【日産 マキシマ】北米日産のフラッグシップという仕事

北米日産のフラッグシップと聞くと、なんとも微妙な立ち位置だと感じる方も多いのではないでしょうか。なにせ北米にはインフィニティブランドが存在し、日産グループ全体で見ればフラッグシップは間違いなくGT-RやQ70(フーガ)でしょう。しかし、マキシマは1981年の登場から北米日産のフラッグシップであり続けています。北米日産のフラッグシップという意味を、今日はマキシマを通して見てみたいと思います。

北米日産について

北米市場に置ける日産自動車本体の販売チャネルで、今回取り上げる日産マキシマはこの北米日産ブランドで販売される車種となります。北米市場では日産の高級車ブランド「インフィニティ」が高級車ブランドとして1989年より販売を開始しており、高性能車種のほとんど(スカイラインやフーガなど)をインフィニティブランドから販売し、北米日産ではそれ以外の比較的大衆的な自動車販売を手がけています。
インフィニティにもフーガというフラッグシップモデルが存在するように、マキシマは北米日産という販売チャネルのフラッグシップとして長年その立場を守り続けています。北米日産というインフィニティの下位グレードにおいてフラッグシップとなるマキシマとはどういう車なのかを。順を追ってみていきましょう。

マキシマとは

現在も北米日産から同社フラッグシップモデルとして販売されている4ドアセダンです。歴史を辿ると初代マキシマは日産ブルーバードの北米市場モデルとして登場したのが皮切りで、以降FFレイアウトのスポーツセダンとして北米市場でモデルチェンジを繰り返すことになります。系譜としては日産ブルーバードの流れを汲む車種となり、日本には導入されていないがブルーバードを知る人なら、なんともいえない懐かしさが湧いてくる車なのではないでしょうか。

初代マキシマ

1981年初代ブルーバードをベースに北米市場向けに各種改良を加えて販売が開始されたのが初代マキシマです。
各種改良を施したブルーバードにサンルーフや暗証番号式キーレスドアと言った装備類を充実させ、北米日産のフラッグシップとして販売されていました。

2代目

FF車として開発され日本では「ブルーバードマキシマ」北米では「マキシマ」として日米同時発売を果たしたのが2代目マキシマです。この同時発売は実際に日本国内でもCM放送され一部話題となりました。
この2代目マキシマ以降マキシマはハイパワーV6エンジンを搭載するFFセダンというパッケージは現在発売中の現行モデルまで継続していくこととなります。

3代目

4ドアスポーツセダンと実際に日産からアナウンスされ3代目マキシマは発売されました。先代に比べて粛清性が格段に向上し、3.0LV6エンジンの強トルクもあって非常に乗りやすく快適な、現代風に言えば上質なツーリングセダンとも言える性能を持っており、北米市場でも高い評価を得ました。

4代目

日産セフィーロの北米モデルとして4代目マキシマはデビューしました。基本的にはキープコンセプトであるため、基本性能を引き上げられた4代目マキシマは先代同様アメリカ市場で高い評価を得ています。

5代目

2000年にデリバリーが開始された5代目マキシマですが、ベース車であるセフィーロの北米版という性格は変わりありませんが、そのエクステリアはカリフォルニアのラ・ホーヤデザインスタジオで別途デザインされたものとなり、セフィーロとは全く違う雰囲気を手に入れています。
この時期は日産の経営不振の時期であり、それまでデザイン面でもほぼキープコンセプトといえたマキシマのデザインは、この代から大きく変貌していくことになります。
ただし、コンセプトはあくまでもV6エンジンをFFレイアウトに搭載する4ドアスポーツセダンであり、そこがぶれることはありません。

6代目

セフィーロ・ローレルが廃止され後継としてティアナがデビューしたこともあり、ティアナと共通のプラットフォームに日産の多くの車種に搭載されるVQ35DEエンジンを搭載する4ドアセダンとして6代目マキシマはデビューします。実は年々大きくなっていたマキシマはこの代でも大きく重くなり、居住性と高速安定性のレベルを先代より高めています。
この年々大きくなるモデルチェンジ戦略は時に車種のコンセプトを置き去りにしてしまいがちですが、北米日産のフラッグシップとなるマキシマについてはより大きく立派に、快適で高級な車になることは正解であると言えるでしょう。

7代目

アストンマーティンやポルシェといった名だたるスポーツモデルを意識して、先代より全体的にダウンサイジングされて7代目マキシマは登場しました。この7代目マキシマは同時期に開発されていたZ34フェアレディZの影響を受け、実際に構成パーツも一部共有しています。
特に特徴的なZ34フェアレディZのヘッドライトを装着し、スカイラインのようなスポーツ性を層憎悪させる攻撃的なエクステリアを手に入れています。
エンジンもZ34同様のVQ35DEエンジンが搭載されますが、マニュアルトランスミッションの設定はなく、パドルシフト付きのCVTのみの設定となります。

主要諸元(MAXIMA 3.5 SV with Sport & Technology Package)
駆動方式:FF 
トランスミッション:マニュアルモード付きCVT 
全長×全幅×全高:4,841mmX1,859mmX1,468mm 
ホイールベース:2,776mm 
車両重量:1,623kg 
乗車定員:5名 
エンジン種類:DOHC V型 6気筒 
総排気量:3.5L 
最高出力:290ps/6,400rpm 最大トルク:36.1kg-m/4,400rpm 
ガソリン種類/容量:無鉛プレミアム/76L 車両本体価格:3万7415ドル(約370万円)

8代目

2014年の北米国際自動車ショーで展示された4ドアセダンコンセプトをベースに「4ドアスポーツカー」として2015年に8代目マキシマはデビューしました。VQ35DEエンジンや使用するプラットフォームは基本的に先代と同じですが、どちらも基本設計や素材から見直され、基本性能が先代に比べて飛躍的に引き上げられています。エクステリアも2016年現在も流行している大型グリルを搭載した大胆かつワイド&ローなスタイルで纏め上げられ、スポーツ走行を感じさせる4ドアセダンとしての性格を前面に押し出しています。
根本的にラグジュアリーではなくスポーツ性を押し出しているのは、上位ブランドのインフィニティがラグジュアリーを押し出したシリーズ展開をしているためと予想されます。
スポーツ製を強く押し出し、印象的なエクステリアを身にまとってはいるものの、本質的にはV6エンジンをFFレイアウトに搭載する4ドアスポーツセダンという立ち位置は揺るいでおらず、キープコンセプトのまま基本性能を引き上げ続けています。代を重ねる毎に役割を変えていく車種が多い中で、基本的な立ち位置がぶれない珍しい車といえます。

【主要諸元】
ホイールベース:109.3 インチ
全長:192.8 インチ
全幅:73.2 インチ
全高:56.5 インチ

■エンジン
型式:VQ35DE
種類:DOHC
シリンダー:V型6気筒
総排気量(L/ cc):3.5 / 3,498cc
最高出力(HP):300@6,400 rpm
最大トルク(lb-ft):261@4,400 rpm
ボア&ストローク(mm):95.5 x 81.4
圧縮比:10.6

■トランスミッション / 駆動方式
駆動方式:前輪駆動
トランスミッション:マニュアルシフトモード付エクストロニックCVT、D-Stepロジック、
スポーツチューニング
サスペンション:S SV SL SR プラチナ
・フロント スタビライザーバー ストラット式インディペンデントサスペンション、ZFザックス製ツインチューブ式ショックアブソーバー直径24.2mm(26.2mmSR)
・リア スタビライザーバー マルチリンク式インディペンデントサスペンション、ZFザックス製モノチューブ式ショックアブソーバー、直径(26.5mm)

めったにないが平行輸入車の購入チャンスはあり

2016年2月現在、日本の中古車市場で確認できるマキシマは4台あります。6代目が2台と7代目が2台の計4台であり、6代目は100万円台、7代目は250万円以上の価格帯と、日本の中古車市場で同年代のスカイラインやフェアレディZがさらに割安な価格で販売されていることを考えると、よっぽどマキシマに乗ってみたいという方以外にはお勧めできないというのが本音です。
そもそもこのティアナのプラットフォームにVQ35DEを初めとしたV6エンジンを搭載する車は、日本では言わずと知れたティアナがありますし、大型SUVのムラーノも候補に挙がります。250万円台からとなる7代目マキシマではエクステリアでも基本的な走行性能もインテリアの質感も高いものとなっていますが、中古のモデルであることを考えると250万円以上は割高といわざるを得ません。
同時期の日産を代表するスポーツモデルなら、GT-Rは別としてもZ34型フェアレディZにV36スカイラインクーペが存在し、どちらも2016年2月現在100万円台から購入可能なため、あえてマキシマを購入する人はよっぽどのマニアといわざるを得ない状況です。
さらにラグジュアリー性を求めるなら初代および2代目のムラーノも十分候補に挙がるでしょう、マキシマと同様のプラットフォームとエンジンを持ち、こちらなら4WDモデルも選択できます。特に初代ムラーノは100万円でおつりがくるほど値落ちしているため、装備やグレードも選びたい放題といえる状況で、所有してからの満足感ではマキシマ以上の所有欲を満たしてくれる可能性があります。
この時期の日産車でコストパフォーマンスを極めるなら、ティアナは間違いなく最高です。日本国内での流通量が桁外れに多く、車両本体価格一桁万円、諸費用込み30万円といった固体がごろごろしています。しかし、車両を見て見ると特に以上もなく修復暦もなく、走行距離も伸びていません。需要と供給のバランスで完全に供給過多となっているため、限界まで値落ちしているのです。しかしティアナも年式が古いとはいえマキシマとプラットフォームを共有する立派な4ドアセダンです。マキシマのようなスポーツ性はさすがに求められませんが室内の居住空間はコンパクトモデルとは比較にならないほど上質なmのとなっています。
そもそも300万円だせば、新型のティアナをキャッシュで購入できてしまいます。値落ちが気になるから中古車が良いという方には向きませんが、家族が新車がいいと言っている場合にはこちらのほうが良いでしょう。
と、日本でマキシマを購入しないほうが良い理由を並べてきましたが、それでもマキシマがどうしても欲しいという方は仕方がありません、下記に2016年2月現在の中古車リンクを張っておきますので、まず試乗をしてみて、実際にマキシマに触れてみてください。試乗をして気に入ったのならあなたの気持ちは本物です、マキシマと充実したカーライフを満喫して下さい。

北米日産のフラッグシップ4ドアスポーツセダンそれ以上でも以下でもない

マキシマを見ていると、自動車業界でキープコンセプトを貫ける自動車の条件が見えてきました。その条件はまず販売ブランドのフラッグシップもしくはブランドを代表するモデルであることと、ブランドの立ち位置が基本的に変わらない車であるということです。
マキシマの系譜を見ていてまず想像したのはトヨタのクラウンです、セルシオやレクサスといった上級グレードの高級車が存在する中でもクラウンは、トヨタ内の販売チャネルにおいてフラッグシップという立ち位置を崩さず、今も変わらないコンセプトのもと進化を続けています。当然ながらセルシオやレクサスの4ドアモデルがメディアへどんどん露出していくため、存在感自体はどんどん低下していきますが、意外とその立ち位置は崩れることなく、販売が継続され続けているのです。
マキシマにもクラウンと似た境遇を感じます。スポーツセダンとしてはインフィニティブランドにQ60(V37スカイライン)Q70(フーガ)といったFRベースのプレミアム4ドアスポーツセダンが存在しており、車格・性能共にマキシマはそれらの車にはかないません。当然知名度もインフィニティブランドの高級車には及ばず、グループ全体の販売から見たら、その存在意義を見出せない場合もあるかもしれません。
しかし、マキシマは日産グループ全体を代表するモデルではありません、マキシマはあくまでも北米日産というインフィニティより下の販売チャネルにおけるフラッグシップモデルであり、そもそも購買層が違うのです。そのためマキシマはラグジュアリーとう判りやすい高級車路線は取らず、あくまでもスポーツセダンという立ち位置で勝負を続け、FFのスポーティ4ドアセダンとして課せられた仕事をこなしてきたのです。
いつかはマキシマもなくなる時が来るのかもしれません、しかし、北米日産というブランドの立ち位置が変わらず、マキシマの仕事もぶれない限り、マキシマは存在し続けるのではないでしょうか。