【スバル アルシオーネSVX】“遠くへ、美しく。”そして“500miles a day”

“おうし座”にある“プレアデス星団”をご存じですか。日本では“昴(すばる)”と呼びます。プレアデス星団の名前の由来はギリシャ神話にあり、今回お話する“アルシオーネ”の名前もこのプレアデスと深い関係があります。富士重工が自動車部門に名付けた“スバル”と、海外進出第1号車の名付けた“アルシオーネ”。そして、その後継車に名付けた“SVX”。技術者集団の富士重工の強い思い入れと大きな決意の表れなんです。

スバル アルシオーネSVX

世界に通用するグランツーリスモというコンセプトで開発された美しくもグラマラスな2ドアクーペ、それがアルシオーネSVXです。この美しいデザインは、イタルデザインの主宰ジョルジョット・ジウジアーロその人です。ジウジアーロが提案したデザインスケッチでは、ヘッドライトはリトラクタブルタイプでしたが、初代アルシオーネから一新したかったというスバル側の意向で変更されています。
世界戦略車としての拘りからか、日本に先行してアメリカのデトロイト・モーターショーでデビューしています。全体の約9割が専用部品で、他のスバル車との互換性がありません。規格サイズのねじ類を除けばほぼ100%が新造で、オーディオのコネクターまで専用設計です。

販売期間:1991年–1996年
デザイン:イタルデザイン・ジウジアーロ
乗車定員:5人
ボディタイプ:2ドア ノッチバック
エンジン:3.3L 水平対向6気筒 EG33型
最高出力:240PS/6,000rpm
最大トルク:31.5kgfm/4,800rpm
変速機:4速A/T
駆動方式:VTD-4WD
サスペンション:前 マクファーソン式ストラット
        後 デュアルリンク式ストラット
全長:4,625mm
全幅:1,770mm
全高:1,300mm
ホイールベース:2,610mm
車両重量:1,590kg
使用燃料:無鉛プレミアムガソリン
タイヤサイズ:225/50R16 92V

意欲的なデザインとメカニズム

アルシオーネSVXには、たくさんの先進技術と乗用車では使われていなかった技術が採用されています。スバルの意欲作であることがうかがい知れます。

専用に開発した6気筒エンジン“EG33”

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%BBEJ%E5%9E%8B%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3

アルシオーネSVXの専用エンジンとして設計されたのがこの水平対向6気筒エンジン“EG33”です。ベースになったのはレガシィ・ブライトン220用の“EJ22”水平対向4気筒SOHC16バルブ2.2Lです。この4気筒エンジンにさらに2気筒追加して、正に“5割増し”にした設計でボア/ストロークも同一です。

種類:DOHC 24バルブ EGI NA
排気量:3,318cc
ボア×ストローク:96.9mm×75.0mm
圧縮比:10.0
最高出力:240PS/6,000rpm
最大トルク:31.5kgfm/4,800rpm

日本初のミッドフレームウィンド

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%8DSVX

フロントガラス~サイドガラス~リアガラスまで、グラスtoグラスのキャノピーデザインも画期的でした。これを実現するために、ミッドフレームウインドを採用しました。これはドアガラスがルーフ面まで回り込んだ形状になるためにサイドウィンドウ全体を開閉することができないために、一部だけを開閉するようにデザインされています。古くはランボルギーニ・カウンタックなどのスーパーカーやスポーツカーに見られる方式ですが、日本では初めて採用されました。スポーツカーさながらのスタイルを持ったスペシャルティカーという位置づけです。

実は先代も変わり者

どうですか、このとがりまくったウェッジシェイプデザイン。好き嫌いがぱっくりと分かれるところですが、ずいぶん攻めてますよね。これが初代アルシオーネです。

初代アルシオーネについてはこちらの記事にくわしく書かれていますので、ぜひ参考になさってください。

富士重工が乗用車への4WD装備を当たり前にしたレオーネに続き、当時のスペシャリティカーブームに切り込むために発売した「スバル・アルシオーネ」。スバルとしては唯一のリトラクタブルヘッドライト、先進性を感じさせるコックピットなど「アバンギャルド」らしくもスバルらしくないデザインが印象的なクルマでした。今回は、このアルシオーネに迫ってみたいと思います。

スバル、アルシオーネ、そしてSVX

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%A2%E3%83%87%E3%82%B9%E6%98%9F%E5%9B%A3

冒頭で触れましたが、“アルシオーネ”を語る上ではスバルとギリシャ神話の関係についてもお話しておきたいのです。今日、“スバル”と言えば自動車メーカーの名前のように通用していますが、会社名は“富士重工業”です。“スバル”は富士重工業の幅広い事業のうちのひとつ自動車部門としてのブランドネームです。
“すばる”とはプレアデス星団のことで、日本では古くから“六連星(むつれぼし)”とも呼ばれていました。富士重工業が5つの会社を吸収合併することで誕生したことから、“6社を統合する=統べる(すべる)”と6つの星の集合体である六連星とをかけた命名なのです。
そしてこの六連星はプレアデス星団のことを指し、プレアデス星団が“プレアデス”と呼ばれるのはギリシャ神話に由来します。巨人アトラスと海の精霊プレイオネとの間に生まれたアステロペー、メロペー、エーレクトラー、マイア、ターユゲテー、ケライノー、アルキュオネーの7人姉妹を“プレアデス”と呼ぶのです。中でもひときわ輝くのはアルキュオネーです。つまり、昴(すばる)の中で一番輝くのがアルシオーネというわけです。
アルシオーネの2代目としてデビューしたSVXですが、このSVXは“Subaru Vehicle X”から命名されています。スバルが提唱した“グランドツアラー”を象徴した呼び名です。

最後にまとめ

登場時期がバブル景気終焉期と重なったため、2ドアクーペのようなスペシャリティモデルの市場は冷え込み、個性的なデザインに加え3.3Lという中途半端な排気量が敬遠されて販売では苦戦しました。その後のレガシィの大ヒットによって、アルシオーネのイメージリーダーカーとしての役割は終わり、生産ラインをフォレスターに譲る形で1996年12月に生産終了しました。日本国内販売台数はわずか5,884台、海外輸出分を含めた総生産台数は23,750台とのことです。