【プジョー307】生まれ変わった3シリーズは出来も味も良いんです

307は、21世紀の幕開けにプジョーが用意した、ミドルサイズのハッチバックです。新設計のプラットフォームと見事なパッケージングは、その完成度の高さからヨーロッパ・オブ・ザ・イヤーを獲得しています。Cセグメントと言えば、強豪ひしめくクラスですから、この受賞の重みはご理解頂けると思います。オープンモデルのCCや、3列シートのワゴンモデルSWなど、魅力的なバリエーションは素材の良さの証です。

プジョー307という車

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%83%BB307

2001年3月、大ヒットモデルとなった306の後継としてデビューした307です。2002年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを獲得しています。衝突安全性の確保などを理由に306よりも一回り以上ボディが大型化されました。名実ともにプジョーの中核を担うファミリー向けの車種でした。3ドア/5ドアハッチバック、3列シート7人乗りのSW、フルオープンになるクーペカブリオのCCというラインナップで、当初は3ドアハッチバックにDOHCエンジン+5M/TのXSiという本革シートと17インチタイヤをおごられたスポーツグレードもありました。

●3ドアXSi スペック
ボディタイプ:ハッチバック
ドア数:3ドア
乗員定員:5名
型式:GF-T5
全長×全幅×全高:4,210×1,760×1,530mm
ホイールベース:2,610mm
トレッド前/後:1,495/1,500mm
車両重量:1,260kg
最高出力:137ps/6,000rpm
最大トルク:19.4kgm/4,100rpm
種類:水冷直列4気筒DOHC
総排気量:1,997cc
タイヤサイズ(前):205/50ZR17
タイヤサイズ(後):205/50ZR17
販売価格257万円

3列シート7人乗り、シートアレンジは自由自在のSW

出典:http://www.goo-net.com/catalog/PEUGEOT/307/9003960/index.html

307の5ドアハッチバックを後ろへ大きくストレッチして、3列シートにしたSWです。前席2・中席3・後席2の7人乗り仕様です。さらに屋根全体がガラスでできたパノラミックガラスルーフを標準装備していました。輸入車で3列シートなのはワンボックス系ばかりでしたので、ファミリーカーサイズの3列シート7人乗りはとても人気がありました。特筆すべきはそのシートです。2列目と3列目のシートはすべて脱着が可能なんです。2列目を外して3列目に座ればリムジン気分で足を投げ出せますし、2列目をひとつ外して2-2-2の6人乗りにもなります。好きなように配置換えできるので、乗る人達の関係性に合わせて座席の距離感が選べるんです。
私の知人は夫婦+子供一人にもかかわらずこのSWを購入し、2列目の真ん中だけを残して残りはすべて外していました。移動中は子供がVIP席で、停車すると広大なラゲッジスペースがそのまま遊び場になっていました。

モデル途中で、フルレザーインテリアを採用した“グリフ”が追加されました。また、全仏オープンテニス公式スポンサーとしての特別限定モデル“307SWローラン・ギャロス”は、2.0L+4速オートマチック仕様で、“タイブレーク・グリーン”と呼ばれるローラン・ギャロス専用ボディカラーと、“アレザン”と呼ばれる専用色のレザーインテリアを採用して5人乗りタイプとして設定されました。モジュラー式リアシートは、個別に折りたたみ、取り外し、3列目にも移設可能で、多彩なシートアレンジができます。その他特別装備として、インパネやドアトリムにも専用インテリアを採用し、最上級モデルとしての差別化を図っています。サイドステッププレートとローラン・ギャロス専用エンブレムが採用されています。

●SW スペック
ボディタイプ:ワゴン
ドア数:5ドア
乗員定員:7名
型式:GH-3EHRFN
全長×全幅×全高:4,420×1,760×1,585mm
ホイールベース:2,720mm
トレッド前/後:1,490/1,490mm
車両重量:1,430kg
最高出力:137ps/6,000rpm
最大トルク:19.4kgm/4,100rpm
種類:水冷直列4気筒DOHC
総排気量:1,997cc
タイヤサイズ(前):205/55R16
タイヤサイズ(後):205/55R16

販売価格276万円

出典:http://www.goo-net.com/catalog/PEUGEOT/307/10027540/index.html

307SWローラン・ギャロス

メタルトップが開閉する!クーペ・カブリオレのCC

出典:http://www.goo-net.com/catalog/PEUGEOT/307/10020197/index.html

307CCは、クーペ・カブリオレの魅力をコンパクトサイズの中でフル4シーターとして実現したスペシャリティモデルです。クーペモードからカブリオレモードへはスイッチひとつで簡単に操作することが可能です。マルチプレックス電子制御システムが制御することで、メタルルーフの開閉時間は約25秒というはやわざ。ルーフロックの解除までもエレクトロハイドロリックシステムによって自動化されています。全グレードにフルレザーシートを標準採用。加えてメタリックなトリムアクセントが施された革巻きシテアリングホイール、クロームで縁取りされたメーターパネルでグレードアップしています。インテリアトリムはボディカラーに合わせてチタン(ブラックレザー)、フュージョン(ブラック×レッド)、ラマ(グレー)、パランブロ(タン)の4パターンが設定され、上級グレードではサイドトリム、ダッシュボードも含めたフルレザー仕様が設定されました。
幌のトップを持つカブリオレに比べて、全天候型であることやセキュリティ面でも有利なことが受け入れられて、このクラスのオープンモデルとしては成功と呼べる販売成績でした。21世紀に入ってカラのフランス車は格段に信頼性が上がり、広く受け入れられるようになってきたことも要因のひとつと言えるでしょう。

●307CC スペック
ボディタイプ:オープン・カブリオレ・コンバーチブル
ドア数:2ドア
乗員定員:4名
型式:GH-A307CC
全長×全幅×全高:4,380×1,760×1,435mm
ホイールベース:2,610mm
トレッド前/後:1,500/1,510mm
車両重量:1,490kg
最高出力:137ps/6,000rpm
最大トルク:19.4kgm/4,100rpm
種類:水冷直列4気筒DOHC
総排気量:1,997cc
タイヤサイズ(前):205/55R16
タイヤサイズ(後):205/55R16

販売価格378万円

出典:http://www.goo-net.com/catalog/PEUGEOT/307/10020197/index.html

マイナーチェンジで“大きな口”に

出典:http://www.goo-net.com/catalog/PEUGEOT/307/10036034/index.html

デビューから世界中で人気を博し220万台もの販売実績を積んだ307も、2005年秋にフェイスリフトを受けて、この頃のプジョーのアイデンティティだった“大きく口を開けて笑った顔”になりました。このマイナーチェンジを機に3ドアが廃止され、5ドアハッチバックのフェリーヌと3列7人乗りミニバンの307SW、クーペカブリオレの307CCの3種に縮小され、よりファミリー向けラグジュアリーという印象が強いモデルになりました。

5ドアハッチバックのフェリーヌ

出典:http://www.goo-net.com/catalog/PEUGEOT/307/10030243/index.html

“フェリーヌ(Feline)”とは猫科の動物を指す言葉です。創業以来ライオンを紋章としてきたプジョーにしてみれば、生み出す製品はすべて猫科の動物なのでしょう。その精悍さを全面に押しだし、ただのファミリーカーではないところをアピールしたかったのかもしれません。
エンジンラインナップは1.6L、2.0Lの2種類で、2.0Lは37psアップのスポーツバージョンも設定されました。

●フェリーヌ2.0 スペック
ボディタイプ:ハッチバック
ドア数:5ドア
乗員定員:5名
型式:GH-T5RFJ
全長×全幅×全高:4,210×1,760×1,530mm
ホイールベース:2,610mm
トレッド前/後:1,495/1,500mm
車両重量:1,300kg
最高出力:140ps/6,000rpm
最大トルク:20.4kgm/4,000rpm
種類:水冷直列4気筒DOHC
総排気量:1,997cc
タイヤサイズ(前):205/55R16
タイヤサイズ(後):205/55R16

販売価格266万円

ラリーウェポン 307WRC

出典:https://pl.wikipedia.org/wiki/Peugeot_307_WRC

2004年のWRCより、これまでの206WRCから307CCをベースとしたWRカー・307WRCにスイッチしました。時折速さを見せるものの、度重なるギヤボックスのトラブルに見舞われます。またボディの大型化による取り回しの悪さから、時としてカスタマー・スペック車の206WRCの後塵を浴びるほど不振を極めました。
あまりのマシントラブルの多さに、当時のワークスドライバーだったマーカス・グロンホルムは「このクルマにはもううんざりだ」とスペシャルステージ直後のインタビューで吐き捨てたほどです。
2005年シーズンを最後にワークスとしてはWRCから撤退しました。

乗ってみると

307のデビューはメカニック時代ど真ん中でしたからたくさん乗りました。自分で所有したことはないんですけどね。発表時の試乗車、デモカー、お客さんの車、etc...
外から眺めるとたしかに大きくなった(306に比べて)のですが、乗ってしまうとその大きさはほとんど感じません。室内が広くなっているのは間違いないのですが、外観から感じるほどのギャップはありませんでした。

前期モデル

出典:http://www.goo-net.com/catalog/PEUGEOT/307/10010415/index.html

前期モデルの中では一番元気なXSiは、出だしから十分な力を発揮してくれます。重量も増えているハズなのですが、エンジンパワーもトルクも引き上げられているので、その重さは感じませんでした。街中から郊外まで、右足の動きに合わせてグイグイ引っ張ってくれる感じです。
足回りの設定がさすがなんです。XSiは50扁平のタイヤを履いていますのでけっこう硬い印象なのですが、これは低速域だけの話。速度を増していくとショックアブソーバーのしっかり感が増してきて、ロール自体は大きいもののある程度までいくとピタっと止まります。あとはそのままの姿勢をキープしながらグングンコーナーをクリアしていくんです。もちろんリヤ足もしっかり地面を掴まえています。そこそこロールするとリアの内側が浮いた感じになる車が多いのですが、さすがはプジョーですね。“猫足”はしっかりと受け継がれています。

307CCも基本的に同じエンジンですから、乗り味に大きな差はありません。ただ、メタルトップの開閉機構がトランクの中にいるせいで、重心が少し後ろ寄りなんだと思います。ハッチバックモデルとは違う挙動を見せますね。オープンボディにするために、シャシに補強がたくさん追加されています。おかげでハッチバックよりもボディ剛性は数段高くなっています。ジャッキアップした状態でもドアの開閉に支障がありませんでした。重量が増えるのはうれしくありませんが、こういう効果はありがたいですね。

307SWの車内は、ワゴンというかバスに近いです。もう家族や友人達とでわいわい言いながら楽しくドライブ、意外には考えられませんでした。パノラミックガラスルーフは素晴らしいと思います。こんなに開放感のあるクローズドボディは他にないんじゃないでしょうか。

後期モデル

出典:http://worldautomotivecenter.blogspot.jp/2012/01/peugeot-307-awarded-2002-european-car.html

前期モデルとの意匠デザイン以外の変更点は、2.0Lエンジンガ改良されてパワー・トルクともに向上していることと、フルCANシステムの導入によってエンジンをはじめとするマネージメントシステムの信頼性が向上していることですね。
細かいことまで言えば、エアコンが左右別々に温度調整できたり、時計と外気温度しか表示出来なかったディスプレイが、ドライブに必要な各種警告メッセージを表示してくれるマルチファンクションディスプレイに変更されています。
今までハッチバックには採用されていなかった2.0Lのハイパワーエンジンが、フェリーヌスポーツで実現されたことも大きなニュースです。このエンジンは206RCに使われているもので、307ではCC・S16には採用されていたもののハッチバックモデルには設定がありませんでした。
あと個人的には、ドアキーのリモコンが新型になって反応する範囲が広くなったことがうれしいですね。

フェリーヌスポーツは、S16のエンジンを得てとても元気になりました。前期モデルのXSiは、スポーツモデルという位置づけながらエンジンは他のグレードと同じものでしたから、このフェリーヌスポーツに対する印象は随分違います。
2.0L4気筒DOHCエンジンで177psというと、ターボ加給があたりまえになった現代では乏しい数字に見えますが、自然吸気でこの数値は立派でしょう。気を付けないと、すぐにレブリミットにぶつかってしまいます。なんの変哲もない5速M/Tとの組み合わせですが、3速と4速がかなりクローズレシオのようでそこそこの速度域ならとても楽しく走れます。

最後にまとめ

プジョー307は、PSAプジョー・シトロエングループの新世代プラットフォーム戦略に基づく最初のモデルです。それ以前の6世代に比べて剛性(特によじれ耐性)が格段に高くなっていますので、ドライブがとても楽しい車に仕上がっています。幅がわずかに1,700mmを超えるために3ナンバーですが、日本で使い勝手の良い5ナンバーミドルクラスの大きさですから、使い勝手は抜群です。加えてフランス車特有の表現仕様のないしゃれ感も手に入ります。ひと味違うものをお値打ちにお探しでしたら、ぜひ候補に加えてみて下さい。

ちなみに307の後継車である308のことは、こちらの記事にまとめてあります。