【マツダ ロードスター試乗レビュー】4代目は小さく軽く。1.5Lでも活発なピュアスポーツカーに!

1989年に登場して以来、強い支持を受けている「マツダ ロードスター」。2015年にはついに4代目となりました。それまでは大型化傾向にあったといえますが、4代目は先代よりも軽量化し、エンジンも1.5Lになるなどのダウンサイジングの他、ボディ、サスペンション、駆動系と一新したものとなっています。すでに十分に好評を得ているといえますが、ここでもう一度振り返ってみたいと思います。(飯嶋洋治:RJC会員)

ロードスターとは?

「スポーツカーは売れない」を覆し「マツダの顔」に!

photo by mazda

1989年にユーノス ロードスターとして、デビューを飾った初代ロードスター。スポーツカーがハイパワー、そしてスカイラインGT-Rの登場などに代表されるような4WDに流れていた時代に、ライトウェイトスポーツカーとして姿を見せたときは非常にインパクトが強かったのを記憶しています。初代は1.6Lのみ。確かにコアな層に支持されるのは予想できましたが、オープン2シーターということで販売台数は危惧されるところでした。ところが、スポーツカーとしては好調に売れ続け、2000年に生産累計53万1,890台を達成。ロードスターは英国のギネスワールドレコード社より、同カテゴリー・スポーツカー生産台数世界一の認定を受け、マツダを代表するスポーツカーとなったのです。

4代目ND型はどう進化したか?

人の座る位置から徹底的に見なおした!

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新型ロードスターのコンセプトは「人生を楽しもう“Joy of the Monent,Joy of LIfe”」となっています。3代目までは初代の延長線上にあったと言えるロードスターですが、4代目ではコンセプトを具現化するキーワードを「感(かん)」としました。そのココロは、ロードスターならではの「軽快感」、「手の内・意のまま感」、「開放感」です。これを根底として(1)「誰もが一瞬で心ときめくデザイン」(2)誰もが夢中になるドライビング体験」、「誰もが開放的でリフレッシュできる気持ちよさ」を実現させることを意図しています。人の座る位置まで見なおしたのもその現れといえるでしょう。

エクステリアは?

よりスポーツカーとしての低さ、安定感を増したデザインに!

「従来の延長線ではない」ということはエクステリアにもよく現れているように思えます。前後オーバーハングの短さとトレッドの関係もあるのでしょうが、先代とくらべても低く安定したスポーツカー的スタイリングと言えるでしょう。ヘッドランプのデザインは好みの分かれるところだと思いますが、マツダとしては「どこから見ても目が合い、見る角度によって凛とした精悍なまなざしにも、優しいまなざしにも感じられる瞳を表現した」としています。ハードトップが出るという噂もあるようですが、それはお楽しみというところでしょう。

インテリアは?

ドライバー中心主義に溢れるのはマツダのこだわり!

インテリアを機能面で見ると、まず「ドライバー中心」を貫いている姿勢が見えます。ステアリングホイールと三連メーターは、ドライバーの正面に同軸上に配置、センターに大型のタコメーターが来るなど、スポーツカーらしいものとなっています。ステアリングホイールもスポーティなものと交換しがちなパーツではありますが、ロードスターではブラックレザーに赤ステッチというスポーティ感のあるものとなっています。グリップもいたずらに太くするのではなく、かえって細身とすることで使用感の良い物となっています。シートはファブリックの仕様とレザーの仕様がありますが、ともにフルバケット並とはいかないものの、ホールド性は高く一般的には十分にスポーツ走行に耐えうるものとなっていると思いました。

デザイン面でみてみると、これはマツダでも強調していることですが、ドアトリムのデザインは目を引くものとなっています。ドアトリムのアッパーパネル、インストルメントパネルからボンネット、フロントフェンダーの稜線が繋がるようにデザインされており、エクステリアとインテリアが連続しているというデザインは、ロードスター(オープンカー)ならではの一体感を生み出すことに成功しています。

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パワーユニット、トライブトレーンは?

SKYACTIV-G 1.5はロードスター用に最適化を図る!

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パワーユニットはアクセラなどに搭載されているいわゆる「SKYACTIV-G 1.5」ですが、そのまま搭載されているというわけではありません。開発者の方によると、横置きから縦置きとしなければならなかったことを含め、ほとんど流用しているパーツはないということでした。特に、燃焼室形状以外のシリンダーヘッド、シリンダーブロック、回転系部品を専用設計とし、バルブタイミングも最適化しています。冷却系も軽量化を図るなど凝ったものとなっています。これによって、低回転から高回転の全域トルクアップと高回転化を果たしています。13.0という高圧縮もSKYACTIVE-Gならではといっていいところでしょう。

新開発の6速MTも見逃せないところです。すべての構成部品の機能をゼロから見直すというこだわりを見せました。チェンジロッドの作動方向、シンクロナイザーの配置、チェンジリング機構をシンプルにすることなどで、リンク系の摺動抵抗を低減しています。ただ、それによって節度感が失われては本末転倒。そうならないぎりぎりまで煮詰めたというのは開発チームの腕の見せ所と思われます。同時にクラッチの最適化も行なっています。人間工学的にドライバーへの負担が最も少なくなるペダルストローク領域を検証したといいます。そしてクラッチのミートポイント、クラッチペダルの位置などをチューニングしたというのは、国産車ではあまり例がないと思います。

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ボディ、サスペンションは?

ボディは先代より約100キロ軽量化。サスペンションジオメトリーの見直しで回頭性もアップ

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先代に対して100kgの軽量化をしつつ、ロードスターという剛性の確保が難しい条件の中で工夫がされています。まずはフレームワークのストレート化、連続化、そして断面形状の最適化があげられます。昨今の傾向ですが、この辺は解析技術の進歩によりマツダに限らず各社とも軽量化と剛性の確保が向上している部分です。ロードスターはボディ剛性で重要な役割を果たすルーフがない部分をバックボーンフレームで補っていますが、ここも先代モデルから採用しているハイマウントバックボーンフレームの形状のストレート化を増すことととみに、断面を大きくすることなどで強化しています。その他、ホワイトボディに高張力鋼板、超高張力鋼板、アルミ材の使用比率を71%として、先代の58%から向上させるなどして軽量化に貢献しています。

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サスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン式、リヤがマルチリンク式となっています。フロントサスペンションは、軽量、高剛性としたことに加え、ジオメトリー特性を回頭性の向上やブレーキング時の安定性を実現するものとしています。特にこのモデルではキャスター角を7°から8°に拡大したことにより、転舵時のネガティブキャンバーが増大し、結果、タイヤの路面接地性が向上、旋回時のアンダーステアを低減することにつながっています。

乗り心地は?

普段乗りでは「しなやかな足」、スポーツ走行では「安心できる足」に!

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コクピットに座ると「これぞスポーツカー!」という感じがして、なんともいいものです。着座位置は低く、若干とはいえ後方に移動されていますので、けっこうフロントが長く感じます。ただ、両サイドは盛り上がったフェンダートップがあるために見切りがいいのではないか? と思いました。乗ったのはMT車ですから、スタート時にエンストすると恥ずかしいという思いはありますので、クラッチを慎重につなぐように心がけるのですが、クラッチのフィーリングにまでこだわったというところが生かされているのだと思いますが、はじめて乗ったクルマとは思えないほどスムーズなつながりを見せました。

シフトフィールも良好。乗り心地は、私の先入観としてスポーツカーは足が硬くて当然というイメージがあることも影響しているのですが、割りと普通という感じがしました。単純に「乗り心地」として表現した場合、「こんなに乗り心地がよくていいの?」という感じです。ペダルフィーリングはクラッチは先に書いたように良好ですし、ブレーキフィールもリニアに効く感じで好印象でした。アクセルペダルはオルガン式を採用しています。こういうクルマなので、一応カタチだけでもと思い、ヒールアンドトウでシフトダウンを試みましたが、どうも私にはあまりしやすいように感じられませんでした。ただ、これは試乗した他の人に聞くとしやすいという意見も多かったので、言い切れない部分ではありますが……。ステアリングの感覚は軽すぎることもなく適度に手応えがあるもので良好だと思いました。

高回転でスムーズに回るとともに「トルク」を感じせるエンジン!

エンジンは7,500rpmまで回してOKということでしたが、もちろん一般道ではそれを試す機会はありません。どちらかというと軽快に回るというよりも低速域からもトルクフルということで、これは自然なクラッチフィールとともにMT車にはじめて乗るという層にも安心感を与えることができるのではないかと感じました。

一回目の試乗は都内で交通量も多くコーナリング性能などは確かめようがなかったのですが、その次の機会はツインリンクもてぎの周回路となりました。同日にホンダS660にも試乗していたので、その違いが楽しみだはありました。乗ってみた結果、当たり前といえば当たり前なのですが、上質という意味ではちょっと次元が違うのかな? と思いました。狭いコースということで、サイズも含めて攻められる面白さはS660にあることが事実なのですが、ロードスターは挙動のすべてが落ち着いているという感じです。軽快という面はあまり感じられなかったのですが、しっかり操作すれば、そのとおりにクルマが動くという感じでした。おそらくもう少しハイスピードで大きな挙動が作り出せるコースにもっていけば印象も違ってくるのではないかと思いました。

主要諸元と実際の燃費は?

型式 DBA-ND5RC
【サイズ/定員/重量】
全長 3,915mm
全幅 1,735mm
全高 1,235mm
ホイールベース 2,310mm
トレッド 前/後 1,495mm/1,505mm
最低地上高 140mm
乗車定員 2名
客室内寸法 長さ940mm/幅1,425mm/高さ1,055mm
車両重量 990kg(S 6MT)/1,010kg(Special package 6MT)/1,020kg(Leather package 6MT)
最小回転半径 4.7m
【エンジン主要諸元】
型式 P5-VPR[RS]型
種類 水冷直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量 1,496cc
ボア/ストローク 74.5mm/85.8mm
圧縮比 13.0
最高出力 96kW・131PS/7,000rpm
最大トルク 150Nm・15.3kg-m/4,800rpm
燃料供給装置 筒内直接噴射
燃料タンク容量 40L(無鉛プレミアムガソリン)
燃料消費率・JC08モード 17.2km/L(18.6/18.8・i-ELOOP+i-stop装着車)
【変速比・減速比】
トランスミッション
変速比 1速:5.087/2速:2.991/3速:2.035/4速:1.594/5速:1.286/6速:1.000/後退:4.696・6MT車(1速:3.538/2速:2.060/3速:1.404/4速:1.000/5速:0.713/6速:0.582/後退:3.168・6EC-AT車)
最終減速比 4.875(4.100・6EC-AT車)
【走行伝達装置】
ステアリング形式 ラック&ピニオン式
ブレーキ 前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
サスペンション 前/後 ダブルウイッシュボーン式/マルチリンク式

JC08モード燃費は6MTで17.2km/Lというものです。6ATで減速エネルギー回生システムである「i-ELOOP」、アイドリングストップ機能「i-stop」が付くと18.8.km/Lとなります。ある意味燃費性能に特化したイマドキのクルマの中では、そう目を引く値ではありませんが、スポーツカーということを考えると良い線を言っていると思いますし、かなり実際の燃費に近いものがあるのではないかと想像できます。

ロードスターと対比されやすい車は?

S660、トヨタ86と比べると……?

インプレッションの部分でも触れましたが、ほぼ同時期に発売されたということでホンダS660と対比されることが多くなっており、実際に雑誌やインターネット上で対決記事を良く見ました。S660はもちろん魅力的なクルマですが、軽自動車という枠の中で作られたクルマなのに対して、ロードスターは「ライトウェイトスポーツカー」を作るという一点に集中できたこともあると思いますが、あらゆる面でワンランク上という感じがしました。車格が違うといえばそれまでのことなのかもしれません。対比ということではトヨタ86、スバルBRZがあると思います。走る楽しさという面では共通する部分があると思いますが、クローズドボディの4シーターと、オープン2シーターということで、明確にユーザーが分かれるのではないかと思います。「覚悟」を含めてピュアスポーツということではロードスターに軍配が上がるでしょう。

まとめ

ここまで書く機会を逃してしまいましたが、ロードスターの美点はルーフの開閉の簡便さです。ほんとうにワンタッチ…というか閉めるときには(1)レバーを引く(2)ひっぱる(3)はめるという動作で済んでしまいます。オープンで走っていて突然の雨などというときにも対処できるもので、本当によく考えられていると思いました。広くはないですが、トランクもありますから、普通にも使えるスポーツカーということでは、かなりイケているというのがロードスターを見たり、乗ったりした後の実感でした。