【テスラ ロードスター】新たな自動車界の扉を開いた世界初の本格スポーツEV

高級電気自動車マニュファクチャーの代名詞とも言える存在になったテスラ。時代の最先端を常に走り続ける彼らの第1号車がこのテスラ ロードスターでした。ロータスとのコラボレーションによって生まれたこのクルマはそれ以前の電気自動車の概念を見事に覆しました。

テスラ ロードスター

アメリカ発の電気自動車メーカーのデビュー作!

テスラ ロードスターはテスラモーターズから発表されたEV(電気モーター自動車)です。
テスラモーターズはアメリカのカリフォルニア州を拠点とする自動車会社でバッテリーを搭載した電気自動車を製造しています。今ではそのブランド名も一躍有名になり、モダンエレクトリックカーの先駆者となっているテスラですが、全てはこの1台から始まりました。2008年よりテスラ初の自動車として製造が開始されたテスラ ロードスター。プロトタイプの発表は2006年に行われました。ロードスターには、それまで懐疑的に思われていた電気自動車の走行性能を払拭するコンセプトがたくさん詰まっていて、発表当初から世間からの注目度と期待値は非常に高まっていました。そして世に出てからロードスターは現在に至るEVの基礎を築き、EVには無限の可能性が秘めていることを我々に感じさせてくれました。EVの新たな道を切り開いたロードスターは2008年~2012年の間に2,450台が販売され、その後生産が終了しました。

駆動方式はMR!新たなエレクトリック・カー・ビジョンへの挑戦

テスラ ロードスターは直線速度が電気自動車としては当時最高の200km/h超えを記録するようなそれまでの電気自動車とは一線を画した2シーターの後輪駆動EV、つまりスポーツカーとして誕生しました。テスラはイギリスのスポーツカー製造を得意とするロータス社と協力しロードスターの開発に取り組みました。2006年のテスラ ロードスター コンセプトカー発表後、市販化を実現させるため開発はロードスターのベースにもなったロータス エリーゼを用いて進められていました。しかし一方で苦労もあり、エリーゼにEVモーターを搭載し行ったテストや研究では、EVモーター特有のエラーが多発し開発には多くの時間と費用が費やされました。

発売前から予約殺到 その販売価格は?

多額の開発費と時間をかけてようやく2008年に正式に市販車として販売されたロードスター。その価格はベースとなったエリーゼの倍以上する1,000万円! しかし、高額な販売価格にも関わらず、その話題性や斬新性から予約は殺到しました。当初の予定では650台の限定生産となっていたロードスターですが、予約開始わずか1週間足らずで100台のロードスターが完売、正式に製造が開始された2008年5月から、2ヵ月後には生産台数が完売するという異例の売り上げを見せました。著名人もたくさん購入し、テスラがカリフォルニア発ということもあり、特にハリウッド俳優の中でロードスターは高い人気を誇りました。

実用性

ガソリン代の出費もCO2の排出も無し!

近年、自動車業界で規制が厳しくなったテーマがCO2削減です。そのため今日ではたくさんの自動車メーカーが電気モーターを使った走行が可能な自動車の販売を拡大しています。例えば日本のみならず世界中でエコカーとして実力が認められているトヨタ プリウス。電気モーターでの走行が可能なトヨタ プリウスは大きくCO2の削減に成功しているわけですが、電気モーターでの走行モードは限られておりガソリンを使ってエンジンを回す場合もあるわけです。一方で、このロードスターの心臓であるモーターを動かすために一切ガソリンは必要ありません。100%電気で走ることが可能であるため、CO2排出もゼロです。給油の必要もありませんので維持にかかるガソリン代ももちろんゼロ!

1回の充電で可能な驚異的な走行距離!

電気自動車と聞いて気になるのがその走行距離です。いくらガソリン代がかからない、環境に優しいとはいえ少し走ってバッテリー切れを起こされてはどこにも出かけられません。1回の充電で可能な走行距離は電気自動車を購入する上でとても重要な項目です。しかしロードスターはこの問題も見事に解決しています。ロードスターは1回のフル充電でなんと最大393kmもの距離を走行することができるのです。これだけ走ることができれば普段使いには全く問題ないでしょう。

リチウムバッテリー搭載 フル充電までに最短たったの3時間!

純EVに仕上がり、その1回の充電での走行もかなりの長距離が可能、そうなると次に気になるのが充電時間です。ロードスターが登場した2008年頃は、電気自動車の充電にはかなりの時間を有するという認識が一般的であったため、最短でわずか3時間でフル充電が可能なロードスターのバッテリーに誰もが驚きました。これを可能にしたのはテスラが独自に開発したロードスター専用の充電システムと、市販車として初めて搭載したリチウムバッテリーです。テスラのコクピット後部には実に6,831個ものリチウムバッテリーが載せられており、そのバッテリーの重さだけで450kgもの重量があるのです。

電気自動車としてのロードスター

EV時代の創世記である2000年後半にこれほどまで排他的な電気自動車となれば、もはやロードスターが電気自動車として成功したかなど議論の余地もありません。事実、上記のロードスターのデータは今現在の電気モーターを搭載する自動車の基礎となったと言っても過言ではないのです。

パフォーマンス

これまでにないパワーを生んだ電気モーター

電気自動車として初の本格スポーツカーであるロードスターだけにパワーの確保はロードスター開発の上で最重要課題でもありました。そして採用されたのはインダクションモーターと呼ばれるタイプのモーターで最高で248馬力の出力を発生させることに成功しました。さらに2010年に発表されたアップデートモデルのロードスター2.5では288馬力にまでパワーアップしました。
従来のガソリンを使用したエンジンと比較すると決してハイパワーとは言い難い数字ですが、それでもEV用モーターとしては過去最大でした。さらに電気モーターの特徴として0rpmから6,000rpmまでの到達がエンジンと比較して非常に早いため、最高出力こそ300馬力以下ですが大きなトルクがあり、蹴り出しも非常にいい出来に仕上がりました。その実力は、0‐100km/hがわずか3.7秒というスーパーカーにも匹敵するほどの加速力で、決してパワー不足を感じさせません。
さらにロードスターはモーターからタイヤにパワーを伝えるエネルギー変換率が実に90%という驚異的な記録を叩き出しています。従来のガソリンエンジン車の数字が15%ということを考えるとロードスターの持つEVモーターのエネルギー伝達がいかに効率的か一目瞭然です。

名門ロータスが手がけたシャシー

テスラ初の市販車となったロードスターですが、そのシャシーやボディはロータス エリーゼがベースになっているため互換性のあるパーツも多いです。素材にはCFRPと呼ばれるレーシングカーにも使用されていたことがある軽量で頑丈なプラスチックに加え、現在のスーパーカーの主流であるカーボンも多く使用されています。

そのシャシーの出来映えは、スポーツカー製造を専門とするロータスの開発ということもあり、さすがの一言です。ベースとなったエリーゼは車重が1,000kgにも満たない非常に軽量なスポーツカー。ロードスターのモーター、バッテリー、トランスミッションはエリーゼのエンジン、トランスミッションよりも遥かに重くエリーゼ基調のシャシーやボディのままでは明らかに車重は重くなり剛性は失われてしまします。しかしロータスはロードスターのためにシャシー開発を独自に行い、その結果ロードスターの車重を1,305kgに抑えることに成功しました。ロードスターのバッテリーだけで450kgもの重さがあると考えると、いかにロータスの施した軽量化が素晴らしいものだったかわかります。

さらにロータスはこの重いバッテリーやモーターを搭載する位置を巧みに配置することでロードスターをMR車として最高のバランスに仕上げました。

従来のスポーツカーをも凌駕する走り

このハイパワーとまではいかないものの性能には申し分ないEVモーターとロータス開発のシャシーが合わさり、その走りも期待を裏切りません。

超重量級の電気モーターやバッテリーをリアの荷重やトラクション確保に利用したロータスのエンジニアリングがトルクフルな加速を、グリップを逃すことなくに路面にまで伝えていき、その瞬間からドライバーの後ろからは今まで聞いたことのないような迫力があり厚みのあるモーター音が響き渡ります。初速から最大トルクが発生するためドライバーはどこまでも加速していくような感覚にスポーツEVのドラインビングの喜びを感じるでしょう。

EVはエンジンを持っていないため、スロットルを抜くとエンジンブレーキの代わりに回生ブレーキが発生します。ロードスターのこの回生ブレーキの制動力はかなり強力で一般のクルマの軽くブレーキを踏んだ時と同等かそれ以上の制動力を発揮します。これにフットブレーキも加わり、ロードスターは制動力にもかなりのアドバンテージを持ちます。

その速さは本物で、イギリスでテストトラックを用いてその走行性能を確かめるためサーキット走行をさせたところそのラップタイムは日産 フェアレディZ Z34よりも速いタイムを記録しました。

生粋のEVでもクルマとしての楽しさは健在!

こんな速さがテスラの一番最初のEVに備わるなど誰が想像できたでしょうか?
実際のところ、ロードスターが発表されるまで多くの自動車愛好家たちは電気自動車に対して好意的とは言い難い印象を抱いていました。その理由は、エンジンから伝わる鼓動のような振動を全身に受け風を切って走り抜くような”生きたドライビング”を電気モーターを搭載した自動車に期待することができなかったからです。それまで発表や開発がなされていた電気自動車は全てエコをモットーにした実用性のことを考えて作られた移動手段のための乗り物。そのようなイメージが強かったのです。クルマの役目の1つは移動手段ですが、ドライビングの楽しさを乗り手に与えることもまたクルマの1つの役目なのです。

その点、ロードスターはEVでありながらもクルマを操ることの楽しさを乗り手に与えることができる初めてのEVとなり、この先のスポーツカーの未来を照らす道標にもなりました。

外観・内装

スマートな容貌

ロードスターのスポーティな外観は一見するとあまりにもスポーツカーとして自然すぎて、このクルマが電気で動くなど到底思えないようなフォルムをしています。よくよく見るとマフラーがないというEVにしか有り得ない特徴がありますが、ほとんどの人は言われるまで気づかないでしょう。
ルーフ部分は幌かもしくはハードトップを装着することが可能なオープンスタイルになっています。
全く新しいスマートな見た目でありながら、ベースであるエリーゼの面影も僅かに残るスポーティ・テイストも持ち合わせるそのシェイプはモダン・スポーツEVという新ジャンルのカーカテゴリーを担っていくかのようです。

落ち着いた印象のある大人な内装

1,000万円もする高級車でありながらも、その内装は派手に着飾ることはなく、一切のムダを省いたかのような印象を受けるインテリアをしています。シートは高速走行しても身体がGに振り回されることのないようにホールド性のあるバケット型のシートが用いられています。単速であるためギアチェンジを行うためのパドル式シフトはなく、シフトレバーはあるもののセレクトはリバース、ニュートラル、ドライブのたった3つしかありません。それに伴いペダルも2ペダルです。スピードメーターとタコメーターの隣には電気モーター用のモニターがあり、モーターの駆動時、回生時を表示し、そこで現在のモーターの状態を確認することができます。

スペック

全長:3,946mm
全幅:1,873mm
全高:1,127mm
ホイールベース:2,352mm
車重:1,305kg

電気モーター

モータータイプ:3相交流インダクションモーター
最大出力:248馬力(1.5、2.0モデル)、288馬力(2.5モデル)
最大トルク:270N/m(1.5、2.0モデル)、370N/m(2.5モデル)
トランスミッション:無段変速
最高時速:201km/h(リミッター制御)

まとめ

この先の自動車界がEVに方向を変えていくことは明らかです。テスラはこのロードスターによって新時代の幕を開けました。テスラが電気自動車メーカーとして初めて製造したEVにも関わらず、その完成度の高さやドライビングの質の高さにクルマ好きのみならず誰もが感嘆しました。2012年をもって生産が中止されたロードスターですが、未来のスポーツカーのあるべき姿を見せてくれたこのクルマは後世でも語り継がれることでしょう。