【フェラーリ モンディアル】「カリフォルニア」シリーズのご先祖モデルはMRレイアウト

「モンディアル」シリーズは、4シーターとしてフェラーリサウンドと動力性能を備え、「456」シリーズ、現在ではシリーズに続く懸け橋となったモデルです。

「モンディアル」シリーズ

1980年のジュネーブ・ショーに「308 GT4」の後継モデルとして登場しました。

モンディアル8

車名の「モンディアル」は、50年代半ばに活躍したレーシングマシンに由来し、「8」は、エンジンの気筒数に由来しています。
また「ピニンファリーナ社」の50周年記念モデルとなっています。

スタイリングデザイン

「モンディアル」のデザインは、「ピニンファリーナ社」が担当しています。
ボディは、スチール製でフロントリッドとエンジンカバーがアルミ製となっています。
ボディには、トランクリットが専用に設けられています。
シャープで「フェラーリ 308」の美しさも取り入れたボディデザインは、2+2のクーペとなるためにホイールベース2,650mm、前後のトレッドも拡大されF:1,495mm、R:1,517mmになり、全長4,580mm、全幅1,790mm、全高1,250mmとなっています。
フロントグリルがフロントバンパーの下にセットされ「308」シリーズと同じようなフロントマスクになっています。
前後のバンパーのデザインは、ボディサイドに回り込むブラックカラーのプラスチック製のものが採用されています。
バンパーには、ドライビングライト、ポジションライト、ウィンカーのコンビネーションライトが損割っています。
バンパー全体が大きくブラックカラーでしたので、バンパーの存在が大きく見え「モンディアル」のデザインも重厚なイメージとなっています。
また、ボディサイドのドア後方にエンジンベイ用に大きなインテークグリルが設けられています。
これが、初期型ではブラックカラーの仕上げでボディスタイルを引き締めるデザインとなりました。
インテリア内の空間は、広く明るいものとなっています。
しかし車両重量は1,445kgと重くなり、動力性能はマイルドなものとなっています。

シャシー

ヨーロッパ仕様のコードネームコードネームは、「ティーポF 108 AL 100」でシャシーの材料は、チューブラースチールシャシーが採用されました。
「モンディアル」のシャシーは、リアにサブフレームがボルト留めされています。
これによってエンジン、トランスミッション、リアサスペンションのアッセンブリーを一式、シャシーフレームから取り外すことができ、メンテナンスの向上が図られています。

パワーユニット

「モンディアル 8」に搭載されているパワーユニットは、「フェラーリ 308 GT4」と同じパワーユニットが搭載されました。
排気量2,926cc、バンク挟角90度、V型8気筒DOHC16バルブのエンジンがミドシップレイアウトで横置きに搭載されています。
潤滑方式はウェットサンプ方式でベルト駆動が採用されており、インジェクションシステムは、「ボッシュ製」のKジェトロニック燃料噴射装置を装備しています。
点火装置は、「マレリ製」のMED 803Aディジプレックス電子制御点火システムが装着されています。
シリンダーボア・ストローク81mm×71mmで圧縮比8.8:1のエンジンは、最高出力:214PS/6,600rpm
最高トルク:24.8kg/4,600rpmを発生させます。
エンジンコードネームは、「ティーポF 106 B 000」です。
またパワートレインは、オールシンクロメッシュタイプの5速トランスミッションが採用され、エンジンと一体でマウントされています。

インテリア

インテリアに目を向けると4脚のシートが目立ち、スポーティを意識した「モンディアル 8」は、前後4脚ともバケットシートが採用されています。
リアシートは、センターアームレストによって左右に分割され、センターアームレストの上には小物入れのポケットが設けられています。
メインのメータースイッチは、ドライバーシートの正面にセットされ、メーターデザインは横長の四角形です。
その他のスイッチ類は、センターコンソールの上部にセットされ操作しやすくなりシフトレバーはセンターコンソールの前方にフェラーリ伝統のシフトゲートが切られたベースプレートにセットされています。
センターコンソールの後部は、ラジオがセットされ、システムモニターパネル、リアパッセンジャー用に灰皿がセットされています。

シャシーナンバー

「モンディアル 8」の生産は、1980年から1982年で合計703台が生産されています。
シャシーナンバーは、「31075」から「41727」となっています。

「モンディアル 8」主要諸元

エンジン:2,926cc V型8気筒 DOHC 16バルブ
最高出力:214PS/6,600rpm
最高トルク:24.8kg/4,600rpm
圧縮比:8.8:1
トランスミッション:5速MT
駆動方式:MR
サスペンション:F/R ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:F/R ディスク
全長:4,580mm
全幅:1,790mm
全高:1,250mm
ホイールベース:2,650mm
トレッド:F 1,495mm R 1,517mm
車両重量:1,445kg
最高速度:230km/h
0-400m加速:15.0秒
0-1000m加速:28.0秒

「Quattrovalvole(クワトロヴァルヴォーレ)」

1980年代になると自動車メーカーもパワーウォーズとなりハイパワーエンジン、ハイパフォーマンスな動力性能を競い合い、ターボなどの過給機搭載モデルが多く出てきました。
1982年「フェラーリ社」も2Lシリーズは、ターボチャージャーを装着しましたが、「モンディアル」は、自然吸気のNAエンジンをそのまま採用しています。
変更点は、エンジンのDOHC16バルブが32バルブへと1気筒あたり4バルブ化に変更になっています。
そのために「モンディアル 8」から「モンディアル Quattrovalvole(クワトロヴァルヴォーレ)」に名称も変更になりました。

エクステリアの変更は最小限

「モンディアル クワトロヴァルヴォーレ」へと名称が変わり「モンディアル 8」との違いは、最小限となっています。
シャープなボディラインにエレガントさのある雰囲気をそのまま残すために、フェンダーのボディサイドまで繋がる前後のブラックカラーの大きなバンパー、フロントバンパーの下に取り付けされたフロントグリル、ボディサイドのドア後方にセットされたエンジン吸気用のエアインテークダクト、丸型のテールライトデザインなど変更はありません。
テールパネルにセットされているエンブレムが、「Mondial 8」から「Mondial Quattrovalvole」に変更になったのみです。

インテリア

インテリアに変更が加えられ、センターコンソールがフロントのバルクヘッドまで延長され、ベンチレーションレバーが装備され、ラジオは、センターコンソール後方から操作しやすい前方に移設されています。
ドアのインナーパネルは、ポケットとドアインナーハンドルのデザインが変更となるとともに、レザー仕様のステアリングホイールは、スロットがなくなりました。

搭載エンジン

「モンディアル クワトロヴァルヴォーレ」に搭載されているパワーユニットは、「モンディアル 8」と基本設計は、同じパワーユニットが搭載されました。
排気量も同じ2,926cc、バンク挟角90度、V型8気筒DOHCヘッドエンジンです。
変更点は、「モンディアル 8」が2バルブヘッドエンジンだったのが、「モンディアル クワトロヴァルヴォーレ」では、が4バルブヘッドエンジンとなりました。
ミドシップレイアウトで横置きに搭載されています。
潤滑方式はウェットサンプ方式でベルト駆動が採用されており、インジェクションシステムは、「ボッシュ製」のKジェトロニック燃料噴射装置を装備し変更はありません。
また点火装置は、「マレリ製」のMED 803Aディジプレックス電子制御点火システムが装着されています。
シリンダーボア・ストローク81mm×71mmで圧縮比9.2:1のエンジンは、最高出力:240PS/7,000rpm
最高トルク:26.5kg/5,000rpmを発生させます。
型式は、「ティーポ F105 A 000」です。
また「モンディアル クワトロヴァルヴォーレ」のエンジンには、エンジンのインテークキャスティングが深紅のフェラーリレッドで焼き付け塗装が施されており、見た目が美しいエンジンとなっています。
そして「Ferrari Quattrovalvole」と機械加工によるリブが入っています。

シャシー

「モンディアル クワトロヴァルヴォーレ」のシャシー型式は、「ティーポ F108 BL 100」となっています。
チューブラースチールシャシーが採用されました。
「モンディアル」のシャシーは、リアにサブフレームがボルト留めされていること、サスペンションシステムが、4輪独立懸架の前後ダブルウィッシュボーンにコイルスプリングとダンパーの組み合わせで前後にアンチロールバーが装着されていることなど、「モンディアル 8」と同様です。
ブレーキシステムも「モンディアル 8」と同じで前後ディスクブレーキとなっています。
シャシーナンバーは、「41737」から「59131」で生産年数は、1982年から1985年で1145台が生産されました。

ポテンシャル

4バルブヘッドエンジンにアップデートされたことにより動力性能は、大幅に向上しています。
エンジンのレスポンスが格段に上がっています。
それによって最高出力:240PS/7,000rpm、最高トルク:26.5kg/5,000rpmを発生させ、最高速度は240km/hに達し、0-400m加速は14.8秒、0-1000m加速は27.5秒となっています。

「クワトロヴァルヴォーレ」主要諸元

エンジン:2,926cc V型8気筒 DOHC 32バルブ
最高出力:240PS/7,000rpm
最高トルク:26.5kg/5,000rpm
圧縮比:9.2:1
トランスミッション:5速MT
駆動方式:MR
サスペンション:F/R ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:F/R ディスク
全長:4,580mm
全幅:1,790mm
全高:1,260mm
ホイールベース:2,650mm
トレッド:F 1,495mm R 1,517mm
車両重量:1,430kg
最高速度:240km/h
0-100km/h加速:6.4秒
0-400m加速:14.8秒
0-1000m加速:27.5秒

「Mondial Cabriolet(モンディアル カブリオレ)」

「モンディアル クワトロヴァルボーレ カブリオレ」が登場したのは、1983年の9月のプレスコンファランスです。1984年1月のブリュッセル・ショーでショーデビューしています。
コンセプトは、アメリカ西海岸を疾走と駆け抜けるものです。

デザイン

カブリオレのソフトトップは、手動で開閉するタイプのもので非常に複雑な仕組みとなっています。
そのためにクーペモデルのプロファイルを完全に再現しており、フロントからリアのクオーターパネルに至るまで、とても美しいシルエットを描いています。
エクステリアの変更は、テールパネルに「Mondial Cabriolet」のエンブレムが装着されています。
その他は、フロントマスクからバンパー、ボディサイドのインテーク、テールデザインなどクーペモデルと変更はありません。

インテリア

インテリアは、「モンディアル カブリオレ」のソフトトップをたたんで収納する際のスペースを確保するために、リアシートの左右の距離が狭くなっており、ヘッドレストも装着されていません。

搭載エンジン

搭載されているパワーユニットは、「モンディアル クワトロヴァルボーレ」と同様のエンジンが搭載されています。型式は、「ティーポF 105 AS 000」です。
仕様に変更はなく最大出力、最大トルクも変更はありません。

シャシー

「モンディアル クワトロヴァルボーレ カブリオレ」は、ルーフが取り除かれたボディにロールバーは装備されていませんが、アルミ製ホディパネルが溶接によってボディ剛性が増しているためにスチール製チューブラースペースフレームのシャシーの強度もあり、240km/hの最高速度にも対応できるシャシー剛性を持っていました。
型式は、「ティーポF 108 BS 100」です。
シャシーは、リアにサブフレームがボルト留めされ、サスペンションシステムが、4輪独立懸架の前後ダブルウィッシュボーンにコイルスプリングとダンパーの組み合わせ、前後にアンチロールバーが装着されていることなど、「モンディアル クワトロヴァルボーレ」と同様です。
ブレーキシステムも前後ディスクブレーキとなっています。

「Mondial 3.2(モンディアル 3.2)」

「Mondial 3.2(モンディアル 3.2)」は、「モンディアル クワトロヴァルボーレ」の後継モデルとして1985年にフランクフルト・モーター・ショーで発表されました。
「3.2」の名称は、エンジン排気量3.2L(3,185cc)からきています。

ボディデザイン

「モンディアル クワトロヴァルボーレ」の後継モデルとして変更点は、少なくブラックカラーのバンパーが「モンディアル 3.2」では、シャープな曲線を描いたボディ同色のバンパーが前後にセットされています。
フロントマスクは、「フェラーリ 328」のようにコンビネーションライトをフロントグリルに内蔵しています。
またリアテールのパネルに「Mondial 3.2」のエンブレムが装着されています。
その他のエクステリアの変更はありません。

インテリア

インテリアにおいては、メーターナセルのデザインが見直されて角が斜めにカットされたデザインとなりました。
またオプションでダッシュボードとヘッドライニングをレザー仕様にできました。

パワーユニット

「モンディアル 3.2」に搭載されているパワーユニットは、「モンディアル クワトロヴァルボーレ」のものと基本設計は同じユニットです。
インジェクションシステムは、「ボッシュ製」のKジェトロニック燃料噴射装置が装備されています。
点火システムは、「マレリ製」の「MED 806A マイクロプレックス電子制御点火システム」が採用されています。
排気量は、83mm×73mmのボア・ストロークで3,185ccとなり圧縮比9.8:1で最高出力270PS/7,000rpm、最高トルク31.0kg/5,500rpmを発生させます。
型式は、「ティーポF 105 C 000」です。

シャシー

シャシーは、型式が「ティーポF 108 CL 100」です。
「カブリオレ」は、型式が「ティーポF 108 CS 100」となっています。
スチール製チューブラースペースフレームのシャシーが採用されています。
仕様としては、「モンディアル クワトロヴァルボーレ」と同様でリアサブフレーがボルト留めされています。
またエンジン、トランスミッション、リアサスペンションがアッセンブリーで取り外せるシステムになっています。
また「安全基準」確保のためにアンチロックブレーキシステム(ABS)が標準装備になりました。
「ABS」が装備されることによってネガティブオフセットが可能なホイールにデザインが変更になりました。
そして、「ABS」によってトレッドがフロント25mm、リア50mmほど拡大されています。

「モンディアル 3.2」主要諸元

エンジン:3,185cc V型8気筒 DOHC 32バルブ
最高出力:270PS/7,000rpm
最高トルク:31.0kg/5,500rpm
圧縮比:9.8:1
トランスミッション:5速MT
駆動方式:MR
サスペンション:F/R ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:F/R ディスク
全長:4,535mm
全幅:1,795mm
全高:1,235mm
ホイールベース:2,650mm
トレッド:F 1,520mm R 1,510mm
車両重量:1,410kg
最高速度:250km/h
0-100km/h加速:7.4秒
0-400m加速:14.6秒
0-1000m加速:27.2秒

「Mondial T(モンディアル T)」

「Mondial T(モンディアル T)」は、1989年に登場しました。
モデル名の「T」は、F1マシンの「312T」からとられたものです。

エクステリアデザインの変更

「モンディアル T」は、リトラクタブルヘッドライトが一体型レンズに変更されています。
リアフェンダーは、エアインテークからルーバーが装備されるようになっています。
またテールパネルに「Mondial T」のエンブレムが装着されています。

インテリア

インテリアは、全体的な見直しがされ、特にリアシートのバックレストがフラットにたたむことができるようになっており居住スペースの拡大と荷物スペースができました。
「モンディアル 3.2」同様にオプションでダッシュボードとヘッドライニングをレザー仕様にできました。

縦置き搭載エンジン

エンジンが3,404cc V型8気筒 DOHC 32バルブエンジンとなりました。
型式は、初期モデルが「ティーポ F119DL」後期モデルは「ティーポ F119G」です。
搭載方式に変更があり、エンジンは、横置きから縦置き搭載になりました。
潤滑方式は、ドライサンプ方式に変更されています。
また「ボッシュ製」の燃料噴射と点火システムを制御するシステム「M2.5モトロニック」が初期モデルに装着され、後期モデルは「M2.7モトロニック」が装着されています。
初期型は、最大出力300PS/7,200rpmを発生し、後期モデルは、キャタリストコンバーターが装着され最大出力は295PSとなっています。

シャシー

シャシー型式は、「ティーポF108AL/D」です。
F1マシンの「312T」同様に縦置きエンジン、横置きトランスミッション搭載レイアウトによって、ドライブトレインが130mm低い位置に搭載できコーナリング性能を向上とハンドリング向上につながっています。
「ABS」が標準装備となり、前後のトレッドが拡大されています。
またパワーステアリングと電子制御ダンパーを装備しています。
ダンパーは、室内のダンパースイッチで「ハード」「ミディアム」「ソフト」の3段階の減衰力をセレクトすることができます。
そして、「ヴァレオ製」電子制御クラッチがオプションで用意され、クラッチペダル操作を行わずにマニュアルシフトが可能でした。
その他の部分は、先代「モンディアル」シリーズ同様の仕様です。

「モンディアル T」主要諸元

エンジン:3,404cc V型8気筒 DOHC 32バルブ
最高出力:300PS/7,200rpm
最高トルク:33.0kg/4,200rpm
圧縮比:10.4:1
トランスミッション:5速MT
駆動方式:MR
サスペンション:F/R ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:F/R ディスク
全長:4,535mm
全幅:1,810mm
全高:1,235mm
ホイールベース:2,650mm
トレッド:F 1,522mm R 1,560mm
車両重量:1,426kg
最高速度:255km/h
0-100km/h加速:6.3秒
0-400m加速:14.3秒
0-1000m加速:25.8秒

まとめ

「モンディアル」シリーズは、4シータースポーツカーとしてフェラーリらしいエンジンサウンドと動力性能を備え、「456」シリーズに続く懸け橋となったモデルです。