【フィアットバルケッタ】“小舟”と名付けられたオープンスポーツ

フィアットバルケッタは、2シータ-のオープンカーです。“バルケッタ”とは1人もしくは2人で乗る小さなカヌーのような舟を指します。キャビンが小さく中央になければこの称号はもらえません。その昔、レースシーンではよく使われた言葉でした。代表的なのは1957年の“アルファロメオ・バルケッタ・コンレロ”ですが、フェラーリ166やマセラティA6GCSなども有名です。現代によみがえったバルケッタをご紹介します。

フィアットバルケッタという車

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%AB%E3%82%B1%E3%83%83%E3%82%BF

フィアットバルケッタは、1978年に生産終了したフィアットX1/9以来の小型スポーツカーとして1995年に発売されました。2シーターのロードスターモデルで、ヨーロッパ内だけでなく日本にも輸入され、フィアットオートジャパンが販売していました。車名“バルケッタ(Barchetta)”の由来は、イタリア語で“小舟”を意味する言葉です。現代のイタリア車には小型のオープンカーは例がなく、数少ないイタリア製ライトウェイトスポーツカーを代表する1台と言えます。スタイリングデザインは、当時フィアット社に在籍していたギリシャ人の自動車デザイナーであるアンドレアス・ザパティナスの原案を元に開発されています。
プラットフォームは、フィアット・プントのものをベースにした横置きエンジンの前輪駆動車ですが、オープンボディ化に伴い大幅な強化が行われています。スポーティーなハンドリング特性を狙い、プントよりもホイールベースが短縮されています。左ハンドルでトランスミッションは5速M/Tのみの設定です。
内外装ともにフィアット社内でデザインされていて、かつてのフィアット・850スパイダーを想起させるレトロな外観が特徴になっています。ただ、フィアットのリリースによれば、細部のデザインは古いフェラーリやジャガーからヒントを得た部分も少なくないとのことです。
車輌の生産は、ランチア・デルタHFインテグラーレの生産を担当していたカロッツェリア・マッジョーラに委託されました。搭載するエンジンは、専用開発の可変バルブタイミング機構付1,747cc・最高出力130PS(96kW)/6,300rpm・最大トルク16.7kgf·m(164Nm)/4,600rpmのDOHCエンジンを搭載しています。このクラスの自然吸気エンジンとしてはごく平均的な数値ですが、車重が1,090kgと軽量なおかげで加速性能は高く、モータースポーツにおいてはより排気量の大きなエンジンを積むアルファ・ロメオ145・147・155・156などと対等に渡り合えるポテンシャルを持っています。
バルケッタは、1995年(日本では1996年から販売)から生産・販売されましたが、2002年に生産終了しました。その後、2004年にニューバルケッタが復活するまで空白の2年間が存在します。

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ボディタイプ:オープン・カブリオレ・コンバーチブル
ドア数:2ドア
乗員定員:2名
型式:E-183A1
全長:3,920mm
全幅:1,640mm
全高:1,265mm
ホイールベース:2,275mm
トレッド前/後:1,410/1,405mm
車両重量:1,090kg
最高出力:130ps(96kW)/6,300rpm
最大トルク:16.7kgm(164Nm)/4,300rpm
種類:直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量:1,746cc
内径×行程:82mm×82.7mm
過給機:なし
燃料供給装置:電子制御式燃料噴射装置
燃料タンク容量:50リットル
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション形式(前):マクファーソンストラット
サスペンション形式(後):トレーリングアーム
ブレーキ形式(前):ベンチレーテッドディスク
ブレーキ形式(後):ディスク
タイヤサイズ(前):195/55R15
タイヤサイズ(後):195/55R15
駆動方式:FF
トランスミッション:5M/T
販売価格:2,700,000円

先代はあの名車 フィアットX1/9

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BBX1/9

X1/9(エックスワンナインと読みます)は、フィアット128ベースのスポーツ・スパイダーです。形式名“128AS”の“S”はスパイダーを意味します。 1972年11月26日にイタリア・シチリア島のタルガ・フローリオコース上で発表されました。量産ミッドシップスポーツカーのパイオニア的存在と言える車です。1978年に5速M/Tが追加されエンジンの総排気量が1,498ccへアップされてからは“128AS1”となります。1982年3月からベルトーネに販売権を移行して1989年まで生産されました。

実力よりも低い評価を受けたX1/9

フィアットX1/9は、世間一般には大衆車もしくはリーズナブルなミッドシップ車で通っていますが、“フィアット・アバルトX1/9プロトティポ”の開発リーダーで、これをベースにWRCへ挑んだジョルジョ・ピアンタは、「フィアットX1/9は速すぎるので作るのを止めてしまった」と証言しています。特筆すべきはそのサスペンションで、「これきしのパワーの車に、なぜこのようなすばらしい“足”が必要なのかと疑いたくなる」と言われるように、平凡なストラット式でありながらがリアのVの字に開いたロアウィッシュボーンアームは極めて強靱にできています。のちの競技モデルでもサスペンション・アームを軽量化することはあっても、構造まで変更することはなく、アンチロールバーを追加する程度に留まっています。いいかえれば、それだけノーマルの完成度が高いということです。
プロジェクトを取り巻く人物がミウラやストラトスの開発に携わったメンバーであること。これがX1/9をここまでレーシーに生んでしまった原因だと考えられています。当時のフィアットの思惑は、大衆車“128ファミリー”の仲間であることを強調していました。競技車両としての資質は極力隠されていたのです。ガンディーニによる優れたパッケージングは、単なるミッドシップ2シーターにしては異例に荷物が積める実用的スポーツカーとなり、850スパイダーに負けず大ヒットしました。
1982年、フィアットはX1/9の販売権をベルトーネに渡しています。フィアットとしては、いくらエンジンを生産してそのボディに載せようが赤字になる車でした。ベルトーネにしてみれば、中規模であるグルリアスコの自社工場をいっぱいにするX1/9はドル箱的存在と言えるでしょう。ベルトーネが全てを受け持つのが誰が見ても妥当だったし、ヌッチオはこのことをあらかじめ考慮してミッドシップ案を推したのでした。このような経緯が、車名を128スパイダーとせずプロジェクト名“X1/9”のまま市販した理由でもあります。
X1/9は1989年3月で生産を終了しました。ダラーラモデルは1,400万リラ(当時の日本円で600万円相当)で各国のレースドライバーに購入されましたが、イタリア国内のヒルクライムレースでは、すべてにおいてクラス優勝しています。BMW、ポルシェなどと混走するグループ5でも健闘し、輝かしい戦績を残しています。
WRCへ向けたアバルトX1/9プロトティポのプロジェクトは、1973年から1974年にかけてのオイルショックの余波をまともに受け、過度の不景気とフィアットの販売政策のために中止されましたが、20秒以内で200km/hに達する加速は131ラリーよりも速かったのです。のちにシャルドネカラーのストラトスを駆ってツール・ド・コルスを6勝したベルナール・ダルニッシュは、イタリア・フランスの国内ラリーで、X1/9プロトティポを駆って何度も優勝していることはあまり知られていない事実です。1970年代のイタリア人ラリースト“ダリオ・チュラート”によれば、「ストラトスと比べてX1/9プロトティポのほうが扱いやすく正確にコーナーを曲がれる」とコメントしています。
日本市場では、絶対的なパワー不足と日本国内の高温多湿下では不十分だったボディ防錆処理によるクレームに加え、夏の渋滞でのオーバーヒートも深刻な問題でした。加えて1983年にアメリカの倉庫で水難にあった車両が大量に日本へ流れ込み、処理の悪かった車両に与えられた壊滅的ボディ状態がすべて負のイメージに誇張され、消費者の評判を一層悪くしてしまったのです。
ですが、趣味の世界では現代でも絶大な人気を誇っていて、イタリア国内のヒルクライムレースにおいては今でも速いクルマとして認識されていて、日本でもミニサーキットで上位を狙えるベース車両としての需要があります。

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ベースはフィアットプント

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フィアットプントは、1993年に発表された小型のハッチバック車です。フィアット社内でのプロジェクト名“178プロジェクト”のコードネームのもと、フィアット・ティーポをベース車両として開発されました。1994年にフィアット・ウーノの後継車両として登場しています。イタリア語で“Punto”は英語でいう“Point”、日本語で“点”を意味しています。オペル・コルサ、フォルクスワーゲン・ポロなどの対抗馬として小型ハッチバック車市場に投入されました。
1.1L・1.2Lのガソリンエンジン、1.7Lのディーゼルエンジンを搭載しています。後にスポーツモデルとして1.4Lターボモデルが追加されました。ボディ形状は3ドアまたは5ドアのハッチバックで、スタイリングはジョルジェット・ジウジアーロの手によるデザインです。のちにベルトーネ社の工場で、3ドアモデルをベースにカブリオレモデルも製造されました。トランスミッションはマニュアルがメインですが、富士重工業製のCVTを搭載したモデル“セレクタ”も追加され、日本でも好評を得ました。1995年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーに輝いています。
日本国内での販売は、1997年3月に1.2Lセレクタと1.2Lカブリオセレクタが先行発売され、1998年4月に日本仕様車として1.2L DOHCエンジンを搭載しアバルト製エアロパーツの装着した“スポルティングアバルト”が発売されました。

出典:http://www.the-blueprints.com/cardata/show/11599/fiat_punto_cabrio_60_s_2-door,_cabriolet/

フィアット・プント・カブリオレ

イギリスではいまひとつ

バルケッタは左ハンドル仕様のみの設計でしたが、左側通行の日本やイギリスへの正規輸出も行われました。日本では、国産メーカーにない性格の車ということに加えて、300万円を切るオープンスポーツカーとして見込み以上の販売実績を納めました。でもイギリスでは、右ハンドル仕様の不在がセールスの足を引っ張るかたちになりました。イギリスでは“左ハンドル車は贅沢品”という扱いで税金が高いため、右ハンドル車しか売れない市場なのです。

2代目のバルケッタ

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バルケッタの後継として2004年の春に“フィアット・ニューバルケッタ”が発表されました。ニューとうたっていますが、基本的には初代のマイナーチェンジモデルです。シャシやエンジンに大きな変更はありませんが、タイヤサイズが15インチから16インチに拡大(195/55R15 → 195/45R16)され、初代ではオプションだったアルミホイールが標準装備になっています。 外観は、当時流行していたシングルフレームグリルを採用していて、フロントバンパー、リアバンパーのデザインなども変更されました。とりわけトランク上に設けられたハイマウントストップランプが不評だったと記憶しています。 全体的に初代モデルよりも上質さを感じるデザインになりましたが、車両重量も20kg増加しています。初代バルケッタとは異なり、生産はフィアット社内で行われました。

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ボディタイプ:オープン・カブリオレ・コンバーチブル
ドア数:2ドア
乗員定員:2名
型式:GH-18318
全長:3,895mm
全幅:1,655mm
全高:1,275mm
ホイールベース:2275mm
トレッド前/後:1,410/1,405mm
車両重量:1,110kg
エンジン型式:188A6
最高出力:130ps(96kW)/6,300rpm
最大トルク:16.1kgm(158Nm)/4,300rpm
種類:直列4気筒DOHC16バルブ
総排気量:1,746cc
内径×行程:82.0mm×82.7mm
圧縮比:10.3
過給機:なし
燃料供給装置:マルチポイント式電子制御燃料噴射
燃料タンク容量:51リットル
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
ステアリング形式:パワーアシスト付きラック&ピニオン
サスペンション形式(前):独立懸架・マクファーソンストラット式
サスペンション形式(後):独立懸架・トレーリングアーム式
ブレーキ形式(前):ベンチレーテッドディスク
ブレーキ形式(後):ディスク
タイヤサイズ(前):195/45R16
タイヤサイズ(後):195/45R16
駆動方式:FF
トランスミッション:5M/T
販売価格:2,929,500円

中古市場では

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すでに20年になる初代バルケッタの初期モデル(1997年式)が50万円以上しています。新車価格が270万円でしたから10年経過で半分程度、それから先はなし崩しに...と想像していましたのでちょっと驚きました。1999年式だと138万円です。まだまだ人気モデルなんですね。面白いのは、ニューバルケッタでも同じなんです。2004年モデルが60万円弱で、最終でも128万円です。新型の方が5年以上新しいんですけど、価格帯は同じです。

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最後にまとめ

小型のオープンカーって意外に少ないですよね。しかも豪華系はあってもスポーツ色を押し出したモデルはなかなかありません。日本では軽自動車が頑張っていますが、その上のクラスにはありません。60年代くらいまではたくさんあったのですが、すっかりなくなってしまっていましたから、とても新鮮でしたし乗って楽しい車でした。今乗ったら新鮮な気持ちになれるかも知れないと思ったら、久しぶりにのりたくなってしまいました。みなさんもいかがですか?

ちなみに、冒頭で触れたアルファロメオ・バルケッタ・コンレロとは、こんな車です。

出典:https://motogurumag.com/image/KRkuRw/