【パガーニ ウアイラ】究極を追求して生み出された”極上”スーパーカー

スーパーカー製造において他の追随を許さないパガーニがゾンダの後継車として世に繰り出したウアイラ。その価格は見る者のド胆を抜くほど高価ですが、一体ウアイラとはどんなクルマなのでしょうか。今回はそんなウアイラの魅力に迫ってみました。

パガーニ ウアイラ

パガーニとは?

まずウアイラの魅力についてお話する前に、簡単にウアイラの製造会社であるパガーニの説明をする必要があります。パガーニはイタリアのモデナを拠点とするスーパーカーの製造を専門とするマニュファクチャーで、1992年にホラチオ・パガーニによって創立されました。ホラチオは以前はランボルギーニで働いていた経歴があります。マニュファクチャーとしては同じスーパーカーを製造しイタリアを拠点とするフェラーリやランボルギーニと比べると非常に若く、歴史も浅いメーカーです。そのため、それら2つのスーパーカーメーカーよりも知名度は低いのが事実です。しかし、そのスーパーカーに対する情熱やその作りの精巧さ、フェラーリやランボルギーニにはない独特の”究極の美”とも言えるルックスが評価され、今では業界では有名なスーパーカーを作るメーカーとして認知されています。

ウアイラ

スーパーカーを製造する上で一切の妥協をしないパガーニが2012年から製造を開始したのがこのウアイラです。2011年まで製造されていたゾンダに変わる後継車としてウアイラは登場しました。ウアイラという名は、創始者ホラチオの出身地であるアルゼンチンのインガス民族に伝わる風の神の名から取られました。販売価格はベーシックモデルでも1億2,000万円もする超高級スーパーカーですが、その人気は凄まじく納車までに3年以上待たなくてはいけない購入者も出るほどでした。なお、パガーニはクルマを1パーツ1パーツ丁寧にハンドメイドで製造しているため、1台のクルマを作るのに時間がかかります。その上、こだわり抜いたパーツ選びや技術費、開発費のせいで1台を制作するためのコストはほとんどそのクルマの販売価格と同じとも言われています。

歴史

ホラチオによると、ウアイラのコンセプトはウアイラの発表から8年も遡った2003年に生まれたと言います。パガーニは実に8年間もその新車開発に時間と労力を費やしていたのです。2003年と言えば、新世代スーパーカー時代の真っ只中です。その時期はエンツォフェラーリやポルシェ カレラGT、そしてブガッティ ヴェイロンなど2000年代を代表するレーシングテクノロジーを満載したスーパーカーの登場期でした。その時にパガーニが発表していた最新機種はゾンダのS ロードスターモデルでしたが、ホラチオは新たなスーパーカー時代の訪れをパガーニの全く新しいスーパーカーをもって迎え入れようと考えたのです。というのも、当時パガーニが製造していたゾンダのデザインなどは90年代前半、パガーニ社の初期からあるデザインや風貌であったため、新時代の幕開けとしてそれを一新させる思いがあったのです。外観だけではなく、シャシー、サスペンション、ドライブトレインなど中身もこれまでとは全く違ったスーパーカーに仕上げると同時に、パガーニの風潮は残すという概念のもと、ウアイラの制作は企画されました。そしてウアイラの名の通り、”風”が1つの大きなコンセプトであり、デザインはそれを彷彿させるものに仕上げられていきました。そして時は流れ2011年、パガーニはついにウアイラの発表を行いました。初めのコンセプトが生まれてから開発に開発を重ね、満を持しての登場でした。結局パガーニは2000年代に新たなスーパーカーを発表することはできず、2010年代に入ってウアイラを繰り出すことになりましたが、そのパガーニの新車はまさに2010年代のスーパーカーに相応しい仕上がりになりました。2012年から製造が開始され、2015年に売り切れとなりましたが、新たにパガーニより2016年にウライア ロードスターモデルを発表するとアナウンスがありました。

エクステリアデザイン

パガーニがこだわる芸術的な風貌

パガーニのスーパーカーはどのスーパーカーにも似つかないすごく個性的な見た目をしています。その外観はまるで、中世の時代からやってきた建造物のような美しさを持っていながら、同時に近未来を行くスタイリッシュな華麗さも持つような言葉には表しきれないパガーニならではのデザインなのです。このウアイラのデザインはまさしく”風”をパガーニ風にうまく再現した形になっています。外観の決定には5年もの歳月がかけられ、その間に何百ものスケッチが描かれその中から選別された8個のアイデアだけが、スケールモデルに適用されました。そして、その8つのスケールモデルからさらに選ばれた2つが実寸モデル化され、そこからウアイラのこの外観が採用されたのです。走りの性能ももちろんのことながら、ルックスにもこだわり抜くいかにもパガーニらしい決定の仕方です。

AMGが提供する超高性能エンジン

ウアイラのエンジンはメルセデスのチューニング分野のAMGが手がけています。ウアイラはこのAMGがハンドメイドで制作する排気量6LのV型12気筒 ツインターボエンジンを搭載しその最高出力は700馬力を優に超えます。パガーニはゾンダの後継車であるウライアを見た目も中身も一新し、エンジンもゾンダとは別物にするという方向性を掲げていました。そのためゾンダでも同じAMG制作のV12エンジンが使用されていましたがパガーニはウライアの基本コンセプトをAMGとも共有しゾンダ用のエンジンの改善を果たしました。その結果、ターボラグはより少なく、エンジンレスポンスも向上することに成功しました。また、インタークーラーやECUも再設計し直されウアイラ専用のV12エンジンが完成しました。

スーパーカーの代名詞 ガルウィング

ウアイラのドアはゾンダには用いられなかったガルウィングが採用され、開いた際の美しさが際立つようにその角度まで念入りに計算して制作されました。

魅惑のボディとエアロダイナミクス

多くの場合、現在のスーパーカーのボディの素材には安全性や空力面で圧倒的なアドバンテージを持つカーボンが使用されています。しかしパガーニのただならぬクルマ作りの探究心は、このカーボンにチタンを合わせて新たなマテリアルを作りだします。この新開発結果誕生し、ウアイラのモノコック部分の素材として採用されたのがカーボンチタンです。
パガーニの飽くなき追求心はエアロダイナミクスにも現れています。ゾンダで用いたエアロダイナミックスシステムは1つの結合されたエアロパーツが可変しダウンフォースを生むというものが使われていましたが、ウアイラではそれも一新されました。ウアイラのフロント部分とリア部分には2つずつ可変フラップが取り付けられていて、それぞれが独立して働き、その時の車体の姿勢に合ったダウンフォースを生むことが可能となりました。さらに、速度によってフロントの車高が変化するシステムが導入され、より多くのダウンフォースを確保することにも成功しました。

2ペダルMT トランスミッション

トランスミッションは長年レース業界で活躍しているXtracがウアイラのトランスミッションを手がけています。現在スーパースポーツの主流として用いられるスタイルはデュアルクラッチ式のパドルシフトです。このシステムのメリットはシフトチェンジがより速くスムースに行われ、その際のシフトショックも従来よりも少ないです。しかし、ウアイラのトランスミッションにはデュアルクラッチは用いられず、代わりにシングルプレートのクラッチが使用されています。その結果として、デュアルクラッチ式を使用した場合よりも100kgもの軽量化を施すことができたのです。

内装・インテリア

まるで王室のようなコクピット

ウアイラはその外観もさることながら内装もこだわり抜かれた作りになっており、そのゴージャスな内装はもはや運転席というよりはどこかの王室のように見えます。上質なレザーがシートやコクピット全体を優しく覆います。室内のビスやボタンにはチタンが使われており一つ一つにパガーニのロゴが入っています。これらを見るだけでもいかにパガーニがその内面に力を注いだことが一目でもわかります。
そんなパガーニの遊び心を見ることができるのがウアイラのキー。ウアイラのキーはウアイラのミニカーのようになっていて、これが半分に分離します。半分がエンジンスターターキーでもう半分はウアイラに差し込むことができる音楽用のUSBになっているのです。
さらに、ウアイラはパドルシフトの2ペダルMTなので、ステアリング裏の右パドルを引けばシフトアップ、左を引けばシフトダウンします。にも関わらず、運転席と助手席の間には律儀にシフトレバーが存在するのです。パガーニがシフトレバーを設けた理由は単に美しいから。この機能はするものの飾りでもあるようなシフトレバーのためだけに実に64個ものハンドメイドパーツが使用されているというのですから、ウアイラの価格が1億を超えるのも容易に頷けてしまいます。

走行性能

もはや戦闘機のような速さと力強さ

パガーニ創始者ホラチオはウアイラのコンセプトのヒントの1つになったのは戦闘機だと語っています。その言葉の通り、ウアイラの走りはクルマの次元とは一線を画するものです。レース用に作られたXtracのトランスミッションに700馬力を超えるAMGのV12エンジン ツインターボが合わさり、静止状態から100km/hに達するまでわずか3秒というその加速力が一気に未知の世界へと誘います。パガーニの生み出したカーボンチタンを使用した車体は他のどのクルマとも似つかないほどの剛性を生み、強烈なコーナリングを可能にします。さらに高速走行では上記したエアロダイナミックスシステムが作動しシャシーの剛性と相互作用し合って、250km/hオーバーでも何の不安も感じないほどのスムースで安定した走りを実現させることに成功しました。その最高時速は370km/hにもなりますが、さらに驚くのはそのブレーキ性能で200km/hからわずか5秒以内で静止することが可能です。スピード、コーナリング、ブレーキングのどれをとっても超一級品なのです。

徹底された機能美があっても街乗りに最適とは言い難い?

サーキット走行であればウアイラはその真の力を存分に発揮してくれます。ウアイラは公道を走行するための配慮がしっかりなされたクルマでもあります。乗る人に完全にフィットし長時間の運転をしても疲れを感じさせないシート作りや、街乗りのために走行モードをオートマティックにスイッチすれば、サーキットで見せる姿からは想像もできないような、大人しいクルマに変貌を遂げます。そのどこまでも乗り手のことを考え作り上げられた1つ1つの工夫はもはや機能美と呼ぶほかありません。
しかし、ここまでやり抜いたウアイラでもオーナーからの苦情は避けられなかったようです。まず、シフトショックに関する不満の声があり、街乗りでは些細なシフトショックが気になってしまうもの。レース用にはもってこいのトランスミッションも街乗りではより快適なデュアルクラッチのほうが人気は高いようです。内装に関しても苦情が出ています。豪華で煌びやかなウアイラの内装ですが、太陽の反射で眩しく目障りになることがあるのです。さらに、1番乗り手をガッカリさせているのはエンジン音。官能的なエキゾーストノートが雄叫びのように唸るフェラーリやランボルギーニと比べ、ウアイラのV12 ツインターボからは官能的とは言い難いノイズのような音が終始、乗り手の後ろから聞こえてきます。パフォーマンスは申し分ないウアイラですが、街乗りとの両立は少し難しいものがあるようです。

スペック

全長:4,605mm
全幅:2,036mm
全高:1,169mm
ホイールベース:2,795mm
車重:1,350kg

エンジン

エンジンタイプ:メルセデスAMG製 M158 V型12気筒 ツインターボ
排気量:5,980cc
最高出力:730馬力@5,000rpm
最大トルク:1,100N/m@3,500rpm
トランスミッション:7速 シーケンシャル

まとめ

パガーニが長い年月をかけて熟成させ作り上げた究極の美しさを持つスーパーカー。1億2,000万円を越す価格ですが、細部にまで一切の妥協はなく、1つ1つ職人によって制作されるパーツにはパガーニの精神が惜しみなく注がれています。ウアイラとはまさにスーパーカーに全てを捧げるパガーニの真髄なのです。