【スズキ ジムニー シエラ】もうひとつのジムニー、シエラ

スズキの人気4WDのジムニー、その小型自動車バージョンがジムニー シエラです。軽自動車のジムニーとの違いや、シエラの代々の歴史と特徴、海外での販売状況などについてまとめました。

ジムニー シエラとは?

ジムニー シエラは、スズキ自動車が発売している小型乗用車(5ナンバー、白ナンバー車)で、本格的なクロスカントリー車(オフロード車)として知られる軽自動車であるジムニーの派生車種です。ジムニーと比べても遜色ない、世界的に見ても非常に高水準な悪路走破性、信頼性の高いメカニズムに加えて、ジムニーに比べて出力に余裕があるエンジンや、軽自動車と比べて横幅の制約が緩いことから太いタイヤを履けるなど、ジムニー シエラには、ジムニーに加えて余裕がある走りが楽しめるのが特長です。

ジムニーは海外へ輸出されていますが、ジムニー シエラは基本的には、この輸出仕様に準じるものです。ジムニーのまとめも併せてご覧下さい。

歴代ジムニー シエラについて

ジムニー シエラの歴史は、ジムニーの歴史から派生したものです。もともとはホープ自動車が試作したON型と呼ばれる四輪駆動車を引き継いで1972年に製品化したスズキは、この優れたモデルに、軽自動車枠に囚われないエンジンを搭載して輸出しはじめました。これに準じたモデルを日本でも販売するようになったのが、ジムニー シエラの歴史のはじまりです。とはいえ、最初はシエラという名前では販売されていませんでした。

SJ20 ジムニー8

最初に小型車(小型商用車)登録のジムニーとして1977年に発売されたのが、このジムニー8です。先行して1976年に発売された、軽自動車モデルのSJ10ジムニーは、当時最新の軽自動車規格の550ccの排気量に拡大され、初代ジムニーよりも余裕がある動力性能を得られましたが、ジムニー8では更に強力な800ccのエンジンを搭載していました。とはいえ税制などの差もあり、このジムニー8は1,799台しか売れなかったようです。

SJ40 ジムニー1000

1981年に軽自動車のジムニーがSJ10からSJ30に変更、実質的な最初のフルモデルチェンジを受けたのにあわせて、小型車登録のSJ20 ジムニー8も、SJ40ジムニー1000へとフルモデルチェンジしました。登場は1982年とSJ30よりも遅れていましたが、これはジムニー8の販売不振から国内販売を予定していなかったところ、予想外にラブコールが多く、それに応えたからだと言われています。実際にジムニー1000は、ジムニー8の4倍近い、6,558台を売り上げました。排気量は970ccでした。

JA51 ジムニー1300

SJ40 ジムニー1000は1984年にマイナーチェンジを受け、JA51 ジムニー1300へと移行します。これは1986年に予定されていた貨物自動車の排出ガス規制に対応するための変更でした。エンジンは新たに、スズキ カルタス用の3気筒エンジンに1気筒加えて4気筒とした新設計のものとされ、排気量は1,324ccに達しましたが、一方で従来のエンジンよりも軽量化されました。

ジムニー1300では1985年に、ハイルーフにサンルーフが取り付けられた、パノラミックルーフも追加設定されました。このパノラミックルーフは、小型車に遅れて1986年にSJ30からJA71へとマイナーチェンジした、軽自動車版のジムニーでも設定されています。小型商用車登録(4ナンバー)に加えて、小型乗用車登録(5ナンバー)が追加されるなど、より親しみやすいモデルへと変化するきっかけになったモデルです。

しかしジムニー1300は、1988年に販売が中止されてしまいます。これは新しい小型の四輪駆動車であるエスクードが投入されたからです。このため軽自動車ではないジムニーの日本国内での歴史は、一旦途絶えることになります。

JB31 ジムニー シエラ

エスクードは優れた自動車でしたが、ジムニー同様に強固なラダーフレームを持つ一方で、オンロードでの走行性能や使い勝手も重視したライトクロカンと呼ばれるコンセプトのモデルであり、極限状態での走破性能などはジムニーには敵いませんでした。

かくして1993年、小型車登録のジムニーがJB31の型番を持って復活します。当時、軽自動車仕様のジムニーは1990年に、軽自動車の規格変更にあわせてJA71からJA11にマイナーチェンジされていましたが、JB31はJA11を基本設計としつつも、トレッド(左右車輪の中心間距離)がワイド化され、横幅に余裕がある小型車登録の強みを生かした設計となりました。またギア比なども高速走行を加味した仕様となっています。エンジンは前身のJA51から引き継ぎつつも、輸出先の税制などを考慮して、排気量を1,298ccに抑える小変更が行われました。

そしてJB31は新たに、オーストラリア向けのジムニーにつけられていた「シエラ(SIERRA)」というサブネームを獲得しました。

JB32 ジムニー シエラ

1995年に、軽自動車登録のジムニーは、JA11からJA12、そしてよりパワフルなエンジンを持つJA22にマイナーチェンジしましたが、小型車版のJB31も、JB32に変更されました。JA12/22での最大の目玉は、サスペンションのスプリングにこれまでのリーフ(板バネ)ではなく、乗用車で一般的なコイルに改められたことでしたが、JB32も同様にコイルサスが採用されています。

JB32のエンジンは、JB31と排気量などは同一ながら、改良が加えられ更にパワフルになりました。またJB31同様に、シエラというサブネームが継承されました。

JB33 ジムニー ワイド

1998年、ジムニーは2度目となるフルモデルチェンジを受け、3代目に移行しました。軽自動車規格のJB23は、軽規格変更の10月から販売が開始されましたが、そのような制約がない小型車登録のジムニーは、1月から先行して販売されています。

登場時のエンジンはJB32から継承しましたが、点火方式で消耗部品であるディストリビューターを廃止 しています。外見上は、JB23よりも太いタイヤや幅広のトレッドに対応した、オーバーフェンダーが特徴的です。

JB43 ジムニー ワイド/ジムニー シエラ

2000年、ジムニー ワイドはマイナーチェンジを受け、JB33からJB43へと移行しました。このマイナーチェンジの一番のポイントは、JA51以来長く使われてきたエンジンから新開発へのエンジンの移行で、排気量は1,328ccとなり、また出力は歴代最強の88馬力に達しました。

2002年には名称が変更され、サブネームのワイドが廃止され、シエラへと移行します。これにより、JB32以来のシエラの名前が復活しました。

以来ジムニー シエラは、細かい変更を繰り返しながらも、2016年現在も生産が継続されています。生産期間は18年を経過し、日本車としてはもちろん、世界的にも近年の自動車としては稀な長期生産車種となっていますが、流行に左右されず、見切りの良さや悪路走破性を優先した機能的なデザインは、全く古びていません。

最新型ジムニー シエラを大解剖

ここでは2016年現在販売されているJB43 ジムニー シエラの特長についてまとめます。

ジムニー譲りのタフな設計

ジムニーは強固なラダーフレーム、リジットサスペンション、パートタイム4WD、副変速機など、オンロードでの走行性能を多少犠牲にすることがあっても、悪路走破性を最優先しています。このようなタフな設計は、そのまま共通してジムニー シエラの特長ともなっています。

類まれな悪路走破性の高さで有名なのが、スズキのジムニーです。狭くて急峻な日本の林道で、その走破性の高さは他を寄せ付けません。また海外でもジムニーは人気があり、サムライという名前でも知られています。そんなスズキ ジムニーの魅力をまとめました。

パワフルで余裕があるM13A型エンジン

出典:http://www.suzuki-jimny.info/archive/index.php/t-19334.html

2000年以来ジムニー シエラ(ワイド)に搭載されているエンジンは、M13Aという型番を持ちます。M型エンジンは世界戦略用のエンジンとして開発され、レーシングエンジン用の工法などが用いられるなど、野心的な設計が行われました。排気量1,328cc版となるM13Aは、当時は日本でデビューしたばかりのスイフトや、軽自動車であるワゴンRの拡大版だったワゴンRソリオなどにも採用され、スズキの小型車用エンジンの代表格となりました。

一方で2000年代も後半になると、燃費性能の重視からスズキは変速機を、トルクコンバーター式のATから、無段変速機であるCVTへ移行させ、同時期にM13Aは、排気量がやや小さく、より経済的なK12型エンジンへと移行しました。そのためM13Aは、2016年現在は日本国内ではジムニー シエラにのみ搭載されているエンジンとなりました。

ボア x ストロークは78.0mm x 69.5mmと、ややショートストロークで、6,000回転で88馬力を、3,400回転で118Nmのトルクを発揮します。ターボで武装されている軽自動車版のジムニーと比べるとスペック上の差異は、排気量が2倍近く違うことを考えると僅かで、出足の加速などは軽自動車のジムニーの方が軽快に感じられると指摘する声もありますが、余裕のある排気量は、主に高速道路での走行で真価を発揮します。

変速機は5速マニュアルトランスミッションと、4速オートマチックトランスミッションが組み合わせられます。

基本的にはモノグレード、特別仕様車の設定も

2016年現在、ジムニー シエラは単一のグレードで展開されています。これは軽自動車版のジムニーの上級グレードであるXCに基本的に準じた内容で、フォグランプやアルミホイールなどが充実しています。更にジムニー シエラは、ジムニーXCに対して、シートヒーターなどの装備が充実しています。そのため、ジムニー シエラの装備内容は、ジムニーシリーズでもっとも充実しています。

またジムニー シエラにも、ベースのジムニー同様に特別仕様車が不定期に設定されています。過去にはワイルドウィンド、ランドベンチャー、クロスアドベンチャーなどが設定されました。2016年現在はランドベンチャーが設定されています。装備の詳細はジムニーのまとめをご覧ください。

ジムニー シエラの輸出や海外生産について

ジムニー シエラに相当するジムニーの海外仕様車は、2016年現在、ヨーロッパ、アジア各地域、インド、オセアニア、南米で販売されています。スペインのサンタナ社は長くジムニーの生産で知られてきましたが、これら生産分はブラジルのSouza Ramos Groupが継承しています。また南米では、スズキと以前資本関係にあったゼネラルモーターズのコロンビア工場でも生産販売されています。他にインドのマルチ・スズキで生産販売されているモデルは、古いJA51相当のモデルが継続されており、これはジプシーという名称で販売されています。

かつては北米でも「サムライ」という名称で販売されていましたが、転倒騒動が起こり、訴訟に至ったこともありました。これは貿易摩擦の余波などが背景にあったとも言われていますが、この手の裁判としては珍しくスズキは勝訴し、また誠実な対応を行ったことから、サムライの販売実績を伸ばし、ユーザー満足度は高まったと言われています。ただし1998年からサムライはエスクード相当の現地生産車、サイドキックにサムライを置き換えており、さらに後年、販売不振から、スズキは北米から四輪車部門を撤退させました。

JB53 ジムニー

出典:https://zh.wikipedia.org/wiki/%E9%88%B4%E6%9C%A8Jimny

日本ではあまり知られていませんが、実はターボディーゼルエンジンを搭載した海外版ジムニーが存在しました。JB53という型番が振られたこのモデルは、ルノー製の1.5Lターボディーゼルエンジンを搭載していました。このエンジンは現在でも生産が継続され、ルノーや日産、メルセデス・ベンツの各車種にも搭載されており、仕様によっては最大で110馬力を発揮しますが、ジムニーに採用されていたのは65馬力のもっとも控えめな仕様でした。とはいえディーゼルならではの豊かなトルクは160Nmに達し、その点でJB53はジムニー史上もっともトルクフルなモデルでした。しかし2011年、サンタナでのジムニー生産終了と同時に、JB53はカタログから消滅しました。

ジムニー シエラの中古車情報

ジムニーの中でも人気のシエラ。そんな車に興味を持った方も多くいらっしゃると思います。多くの流通がありますので中古車にもお気に入りの一台があるかもしれません。是非チェックしてみてください。

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まとめ

いかがだったでしょうか?ジムニー シエラの、軽自動車のジムニーと異なる点や、歴史などについて、この記事が少しでも参考になればと思います。また海外ではジムニーは熱烈な支持を受けていて、ヨーロッパやオセアニア地域では、次世代がちゃんと発売されるのかというファンの不安に対して、新型は開発中という現地関係者からの心強いコメントも得られています。次世代ジムニー シエラにも期待が膨らみますね。