F1マシンのデザインは2017年のルール改正でどう変わるのだろう?

まだ2016年のプレシーズンの合同テストも終わっていない段階ですが、来シーズンに向けて各チームのエンジニアたちは準備に取り掛かっています。この3シーズンはパワーユニットによるメルセデスの圧倒的な強さが話題の中心でしたが、2017年からはF1マシンの形状が変更になることが決まっています。そこでどれくらいF1マシンの形状が変わるのか簡単にまとめてみました。

2017年のルール変更

今回のシャシー(車体)に関するルール改正の主な目的はダウンフォースの増加によるラップタイムの向上です。もう一つはコーナーリングスピードとダウンフォースの向上に合わせたタイヤ幅の変更です。この二つの変更による影響は2014年のエンジンルール改正と同様に初年度にチーム間による大きな技術格差が見られると思います。

F1マシンはどう変わる

フロントビューからみた変更

出典:http://www.formula1.com/content/fom-website/en/latest/technical/2016/2/analysis---the-2017-bodywork-proposals-explained.html

・タイヤの拡幅
・タイヤの拡幅にともなう全幅の拡大
・フロントワイングの拡幅
ダウンフォースを増やしてラップタイムの向上を目的としているので地面に押し付ける力が強まる分これまで以上にサスペンションは硬くなっていきます。しかもサスペンションアームが延びることはタイヤの上下動に対してテコの原理でこれまで以上の力がダンパーユニットに加わることになります。ダウンフォース+上下動の応力増に対応してかなり硬いセッティングになります。こうなると本来テクニカルグリップが欲しいフロントタイヤですがアンダーステアが強まる傾向になるので初年度は設計段階での良し悪しが大きく影響してきます。

リアビューから見た変更

出典:http://www.formula1.com/content/fom-website/en/latest/technical/2016/2/analysis---the-2017-bodywork-proposals-explained.html

・車幅変更にともなうディフューザーの拡幅
・デフューザーの跳ね上げが高くなる
・リアウィングの拡幅と位置が低くなる
・リアタイヤの拡幅
この変更でディフーザーに関しは車体下面から得られるダウンフォースの増加が上げらますが、リヤウィングの位置と幅の変更によるダウンフォース増加も期待されます。ここでのポイントはウィングのアーチ内から見えるボディのを見てわかる通りボディ上面の気流のディフューザーとリアウィングに対する流し方によってどの様に相乗効果を生み出すかが鍵になると思います。また位置を低くしてドラッグの低減効果もあるのでウィング形状によって直線スピードの差も出てくると思います。気になるのが現在の画像だと後方視界が確保出来ていないのでその対策がどうなるかは興味深いところです。

サイドビューからみた変更

出典:http://www.formula1.com/content/fom-website/en/latest/technical/2016/2/analysis---the-2017-bodywork-proposals-explained.html

・リヤウィング後端部の位置変更
・ディフューザーの延長
・バージボード(フロンタイヤ後ろの整流板)の設置許可
リヤウィングの後方移動は位置を低くしたことによって、エアインテーク及びエンジンカウルで乱れた前方気流の影響に対する緩和措置だと思います。バージボードは増加するダウンフォース生成の安定性を考慮した措置だと思います。ダウンフォース増加はスピードと同時に危険性も増えることを意味しています。これまでの経験から安全性の配慮が感じられます。

アッパービューから見た変更

出典:http://www.formula1.com/content/fom-website/en/latest/technical/2016/2/analysis---the-2017-bodywork-proposals-explained.html

・アンダートレイの拡幅
・フロントノーズ先端部の位置変更
フロントノーズの位置変更はスピード向上にともなう安全対策だと思います。ここでの注目点はフロントウィングが斜めになっているところです。フロントタイヤのドラッグや後方乱気流を低減しつつダウンフォースを得るにはフラップ等のフロントウィングのエレメントは現在の位置から変えたくない。一方で前方に伸びたノーズにフロントウィングの位置に合わせるとボディ下面に流し込みたい気流の容量(スペース)が増えて整流もしやすくなる。おそらくベーシックな考え方だと斜めウィングが折衷案として妥当だと思いますが、各チームの考え方や研究によってはデザインに個性が発揮される可能性は大きいです。アンダートレイの拡幅はボディ下面の面積が増えるのでダウンフォースがその分増加します。

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2016年と2017年のレギュレーション変更にともなうマシン形状の違いを説明している動画です。

2017年F1の見所

FIAは今回のルール改正でラップタイムを2〜3秒ゲインすることを目標としています。その大きなゲインのために多くのダウンフォース要素を取り入れました。空力はコーナーリングスピードの向上にとどまらずパワーユニットの冷却性能やタイヤの磨耗にも大きな影響を与えます。サーキットで戦う意味においては最も重要です。2014年からハイブリッド化したパワーユニットによって生まれたチーム間格差も4年目を迎えればその差は縮まって来ます。一方でボディ形状は全チームがオリジナルで制作するので、これだけダウンフォース増加の要素が加わると現在の勢力図が塗り替えられる可能性が大いにあります。

1ラップ2〜3秒の短縮になるのですから今回のルール改正の風をうまく掴む事が出来ればパワーユニットにおけるラップあたりの格差を一気に逆転することも可能となります。もちろん逆説的には格差が広がる可能性も十分あります。しかしレッドブルの様に空力に優れたチームがトップ集団に返り咲くことは間違いないと思いますし、パワーユニットのトークンによる開発制限がないのでシーズンン中の進化によって混戦模様になって来る事が期待できます。ダウンフォースによるスピード向上には安全面での懸念は付きまといますがF1がこれまで以上にエキサイティングになることは間違いありません。ホンダの復調を期待しつつ今年のF1を見ながら来シーズンに向けたF1マシンの変化を楽しみにしています。