリンの直列4気筒2.2Lと、V型6気筒の3.0Lでした。駆動方式はいずれもFFのみです。組み合わされるトランスミッションは、1.8Lと2.0L、1.6Lディーゼルに5速M/T、2.2Lと2.0Lディーゼルに6速M/T、2.0と2.2L、2.0Lディーゼルに4速A/T、3.0LV6と2.7V6ディーゼルにはアイシン製6速A/Tがそれぞれ用意されていました。A/Tはいずれもマニュアル操作ができるセミオートマ仕様で、日本への導入はすべてA/Tモデルでした。

凝ったつくりのサスペンション

出典:http://www.topspeed.com/cars/peugeot/2006-peugeot-407-ar17712/picture120472.html

407に採用されたサスペンションは少々特異なモノで、フロントにはモータースポーツ仕込みのダブルウィッシュボーン、リアには406にも搭載されたマルチリンクが採用されました。フロントのサスペンションは一般的なダブルウィッシュボーンとは異なる動きをします。一般的なダブルウィッシュボーン式サスペンションでは、舵に応じて左右に首を振るハブキャリアが上下のウィッシュボーンで支えられています。ところが407のハブキャリアは2つに分かれていて、ウィッシュボーンで支えられる部分は固定され、そこにマウントされた小さなハブキャリアだけが首を振る、極めて特殊な構造になっています。これは、プジョーが動きの滑らかさにこだわったからで、猫足を重んじるプジョーらしい回答といえます。また電動パワーステアリング、ABS、EBD、計9つのエアバッグなどの安全装備を搭載し、ユーロNCAPでは5つ星評価を獲得しています。

スペックなど

プジョー4074ドアセダンST2.2
ボディタイプ:セダン
ドア数:4ドア
乗員定員:5名
型式:GH-D2
全長:4,685mm
全幅:1,840mm
全高:1,460mm
ホイールベース:2,725mm
トレッド前/後:1,555/1,510mm
車両重量:1,550kg
最高出力:158ps(116kW)/5,650rpm
最大トルク:22.1kg・m(217N・m)/3,900rpm
種類:直列4気筒DOHC
総排気量:2,230cc
内径×行程:86.0mm×96.0mm
圧縮比:10.8
過給機:なし
燃料供給装置:電子制御式燃料噴射
燃料タンク容量:65リットル
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
10モード/10・15モード燃費:9.0km/リットル
ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション形式(前):ダブルウィッシュボーン式
サスペンション形式(後):マルチリンク式
ブレーキ形式(前):ベンチレーテッドディスク
ブレーキ形式(後):ディスク
タイヤサイズ(前):215/55R17
タイヤサイズ(後):215/55R17
最小回転半径:5.8m
駆動方式:FF
トランスミッション:4A/T

販売価格
●セダンモデル
ST2.2:3,600,000円
スポーツ2.2:4,000,000円
スポーツ3.0:4,300,000円
エグゼクティブ3.0:4,300,000円
●ワゴンモデル
SW2.2:3,800,000円
SWスポーツ2.2:4,200,000円
SWスポーツ3.0:4,500,000円
SWエグゼクティブ3.0:4,500,000円
●クーペモデル
クーペ407:5,490,000円

マイナーチェンジ

2009年にマイナーチェンジを受けました。変更点は以下のとおりです。
●フロントグリル内の垂直バーをクローム塗装にして、フロントフェースの質感を向上しました。
●フロントにコーナーソナー、リアにバックソナーが標準装備されました。
●セダンはリアバンパーのモール形状を変更してアンダーガーニッシュを採用しました。テールランプ形状を変更し、ホワイトクリスタルカバーを取り入れて高級感を高めました。
●ワゴンSWもリアバンパーのモールとテールランプのデザインを刷新しました。
●電動本革シートを全グレードに標準装備しました。センターコンソール、エアコンルーバートリム、ドアインナーハンドルトリムの素材を変更して、光沢ブラックに仕上げました。

ラインナップを見直し、セダンとSWをそれぞれ2.2Lと3.0Lの2種類に整理しました。
●セダンモデル
SV2.2:4,090,000円
SV3.0:4,690,000円
●ワゴンモデル
SW2.2:4,340,000円
SW3.0:4,860,000円
●クーペ
クーペ407:5,690,000円

乗ったことがあります。

すでにメカニックを卒業してからリリースされたモデルですので、整備を含めて直接関わったことはありません。ですが、知人がSWスポーツ3.0に乗っていましたので運転したことがあります。そのときの感想を思い出しながら書いてみますね。

第一印象は

出典:http://www.carsensor-edge.net/catalog/peugeot/407/F001M001/G001/

自分は406クーペに乗っていた頃でしたので、一目見て“大きいな”と言うのが第一印象でした。SWはセダンに比べて90mm長いですから、余計にそう感じたのかもしれません。幅も1800mmを超えていますから、随分大きな印象を受けました。ドアを開けると質の良い革シートが迎えてくれますが、ずいぶん硬めな印象のシートです。406クーペのシートは、一度座ったら座り直す必要がないほど見事に包んでくれるのですが、だいぶ勝手が違いました。逆に、リアシートはとても柔らかかったと記憶しています。ドライバーとゲストで対応を変えているようですね。頭上には私の好きなパノラミックガラスルーフが付いていました。実に開放的で良い装備だと思います。面白いと思ったのが、リアのハッチドアです。普通にハッチドアなのかと思っていたら、ガラスだけでも開けられる構造になっていました。小さな荷物を取るのにいちいち大きなハッチドアを開けるのは面倒なので、このアイデアはもっと普及させるべきだと思います。

プジョーらしさを脱皮した乗り味

V型6気筒3.0Lのエンジンは210ps・29.5kgmと十分すぎる出力を発揮します。ですが、車重が1,720kgもあるSWでは、卓越した動力性能とはいきませんでした。もちろん不足は感じません。アイシンAW製のトランスミッションはとても使い易い設定ですし文句ないのですが、とくべつ感動もありませんでした。この印象を強くしているのは足回りでした。これまで続けてきたマクファーソンストラットではなく、ダブルウィッシュボーンを採用したフロントサスペンション。凝ったつくりでステアリングへの応答性は良いのですが、いわゆる“猫足”が感じられません。これが好感を持てなかった要因でしょう。ひからびた伝統よりも革新を選んだモデルだったのかもしれませんが、古いプジョーファンとしては寂しさをおぼえました。
とは言え、実に良くできた足回りです。乗り心地はしなやかで路面の追随性も文句なしです。けっこう攻めてコーナーをクリアしてもそっけない顔をしています。アップライトを分割してまで取り組んだしなやかさは感じ取れますし、文句なしに良い足回りです。ただ欲を言えば、もう少しストロークが長くてまったりした感じが欲しかった、と思うのです。

高速走行が得意なクルマ

高速道路を走ってみると、このクルマの真価が見える気がしました。406も405も、高速道路は得意です。欧州のミドルクラスですから、郊外~高速道路(向こうは100km/h制限じゃありません)を巡航することは当たり前に求められます。速度が増すほど路面に張り付く感覚は欧州車ならではだと思います。ただ、406に比べて格段に違うのは居住性の高さです。メカノイズとか風切り音とか、そういう邪魔くさいものを一切感じませんでした。これも褒められるべきことなのですが、ちょっぴり寂しさを感じてしまうところでもありました。

番外編

フロントのオーバーハングが長すぎて、段差の大きい駐車場の入口では苦労しました。オーナーの家の駐車場も登りがきついのですが、まっすぐ入るとあごの下を摺るそうで、斜めに入れていると言っていました。デザインを優先しすぎて使い勝手がスポイルされてしまってはいけませんね。

映画に登場しました!

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Peugeot_407?uselang=ja

映画TAXI IV仕様の407

TAXiという映画に登場します。1作目の“TAXi”には406が登場して暴れ回りました。407は4作目“TAXi IV”で大活躍しています。

プジョーにとっての400番台

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC

プジョー401エクリプス

407は、プジョーの400番台の最後のクルマになりました。2011年に、先にラインナップから消えた607と統合されて508へと発展しました。つまり、このときに400番台と600番台が消滅したのです。実は過去にも似たような事はありました。
プジョーの400番台のルーツをたどると、第二次大戦以前にまで遡ることになります。プジョーのことですから、初めての400番台は401です。続いて402がデビューしました。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%BB403

プジョー403

戦後にデビューした400番台は403です。ご存じ“刑事コロンボ”の愛車になったクルマです。コロンボさんはカブリオレ(商品名はカブリオ)に乗っていましたね。刑事コロンボの愛車が403カブリオになったのには諸説ありますが、年齢の設定や時代背景、ピーターフォークのこだわりなどがあったのでしょう。この403は、ピニンファリーナがデザインした最初のプジョーでもあります。書いていたらまた“カミさんがねぇ、”が聞きたくなってしまいました。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%BB404

本国生産されたプジョー404

403の後継となったのは404でした。美しいフィンテールを持ったデザインもピニンファリーナです。この404はとてもロングライフモデルでした。デビューしたのは1960年でしたが、最終的に生産終了したのは1988年です。実に29年もの間生産され続けました。ただ、フランス本国での生産は1975年に終了していて、欧州市場では504が後を受け持つことになったのです。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%BB504

プジョー504

400番台はここで消滅し、404を拡大するかたちで504がデビューしました。ピニンファリーナによる軽快でモダンなデザインのおかげで大ヒットしました。

出典:http://www.rafa505.es/dossier505/

プジョー505

ウェッジシェイプ全盛期の1979年に誕生したのが505でした。もちろんピニンファリーナがデザインしています。504もやや吊り目の印象はありましたが、505は睨みの効いた顔つきが特徴でした。

出典:http://classics.honestjohn.co.uk/reviews/peugeot/405/

プジョー405

この505の生産が続けられて10年が経とうとしていた頃、プジョーは休止していた600番台を復活させました。605の登場です。これにより、505の後継車は開発されず、欧州市場では休止していた400番台を復活させることになりました。こうして生まれたのが405です。これまでのFRレイアウトからFFレイアウトへ進化し、モダニズムを取り入れたピニンファリーナのデザインは絶賛されました。

プジョー406クーペ

そして、ピニンファリーナの集大成となる6世代406がデビューします。ピニンファリーナとの長い付き合いは、この世代で幕を閉じました。今、ピニンファリーナがプジョーをデザインしたらどうなるのか、見てみたい気がします。

そして、今回ご紹介した407が最後の400番台になりました。607と統合されて508に生まれ変わりました。今後、600番台が復活するようなことがあれば、500番台を休止して400番台も復活なんてことがあるかもしれませね。そのときはぜひピニンファリーナのデザインで見てみたいと思います。

最後にまとめ

いかがでしたか。プジョー最後の400番台になった407。日本デビューからはすでに11年経っていますが、最終モデルはまだ5年落ちですからバリバリ現役で活躍してくれると思います。PSAの悩みの種だったA/Tがアイシン製になっていますから、故障など気にせずに乗れます。新車時は469万円だったレザーシートのSV3.0が100万円以下で手に入るなんて素敵なことだと思います。