エンジンオイル選びに必要な基礎知識

クルマのメンテナンスとして代表的なことのひとつが「オイル交換」です。このエンジンオイル選びに少しこだわると、クルマの性能を楽しめたり、より省燃費に走れたり、気に入ったクルマに長く乗れたりすることにつながります。愛車をもっと気に入って乗るために、この機会にオイルについてもうちょっとよく知って、使いこなしてみませんか。

エンジンオイルの種類

エンジンごとに、オイルも用意されています

クルマのエンジンはいろいろな種類があります。ガソリンエンジンにはターボ付き/ターボなしがありますし、ターボ付きにしてもハイパワーを追求したスポーツタイプのほか、最近は燃費性能を追求したダウンサイジングターボもあります。さらに、ハイブリッド車に積まれている燃費追求型のエンジン、軽自動車用、ディーゼル用など、さまざまです。それに応じて、最適化されたさまざまな種類のエンジンオイルが売り出されています。

まずチェックしたいのが、エンジンオイルの「粘度」

「10W-30」「0W-20」といった数値が、エンジンオイルの缶に表示されているのがまず目に入ることでしょう。
「10w」「0w」のwはwinterのことで、冬の低温時、オイルの固まりにくさを表しています。10wは零下25℃、0wなら零下35℃でもオイルが固まりにくい性質を持ちます。

「-」以下の数値は、通常の使用状況での「粘度」を表しています。サラサラの低粘度のものは数値が小さく、数値が大きくなるほどどろっとした高粘度のオイルとなります。

チョイスの目安となる、「API規格」と「ILSAC規格」

エンジンオイルのクオリティを示す規格で、主に2種類あります。
ひとつは、アメリカ発祥のAPI規格で、アルファベットのAから始まり時代が進んで品質の向上が進むに連れてアルファベットも進み(1と紛らわしいI:アイを除く)、現在は「N」のグレードに到達しています。これに、ガソリンエンジン用は「S」、ディーゼルエンジン用は「C」を組み合わせて、それぞれ「SN」「CN」と表記します。

もうひとつは、日本とアメリカの工業会によるILSAC規格があります。これは、API規格に省燃費性能を加味したものです。API規格の「H」グレード以降にそれぞれ対応し、現在はAPI規格の「N」に対応したグレードとして「GF-5」が制定されています(下記参照)。

■API規格/ILSAC規格 主な特徴
H/GF-1 1993年型以降の車に対応。SGの性能に加え、スラッジ防止性、高温洗浄性に優れる。
J/GF-2 1996年型以降の車に適応。SHの性能を向上。さらに蒸発性、せん断安定性に優れる。
L/GF-3 2001年度制定。SJに比べ、省燃費性の向上(CO2の削減)・排出ガスの浄化(CO、HC、NOxの排出削減)・オイル劣化防止性能の向上(廃油の削減・自然保護)があげられる。
M/GF-4 2004年制定。SLに比べ、浄化性能・耐久性能・耐熱性・耐磨耗性に優れている。
N/GF-5 2010年制定。SMに比べて、省燃費性能の持続性のさらなる向上や触媒保護性能を強化。
※2013年2月現在 出典:http://www.jaf.or.jp/qa/mechanism/commentary/21.htm

鉱物や化学合成など、素材や作り方による違い

エンジンオイルは基本的に石油を精製して作りますが、その際の作り方でいくつかの種類に分けられます。
昔からお馴染みなのが「鉱物オイル」で、石油を精製する過程で出たオイルを転用したもので、製造コストが安いため一般的に広く普及しています。ただし、前述の規格クリアのために品質を高めようとすると、きめ細かな精製や加工が必要となってきます。

そこで「化学合成オイル」が登場しました。石油から精製したナフサなどを合成して製造されたオイルで、高温時の品質安定性などが高められています。さらに「エステル」など性能向上のための添加剤なども加えられている製品もあります。

また、化学合成オイルは製造コストがかかるため、鉱物オイルと化学合成オイルの中間的な「部分合成油」も発売されています。

どんな愛車に、どんなオイルをチョイスする?

ハイパワーのスポーツタイプや、ターボ車に

エンジンオイルに気を使うべき筆頭といえます。パワーを出すということは、それだけ燃焼の爆発力が強く、またそれを高速で繰り返しているため、オイルにも潤滑や清浄の機能が必要となります。さらに、爆発力が強いため、気密性も必要となります。

粘度は「40」以上のオイルがおすすめとなります。オイルによっては「60」粘度のものも発売されています。グレードも最新の「N」あるいは「GF-5」がおすすめです。

ただし、走り方やオイルの特性で選ぶ粘度が変わる場合もありますし、エンジンのタイプによっては専門的な知識が必要となることもあります。ディーラーやショップで希望や目的を伝えて相談してみるのもいいでしょう。

通勤に使っているマイカーに

ほぼ毎日のように、何十キロと走り、しかも夏の暑い盛りの渋滞や高速道路の連続走行などで、エンジンは過酷な状況にさらされています。ということは、エンジンオイルも当然厳しい状況にあるわけです。

当然、良いオイルを使いたいところですが、維持費などのコストも考慮に入れる必要があります。そこで、鉱物油などの低価格なオイルを、早めのインターバルで交換するのがベターです。
最近はガソリンスタンドやカー用品の量販店などでオリジナルブランドの安価なオイルが売られていますので、それを利用するのもいいでしょう。メーカー指定の粘度であれば、グレードもそれほどこだわる必要はないでしょう。

そういった日頃からのメンテナンスにより、走行距離が進んでもエンジン性能の劣化が抑えられ、毎日調子よく乗れるはずです。また、突然のエンジントラブルで通勤できなかったり、といったトラブルも抑えられることでしょう。

特に寒い地域で乗るクルマには

寒冷地にお住まいの方、あるいは冬によくスキーに出かけるという方であれば、「10w」「0w」といった低温対応のオイルを入れておくと、寒くてもエンジンが始動しやすく、また暖機も短くてすみ、その結果燃費が良くなります。

軽自動車やハイブリッドカーには

最近主流の軽自動車、さらにハイブリッドカーもガソリンエンジンを使っているためオイル交換が必要です。これら省燃費エンジンの性能を引き出すために、サラサラとした抵抗の少ない粘度の「0w-20」オイルが発売されています。買い物やドライブなど、一般的な用途の軽自動車やエコカーは、こうしたオイルを選ぶと本来の省燃費が維持できるはずです。

ただし、特殊な粘度のオイルですので、これに対応したエンジンである必要があります。古いクルマのエンジンに燃費を良くする目的でこうした粘度のオイルを入れると、エンジン故障やトラブルを引き起こしますのでご注意ください。

長く乗り続けているクルマには

一台のクルマに愛着を持って長く乗っているという方が増えています。その分、走行距離が伸び、エンジンの各部分もすり減って製造時よりも隙間が広がっています。そうなると当初のパワーが発揮されなくなりますが、そこで高粘度のオイルを入れるとその隙間がオイルによってふさがれ、昔のパワーや回転のフィーリングを取り戻すことがあります。また、それによって燃費の改善も期待できます。

メーカー指定が「40」だったら、それよりもワンランク上の「50」を入れてみるなど、まずは試してみるといいでしょう。

「ロングドレーン」のクルマのオイル選びは注意が必要

必ず、自動車メーカーの正規ディーラーで行います

最近、自動車メーカーによっては「3万キロ無交換」などをうたうクルマが発売され、そのためのオイルを用意している場合があります。交換したオイルは廃油となり環境負荷となるため、それをできるだけ抑える、つまり環境保護の一環として始まっています。

その場合に使用されるのは「ロングドレーンオイル」などといわれ、メーカー純正オイルが用意されています。しかし最近は、それと同じ規格のオイルを販売店などで購入し、自分のクルマに入れるといった例もあるようです。

ロングドレーンオイルはメーカーの厳密な規格によって製造されており、その規格は一般的には公表されていないものもあります。従って、公表されている規格や組成だけを頼りに一般に販売されているオイルを選んでも長期の使用はできません。

もし、そのまま長期間同じオイルで走り続けるとトラブルの原因になります。ロングドレーンを行うのであれば、その自動車メーカーの正規ディーラーで純正オイルに交換することが必須です。