【プリムス バラクーダ】3億円のプライス!? 天井知らずのアメリカンマッスルカー

3億円以上のプライスで取引されるモデルもある「プリムス バラクーダ」は、映画「ワイルスピード」でも活躍する人気のアメリカンマッスルカーです。高額で取引されるほどの魅力に迫ってみたいと思います。

「プリムス バラクーダ (Plymouth Brracuda)」

1964年に1thモデルが登場した「プリムス バラクーダ (Plymouth Brracuda)」は、アメリカのクライスラー社のプリムス部門が担当し製造した乗用車モデルです。
当初、「クライスラー ヴァリアント」の特別モデルとして、ボディタイプは2ドアのクーペモデルとコンバーティブルモデルでスタートしました。
生産期間は、1964年から1974年までの10年に及ぶ期間です。

「バラクーダ」=「ヴァリアント」

1960年代は、時代の傾向として各自動車メーカーがこぞって軽量コンパクトなスポーティ仕様のモデルをラインナップしようとしていました。
ライバルの「フォード社」は、「マスタング」のファストバックモデルを開発していました。
「クライスラー社」は、この時代背景を考え、顧客獲得のために「クライスラー ヴァリアント」をセレクトし特別モデルを開発しました。
「フォード社」より2週間先行して発表されたのが「クライスラー ヴァリアント」の特別モデル「バラクーダ」でした。
こうして最初の「ポニー・カー(手ごろな価格設定、コンパクト、スポーティ仕様が可能なスタイリッシュなモデル)」となりました。
ベース車両の「クライスラー ヴァリアント」は、ホイールベース2,700mmのシャシーに、ボンネット、ヘッドライト・べゼル、フロントガラス、三角窓、クォーターパネルを流用しています。
その他のボディパネルやウィンドウなどは、新設計でした。
これによって開発期間、開発費、製造費用などのコストを大幅に削減できたものの、「バラクーダ」は、「ヴァリアント」と非常に似通ったデザインとなり、購入者の大半がニューモデルとは、気付かないほどだったようです。

1thモデル(1964年-1966年)

1thモデルは、1964年から1966年までの生産モデルとなります。
「クライスラー ヴァリアント」の特別モデルとして発売されました。

スタイリングデザイン

1thモデルは、「ヴァリアント」の特別モデルとして発売されたために「ヴァリアント」のエンブレムが装着されています。
しかし、1964年モデルではトランクに装着されていた「Valiant」のエンブレムは、1965年モデルではアメリカモデルでは取り除かれています。
1966年からは、「バラクーダ」専用デザインのエンブレムが装着されています。
特徴してファストバックのスタイリングは、当時としては最大級の「リア・ウィンドウ・ガラス」とフェンダーのライン上に沿って配置されているテールライトです。
この巨大な「リア・ウィンドウ・ガラス」は、大きさ1.34m2もあり、ピッツバーグ板ガラス社(PPG)」との協力によって「クライスラー社」がデザインしました。

搭載エンジン

エンジンは「273 cu in(4.5L)V型8気筒」で、これはコンパクトなエンジンとして2002年まで続くLAエンジン(LA engine tange)シリーズの1thバージョンです。
「ヴァリアント」のAボディ共用だったためエンジンルームに収まるように特別にコンパクトな設計でした。
トランスミッションは、「クライスラー製 A833型」4速MTで「ハースト製(Hurst)」のシフトノブが装着されています。
また「シュアグリップ(Sure-Grip)」と呼ばれるリミテッド・スリップ・デフを装着し、悪天候時の安全装備であると共にスポーツ走行においてトラクション向上が図られていました。

1965年モデル

1965年モデルは、235PSを発生するエンジンが追加となっています。
4バレル・キャブレター仕様でタペットなどのパーツの見直しによって圧縮比10.5:1とチューニングされていました。
またサスペンションやタイヤも見直されています。

1966年モデル

1966年モデルでは、フロントマスクとテールデザインが見直されています。
フロントは、ヘッドライトに変更が加えられ、大型のバンパーを装着し、メッシュタイプのフロントグリルが装着されています。
テールライトもデザインが一新されています。
「ヴァリアント」よりもクオリティの高いデザインが心がけられており、グレード、モデルの違いを明らかにするために「ヴァリアント」のエンブレムが廃止され、「バラクーダ」専用のエンブレムが装着されました。
また1966年モデルのみ、深い輪郭のフェンダーにサメのエラをモチーフにしたデザインのターン・シグナルが上部に装着されています。

2thモデル(1967年-1969年)

2thモデルは、1967年に登場しました。
ボディベースは、「Aボディ」で、ボディスタイルは、ファストバック、ノッチバック、コンバーティブルです。
1967年、1968年、1969年の各モデルの違いは、サイドマーカーのデザインの変更です。
また1967年は、「フォーミュラS(Formula S)」モデルが登場し、サスペンションのリセッティングをしストレートの最高速の向上とコーナリング性能を向上が図られています。
搭載された4バレル・キャブレター装着したV型8気筒 4.5Lエンジンは、0-100km/h加速7.4秒、0-400m加速15.9秒の性能を発揮しました。

1969年モデル

1969年モデルの特徴は、エンジンがハイパフォーマンスなユニットになったことです。
限定生産モデルは、7.2L(440 cu in)仕様の「ヘミ・エンジン(Hemi)」V型8気筒エンジンを搭載していました。
「426 Hemi」型のV型8気筒エンジンは、最大出力431PS/5,000rpm、最大トルク67.7kgm/4,000rpmを発生していました。
また「クーダ」と呼ばれる6.3Lで最大出力335PS/5,200rpm、最大トルク43.3kgm/3,400rpmを発生する「383 エンジン」を搭載し、エクステリアデザインを手直しした「Sオプション」も存在しています。

3thモデル(1970年-1974年)

3thモデルは、1970年に登場し、「ダッジ・チャレンジャー」の兄弟車となりました。
ハイパフォーマンス仕様は、「クーダ」として登場しました。
「クライスラー社」のBプラットホーム(Eボディと呼ばれる)を採用しています。
ファストバックスタイルが廃止されています。
エンジンは、6バレル・キャブレター装着の最大出力390PS/4,700rpm、最大トルク66.3kgm/3,200rpmを発生する「440」型エンジンが用意されました。
またレース仕様をデチューンした最大出力431PS/5,000rpm、最大トルク67.7kgm/4,000rpmを発生する「426 Hemi」型エンジンも用意されました。
時代の流れによって排気ガス規制が強化され、ハイパワーの「プリムス バラクーダ」は、1974年に生産終了しています。

「ヘミ・クーダ」

ハイパフォーマンス仕様の「ヘミ・クーダ」は、ボンネットにエア・スクープが装着されていました。

「Hemi」エンジン

「Hemi」エンジンの「ヘミ」とは、「ヘミスフェリカル(半球形)」を意味しており、燃焼室が通常のウェッジ(クサビ型)タイプではなく半球形になっていました。
バルブの配置も一列に並んでいるのではなく、吸気側から排気側へと80度の角度が付けられて配置されていました。
またロッカーアームも2本のシャフトを持つもので、吸気側、排気側に独立して配置されていました。
「Hemi」は、高圧縮を保ったまま吸排気の流れをスムーズにし、燃焼室の中心にスパークプラグを配置することができます。
また市販モデルに装着されていた「Hemi 426」はキャブレターが、4バレル・2基搭載モデルです。
そして、レース仕様に対して市販モデルは、IN、EXのマニホールド、シリンダーヘッド周辺のディテールデザインの変更、クランクシャフト、コンロッド、ピストン、バルブなど素材の変更、カムシャフトやオイルポンプも変更されており、共通していたのは、シリンダーブロックとシリンダヘッドの基本デザインくらいでした。
そのためデチューンされた市販モデルが、最大出力431PS/5,000rpm、最大トルク67.7kgm/4,000rpmに対して、レース仕様は、最大出力650PS/7,000rpm以上でした。

1971年モデル

1971年モデルは、フロントグリルが変更され、ヘッドライトが丸目4灯に変更されました。
テールデザインもわずかに変更されています。
この後、生産終了の1974年まで丸目2灯のフロントマスクと円形4灯のテールデザインに大きな変更はありません。
また1973年、1974年モデルは、前後のバンパーが大型化されました。
1971年モデルから装備されることとなったものにはリアのウイングスポイラーもあります。

プレミアムカー

1971年モデルの「バラクーダ」は、アメリカの刑事ドラマ「ナッシュ・ブリッジス」で主人公の愛車で登場し人気のモデルです。
しかし、1971年モデルは、総生産台数は、7,828台しか生産されずマニュアル仕様は、2,000台もありません。
しかも、「426 Hemi」搭載モデルは、ベースモデルが3,000ドルだったのに対して、オプション価格の800ドルから1,000ドルも高い価格設定となっていたため、高価なモデルということで生産台数は極めて少ないようです。
またコンバーティブルの「426 Hemi」搭載モデルは、AT仕様で5台、MT仕様で2台しか生産されておらず、まさにプレミアムカーといえます。
1971年モデルは、キャブレターに繋がっているラムエアインテークが装備され「シェイカー・フード」と呼ばれています。
ボディサイドには、「マットブラックカラー」のグラフィックが施され「ビルボード・ストライプ」と呼ばれています。

2億円以上!! 1971年「426 Hemi」搭載コンバーティブル

1971年「426 Hemi」搭載コンバーティブルは非常に生産台数が少なく希少なため高額で取引されているようです。
2002年に「マッスルカー」としては、初めて1億円を突破して取引されています。
2007年にアメリカのアリゾナ州スコッツデールで開催された「RMオークション」では、シャシーナンバー「BS27R1B269588」の1971年「426 Hemi」搭載コンバーティブルが220万ドル(2億2000万円以上)で取引されました。
2014年では、さらに高騰しました。
「BS27R1B315367」の1971年「426 Hemi」搭載コンバーティブルは、2台しか生産されていない4MT仕様で、しかもパワートレインがフルオリジナルという超レアなモデルです。
このモデルは、アメリカのワシントン州シアトルで開催された「Mecumオークション」で350万ドル(3億6,000万円以上)で取引されました。

「ワイルド・スピード」でも活躍

大人気カーアクション映画の「ワイルド・スピード」でも登場しています。
1971年式のブラックカラーでグリルレスの「バラクーダ」が「ワイルド・スピード5」で登場しています。
また「ワイルド・スピード」のプロデューサーは、このモデルに「636 Hemi」型エンジンを搭載しています。
カラーは、キャンディーグリーンにブラックカラーに塗装」されています。
ボンネットからは、大迫力のスーパーチャージャーが装着されたエンジンがフルチューンになって搭載されています。
またローダウンされ、足回りも作り直されています。
ナローデフに加工されたリヤ廻りには、ドラッグタイヤが装着されています。
インテリアにおいては、ほぼ作り直され、メーターパネル、センターコンソールなど全く別物になっています。
またロールバーが装着され、5点式のシートベルト、レザー製バケットシートなどが装着されています。
1972年モデルは、トレッドが使用するマシンとして「ワイルド・スピード7」の中でカラーリングはブラックカラーで塗装された「バラクーダ」が登場しています。

まとめ

「バラクーダ」は、アメリカン・マッスルカーとして存在を示し、映画やドラマでも使用され、今なお人気が高騰しているモデルです。レアモデルは、2億円以上のプライスが付く今や高級クラシックカーと言えるでしょう。