【スバル ヴィヴィオ】ポテンシャルは、「WRCワークス・セリカ」以上だった?

WRCなどで「ワークス・セリカ」や「ワークス・パジェロ」を上回るポテンシャルを発揮しラリーで活躍し、スバルの技術が惜しみなく投入された「ヴィヴィオ」に迫ってみたいと思います。

「ヴィヴィオ(VIVIO)」

「ヴィヴィオ(VIVIO)」は、1992年から1998年にかけてスバルブランドを展開する富士重工業が生産、販売していたハッチバックタイプの軽自動車で、幅広いバリエーションモデルを展開していました。

コンセプト

デビュー当初のキャッチフレーズは「SIMPLE RICH(シンプルリッチ)」というものでだった。これは、軽自動車は1名乗車の機会が多いとする調査結果に基づいて運転席の居住性を重視した「ドライバーズ・ミニ」というコンセプトのもとに開発が進められたためでした。それで前席のレイアウトが運転席側の空間を広くするため、助手席はやや小ぶりで左側に寄せられた設計となっています。またシフトレバーやパーキングブレーキレバーが設置されているセンタートンネルも車体の中央からやや左側に配置する設計でコンセプトに基づいたものとなっています。

乗用と商用ではデザインが違う?

エクステリアデザインは、ショルダーラインからルーフにかけて絞られたデザイン、曲線を生かしたボディパネルがスタイリング上の特徴です。ボディカラーもメタリック塗装が多く、質感が向上しています。また乗用と商用で車体後部の形状が作り分けられ、乗用グレードではレンズ面積の大きい横長のリアコンビネーションランプを採用した一方、バンでは欧州仕様のバンパーと小型のリアコンビネーションランプを採用してハッチの開口部を広げれらたデザインとなっています。

パワートレイン

搭載ユニットは、「クローバーフォー(CLOVER4) と呼ばれる直列4気筒の「EN07型」が搭載されまし
た。エンジンの仕様は、「NA SOHC キャブレター仕様/42PS(バン用)」「NA SOHC EMPI仕様/48PS(MTは52PS)」「アイシン製スーパーチャージャー(MSC)搭載 SOHC EMPI仕様/64PS(ECVT用)」「アイシン製スーパーチャージャー(MSC)搭載 DOHC EMPI仕様/64PS(5MT用)」の4タイプを基本設定していました。最終型になるとDOHCのハイオク仕様化になり、バリエーションが増えていました。駆動方式はFFで、パートタイム式及びビスカスカップリングを用いたフルタイム4WDモデルも用意されていました。

トランスミッション

トランスミッションは、5速MT、ECVT、3速ATで、ECVTモデルの後期型には6速MTモードを備える「スポーツシフト」搭載車も設定されていました。またOD付き5速MTが採用され、各ギア比をクロスレシオ化し、低回転域のトルク不足を補うセッティングが施されています。その後、1994年のC型モデルになり、2速のシンクロ機構がダブルコーンタイプに変更され、耐久性とシフトフィーリングの向上が図られました。さらに1996年のE型モデルでは、ハイオク仕様化により増加したトルクに対応するために、クラッチディスク径を変更して許容トルクが強化されました。またスバル独自のCVTは、プーリーへの油圧とクラッチの動作を電子制御化したもので、フィアットにも技術供与されているものです。1997年には、「ヴィヴィオ」のMSCモデルに、6速マニュアルモード付きのECVTであるスポーツシフトを採用したモデルも発表されました。

サスペンション

サスペンションシステムは、スバル伝統の4輪独立懸架のストラット型を採用しています。フロントはL型ロアアームを採用し、リアはデュアルリンクストラット式が採用されました。1994年のマイナーチェンジで、リアサスペンションリンクの形状が見直され、アンダーステアを抑えたセッティングが施されています。またDOHC MSC仕様では前後に、SOHC MSC仕様と一部のDOHC MSC仕様ではフロントに、スタビライザーが装備されています。

ポテンシャル

プラットフォームが新設計され、低重心化が図られ操縦安定性が向上しています。また安全性も向上しており、「ヴィヴィオ」は普通車の基準である時速40kmでの衝突安全を確保し、当時の軽規格の中ではボディ強度と剛性は高いレベルとなっていました。そして軽自動車では過去に例のなかったニュルブルクリンクでのテストを行い、「RX-R(FF)」 のベストタイムは9分54秒台でした。加えて、筑波サーキットでのテストでも、「RX-R(FF)」が1分13秒35という、軽自動車としてハイレベルのタイムを記録し最高速は182km/hを記録しています。1998年10月に生産終了し、後継モデルは「ヴィヴィオ」のプラットフォームを改良した「プレオ」となりました。

モータースポーツ

「ヴィヴィオ」は、1992年のパリ 、モスクワ、 北京と巡るマラソンレイドに参戦し、プロローグランでワークスパジェロを上回るタイムを記録しています。1993年のサファリラリーでは、「WRC」にレギュラー出場していたワークスドライバーのコリン・マクレーと、地元ケニアのパトリック・ジルらがグループA仕様の「ヴィヴィオ・RX-R4WD」で参戦し、一時トヨタワークスのセリカを上回る総合4位を走行しています。最終的に「A-5クラス」で優勝しています。

VIVIO「KK/KW/KY系」(1992年-1998年)

1992年3月に「レックス」の後継モデルとして「ヴィヴィオ」(A型)が登場しました。型式は乗用のFFモデルは「KK3」、4WDモデルは「KK4」、商用FFモデルは「KW3」、4WDモデルは「KW4」でした。1993年2月には、「RX-RA」「GX-R」が追加され、 5月には「T-Top(KY3型)」が発売されました。そして、1993年9月にマイナーチェンジを行い、「B型」モデル、1994年に「C型」モデルに移行しています。「C型」になりNAエンジンモデルのフロントフェイスが変更され、リアの車体構造も小変更されました。このMCでは、後席3点式シートベルトが標準装備化され安全性能が向上しています。またリアサスペンション形状を変更しアンダーステアを抑えたセッティングが施されています。1994年の2月には、「GX-T」が追加されました。また1995年4月には、バンのミッションをECVTから3速ATに変更しトランスミッションの耐久性を向上させています。そして6月には、「M300」モデルを追加発売しています。1995年の10月に行われたマイナーチェンジで「D型」モデルに移行しています。翌11月にレトロスタイルの「ビストロ」モデルを発売しています。その後、1996年10月のマイナーチェンジで「E型」モデルに移行し、NAエンジンモデルはフロントフェイスを変更しています。1997年になると5月に「RX-SS」を9月のマイナーチェンジでは「GX-SS」を追加発売しました。そして1998年8月に生産終了しています。1998年10月5日の660ccの新規格に完全対応した後継モデルの「プレオ」と入れ替わる形で販売も終了しました。

その他のスペック

「e」シリーズ

「e」シリーズの3ドア最上級モデルは、「ex」で電動カラードリモコンミラー、タコメーター、ピンストライプ、集中ドアロック、運転席 SRSエアバッグが初期型において唯一の標準装備、ABS装備でした。「es」は、5ドア最上級モデルで、ブロンズガラス、チルトステアリング、後席ヘッドレスト、フルトリム内装、運転席ハイトアジャスターが装備されていました。しかしSRSエアバッグはオプションでした。また「em」は、フル装備の中級グレードモデルでした。「em-p」になると女性ユーザーを意識した特別グレードとなり「em」と比較して、専用オーディオ、専用シート生地、UVカットガラスが装備されていました。「em-s」はリアスポイラーと12インチアルミホイールが装備されたスポーティーグレードでした。廉価グレードとして「el」もラインナップされ、エアコンは装備されているがパワーステアリングはオプションとなっていました。また「el-s」は廉価グレードで布シートや12インチフルホイールキャップ等が装備され、「el」を同様の内容でした。さらに「ef」はラインナップされた最廉価グレードです。そして「ef-s」は、バンの上級グレードに当たるモデルです。また「ef-s II」は「ef-s」より豪華なバン最終型モデルです。それから「e」はバンの業務用グレードでした。バンパーとアウターリアビューミラーが無塗装で、エアコンが標準装備されない簡素なモデルです。しかし「2シーター」は、バンの最廉価グレードで、MTのみの設定で、後部座席を取り外しており、リアデフォッガーやリアゲートオープナーもなくベースモデルになりました。

「GX」シリーズ

前期型のMSC(SOHC)仕様の上級グレードです。サイドエアロ、デュアルマフラー、運転席ハイトアジャスター、ミシュランタイヤ、ピラーブラックアウトを装備しています。「ECVT」のみの設定でした。また「GX-R」は、パワートレーンに「RX-R」に準じた内外装が装備されています。そして「GX-L」は装備内容は前期型「GX」同様でした。加えて「GX-SS」はDOHCエンジンに SportShift を組み合わせた仕様で5ドアモデルで駆動方式はFFのみの設定です。そして「GX-T」は「T-TOP」発売後に1,000台限定でパワートレーンにSOHCにMSCを装備し「ECVT」のみの組み合わせでした。

「RX」シリーズ

「RX」はDOHCエンジンにMTのみのスポーツモデルでした。「MSC(DOHC)」を搭載し、スポーツバケットシート、ハイグリップタイヤ、センターアンテナなどが標準装備でした。「E型」モデルではハイオク仕様となり、オプションでBBSホイールも用意されていました。また「E型」モデルではシート地のデザイン、レターマークのデザインも変更されています。そして「RX-R S1」は、「MSC」を搭載した「RX-R」の限定モデルです。シルバーのボディカラー、フロント熱線反射ガラス、サイドブロンズガラス、ケンウッドサウンドシステムを装備し、スバル4WD20周年記念モデルでした。また「RX-R スペシャルバージョン」は、サファリラリーでのクラス優勝を記念して1995年5月に発売された「RX-R」の200台限定モデルです。「STi/PIAA」製のフォグランプに「STi」ロゴ入りのフォグランプカバー、フジツボ製レガリスKマフラー、ケンウッドサウンドシステム等を装備していました。さらに「RX-RA」はフルタイム4WDのみでモータースポーツ用ベースグレードです。「RA」は、スバルのモータースポーツベース車に共通の記号で、競技に不要な快適装備の類は一切なく専用ECU、1速から4速のギア比がクロスした専用ミッション、コイルスプリングのバネレートやショックアブソーバの減衰力等が専用に設定された強化サスペンション、リア機械式LSD等を装備し「RX-R」より20kg軽量化されています。そして「RX-SS」はDOHCエンジンにSportShiftを組み合わせたモデルでした。

「T-TOP」

「T-TOP」モデルは、3,000台限定の40周年記念モデルです。タルガトップに電動格納リアウィンドウを組み合わせたオープンモデルでした。カラフルな内装が特徴で「ECVT」と5速MTを設定していました。

「M」シリーズ

「M300」はスバル軽自動車販売300万台達成記念モデルとして登場し、木目調オーディオパネル、フロントスポーティシート、SRSエアバッグ標準装備しています。また「M300 Type S」は「M300」にタコメータ、フロントマスク、リアスポイラー、12インチアルミホイールが追加されたスポーツモデルです。そして「M300 スーパーチャージャー」もあり、「M300 Type S」にスーパーチャージャーを搭載しBBSのホイールを標準装備していました。加えて「M300 エクストラ」も発表され「M300」シリーズの廉価グレードでCDプレーヤーや木目調パネル、キーレスエントリーが装備される程度のモデルでした。

「ビストロ」シリーズ

レトロスタイルの専用の内外装が装備されたグレードです。テールランプは、「日産・スカイライン(R33型)」のものが流用されていました。また「ビストロ B-Custom」もあり本革シートや、エアバッグ、専用ボディカラーが装備されたビストロの上級仕様でした。その後、「ビストロ シフォン」が追加されましたが、5ドアだけだったビストロシリーズに追加された3ドア廉価グレードでした。専用のホイールキャップやシート表皮を装備しています。また「ビストロ ホワイトエディション」も発表されフェザーホワイトカラーにピンストライプ、専用ホワイトホイールキャップが装備されていました。そして「ビストロ L」は、エアバッグがオプションとなっている廉価モデルです。スポーティ志向の「ビストロ スポーツ」もあり、「GX」の装備内容を与えたモデルでした。ゴールド塗装のBBSアルミホイールでした。加えて「ビストロ SS」は「RX-SS」のビストロ版でFFと4WD両方の設定がありました。

まとめ

「ヴィヴィオ」は、軽自動車にもかかわらず、サスペンションやボディ剛性、4WDシステムなど惜しみなくスバルの技術が投入されモータースポーツで活躍したモデルとして今でも人気があります。軽自動車史上における名車といっても過言ではないモデルです。