【フィアット126】大ヒットモデルの後継車に下された意外な評価

空前のヒット作となった2代目フィアット500“チンクチェント”のあとを受け持つことになったのがフィアット126です。ご存じですか? 一回り大きくなって室内は広くなったものの、コンポーネントはほぼそのまま引き継いでいますから、世間からは“新型車”として認めてもらえませんでした。そんなフィアット126の生涯をたどってみたいと思います。

フィアット126って?

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB126

やる気があるのかないのかわからないこの感じ、好きですねぇ。たまりません。フィアット126は、その名の通りイタリアの自動車メーカーであるフィアットがつくった小さな車です。スタイリングデザインは、イタリアのデザインカロッツェリア・ギアからフィアットデザインセンターに移籍したSergio Sartorelli(セルジオ・サルトレッリ)です。
そんなフィアット126の登場は1972年のことです。デビュー時は594cc・23psの空冷2気筒エンジンを搭載して、580kgと小柄で軽量なボディを引っ張っていました。決してパワフルではありませんが、小さなボディには必要十分で、当時としてはよく働く車の部類でした。

フィアット126諸元(デビュー時)
ボディスタイル:2ドアセダン
乗車定員:4名
全長:3,054mm
全幅:1,378mm
全高:1,302mm
ホイールベース:1,840mm
車輌重量:580kg
エンジン:空冷直列2気筒OHV
総排気量:594cc
ボア×ストローク:73.5×70mm
圧縮比:7.5
最高出力:23ps/4,800rpm
最大トルク:4.0kgm/3,400rpm
変速機:4速MT(2・3・4速シンクロメッシュ)
駆動方式:RR
サスペンション 前:ダブルウィッシュボーン+横置きリーフスプリング
        後:セミトレーリングアーム+コイルスプリング

先代はみなさんご存じの

そう、フィアット500です。フィアット126は、この2代目フィアット500(ヌオーヴァ500)の後継車なんです。フィアット126がデビューしたあとも、この594ccエンジンを搭載したフィアット500Rが併売されていました。

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126エンジンを搭載したヌオーヴァフィアット500R

フィアット500とフィアット126の関係については、コチラの記事にまとめてあります。

フィアット126について

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB126

フィアット126 1973年モデル

ヌオーヴァ500に比べると車体寸法が大きくなっていますが、ホイールベースはそのままで、エンジン・ドライブトレイン・フロントサスペンションなどの基本的なメカニズムも全て流用されています。細部では、後席の背もたれが前倒し式になっていて荷物置き場を拡大できるようになっていたり、ガソリンタンクがトランク(ボンネットフード)内から後席の下へ位置が変更されていたり、リアサスペンションがダイアゴナルスイングアクスルからセミトレーリングアームになっていたりと、使い勝手と安全性の向上が図られています。ステアリングギアも旧弊なウォームアンドセクタ式が流用されていましたが、1978年からは操作性に優れたラック・アンド・ピニオン式へ改良されています。一方外観は、同社の127と同様に、角形ヘッドランプを採用してよりプレーンで直線的なスタイルへと大きく変わっています。イタリアでは1980年までの製造でしたが、ポーランドでのFSMによるライセンス生産では、2000年7月まで製造されていました。

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フィアット126室内(1973年モデル)

モデルバリエーション

フィアット126は、イタリア本国では1980年まで生産されましたが、同時にOEMとして生産していたポーランドのFSMでは、2000年まで生産されました。

イタリアでの生産

スタンダードの126に加えて装備を豪華にした126Eが登場しました。この“E”はエレガントの“E”です。そして1976年に+2程度だったリアシートを改善して大人4人が座れる仕様にした“パーソナル4”が追加されました。12インチのホイールと大きくなったブレーキ、バンパーはプラスチックに変更されて同素材の再度プロテクトモールも付きました。
さらに1977年には、パーソナル4のエンジンが652ccまで拡大されて24psになりました。この馬力強化によって、名実ともに大人4人が乗っても十分な機動力を確保できました。翌1978年には装備が充実し、薄い色が付いた窓ガラス・ヘッドレスト・バックランプ・熱線入りリアウィンドが与えられました。

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フィアット126パーソナル4・650

ポーランドでの生産

FSMによるライセンス生産です。当初は2ドアセダンのみでしたが、3ドアハッチバックのbis(1987年-1991年)とカブリオレ(1991年-1995年)が追加されています。FSMは1992年にフィアットに買収され、1993年以降はフィアット・オート・ポーランドが生産を引き継ぎました。
126p(1973年-1987年)ポルスキ・フィアットブランドで販売されました。仕向地によってはザスタバ・126を名乗ります。1985年にフェイスリフトを受けました。
126bis(1987年-1991年)利便性向上のため、後部にラゲッジスペースとバックドアを新たに設けたモデルです。このスペースを捻出するために、エンジンは水平シリンダー(横倒し)にした上で水冷化されました。フィアット500でいう“ジャルニディエラ”と同じ形態ですが、このエンジンはよく故障したといわれています。外観ではフロントウインドシールド下(カウル部)の左右にベンチレーターが追加されました。
126el(1994年-1996年)直立の空冷エンジンと2ドアボディーを持つ標準車の改良型です。各部の補強材で衝突安全性を強化しています。同時に内装も見直され、見栄えと乗員保護性能を向上しています。
126elx(1996年-1999年)排出ガス規制(Euro1)に対応するために三元触媒を装備しました。
126Maluch(1997年-1998年)電子燃料噴射装置は使用されていません。キャブレターのままで点火系の電子デバイス化をすることで排気ガス規制を乗り越えたモデルです。
126MaluchTown(1998年-2000年)後席にヘッドレストを新設しました。1999年5月から並行輸入の軽自動車が日本でも販売されていました。
126HappyEnd(2000年)生産終了を記念して1000台(赤、黄色各500台)が生産された限定車です。

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フィアット126bis

出典:https://webshop.fiat500126.com/sites/100/fiat-126-cabrio

フィアット126カブリオレ

POP

1989年当時、西ドイツの小コーチビルダーPop社でポーランド製126pの屋根を取り払ってカブリオレに改造したものです。ロールバーが無く、幌、ドア(FRP製)、Cピラー跡の形状が異なるなど、メーカ製カブリオレとは外観や仕上がりの品質に差があります。日本では1989年に大阪の並行輸入業者によって10台が輸入され、“POP650”の名で販売されていました。翌年1月の軽自動車規格の改定に合わせて652ccエンジンであることから軽自動車登録が可能でした。

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POP650

フィアット126の評価

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先代のヌオーヴァ500は現在でも各国でファンが多く、日本でもルパン三世の愛車としても知名度が高い車です。イタリアやスペインで126の実質的な後継となった初代パンダは、前輪駆動と新設計サスペンションの採用に加えて直列4気筒エンジンも設定されるなど、走行性能や車内環境の改善、利便性の向上が著しく、広く一般にも普及した上趣味車としての一面も併せ持っています。しかしこの126は、自家用車の所有が難しくなくなったという時代背景の下、先達と比べると単なる平凡な大衆車として捉えられていました。当のフィアットが500Rを5年間も併売していたことや、映像作品やマスメディアへの露出が少ないこと、欧州でプフ・500を含むヌオーヴァ500がエンスージアスト達に大切にされているのに対して、126は使い古されて数を減らし続けたこと、ファンクラブの数が少ないこと、などに関心の低さが現れています。
初代(トッポリーノ)、二代目(ヌオーヴァ500)と国民的な人気車が続いた系譜上に登場した126ですが、大きな技術革新はなくスタイルでも衆目を引くことが叶わなかったことに加えて、ヌオーヴァ500のオマージュとも言える現行フィアット500(2007年)の発売に伴い、126の存在は人々の記憶から薄れていく一方だと言えます。このように、偉大なるベーシックカーの刷新がメーカーの期待通りには進まず人知れず埋もれていく姿は、BMC・ミニとメトロ、シトロエン・2CVとディアーヌ、VW・ビートルとタイプ3やタイプ4などでも見られます。特にこの四者は、後継車でありながらすべて先に生産を終えています。

世界中にファンは多く

フィアット500のような大規模なファン層を形成できなかったものの、現代でもフィアット126は世界中のファンたちに愛され続けています。日本でも“フィアットフェスタ”と呼ばれるフィアット車の一大イベントには、複数の126が集まりますし、私の回りにも「フィアット500のようにメジャーではない」という理由からかたくなに持ち続けている人もいます。
また、現役時代はラリーにも参戦していましたので、ヒストリックラリーシリーズなどにもよく登場します。

出典:http://sa6.elgur-sharat.ru/fiat-126.php

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フィアット126グループ2カーのモンテカルロヒストリック2008での様子です。

欲しくなった?

まさか欲しくなってしまったらどうしましょうか。言うまでもありありませんが、ファーストカーとして通用する車ではありません。マニュアルトランスミッションしかありませんし、快適装備は一切ありません。エアコンはもちろん、ドアガラスはノンパワーウィンドです。集中ドアロックなんて有ろうハズもありません。もちろんパワーステアリングもありませんが、RRレイアウトのおかげでステアリングはとても軽く操作出来ますから不要です。なによりも23psという非力なエンジンでは、現代の交通事情についていけるはずもありません。
でも、休日にたまに楽しむのでしたら大賛成です。きっとこの車に乗るだけで、あなたを“非日常”の世界へ誘ってくれることでしょう。毎日の合理的・効率的な生活を離れて、すべての時間が半分くらいの速度で動き出す感覚(実際にそのくらいの速度ですが)は、普段の生活をすっかりと忘れさせてくれるはずです。そんなすてきな道具としてみたら、決して高い買い物ではないのかもしれませんね。

全国のフィアット 126の中古車情報(1〜5件)はGoo-net(グーネット)。価格・年式・走行距離からご希望の車を検索・見積りできます。中古車物件情報が30万台!全国のフィアット(フィアット 126)の中古車検索・見積りなら日本最大級の中古車情報サイトGoo-net!

ちなみに某中古車サイトには5台出ていますよ。しかも本国生産の1976年式もエントリーしていますね。相当綺麗に仕上がっていますが、175万円となかなかのお値段がついています。水平シリンダ・水冷エンジンにしてハッチバックドアを付けたBisもいますね。1990年式で139万円とまずまずのプライスです。他の3台はelxのようですね。650ccエンジンを積んでいるようです。わずか58ccですが、オリジナル594cccエンジンに比べれば力強い走りをしてくれます。

維持は大変?

ここでは“はい”と応えるべきかもしれませんが、私感ではそんなに大変には思いません。というのは、フィアット500でさえ、ウィークポイントを抑えた整備をしてあげれば、驚くほど入庫しなくなります。上述したとおり電子制御なんて皆無ですから、そもそもトラブルになるネタがないんです。一番多いのは、設計が古いですから仕方がありませんが、ポイント式の点火ですからときどき調子を崩します。ですがこれも、フルトラ化するなど克服する方法はありますし、どうしようもないことにはなりません。
どちらかと言えば、この頃の車たちはボディの状態の方が心配です。新車の状態で、日本で元気に暮らしていけるほどのしっかりした防錆をしてあるわけではありません。保管状態によっては、フロアが腐っている車もあります。まずは各部のサビチェックをするべきでしょう。
部品の入手は意外にも大丈夫なんです。フィアット500の機関をほぼそのまま受け継いでいますから、市場にはたくさん流通しています。そうでなくても同じ部品を多くの車種で共用していますから、ブレーキ回りの消耗品まで手に入ります。ただ、この車にしか使わない部品(テールランプとか)はなくなる可能性が高いですね。

最後にまとめ

2代目フィアット500のあとを受け持ったフィアット126でしたが、先代ほどの評価も実績もてにすることができませんでした。ヒットモデルの後継車は難しいといいますが、まさにその餌食になってしまいました。でもフィアット500に比べたら確実に進化していますし、室内寸法も含めてボディデザインも垢抜けたのではないでしょうか。まあ、フィアット500はあのかわいらしさが受けているとも言えますから、新しい方が良いという話でもないのでしょうね。