【ジャガーXE試乗】俊敏な動力性能としなやかな足を持つスポーティサルーン!

イギリスのスポーツカーメーカーとして存在感を示してきたジャガー。その動きがここにきて活発になっています。今回紹介する「XE」シリーズは、現在のジャガーの普及モデルと言えるでしょう。ラインナップは直列4気筒ターボ、V型6気筒スーパーチャージャー、クリーンディーゼルとありますが、ここでは直列4気筒モデルを中心に紹介していきたいと思います。(飯嶋洋治/RJC会員)

ジャガーXEとは?

欧州Dセグメントに属するスポーツサルーンカー

photo by jaguar land rober japan

ジャガーXEはスポーツ・サルーン・モデルという位置づけになります。ジャガーは2014年10月に先行発売限定モデルの「XE FIRST EDITION」、2015年1月に「XE ADVANTAGE EDITION」」を発売しており、同年6月より日本市場向けラインナップ全7モデルを導入しています。グレードは「XE Pure」「XE Prestige」「XE Portfolio」「XE S」のガソリンエンジン搭載モデルから順次導入され、ディーゼルもラインナップされます。今回試乗できたのは4気筒ターボモデルですので、それを中心に解説していきます。

エクステリアとサイズ感は?

流麗なデザインとドライバーズカーとして適したサイズ

photo by jaguar land rober japan

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エクステリアは、見た瞬間に「かっこいい」と思えるようなスタイリッシュなスポーツサルーンとなっています。お世辞抜きに低く流麗なこのスタイルの良さは、最近のクルマでは出色と言っていいと思います。ジャガーとしては「エキサイティングなデザイン」としていますが、どちらかというとスマートさを強く感じました。

フロントのオーバーハングは短く、リアのオーバーハングはやや長めとして、キャビンを後方寄りにしたことが影響しているのでしょうが、全体的に綺麗にまとまっています。リアに向かって上昇するウェストラインもジャガーに共通して躍動感のあるもの。ヘッドランプには“J”の字を表す独自の「Jブレード」パターンのランニングライトを組み込んでいるのも、ジャガーのこだわりが見えます。テールランプは、地面と水平なラインが円と交わるカタチ。これはジャガーの象徴ともいえる「Eタイプ」から引き継がれたものです。空力特性にも優れCd値が0.26というのも特筆されるところでしょう。

多くのカラーバリエーション。ホイールもバラエティに富む!

エクステリアカラーは全18色とバラエティ豊かになっています。オプションでソリッド、メタリック、メタリックスペシャルペイントの選択が可能となっており、ちょっと迷ってしまうほどかもしれません。アロイホイールもオプションとして14種類からチョイスできるなど、組合せからいうと、ほぼオリジナルという選択ができるのではないかと思います。

サイズ感としてはけっしてコンパクトとは言えませんが、ドライバーズカーとして普段乗りはもちろん、休日に山道などを楽しめるサイズには収まっていると思います。最小回転半径は5.5メートルとなっていますから、路地や車庫入れで持て余すということもないと思います。いきなり初心者で運転するのは抵抗があるサイズかもしれませんが、大型のSUVなどにくらべれば取り回しは楽といえるでしょう。

インテリアは?

スポーティ感溢れるコクピットと上質なインテリア!

室内というよりも、「コクピット」という雰囲気があり、シートに座って感じるのは着座位置の低さです。個人的に「ジャガーははこうでなければ」と感じさせる部分でした。センターコンソールの高さもそれを演出しているのだと思います。フロントシート、リアシートともに低めのボディの割にはヘッドクリアランスがあり、レッグルームも余裕があるものとなっていました。

インテリアは、シート、フィニッシャー、ヘッドライニング、カーペットとも各グレードにより多くの組合せが選べますが、ファブリック、レザー、ツインニードル・スティッチなどディテールにこだわり、上質感を醸し出すものとなっています。この組合せがキャビンにオーダーメイドのような質感をもたらすものとなっています。アンビエント・ライティングも最大10種類から選択できるなど凝ったものです。

パワートレインは?

直列4気筒2リッターエンジンは2種類の設定

XEでは、4気筒または6気筒のガソリンまたはディーゼルのオール・アルミニウム製エンジンを搭載しますが、試乗できたのは4気筒ガソリンエンジンのみなので、そちらを中心に紹介します。「XE PURE」、「XE PRESTAGE」、「XE PORTFOLIO」には直列4気筒DOHCターボエンジンが搭載されます。型式は204PTとなり双方とも2Lターボなのですが、過給圧の違いで「XE PURE」、「XE PRESTAGE」が200PS、「XE PORTFOLIO」が240PSとなります。

これらはオールアルミエンジンブロックで圧縮比は、ターボエンジンとしては高い10±0.5という高い圧縮比が与えられています。「素のエンジン」の性能を活かしながらターボチャージャーで補うということで、やはりイマドキのダウンサイジングターボの流れを行っているエンジンとなっています。

XE SはV6スーパーチャージドエンジンで340PSを発揮!

もうひとつ「XE S」には3LV6のスーパーチャージドエンジンが搭載され、340PSを発揮します。これはスポーツモデルである「Fタイプ」のものと同じユニットになります。また、インジニウムエンジンと名付けられたディーゼルエンジンを搭載したモデルも追加されています。

トランスミッションはZF製の電子制御の8速AT。D(ドライブ)とS(スポーツ)のモードが選べるようになっており、マニュアルで使用したいときはパドルを操作するだけで切り替わります。「XE S」はファイナルギヤレシオが4気筒モデルよりもハイギヤードとなっています。

ボディ、サスペンションは?

75%をアルミニウムとして軽量化。効率的使用で剛性も確保!

photo by jaguar land rober japan

モジュラー車体構造を基本に設計、アルミニウム製モノコック構造を持ちます。ジャガー史上では最も燃料効率のよいモデルで、構造体の75%がアルミニウムとし燃費で75mpg以上、CO2排出量で100g/km以下(ともにEU複合サイクル)となっています。もちろん走りには強度と剛性が欠かせません。アルミニウムを集約的に利用し高いレベルのねじり剛性の確保が図られています。

サスペンションはダブルウイッシュボーンとインテグラルリンクの組合せ

フロントサスペンションはダブルウィッシュボーン式です。鋳造アルミニウム製サスペンション・タワーでサブフレームに取り付けられるカタチです。ベースはジャガーのフラッグシップ・モデルであるスポーツカー「Fタイプ」です。多くのコンポーネントは鋳造アルミニウムや鍛造アルミニウムとなっています。

リヤはインテグラルリンク式サスペンションとなっています。上下左右の剛性を確保することにより、ラグジュアリー感のある乗り心地を保ちつつ、シャープなレスポンスとハンドリングの実現が図られています。こちらの素材もアルミニウムを鍛造もしくは中空鋳造しており、強靭かつ軽量となっています。

乗り心地は?

しなやかな乗り心地という意味では秀逸なサスペンション!

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試乗して最初に感じたのは「しなやかな足回りだな」ということでした。恥ずかしながら詳しいスペックを知らずに乗ったこともあり、何らかのアクティブサスのような電制をしているのか? と思ったくらいです。軽量にこだわったとは言え車重は1.6トンに及びます。この乗り心地のしなやかさが純粋に前後サスペンションとボディ剛性の高さくるものと知ったときはちょっと驚きました。もちろんスポーツサルーンですから、スポーツカーのそれとは違うものですが、よくしつけられたサスペンションで「上質な乗り心地」という言葉が当てはまるように思いました。

スポーツモードでは強力な加速感を得られる!

ステアリングはバリアブルレシオを使用していますが、直進からちょっと切り込んだ時の感覚がやや敏感かなと思いました。個人的には少し神経質な感じを持ちました。エンジンは2モードの切り替えが行なうことができます。スポーツモードにすると、3,000rpmほどから、「ドンッ」と蹴飛ばされたような加速を見せます。街中しか走らなかったので、ATのモードはDだけで十分だったのですが、マニュアルモードも試してみました。

パドルシフトを触ればそのままマニュアルモードになります。山道などを走るときには重宝すると思ったのですが、レクチャー不足で乗ったこともあり、マニュアルモードから解除する方法が結局わからずじまいで終わってしまいました。走行中はSモードでマニュアルにしていたらDモードにすればオートマチックに戻ることはわかったのですが、正式な解除の方法があるはずなので、なんらかの機会に改めて紹介したいと思います。

主要諸元と実際の燃費は?

「EX Pure」「EX Prestige」「XE Portfolio」の主要諸元

※かっこ内はXE Portfolio
型式 CBA-JA20GA
ステアリングホイール位置 右
【サイズ/定員/重量】
全長 4,680mm
全幅 1,850mm
全高 1,415mm
ホイールベース 2,835mm
トレッド 前/後 1,595mm/1,600mm(1,600mm/1,605mm)
最低地上高110mm
乗車定員 5名
トランク容量 VDA方式 415L
車両重量 1,600kg(1,640kg)
最小回転半径 5.5m
【エンジン主要諸元】
型式 204PT
種類 水冷直列4気筒DOHCターボチャージャー
総排気量 1,998cc
ボア/ストローク 87.5mm/83.1mm
圧縮比 10±0.5
最高出力 147kW・200PS/5,500rpm(177kW・240PS/5,500rpm)
最大トルク 320Nm/1,750-4,000rpm(340Nm/1,750rpm)
燃料供給装置 電子燃料噴射装置
燃料タンク容量 63L(無鉛プレミアム)
燃料消費率・JC08モード 11.8km/L(12.5km/L)
【変速比・減速比】
トランスミッション 電子制御8速AT
変速比 1速:4,714/2速:3,143/3速:2,106/4速:1,667/5速:1,285/6速:1,000/7速:0,839/8速:0,667/後退:3,294
最終減速比 3,420
【走行伝達装置】
ステアリング形式 車速感応・電動パワーアシスト付バリアブルレシオ・ラック&ピニオン
主ブレーキ ベンチレーテッドディスク
サスペンション ダブルウイッシュボーン/インテグラルリンク
タイヤサイズ フロント205/55ZR17(225/45ZR18) リア205/55ZR17(225/45ZR18)
ホイールサイズ フロント7.0J☓17J(7.5J☓18) リア7.0J☓17(7.5J☓18)

実際の燃費は?

JC08モードでは「EX Pure」「EX Prestige」が11.8km/L「XE Portfolio」が12.5km/Lとなっています。欧州車ですから無鉛プレミアム仕様ですし、なかなか国産車に比べると厳しいものがあります。実燃費は想像の域でしかありませんが、10.0km/L前後になるのではないかと思います。もちろんトルクフルなエンジンとCd値の低いボディ形状ですから、高速巡航ではかなり伸びることも期待できます。

XEとXFの違いは?

XEはDセグメント、XFはEセグメントになる

photo by iijima

ジャガーにはXFというグレードがあり、これも2015年に新型が発表されました。こちらもパワフルなエンジンとアルミニウム合金のボディで、大柄ながらスポーティな走りを見せるクルマとして高い評価を得ています。欧州車で使われる「セグメント」で言うと、ジャガーXEはDセグメントに属しますがXFはEセグメントというひとつ上のクラスとなります。ドライバーズカーとしては最上級に位置するという感じでしょうか。ちなみにXFが属するEセグメントの競合車種としてはLEXUS ES、BMW7シリーズ、メルセデス・ベンツEクラスということになります。XEが属するDセグメントは、レクサスIS、BMW3シリーズ、メルセデス・ベンツCクラスになります。

中古車情報は?

発売間もないために新車同等

まだ発売されてまもなくということもあり、中古車試乗には出回っていません。あったとしても400万円台後半から500万円代中盤までと高値が付いています。グレードは「XE Prestige」が中心となっているようです。

まとめ

ジャガーといえば、英国の高級車、スポーツカーの代名詞です。その存在感が薄い時期が長く続きましたが、ここに来て復活してきた感があります。特に4気筒ターボというダウンサイジングコンセプトなど、新しい時代のジャガーには大いに期待が持てると思います。ルマン24時間レースで優勝した「シルクカットジャガー(ジャガー・XJR-9LM)」などモータースポーツのイメージも強いですが、先般にはフォーミュラEに参加を表明するなど、モータースポーツにも復活する兆しがあるのは嬉しい限りです。

photo by jaguar land rober japan