【アウディA4試乗レビュー】長く広くなりながらも、高性能とスポーティな走りをイメージさせるセダン!

アウディA4がフルモデルチェンジしました。欧州のミディアムクラスのセダンとして確固たる存在となっている同車ですが、新型にも期待したいところです。フルモデルチェンジにあたっては、燃費の向上とCO2排出の削減しつつ、安全性、快適性、走行性能で大胆な改善を果たすことがテーマだったと言います。今回、主にA4クワトロスポーツに試乗できたので、それを含めA4をレビューしたいと思います。(飯嶋洋治/RJC会員)

アウディ A4とは?

欧州の代表的セダン「アウディA4」。新型の位置づけは「プレミアムミッドサイズセダン」!

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アウディA4がフルモデルチェンジし2月19日より発売されています。1972年に登場した名車、アウディ80の系譜を次ぐともいえるアウディA4も5代目となりました。アウディでは新型A4を「プレミアムミッドサイズセダン」と位置づけています。開発の過程でプライオリティが置かれたのは、「燃費の向上とエミッションの削減、すべての面でグレードアップを果たすこと」とされています。今回、私が主に試乗できたのはA4 2.0 TFSI クワトロスポーツなので、それを中心にレビューしたいと思います。

エクステリアは?

保守的な感もあるが、イヤミのないスポーティなセダンスタイルに!

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一見して「スポーティセダン」という感じで個人的には非常に優れたプロポーションだと思いました。かえって先代より保守的かな? という感じはありますが、十分にかっこいいですし、このセダンスタイルにクワトロスポーツの名が冠せられると、80年代にWRC(世界ラリー選手権)で活躍したアウディ・クワトロを連想するところもあります。ただサイズ的にはワイドになっていますから、「大きいな……」という感は否めません。今回はセダンですが、バリエーションとしてはアバントが待たれるところですし、2代目アウディA4では油圧でルーフが開閉できるカブリオレも正規輸入されましたから、その辺も個人的には期待したいところではあります。

インテリアは?

ドライバーが積極的に走りたくなるような雰囲気と機能性あふれたコクピット!

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ドライバー・オリエンテッド(志向)を強く感じさせるインテリアと言えます。ステアリングやシート、ペダルを見ただけでも「ドライビングのためのクルマ」ということを強く感じさせる、というのが第一印象でした。シートもランバーサポートの形状や座り心地もスポーティなものになっています。先代には乗ったことがないので体感的に比較はできないのですが、確かにスペース的にゆったりしている感じはあります。従来型とくらべてショルダー部分の幅が11mm、前席上部のヘッドクリアランスは24mm拡大されているそうです。リヤシートにも座ってみましたが、室内長が17mm延長されていることなどで、リヤレッグルームは実質で23mm大きくなっていることから、余裕を感じました。

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エンジン、ドライブトレーンは?

A4クワトロ用は252PSのハイパワー、A4用はミラーサイクル+デュアルインジェクションで燃費を向上!

搭載されるのは1,984ccの2.0TFSIエンジンとなります。2つの仕様があって、クワトロに搭載されるのは、4輪駆動ということもありハイパワー仕様となっています。ボア、ストロークはそれぞれ82.5mm、92.8mm。圧縮比9.6です。それをターボで過給することにより、スペックは185kW(252PS)/5,000-6,000rp、最大トルク370Nm(37.7kg-m)/1,600-4,500rpmとなっています。従来型のA4クワトロと比較して、30kW(41PS)、20Nmのアップとなるだけでなく、JC08モード燃費でも従来型の13.6km/Lから15.5km/Lにアップしていますからかなり優秀といえるでしょう。

A4(前輪駆動)に搭載されるエンジンも1,984ccの2.0TFSIでターボで過給されるということでは同一です。こちらも140kW(190PS)、320Nm(32.6kg-m)と十分にパワフルです。ただし、単にパワーを落としただけではないというところがキモです。アウディはこちらのエンジンを「燃費効率とドライバビリティを高度に融合した最新世代の“ライトサイジングエンジン”」と位置づけています。中間負荷領域では、吸気バルブを早閉じすることにより、圧縮行程を短縮し膨張行程を長くする「ミラーサイクル」とし、さらに燃焼室形状やターボチャージャーの設計を最適化。デュアルインジェクションによるポート噴射になどにより燃費を向上させました。高負荷時にはアウディバルブリフトシステムで、吸気バルブの閉じるタイミングを遅くして、吸気効率を上げてパワーを出すという仕組みです。

クワトロの4WDシステムは熟成の域。トランスミッションは7速Sトロニック。

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クワトロとなれば4輪駆動システムです。通常ではエンジントルクの30%をリヤアクスルに40%をフロントに配分しています。さらに路面状況に応じて最大フロントに70%まで、リヤに85%までエンジントルクを振り分けるシステムとなっています。これは純粋にメカニカルなシステムで作動にタイムラグが少なく信頼性の高いものといえるでしょう。トランスミッションは4WD、FWDともに7速Sトロニックとなります。

ボディ、サスペンションは?

ボディはサイズアップしたものの、細部の見直しで軽量化を図る。

ボディは大きくなっているのですが、車両重量は新旧アウディA4(ヨーロッパ仕様)で比較した場合120kgの軽量化を果たしています。ボディ単体でも15kgの軽量化となっています。これは構造面、素材の組合せなどで達成したものといいます。ダッシュボード下のモジュールクロスメンバーの構成がアルミ押し出し材とシートアルミとなり、フロントクロスメンバーもアルミ押し出し材を使うなどこだわったものとなっています。これももちろん軽量化に一役買っています。一方、強度が必要なフロントストラットの軸受け部分はアルミダイキャスト製として、強化しています。ただし、ここも複数のパーツを溶接で組み合わせた従来たがの鋼板製と比べると、左右で8kg軽量となっています。安全性の確保の要のパッセンジャーセルは、強度、耐衝撃性を高めるために、主要な骨組みを熱間成形鋼板としました。特に安全性で重要視されるルーフフレーム前面、Bピラー、ドアシル、フロアの一部などに採用することで安全性の確保に努めています。

サスペンションは前後とも5リンクに。乗り心地の良さと横方向の踏ん張りを両立!

フロントサスペンションは5リンク(ウイッシュボーン)式を改良したものを採用しています。新型A4では、操縦安定性確保のために横方向の力を受ける部分は硬めの設定、乗り心地に関わる縦方向の動きに関しては、ソフトなチューニングとなっている、としています。サブフレームとボディの接合部分は、オイル封入式マウントとしました。これは振動の伝達の抑制する意図があります。アッパーリンクは直接ボディにつながる設計となっており、これは支持剛性を確保することでハンドリング性能を高めています。リヤサスペンションは、従来型はドラペゾイダル(台形)リンクに変えて新開発の5リンクシステム(ウイッシュボーン)としました。ここは材料などの選定を吟味したことで、トータルで5kgの軽量化を果たしています。バネ下重量の低減は操縦性に直結しますから、これは大きな部分と言えるでしょう。その他、ショックアブソーバー、ブッシュ類のチューニングなどで、スムーズな乗り心地の確保を図っています。

乗り心地は?

高い静粛性と7速Sトロニックトランスミッションのスムーズなチェンジ!

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今回、主にA4クワトロ・スポーツに試乗しました。本来なら、降雪路やワインディングで本来の性能が発揮されるのでしょうが、一般道と高速道路というシチュエーションだったことがちょっと惜しまれます。まず感じたのは静粛性の高さです。アイドリングストップ機構も洗練されたもので、エンジンの再始動時は音、振動ともによく抑えられています。アクセルを踏んで走りだすと、動力性能が高いということもあるのですが、うっかりしているとすぐに速度超過になってしまう感じでした。

それは7速Sトロニックのシフトチェンジのスムースさということによっている部分も大きいと思いました。高速道路に入って加速をするとD4、D5……というようにシフトアップしていきますが、表示が変わるだけでギヤが変わっているという体感がありません。パドルシフトでマニュアル操作もできますので、ワインディングなども楽しいと思います。またセレクターレバーの表示にプラスとマイナス表示があったので、そちらでも試してみたのですが、これはちょっと反応がよくないように思ったのは、単に操作方法が悪かったのか、そういう仕様なのかはわからず仕舞いでした。ちなみに本国仕様ではMTもあるそうなので、ぜひそちらを試してみたいと思いました。

穏やかな乗り心地。ステアリング、ブレーキフィールは上々。

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一般的な乗り心地としては、硬いという感じではなく、穏やかという方が合っていると思います。後で資料でサスペンションの仕様を確認して、乗り心地としてはソフトを狙っているということで納得しました。となるとコーナリング時の横方向のサスペンションの剛性も試してみたいところです。ハンドルにタイヤを通じて路面の状況が伝わってくる感触も良いと思いました。ただ、バリアブルレシオとなっている面もありますが、最初はちょっと過敏過ぎるのかな? という感覚も持ちました。ブレーキフィールは割りと踏みはじめからしっかりと効くもので、この辺は国産車にも「こうあって欲しい」と思うところです。

主要諸元と実際の燃費は?

アウディA4 2.0 TFSI quattro sport 主要諸元 (カッコ内はアウディA4 2.0 TFSI)
型式 ABA-8WCYRF(ABA-8WCVK)
ステアリング 右
生産工場 インゴルシュタット
寸法・重量
全長☓全幅☓全高 4,735mm☓1,840mm☓1,410(1,430)mm
ホイールベース 2,825mm
トレッド F/R 1,565(1,570)mm/1,550(1,540)mm
最低地上高 120mm
車両重量 1,660kg
トランク容量(リッター)VDA値 480/962
乗車定員 5名
駆動方式 フルタイム4WD(フロントドライブ)
【性能】
最小回転半径 5.5m
JC08モード 15.5(18.4)km/L
CO2排出量 150(126)g/km
燃費向上対策 筒内直接噴射/電子スロットル/可変バルブタイミング/可変バルブリフト/電動パワーステアリング/7速Sトロニックトランスミッション/アイドリングストップ装置
エンジン
エンジン型式 CYR(CVK)
総排気量 1,984cc
エンジン種類 直列4気筒DOHCインタークーラー付きターボ(1気筒=4バルブ)
ボア☓ストローク 82.5☓92.8
圧縮比 9.6(11.8)
燃料噴射装置 電子式
最高出力 185kW・252PS/5,000-6,000rpm(140kW・190PS/4,200-6,000rpm)
最大トルク 370Nm・37.7kg-m/1,600-4,500rpm(320Nm・32.6kg-m/1,450-4,200rpm)
燃料タンク容量 58(54)L
使用燃料 無鉛プレミアム
【諸装置】
トランスミッション 7速Sトロニックトランスミッション
減速比 1速・3.187/2速・2.190/3速・1.517/4速・1.057/5速・0.738/6速・0.557/7速・0.432/後退・2.750
最終減速比 F/R 4.269/4.272(F 4.234)
サスペンション F/R ウイッシュボーン式/ウイッシュボーン式
ステアリング ラック&ピニオン(パワー)
ブレーキ F/R ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤサイズ 225/50R17(205/60R16)

Cd値0.23は高速燃費に期待大。

JC8モード燃費ではA4クワトロが15.5km/L、A4が18.4km/Lとなっています。短時間の試乗なので、実際の燃費はわかりませんでしたが、新型アウディA4は、かなり燃費を狙っています。それはライトサイジングエンジン、ボディの軽量化だけにとどまらず、ボディの下面を整流することなどでCd値を0.23(欧州仕様)まで最適化していることです。ゴーストップの多い一般道では厳しいとは思いますが、高速道路の長距離移動では好燃費が期待できると思います。

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まとめ

新型アウディA4は、かなり盛りだくさんな内容となっており、なかなか書ききれない部分があります。どうしても一つ触れておかなければいけないのは「MMIナビゲーションシステム」でしょう。これはラジオ、CDプレーヤー、ナビゲーションはもちろん、MP3/WMA再生、Bluetoothオーディオ/ハンズフリーフォン、iPod/iPhone再生などの機能など、イマドキの装備といえます。今回は、走ることに夢中? で試す機会がなかったので、あらためてこの部分だけでも紹介できればと考えています。

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