F1のPU(パワーユニット)開発でよく出てくるトークンって何?

まず初めに言葉の意味を確認しておきましょう。トークン(英:Token)…代替貨幣、引換券といった和訳になります。今回のルールは2011年6月に施行されて、各PUメーカーはFIAが区分けをしたPUの各部開発のトータル95%を2020年までに完了させて、それ以降の開発費用を抑制する為に開発を禁止(凍結)する様に定めました。FIAはその各部開発の重要度=ウェイトを相対的な数字として示しました。

そもそもトークンって何?

何故こんなルールが必要なの?

そもそもこのトークン・ルールが出来た理由ですが、近年のF1はマシンの開発予算が増加の一途をたどり、上位チームと中・下位チームとの財政・技術的格差が広がり続けていました。またPUメーカーが負担する開発費や供給を受けるプライベートチームの費用負担も大きく問題となっていました。そのため過渡な費用負担がそれぞれに続かない様に一定の開発期間を設けて、それ以降の開発を凍結することで費用負担の抑制をするためのルールとして設けられました。

トークン・ルールの基本

FIAによって開発凍結に向けて以下の基準が設けられました。
(1)パワーユニットの開発エリアを42項目に区分けしました。
(2)42項目に対して重要度に合わせて1〜3のポイントを設定しました。
(3)42項目に対しての合計ポイントはトータルで66ポイント

2020年までの4年間で42項目中39項目を凍結させる為の2015年から順番が下記の表で記された黒塗りの部分です。

ここで各PUメーカーに白く残っている部分の開発をすべて許可してしまうと開発費が抑制出来ない事とそれぞれの技術格差が縮まらないので、性能を拮抗させる為に開発範囲を制限する方法として「トークン」が設けられたのです。
例えばAメーカー700馬力でMGU-Kは優れていてターボ部分が弱点、でもBメーカーは600馬力でMGU−Kが弱点でターボが優れていた場合に開発に制限がない場合は結果的にAメーカーとBメーカーの格差は縮まりにくいことが予想されます。4年間という期限を設けて書くメーカーのPU性能を拮抗させるにあたって、FIAが初めから各メーカーの弱点が判ることは無いので、メニュー(42項目)を作り、代替貨幣(トークン)をチームに与え、値段(1〜3のポイント)に応じた各メーカーの欲しいものが手に入れられる様にしたルールなのです。このトークンを利用できる有効期限が毎年2月末と決められていてシーズン中の性能アップに関する開発は禁止されていました。

FIAとしては今回のメルセデスの完成度の高さとそれ以外のメーカーの格差が想定外だったので、このルールがパワーユニットに関する問題に拍車をかける結果となってしましました。

 出典:http://www.jaf.or.jp/msports/rules/image/2015f1_tech_reg_ja.pdf

 出典:http://www.jaf.or.jp/msports/rules/image/2015f1_tech_reg_ja.pdf

2015年から各チームに与えられるトークン数は上記の表(上から3段目)の様に決められています。

2014年のトークンルールによる功罪

2011年に施行されたルールでは2014年の2月末までにFIAから42項目に対してホモロゲーション(認証)を受けて、シーズン中は安全面や耐久面での問題以外は改良・変更が加えられないルールになっていました。このホモロゲーション(認証)時期については2020年まで毎年2月末までというルールをFIAが制定したので、シーズン当初からメルセデスの優位がハッキリしていたにも関わらずフェラーリ、ルノーが対抗措置を講じれなかったとう問題が浮上しました。そのためフェラーリやレッドブルからFIAに対して2015年からシーズン中の開発許可の要請が出ましたが、メルセデスとの不公平が生じるので却下されていました。このルールがメスセデスの独壇場だった2014年シーズンの背景にありました。

2015年シーズン中の開発許可

2014年の後半まではFIAは翌シーズンも2月末までに2015年度のホモロゲーション(認証)を受ける様に各チームに指導していましたが、フェラーリがFIAの施行したルールブックに日付に関する記載事項の不備を見つけたことによって2015年2月末までのホモロゲーション期限がなくなって、シーズン中も開発が出来る様になりました。この結果はデビューシーズンのホンダにとっては大きなメリットになりました。もし2015年2月末の段階で開発が凍結されていたらコンストラクターズ選手権で最下位だった可能性もありましたからね。

これからどうなるトークンルール

シーズン中の開発許可がトークンを戦術にかえた

しかし、当初から定められていたトークン数32ポイントは2015年ルールに適応しているので、メーカー間の格差をレースをしながら見極めてシーズン中にトークンを利用して改良することが可能となったのです。しかし、この最終決定が2015年の年明けまでずれ込んだのでシーズン中のマシン開発は追いつかず、大幅な改良や戦力アップにつなげられるチームはありませんでした。フェラーリはトークンに関係なくルールに則った2014年の開発成果で大幅なパワーアップを果たしていたのはさすがです。

2016年エンジン開発トークン見直し?

2016年のトークンは過去2シーズンの状況を踏まえて2015年10月に以下のような変更が発表されました。

(1)当初2016年に利用出来るトークンを25から2015年と同じ32に増やす。
(2)2016年2月末のホモロゲーション期限を設けずにシーズン中の開発を許可する。
(3)開発項目も2015年と同様の39項目とする。
(4)前年度仕様のパワーユニットも継続使用出来る。

この決定によって2016年の各PUメーカーの格差が縮まることを期待しています。