F1レースの舞台裏で行われているテスト走行とは?

シーズンが開幕して終了するまでに毎年20レース近くのスケジュールが組まれているF1。そんなシーズン中のレースの合間やシーズンオフの時期に行われているのがF1テスト。果たして、F1テストとは一体何なのでしょうか?

F1テストって何?

練習走行とはちょっと違う?テスト走行とは

現在のF1のルールでは、F1のテストには回数制限などの条件が設けられていて現在はシーズン中に2回程度、シーズンが終わりオフに入ってから6回程度と1年間に10回もないくらいです。F1のテスト走行は普段グランプリ中に行われるフリー走行とは少し異なり、あまりセッティングを探りに行ったり、予選シミュレーションのようなタイムを狙った走行は行いません。目的はそのテストや各チームによって違いますが、テスト走行では主に各チームが新たなシーズンに向けて開発した新型マシンが正常に問題なく使用できるかどうかチェックしたり、新開発のパーツやエンジンのデータを取ったりします。この作業はマシンをより速く進化させるためには極めて重要なものです。そして、またある時はF1テストはそのシートを狙う若手ドライバーのチャンスを掴むための場だったりもします。
F1のテストは大きく分けて4種類あります。

いろいろな目的があるF1テスト走行

シーズン前の顔合わせ 開幕前テスト

現在のF1ではすっかり恒例になった開幕前のテストスケジュール。最近ではF1のシーズン開幕まであと1ヶ月あまりとなった2月下旬からシーズン開幕までの間に、2日間のテストを1回とする計2回のチーム合同テストが開かれます。このテストの真意は各チームの新マシンのお披露目や、マシンとエンジンの動作のチェックなどを主に行います。さらにはその内容次第ではその年の勢力図もテストの結果から見えることもあります。例えば、ここ2年ではメルセデス勢がテストで圧倒的な速さと抜群の信頼性を見せ、シーズンが始まってもチャンピオン候補の大本命であることは開幕前から見えていました。

シーズン中の改善テスト

近年ではレギュレーションにより、シーズン中のプライベートテストは一切認められていませんが、去年からスペインGPとイギリスGPの開催直後の月曜日と火曜日にテストが開催されており、そのテストに各チーム若手ドライバーを計4日間のうち2日間起用することを前提として参加が認められています。このテストではシーズン中というだけあって、主に戦闘力向上のために持ち込まれた新しいエアロパーツや改善したパワーユニットのテストなどを行いデータを取ってレースに活かそうというのが目的です。

F1最終戦の直後に行われるタイヤテスト

ピレリのタイヤ性能を試すだけのテストもあり近年では最終戦直後と新年明けの2回行われ、ピレリの開発した新たなモデルのタイヤで走行距離を稼ぎ、そのデータをもとにピレリがタイヤの改善を行います。ピレリはF1レースをよりエキサイティングにしたいという要望に応えるため、タイヤの”おいしい”部分が3~4周しか持たずその後急に激しいデグラデーションを起こす、これまでにないF1タイヤを開発しました。しかしさらなる安全性の確保やレース戦術に幅を持たせるために、ピレリはレースやこのタイヤテストを通してデータを算出し新たなタイヤ開発に取り組みます。また、1回のタイヤテストはウェットタイヤの性能データを取るために行われ、その際テストコースはスプリンクラーが撒かれ人工的にウェットコンディションが作られます。

テストは若手のチャンスの場でもある!

F1のテストはレースシートを得ているレギュラードライバーが担当することが多いのですが、何回かはF1のレギュラーシート獲得を狙う若手ドライバーの起用があり、ヤングドライバーズはF1テストの場でチームと共に仕事をこなすことでF1の雰囲気に慣れていきます。また、若手ドライバーが順調にテスト項目をこなしていくことでチームとの連携や信頼度が高まり、レース出場の機会に大きく前進することもあります。

F1テストの豆知識!

テスト参加にお金が必要!?

F1のプライベートチームにとって財政はチームの運営上非常に大切な要素であり、財政難は何としても避けたいものです。そのため、レースシートの座に就くドライバーに巨額な持参金を要求するチームも少なくありません。テスト走行にもその影響は響いていて、テストに参加したいドライバーは多少の持参金が必要になることもあります。たとえば、歴史あるプライベーターチームとして名高いザウバーF1チームは、2日間のテスト走行のために3,500万円もの持参金を条件にしてF1初走行の若手ドライバーを起用してました。F1の政治的な部分はこういったF1テストの場面でも見ることができるのです。

昔はF1テストは自由だった!?

現在のF1は上記した通りレギュレーションによりテスト回数は制限され、プライベートテストは一切禁止、さらにはシーズン中のマシン開発にも制限がかかっています。既にお話したように開幕前のテストでそのシーズンの勢力図がわかってしまうのは、こうしたことが大きな原因なのです。以前はプライベートテストやシーズン中のテストは自由で、資金のあるチームはシーズン中にも絶え間なくテスト走行を行いレースに向けての試行錯誤を行っていました。そのため、シーズンの最初でつまずいても開発とテストを繰り返し、トップチームに追いつくという展開も見ることができました。F1テストに規制が掛かり始めたのは2000年代後半辺りから。2006年からそれまで自由だったエンジン開発が凍結されたのが事の始まりでした。その後2009年にシーズン中のテストが禁止され、シーズンの初めで出来がよかったチームが逃げ切ることが多くなり、開幕前からその年のチャンピオンチームがわかってくるという事態になっていきました。

まとめ

F1テストの重要性を少しでも理解していただけたでしょうか?
現在のテスト及び開発制限の主な狙いはコスト削減なのですが、本来テストの自由化はF1の各チーム間に激しい開発競争を勃発させチャンピオン争いをさらに白熱化させます。その恩恵で奇跡的とさえいえるドラマや逆転劇を生むこともあるのです。そんなF1を待ち望んでいるファンが少なくないことは想像に固くありません。