【プジョー306】プジョーを日本でメジャーにした立役者

今回はプジョーの中堅を担う3シリーズを日本でメジャーにした車、306をご紹介します。私が現役メカニックだった時代ですからすでに20年経つ車ですが、ピニンファリーナの美しいデザインは小型車をこんなにも美しくできるのかと衝撃をうけました。特にカブリオレは素晴らしいデザインで、自分でも長く所有した1台です。ちょっと古くさいけど、今の308にはない魅力が満載なんです。

プジョー306という車

出典:http://theautoz.com/

プジョー306は1993年にデビューしました。3ドア/5ドアのハッチバックモデルに始まり、4ドアセダンと5ドアのステーションワゴンモデル“ブレーク”、カブリオレが追加されました。端正にまとめられたスタイリングデザインはイタリアデザインカロッツェリアの雄、ピニンファリーナによるものです。

日本への導入

日本への導入は1994年2月に始まりました。当時プジョーの輸入販売権を持っていたのはインチケープ・プジョー・ジャパンです。プジョーの3シリーズは欧州でいうところのCセグメントに属しますから、フォルクスワーゲンゴルフやアウディA3などライバルは多数存在します。日本の目線で見れば、5ナンバーサイズに収まるいわゆるファミリーサイズの車です。当時で言えば日産パルサーやトヨタセリカ(5ドアはありませんでしたが)などに近しい車です。日本市場で売れないはずがありませんでした。
当時の輸入車事情としては、日本ではフル装備車が人気が高かったこともありトップグレードのみが導入されていることが多かったのです。小排気量でマニュアルトランスミッション、オートエアコンなどが完備されていない下位グレードは導入されていないことが常でした。売れ行きを見ながらグレード展開を広げるのが一般的でしたが、この306に関しては日本で売れると確信していたのでしょう。導入当初から3グレード展開で販売されたのです。

トップグレードのXSi

出典:http://www.autoweek.nl/autoreview/22656/peugeot-306-xsi

デビュー当時はシリーズ最強のSOHC2.0L直列4気筒から120psを発揮するエンジンと、185/55R15タイヤをおごられていたスポーツモデルです。3ドアと5ドアで、3ドアには5速M/Tの設定がありました。

3ドア・5速M/T:2,700,000円
3ドア・4速A/T:2,790,000円
5ドア・4速A/T:2,840,000円

中間グレードのXT

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/Main_Page

5ドアで4速A/Tのみの設定のXTです。SOHC1.8L直列4気筒・100ps・15.6kgmを発揮するエンジンを搭載していました。175/65R14サイズながらアロイホイールを標準装備しています。ファミリーカーとしてはベストチョイスな1台です。

5ドア・4速A/T:2,540,000円

ボトムレンジのXR

出典:http://www.autos.com.ar/fotos-de-peugeot-306-xr-18-full-5-puerta-en-adrogue-F93875

一番下位グレードのXRです。こちらも5ドア+4速A/Tのみの設定でした。エンジンはXTと同じです。175/65R14とタイヤサイズも同じですが、こちらはスチールホイールにデザインカバーの設定でした。

5ドア・4速A/T:2,340,000円

ホットハッチのS16

出典:http://www.lakako.com/post/992571704708375914

4ヶ月遅れて6月に追加設定されたスポーツモデルのS16です。外観はXSiと同じで、タイヤサイズが195/55R15になっている事以外、エンブレム以外では見分けがつきません。室内では、本革シートや革巻きステアリングなどの豪華装備がおごられています。オプションでサンルーフが選べました。DOHC2.0L直列4気筒で150ps・19.3kgmを発揮するエンジンガ自慢です。このエンジンは、上位車種の405Mi16に搭載されていたエンジンで、可変吸気システムを採用しています。ラリーマシンである405T16に搭載されたエンジンの技術が市販車に活かされています。

3ドア・5速M/T:3,420,000円

オープンモデルのカブリオレ

出典:http://autos.mitula.com.ar/detalle/189122/6600135440109353315/12/1/peugeot-306-cabriolet

さらに2ヶ月後、8月に導入されたカブリオレです。デザインだけでなくボディ加工もピニンファリーナの工場で行われました。その証として、リアクォーターパネル(ドア後部)にピニンファリーナのエンブレムが輝きます。特筆すべきはそのスタイリングです。ハッチバックを切り落とすカブリオレの場合、折りたたんだルーフが座席後部に乗ったままのデザインが多いのですが、そこは妥協しないピニンファリーナです。しっかりとイタリア式を採用し、ルーフを格納する専用パネルの中に収まるようになっています。おかげでトップを閉じていても開けていても美しいフォルムに仕上がっています。クーペの屋根を切ったコンバーチブルではよく見られる手法ですが、ハッチバックベースではあまり例がありません。

2ドア・4速A/T:3,600,000円

セダンモデルの登場

出典:http://www.todoautos.com.pe/f45/peugeot-306-st-97-full-equipo-trujillo-99135.html

デビューから1年後の1995年2月、セダンモデルが追加されました。スタンダードのSTと、上位モデルのXTの2グレードの設定です。装備については、セダンSRとハッチバックXR、セダンSTとハッチバックXTにそれぞれ準じますが、XT及びSTのエンジンがXsiと同じ120ps仕様の2.0Lにグレードアップされています。

4ドア・4速A/T SR:2,250,000円
4ドア・4速A/T ST:2,620,000円

カジュアルグレードのStyle

出典:http://www.goo-net.com/catalog/PEUGEOT/306/9001652/index.html

1995年11月、廉価版となるStyleを導入しました。XRとほぼ同等の装備ながら、前後バンパーのデザインを簡素化し、サイドスカートを廃止するなどのコストダウンにより200万円を切る価格設定にしました。

3ドア・5速M/T:1,890,000円
3ドア・4速A/T:1,990,000円

マイナーチェンジでフェイスリフト

出典:http://peugeot306s16.blogspot.jp/2010/08/blog-post.html

1997年3月にマイナーチェンジを受けました。基本デザインはそのままにフェイスリフトされて、少し丸みを帯びたスマートなデザインになりました。StyleのA/Tモデルを除いてすべてDOHC化され、S16には6速M/Tが新採用されました。新衝突安全基準に対応するため、ボンネット前のスペースが拡大されて全長が140mm伸びています。助手席エアバッグ、ABS、サイドインパクトバーの採用など、ボディ各部も補強されて強度が上がっています。Styleの登場でほぼ同等ランクのXRがラインナップから消えました。同時に日本では不評だったセダンもラインアップから外れています。中間グレードだったXTも新グレード“カシミール”になりました。Styleには5ドアも追加されています。

充実装備のカシミール

出典:http://www.pifauto.com/voiture-occasion-80057-peugeot-306-cashmere-1-6-l.html

14インチながらアロイホイールを装着し、前後エアロデザインバンパーにサイドスカート、カラードドアミラーの採用など充実装備のカシミールです。

5ドア・4速A/T:2,430,000円

ステーションワゴンのブレーク

出典:http://www.autoevolution.com/cars/peugeot-306-break-1997.html#

1997年11月、セダンの代わりに導入されたブレークです。ホイールベースはハッチバックと同じながら、全長は305mmストレッチされています。ハッチバックの扱いやすさとステーションワゴンの使い勝手をあわせもち、ステーションワゴンが不人気な日本ではよく売れたモデルだと思います。

5ドア・4速A/T:2,630,000円

プジョーにとっての3シリーズ

プジョーにとって3シリーズは、ヨーロッパ流に言うCセグメントにあたりますから、ライバルだらけの激戦区です。やはり力が入りますよね。

3シリーズ最初の304

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%BB304

プジョー304ベルリーナ

プジョーの3シリーズの始まりは304です。なぜ301ではないかと言うと、1965年に発表したプジョー初のFFモデル204の上級版としてデビューしたからです。204のフロントまわりのデザインを上級車の504風に化粧直しし、エンジンを1.3Lに拡大、全長を10cm延長してトランクスペースを拡大させてありました。ホイールベースやトレッドは204と共通のまま。ボディデザインはイタリアのピニンファリーナによります。
1972年にはボディ後半は204のままの5ドアワゴン・ブレークも追加されました。
1973年にはマイナーチェンジを受けリアコンビランプが大型化され、スポーツグレードの“304S”が追加されています。
204が生産中止となった1977年には、204と同じ1,100cc/1,400ccディーゼルエンジン搭載車が追加されました。
304にはセダン(ベルリーヌ)・ワゴン(ブレーク)の他、同じくピニンファーリーナ・デザインの2+2ハッチバッククーペと2人乗りのカブリオレもありました。これも204の流用で、204クーペ・カブリオレのフロントデザインを変更し、エンジンを1,300ccに拡大したものでした。

順当進化の305

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%BB305

プジョー305

305は“5”世代の最初のモデルになりました。デビューは1977年。先代304の後継車として送り出されました。デザインは恒例のイタリアのカロッツェリア・ピニンファリーナが担当しています。スタイリングは従来の404や504のような強烈な個性こそありませんが、特にサイドビューの均整の取れた美しさは“流石ピニンファリーナ”と言うべき仕上がりです。

306になるはずだった? 309

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%BB309

元々309は、傘下タルボのオリゾン(仏)/ホライズン(英)の後継車として“アリゾナ(Arizona)”という車名で発売する目的で開発された車種でした。ところが、1985年にPSA・プジョーシトロエンはタルボブランドの廃止を決め、後継車をプジョーブランドで発売することを決めたのです。
こうした背景から、他のプジョー各車種と異なる生い立ちを理由に305の直接の後継車となる“306”ではなく、“309”が与えられたのでした。スタイリングも当時の順当な流れとなるピニンファリーナの手によるものではなく、PSA社の英国のスタジオでデザインされたものでした。ドアを205と共用したことも手伝って、プジョーとしてはやや不格好なスタイルになっています。

そして次世代3シリーズ 307へ

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%BB307

306の後継としてデビューした307は、衝突安全性の確保などを理由にボディが大型化されたファミリー向けの車種でした。DOHCエンジン+5M/TのXSiもありましたが、ハッチバックのフェリーヌや3列7人乗りミニバンの307SW、クーペカブリオレ(電動格納屋根のオープンカー)の307CCなど、ファミリー向けラグジュアリーという印象が強いモデルです。
エンジンは1.6Lと2.0Lが搭載されましたが、CCは2.0Lのみの設定でした。CC及びフェリーヌにはチューンアップした2.0Lエンジンを搭載したSportというグレードも用意されました。いずれもマニュアル設定のみで、CCはハンドルが左右選べる設定となっていました。
SWには後席まで開口のあるパノラミックガラスルーフを標準装備していて、日産・ラフェスタ、ホンダ・エアウェイブにデザイン上の影響を与えたと言われています。2列目以降のシートは1席単位で取り外すことがが可能で、多彩なシートアレンジができる面白い構造でした。
一時SWと同じボディを流用した307ブレークがラインナップされていましたが、こちらは2列5人乗りのステーションワゴンで、パノラミックガラスルーフの設定はありません。

日本向けにリファインされた308

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%BB308

プジョー初の8世代の登場でした。日本市場への導入は、2008年6月2日からです。2009年6月1日にはクーペカブリオレが追加されました。2010年6月3日に、従来の4段A/Tに代わってアイシン・エィ・ダブリュ製6段A/Tが採用されました。日本の道路事情に合うギヤレシオとシフトタイミングを手に入れ、乗りやすさが格段に向上しました。
2011年5月マイナーチェンジを受けます。508から始まった新世代のデザインに変更されました。この時点までで全世界で90万台以上を販売し、名実ともにプジョーの屋台骨を支える車種となっています。

現行モデル 2代目308

出典:http://www.peugeot.co.jp/showroom/308/5-doors/p=exterior/

見た目は、先代の308に比べてどことなくスッとした印象の現行308。実際、長さで30mm・幅で15mm・重さで90kgものダイエットに成功しました。
さらには、エンジンも大幅にダイエットしています。先代は1.6L4気筒エンジンだったのに対し、現行モデルは1.2L3気筒+ダウンサイジングターボに変更されました。でも、走りまでダイエットしたわけではありません。爽快なエンジンフィーリングは、さすがです。
フィーリングの良さはエンジンのみならず、ハンドルやスイッチ類の操作感に至るまでしっかりと詰めてあります。
このあたりは一昔前のプジョー、いやフランス車全般に言えたチープ感は一切ありません。むしろドイツ車と張り合えるレベルに達しています。

ラリーシーンで大暴れ

出典:http://www.favcars.com/peugeot-306-maxi-kit-car-1996-98-photos-126398.htm

WRC(世界ラリー選手権)のキットカー全盛期、プジョーは306MAXIを投入して参戦してました。シトロエンのクサラMAXI、ルノーのメガーヌMAXIとの三つ巴が見物でした。FFベースの2.0Lノンターボエンジンで、グループA(2.0Lターボ付きフルタイム4WD)の主力たちと張り合っていたのですから凄いことです。
メカニック時代に、ボディーキットを仕入れて何台か製作した事があります。今でも日本のどこかを元気に走っているのでしょうか。

最後にまとめ

photo by hertylion

いかがでしたか。日本にプジョーの名前を知らしめたのは205に間違いないでしょう。そしてこの306と後に続いた206がメジャーネームにしたことは紛れもない事実です。“すぐに壊れる”の代名詞だったフランス車のイメージを塗り替えたモデルといっても過言ではないでしょう。