もう迷わない!エンジンオイルのグレードの見方はこれで解決

スーパー等でよく見かけるのはサラダ油、キャノーラ油、ごま油、オリーブオイルでしょうか。他にも大豆油、なたね油、ひまわり油なんかもありますね。植物を原料として様々な種類がありお料理に合わせて、また人の体調や好み合わせて選びますが、エンジンオイルも基本は同じだと考えてください。グレードという言葉が品質の良し悪しの様な誤解を生みますが、例え同じ車種だったとしてもオイルのグレード選びは様々です。

エンジンオイルの役割

潤滑・・・シリンダー、ピストンリングなどの金属同士の摩擦を油膜でおさえます。
清浄・・・エンジン内部に発生する鉄粉や燃えかすなどの汚れを包み込みます。
衝撃吸収・・・ピストンなどの衝撃をおさえて、振動や異音の発生をおさえます。
密封・・・ピストンとシリンダーの間の隙間をふさぎ、パワーロスを防ぎます。
冷却・・・燃焼や摩擦で高温になるエンジンの熱を冷却します。
防錆・・・水蒸気などによる錆を防ぎます。

出典:http://www.mazda.co.jp/carlife/service/parts/detail/oil/knowledge/

エンジンオイルの規格を知ろう

APIとSAE規格とは

API規格は、米国石油協会(API)とSAE(アメリカ自動車技術者協会)、そしてアメリカ材料試験協会(ASTM)の三者が定める規格です。
この規格は
ガソリンエンジン車は「S」
ディーゼルエンジン車は「C」
で始まります。
後のアルファベットが進むほど、その年代に合わせた性能要求が高くなっていきます。

出典:http://www.mazda.co.jp/carlife/service/parts/detail/oil/knowledge/

円周上部にAPI規格の「SN」が表記されています。円の中心にはSAE規格の粘度「5W-30」が表記されています。

実はAPI規格やSAE規格の表示はメーカーの独断で表示できてしまいます。その為、アメリカ国内で表示されたAPI規格を満たしてないにもかかわらず販売されたエンジンオイルでのトラブルが後を絶たなかったため、1993年アメリカ石油協会(API)やアメリカ自動車技術者協会(SAE)、アメリカ材料試験協会(ASTM)、アメリカ自動車工業会などの団体によって認証システムが確立されました。
それがエンジンオイル認証システムであるEOLCS(Engine Oil Licensing and Certification System)です。現在でもAPI規格の「SN」や「CF-4」はEOLCSの承認を得なくとも表示できますが、ドーナツマークの表示はできません。つまり、ドーナツマークが表示されてないオイルはEOLCSの正式認定オイルではないという 事も覚えておいてくださいね。

ILSAC規格とは

一方のILSAC(GF-5)規格は、日米の自動車工業会(ILSAC)が制定しているもので、API規格に省燃費性能を加えたものです。最新のグレードはGF-5です

出典:http://www.mazda.co.jp/carlife/service/parts/detail/oil/knowledge/

上記のドーナツマークと合わせてこのILSAC規格マークがついているとSN規格=GF-5規格にも適合しているという証になります。

ガソリンエンジンのAPI規格(ILSAC規格)

SA・・・ 無添加純鉱物油。添加油を必要としない軽度の運転条件のエンジン用。特別な性能は要求されない。
SB・・・添加油。添加剤の働きを若干必要とする軽度の運転条件用。スカッフ防止性、酸化安定性および軸受腐食防止性を備えることが必要。添加油。添加剤の働きを若干必要とする軽度の運転条件用。スカッフ防止性、酸化安定性および軸受腐食防止性を備えることが必要。
SC・・・1964年~1967年式までの米国乗用車およびトラックのガソリン専用。ガソリンエンジン用として、高温および低温デポジット防止性、摩耗防止性、さび止め性および腐食防止性が必要。
SD・・・1968~71年型の米国乗用車およびトラックのガソリン専用。デポジット防止性から腐食防止性まで、SC規格以上の性能が必要。SC規格の用途にも使用可能。
SE・・・米国乗用車および一部のガソリントラック車用。酸化、高温デポジット、さび、腐食などの防止に対し、SA、SC油よりもさらに高い性能が必要。
SF・・・1980年式以降の米国乗用車および一部のガソリントラック車用。酸化安定性および耐摩耗性においてSE油よりもさらに高い性能が必要。
SG・・・1989年以降のエンジンメーカー推薦下で運転されるガソリン乗用車、バン、軽トラックに適応。SG油はAPI規格のCC級(ディーゼル用)の性能も含み、以前の等級に比べてデポジット、酸化、摩耗、さび、腐食などの防止に対しさらに高い性能が要求される。
SH(GF-1)・・・1993年以降のエンジンメーカー推薦下で運転されるガソリン車に対応。SG規格の最低性能基準を上回る性能を有し、耐デポジット性能、耐酸化性能、耐摩耗性能および耐さび性能、防食性能でSG規格に代わるもの。ILSACのGF-1規格のシークエンス試験要求性能に合致していること。
SJ(GF-2)・・・1996年以降のエンジンメーカー推薦下で運転されるガソリン車に適用。SHの最低性能基準を上回る性能を有し、耐ブラックスラッジ性能、耐酸化性能、耐摩耗性能および耐さび性能、防食性能でSHに代わるもの。ILSACのGF-2規格のシークエンス試験要求性能に合致していること。
SL(GF-3)・・・2001年以降のエンジンメーカー推薦下で運転されるガソリン車に適用。SJの最低性能基準を上回る性能を有し、高温時におけるオイルの耐久性能・清浄性能・酸化安定性を向上すると共に、厳しいオイル揮発試験に合格した環境対策規格。
SM(GF-4)・・・2004年制定。SL規格よりも、省燃費性能の向上、有害な排気ガスの低減、エンジンオイルの耐久性を向上させた環境対応オイル。またこれまで試験の無かった劣化油の低温粘度を計る試験が追加され、低温流動性、酸化劣化に優れたベースオイルを使用する必要がある。
SN(GF-5)・・・2010年制定。これまで一番厳しい規格であったSM規格よりも、省燃費性能、オイル耐久性、触媒システム保護性能の改善が求められる。省燃費性能はSM規格対比0.5%以上の改善。オイル耐久性はデポジットの発生をSM規格対比14%以上改善。触媒システム保護性能の改善は触媒に悪影響を与えるリンの蒸発を20%までに抑制することが求められる。

ディーゼルエンジンのAPI規格

CA・・・軽度から中程度条件のディーゼルおよび軽度条件のガソリンエンジン用、ただし良質燃料使用を条件とし、この条件下での軸受腐食防止性および高温デポジット防止性が必要。摩耗防止性およびデポジット性は必要としない。
CB・・・軽度から中程度条件のディーゼルエンジン用であるが、低質燃料使用時の摩耗およびデポジット防止性を必要とする。
高硫黄分燃料使用時の軸受け腐食防止性および高温デポジットも必要。
CC・・・軽度過給ディーゼルエンジンの中程度から過酷運転条件用。高負荷運転のガソリンエンジンにも使われる。
軽度過給ディーゼルでの高温デポジット防止性、ガソリンエンジンでのさび止め性、腐食防止性および低温デポジット防止性が必要。
CD・・・高速高出力運転での高度の摩耗およびデポジット防止性を要求するディーゼルエンジン用。
広範な品質の燃料を使用する過給ディーゼルを満足させる軸受け腐食防止性および高温デポジット防止性が必要。
CE・・・1983年以降製造のヘビーデューティーの過給ディーゼルエンジンで低速高荷重と高速高荷重で運転するものの両方に用いる。CD級よりさらにオイル消費性能、デポジット防止性能、スラッジ分散性能を向上させたもの。
CF・・・建設用機械および農業用機械などいわゆるオフハイウェイディーゼルエンジン用に開発された油で、CDに代わるものとして、性能を向上したもの。
CF-4・・・1990年代の低硫黄(0.5%以下)の軽油を使用するオンハイウェイ大型トラックなど最も過酷な条件で運転されるディーゼルエンジン用で、CEに比べ特にデポジット性能、スラッジ分散性の向上を図るとともに、熱安定性およびオイル消費防止性を向上したもの。

エンジンオイルの粘度を表すSAE規格とは

オイルの粘度はSAE(アメリカ自動車技術者協会)が性能を分かりやすくする為に外気温を目安としています。ちょっと分かりずらいのが低温側の表記でWはWinter(冬)の略なのですが「0W=-35℃~25W=0℃」という意味で数字と気温が一致していません。一方の高温側は「20=20℃~60=60℃」といった具合に数字と気温が一致しています。

まず前半の数字が小さいほど低温で固まりにくい特性(デポジット特性)があります。低温時は10Wよりも5Wのほうがサラサラ系のオイルでエンジン始動時における負荷が小さく燃費も良くなります。高温時は数字が高いほどネバネバ系のオイルで高温にさらされる過酷なエンジン作動状況やでもしっかり保護します。
この低温側の「W」の数字について誤解していると低温に強いオイルと勘違いして「25W」を選んでしまい、エンジンの始動や燃費が悪くなることがあるのでしっかり理解しておいてくださいね。

出典:http://www.jaf.or.jp/qa/ecosafety/snowdrive/08.htm

もうひとつ誤解しやすいのがエンジンオイルの粘度 (J300)、ギアオイルの粘度(J306)それぞれを規定する2つ規格基準があることです。ギアオイルにはエンジンオイルよりも大きな数字が同じように表記されます。これは分類方法が異なる為で表記粘度による単純比較はできません。あくまで分類上の話であり実際に4サイクルのバイク用エンジンオイルなどで「75W-90」といった表記で販売されていることもありますが、実際は「10W-40」に相当するものなのでよく確認してください。

サラサラ系

低粘度オイル(サラサラ)
・低温での始動性が良い
・燃費向上に貢献する
・エンジンの保護性能は高粘度オイルより弱い

ネバネバ系

高粘度オイル(ネバネバ)
・高温でもエンジンをしっかり保護する
・静粛性に優れている
・燃費には低粘度オイルの方が良い

SAEのオイル粘度表示

出典: http://www.oft.jp/aboutoil/

JASOによる日本国内での規格

ディーゼルのエンジンオイル JASO規格

2015年5月に(社)自動車技術会によって主にディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)が装着されたディーゼル車のために制定したエンジンオイルの規格(M355:2015)では以下の2種類があります。

DL-1(ディーゼルライト)・・・乗用(小型)ディーゼル車用
DH-2(ディーゼルヘビー)・・・大型ディーゼル車用

ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)の目詰まり寿命の向上や、省燃費性を規定することで環境負荷も軽減。高温酸化防止性も強化されています。

出典:http://www.paj.gr.jp/paj_info/press/2005/04/18-001336.html

DL-1とDH-2の違いに注意!

二つは同じ目的のオイルですがJASO(M355:2015)の規定では性能が異なります。

【性能差の一例】
DL-1(小型用) 硫酸灰分 0.6以下
DH-2(大型用) 硫酸灰分 1.0±0.1

新油での硫酸灰分は主に清浄分散剤・酸中和剤として使われる添加剤の量と密接に関係があり数値の低いDL-1オイルは大型車に使うと極端に寿命が短くなります。また数値の高いDH-2(大型用)のオイルをDL-1(小型用)に使うと目詰まりの原因物質が多くなるためDPFの寿命を縮めてしまいます。そのため各自動車メーカーの指定した規格オイルを使用しないとクレーム対象外となる可能性があります。どちらにも使える兼用オイルはないので注意してください。

「自動車用ディーゼル機関潤滑油 M355:2015」

2015年5月付けで(社)日本自動車技術会より自動車用ディーゼルエンジンオイルの品質規格として、日本自動車規格(JASO)「自動車用ディーゼル機関潤滑油 M355:2015」が発行されました。リンク先のPDFには登録(認定試験を受けて販売されている)オイルの表ですがオイルの粘性(SAE)が記載されているので参考にすると便利です。

バイクのエンジンオイルに関する規格

2サイクルエンジン

平成16年12月改定の(社)自動車技術会によって主に排気煙の減少を基準とした2サイクルガソリンエンジン用オイルの規格(M345)では以下の3種類(FAは規格廃止)があります。

FA (該当無し) - 2サイクルエンジンにとって最低限の性能を有する (規格廃止)
FB (EGB) - FAに比べて特に潤滑性、清浄性に優れる
FC (EGC) - FBに比べてさらに排気煙、排気系閉塞性に優れる(スモークレスタイプ)
FD (EGD) - FC規格の清浄性をさらにアップして、より環境に配慮したオイル

出典:http://www.ipone.co.jp/standard.html

「2サイクルガソリン機関潤滑油 M345」

平成16年12月改定の(社)日本自動車技術会よりバイク用2サイクルガソリンエンジンオイルの品質規格として、日本自動車規格(JASO)「2サイクルガソリン機関潤滑油 M345」が発行されました。リンク先のPDFには登録(認定試験を受けて販売されている)オイルの表です。

4サイクルエンジン

平成23年5月改定(社)日本自動車技術会よって主に摩擦特性を基準として4サイクルガソリンエンジン用オイル規格は以下の4種類あります。これは4輪自動車のオイルに於ける主に燃費改善を目的とした低粘度・低摩擦化傾向があり、これを2輪自動車(バイク)に当てはめると低摩擦化によるクラッチの滑りや、低粘度化によるギアの耐久性低下の懸念があるためにバイク用に設けられた規格です。

MB・・・動摩擦係特性指数 0.50~1.30(低摩擦特性油)
MA2・・・動摩擦係特性指数 1.30~1.85(燃費重視)
MA1・・・動摩擦係特性指数 1.85~2.50(性能重視)
MA・・・動摩擦係特性指数 1.30~2.50(マルチタイプ)

上記はJASO規格が摩擦係数を基準とした規格なのであくまで目安です。

出典:http://www.ipone.co.jp/standard.html

バイク用エンジンオイルでEOLCSのドーナツマークがついていた場合の要注意事項です。下半分にEnergy Conserving(EC)の表記がされているオイルは燃費重視の低摩擦仕様オイルのなのでクラッチを滑らせる可能性があるので要注意です。

「2輪自動車用4サイクルガソリン機関潤滑油 T903:2011」

平成23年5月改定(社)日本自動車技術会よりバイク用4サイクルガソリンエンジンオイルの品質規格として、日本自動車規格(JASO)「2輪自動車用4サイクルガソリン機関潤滑油 T903:2011」が発行されました。リンク先のPDFには登録(認定試験を受けて販売されている)オイルの表ですがオイルの粘性(SAE)が記載されているので参考にすると便利です。

エンジンオイルの選び方

エンジンの進化と共にエンジンオイルに求められる性能も多様化した結果としてAPI規格もガソリンエンジンでは14種(A~N)、ディーゼルエンジンでは7種(A~F-4)まで増えましたが、車の年代に応じたものを選ぶことが一番肝心な選択基準になります。商品の「値段」や「謳い文句」だけではなく自分の乗っている車の状況に合わせたエンジンオイル選びが大切ですね。

チェックポイント

(1)自分の車の年式・エンジンについて理解しておく。(マニュアルでチェック:特に推奨エンジンオイル)
(2)自分の運転、車の使用状況を再確認
(3)オイルに求める性能(燃費か性能か等)
(4)必須!ドーナツマークをチェック
(5)SH規格以上ならスターバーストマークを一応チェック

規格と粘度表示の見方

出典:https://www.cosmo-lube.co.jp/car/knowledge2.html

日本も温暖化で夏場の気温が40℃近くに上がることが頻繁にあるので高温側は「40」は欲しいところですね。逆に関東近県や太平洋側では-10℃を下回る気温はあまりないと思うので低温側は「15W」くらいで大丈夫だと思います。一般の街乗り利用で考えればAPI規格でスターバーストマークつきの「SH」以上であれば性能的にも心配はないと思います。と言うことで「SH 15W-40」が一般的なお勧め商品でしょうかね。