【スズキ エスクード】お手本は、「レンジローバー」元祖クロスオーバーSUVモデル

「レンジローバー」をお手本に「ライトクロカン」「クロスオーバーSUV」という新ジャンルの草分け的な存在として登場し、エクステリア、走破性能などバランス良い「エスクード」の魅力に迫ってみたいと思います。

「エスクード(Escudo)」

「エスクード(Escudo)」は、SUVモデルでスズキ自動車が製造・販売しているモデルです。
1988年(昭和63年)に登場し、「ライトクロカン」その後の「クロスオーバーSUV」の原点のひとつとなったカテゴリーを築きあげたモデルです。モデル名は、昔のスペインと、その植民地、(スペイン語圏の中南米諸国)で使用されていた通貨単位の「エスクード」に由来しています。「昔のスペイン金貨と、大航海時代の男のロマン、冒険心」を重ねてイメージして命名されました。

開発コンセプト

開発コンセプトは、「クロスカントリーセダン」で「クロカン」として本格4輪駆動の機能を持ちながら、省燃費で、街乗りや高速道路での走行性能も高めた乗用車としても使えるSUVモデルを開発することに始まりました。そのため、初代エスクードは従来の4輪駆動車では常用される強固なラダーフレームが採用されました。この採用によってオープンモデルを含めた車体設計のしやすさ、堅牢性、悪路走破性が向上できるようになっています。また4輪駆動システムもパートタイム式で、2速の副変速機を備えるなど、シャシーに相応しいシステムが採用されました。

輸出仕様の名称

カナダでは「ゼネラルモーターズ」と提携した「CAMIオートモーティブ」で、スペインでは「サンタナ・モトール」で生産される世界戦略車でもあるため輸出仕様はモデル名が違います。
初代モデルが「サイドキック(Sidekick:北米モデル)」「ビターラ(Vitara:ヨーロッパモデル)」2代目モデルは4気筒モデルが「ビターラ」V6エンジンのロングモデルが「グランドビターラ(Grand Vitara)」3代目モデルは「グランドビターラ」4代目モデルは、「ビターラ」の名称で販売されています。

1thモデル(1988年-1997年)

1988年5月に1thモデルが登場しました。発売当時は、SUVカテゴリーで空白地帯となっていた1,600 ccクラスにスズキが自信をもって投入しました。ボディタイプは、3ドアのコンバーチブル、ハードトップのラインアップでした。
エクステリアデザインは、直線を基調としたヨーロッパ調のスタイルと洗練された内装、それに低価格とが相まって、大ヒットモデルとなりました。1989年には、スポーツ用品(H/H)のブランドを冠した特別仕様モデルが登場しました。また5月に夏期限定モデル「ヘリーハンセンリミテッド」、そして10月に冬季限定モデルとして「ゴールドウィンリミテッド」が設定されました。

足回りの手本は、レンジローバー

サスペンションシステムは、フロントは乗用車では一般的なストラットとコイルスプリングの組み合わせでしたが、リアのサスペンションシステムは、初代レンジローバーを手本にリジッドアクスルの位置決めに、「センターAアーム」を採用しています。このシステムの採用例は、当時の日本車では1thモデルの「エスクード」が唯一で、クロスカントリーなどのオフロード走行では、フロント独立懸架の弱点である、ホイールストロークの短さを、リアのストロークで補っていおり、待ち乗りとオフロードの乗り心地は非常にバランスが取れています。

1thモデルのMC

1990年8月にマイナーチェンジが施され、エンジンが「G16A型 SOHC 8バルブ」仕様から「SOHC 16バルブ」に変更され、最高出力が82PSから100PSに向上しています。また3速ATが4速ATに変更されました。そして9月に追加されたホイールベースの長い5ドアモデルは、ロングツーリングにも使えるイメージから、「遊牧民」を意味する「ノマド」のサブネームが付けられました。1994年12月のマイナーチェンジでは、内装がエレガントさを帯びたものとなりました。またスズキ初の「2,000cc V型6気筒」エンジンと、「2,000cc 直列4気筒 ディーゼルターボ」を積むモデルが追加されました。ただし、コンバーチブル仕様とレジントップ仕様には、「V型6気筒エンジン」「ディーゼルエンジン」は設定されませんでした。そして、フロントのデザインが独立グリルに変更され、フレームの強化、ストラットタワーバーの追加、タイヤサイズとトレッドの拡大などの変更が施されています。またトレッド拡大によるオーバーフェンダーの装着で全幅が広がり、前後バンパーの大型化によって全長が延長されています。「ディーゼルエンジン」はマツダから「RF型」の供給エンジンとなっています。1995年には、エスクードをベースに北米市場を狙った2シーターの派生モデル「X-90」が発売されました。1996年には、「2,500cc V型6気筒エンジン」モデルが追加され、「2,000ccエンジン」はV型6気筒から直列4気筒に変更されています。

2thモデル(1997年-2005年)

2thモデルは、1997年11月に登場しています。2thモデルとなりフレーム構造は同様でしたが、リアサスペンションは、5リンクリジッドへ変更され、ラテラルロッドを持つサスペンションシステムとなりました。インテリアではリヤシートがダブルフォールディング式の分割となり、ヘッドレストを外してフロントのシートバックを倒すことでフロントからリヤシートバックまでのフルフラット化が可能となるように設計され、居住性が大きく向上しています。また限定モデルも追加されました。1998年10月には、エスクードV6-2500専用エアロパーツなどを装備したドレスアップもでる「エスクードV6スペシャル」を発表しています。スポーティな室内には、専用本革巻きステアリングホイールとATシフトノブ、専用ホワイトメーター、カーボン調パネル、シート表皮&ドアトリムなどを装備し限定300台でした。11月には、スポーティな外観とマルチメーターなどを装着した特別限定モデル「G-リミテッド」が限定1,000台で発表されました。1999年6月には、スポーティーな外見と上級仕様のオーディオを装着した特別限定モデル「Sリミテッド」を限定1,000台で発売しています。また2000年には、コンバーチブルモデルの国内仕様は消滅しています。またアメリカ仕様に「2,700cc」モデルの7人乗りにした「グランドエスクード」が登場しています。

コラボレーションモデル

2thモデルは、「ヘリー・ハンセン」などファッションブランドとのコラボレーションモデルも多く登場しました。

「ヘリー・ハンセン(HELLY HANSEN)」モデル

2001年6月には、アウトドアレジャーや旅行の用途に特化した特別仕様モデル「2.0 5ドア ヘリー・ハンセン リミテッド」を発売しています。スポーティで爽やかなイメージを演出しました。ボディ同色の専用フロントグリル、ヘッドランプガーニッシュ、専用のフロントバンパーアンダーガーニッシュ、「HELLY HANSEN」ロゴ入り専用スペアタイヤハウジング、撥水加工処理を施した専用ファブリックシート表皮、専用の黒色本革巻きステアリングホイール、フロントに泥や水濡れなどによるフロアの汚れを防ぐ専用トレーマットなどを特別装備していました。限定生産500台のモデルです。
また2002年6月には、限定500台の特別限定モデルの「ヘリー・ハンセン リミテッド」が発表されています。エクステリアは、専用のフロントバンパー(フォグランプ付)、フロントグリル、ヘッドランプガーニッシュ、サイドステップ(グランドエスクード)、リヤアンダーガーニッシュ、スペアタイヤハウジング(H/Hのロゴ入り)等を採用していました。内装は、撥水加工処理を施した専用ファブリックシート表皮、 専用スピーカーを採用したMD/CDステレオ(DSP機構付)、文字盤面を白色とした専用メーターパネル、黒色本革巻ステアリングホイール、シフトノブおよびトランスファーレバーを採用していました。

「KANSAI」モデル

2002年1月には、ファッションデザイナー「山本寛斎」氏がエクステリア、インテリアをファッショナブルにアレンジした特別仕様モデルの「エスクード 5ドア 2.0(KANSAI)」が登場しています。インテリアでは、「山本寛斎」氏のデザインの専用シート表皮&ドアトリムクロス、本革巻きステアリングホイール&ATシフトノブおよびトランスファーレバー、それにインパネガーニッシュ、センターコンソール、フロアコンソールガーニッシュに木目調を採用し、2DINサイズのCD/MDステレオを採用していました。

「FIS」モデル

2002年11月には、国際スキー連盟「FIS」とタイアップした特別仕様モデルの「FISフリースタイルワールドカップリミテッド」を設定しています。エクステリアは、専用フロントバンパーガーニッシュ、ボディ同色フロントグリルなどを装着し、インテリアは、スポーティーな本革巻ステアリングホイール&本革巻シフトノブ&トランスファーノブ、DSP機構付MD/CDステレオなどを採用していました。そして2003年10月には、「2.0 5ドア FISフリースタイルワールドカップリミテッド」を発売しました。

3thモデル(2005年-)

3thモデルは、2005年5月に登場しています。シャシーに変更が加えられて、フロアパンにラダーフレームを溶接したラダーフレーム一体型モノコックボディ(ビルトインラダーフレーム)になっています。またパートタイム4WDからフルタイム4WDになり、リアサスペンションもマルチリンクの独立懸架へと変更されるものの、デフロック機構やHI-LO切り替えの副変速機などの本格4WDシステムも採用されています。2015年10月にモデル名を「エスクード2.4」に改名して継続販売しています。特別仕様モデルの「ランドブリーズ」を含め、内容自体にに変更はされていません。

コラボレーションモデル

3thモデルもコラボレーションモデルが登場しています。

「サロモン」モデル

2006年12月スポーツ用品ブランド「サロモン」のイメージにあわせ、ウィンタースポーツを楽しむユーザーに向けた特別限定車「2.0 / 2.7 サロモンリミテッド」を発売(限定750台)。2007年11月6日、前年に引き続き、特別限定車「2.0/2.7 サロモンリミテッド」を発売。(限定1,000台)今回は「SALOMON」の刺繍が入った撥水加工済専用シートなどを装備する。2008年11月に1,000台特別限定車「サロモンリミテッド」の3thモデルを発売しています。2.4 Lエンジンのみの設定で、フロントアンダースポイラーとルーフレールにはシルバーを用い、専用フロントグリルと軽量18インチアルミホイールを装着し、スポーティーな印象となりました。また、電動サンルーフやESPを装備しています。2012年7月には、特別仕様モデル「X-Adventure (クロスアドベンチャー、サブネームとして「SALOMON」も付いています)」を発売しました。電動サンルーフ、LEDリングイルミネーション付マルチリフレクターハロゲンフォグランプ、ESP(ヒルホールドコントロール・ヒルディセントコントロール付)等を装備していました。またフロントグリルはブラックメッキに、アルミホイールは18インチにサイズアップし高輝度シルバー塗装を、本革巻ステアリングホイールとシフトノブに赤ステッチを施し、シート表皮には前席・後席左右の背もたれと座面に撥水加工を施したセーレンの「ラックス スエード」を採用していました。

「ヘリー・ハンセン(HELLY HANSEN)」モデル

2007年6月に800台限定生産でアルカンターラを使用したシート表皮と専用フロントグリル、電動サンルーフなどを装備した特別限定モデルの「2.0/2.7 ヘリー・ハンセンリミテッド」を約5年ぶりに発売しています。2008年には、1,000台限定で電動サンルーフやESPなどを装備した特別限定モデル「2.4 ヘリーハンセンリミテッド」を発売しました。

「オニール」

2009年6月には、世界中のサーファーが支持するサーフブランド「オニール」とタイアップし特別限定600台で「2.4 オニール リミテッド」を発売しています。「2.4 XG」をベースに、クロームメッキの専用フロントグリルや、車体色と銀色の2トーン塗装のフロントアンダースポイラー、電動サンルーフ、軽量18インチアルミホイール、ロゴ入り専用防水シート&ドアトリムクロス、ESP等を装備していました。

4thモデル「2015年10月登場」

4thモデルは、2015年10月登場しています。「エスクード 2.4」は3thモデルを継続販売となっています。新世代四輪制御システム「ALLGRIP(オールグリップ)」を4WDモデルに設定しています。「ALLGRIP」は「電子制御4WDシステム」「4モード走行切替機能」「車両運動協調制御システム」の3つのシステムからなる、「スズキ社」独自の新しい四輪制御システムのことです。

「電子制御4WDシステム」

車両の走行状態をアクセルセンサー、操舵角センサー、車速センサーなど、車体に設置されている各種センサーの情報をもとにトータル制御しています。挙動変化を予測し、車両が不安定になる前にフィードフォワード制御を行うことで優れた走行性能を実現しています。

「4モード走行切替機能」

「AUTO」は、燃費を重視した通常は、2WDですが、タイヤのスリップを検知すると自動的に4WD走行になり急な路面変化でも安定した走行を可能にしています。「SPORT」は、4WDモードでストレート加速やコーナリング性能を向上させるモードです。「SNOW」は、グリップ重視のモードで各車輪へのトルク配分を積極的に行ないます。「LOCK」モードは、ぬかるみや雪でスタックした時の緊急脱出モードです。また空転している車輪にブレーキをかけ空転していない車輪の駆動力を確保する機能です。これらの4つのドライビングモードはドライバーがスイッチで設定すること出来ます。

「車両運動協調制御システム」

4WD制御と電動パワーステアリングを協調制御するシステムです。前後輪へのトルク配分とハンドル操舵トルクアシストにより、コーナリング中のアンダーステア傾向やオーバーステア傾向を抑制して運転操作をアシストし、さらにスリップや横滑りが発生した場合にはESPが作動し走行安定性を確保することができるようになっています。

新開発6速AT採用

1速から6速の変速比幅を大きくすることによって、低速域では優れた発進加速・登坂性能を実現しており、高速域では静粛性と燃費性能を向上させています。またマニュアル感覚で操作できるパドルシフトを装備し、ワインディングやラフロードでスポーティーな走行をドライバーが確実にコントロールできるようにしています。

まとめ

「スズキ エスクード」は「ライトクロカン」「クロスオーバーSUV」という新ジャンルの草分け的な存在として登場し、エクステリア、走破性能などバランス良く仕上がっているモデルです。開発コンセプト通り「クロスカントリーセダン」という待ち乗りからアウトドアまでオールマイティなモデルと言えるでしょう。