【スマート フォーフォー】やっぱり、このコンパクトがいいっ!

あのメルセデスが開発し別ブランドで販売するコンパクト、それがスマートです。偉い人達が乗る車を専門の様に作って,その歴史も半端ないメーカーの作ですので、まさに安心・安全は確か、それがこの車の訴求ポイントになっていると思うのですが、一方で、わが日本にも世界に名だたる小型車市場があり、多くの良い車が発売されています。そんな中で、誰かがこのスマート フォーフォーを選ぶ、あるいは選ばない理由って、何しょう?

車のカタチが心のカタチ

全てとは言えないと思いますが、多くの場合、自分が持つ自動車には、その人の自己イメージみたいなものが、結構強く反映するのだと思うのです。たとえば、自分の大きな体がアイデンティティな人は、窮屈がいやだという理由だけでなく、大きな車を好むでしょうし、スピードがすべてだと考える人は、収入の大部分を外国のスポーツカーのために投資するかもしれません。
あるいは、知的なセンスを主張したい人は、サイズとか馬力だけで車選びができる訳ではなく、環境への配慮や経済学的な合理性なんてのも、大切な検討ポイントになるはず。またあるいは、エレクトロニクスによる制御を満載して未来の先取り感が味わえたら、それも面白そうではあります。それに加えて、車名に知性=賢さをアピールする、スマートなんて名前がついていると、もっと買いやすくなるのかもしれませんね。
しかし、その知的な名前を持つ車、スマート フォーフォーに一番特徴が見れる部分は、(二人乗りのフォーツーより大型化しているとは言うものの)その割り切りすぎたくらいのコンパクトさ、にある気がします。車の場合は、一般に小さい車体はデメリットが大きくて、いろいろ諦めないといけない、とも思うのですが、高級ブランドから生まれたこのコンパクトはどうなんでしょうか?

エクステリア、小さい形が合理的!?

最初に一目見て、そのコンパクトさに驚き、「ちゃんと走るのかなぁ」などと余計な事を考えたあと、その全体のシェイプを見直すと意外と未来的な印象なのに感心する。それがスマート フォーフォーのボディーシェイプの概観だろうと思います。カタログの写真や、もしチャンスがあったら現物ででも、真横からこの車を見てみると、前も後ろも、非常にオーバーハングが少ないことに気づき、独特のインプレッションを感じ取るはず。
まぁ、オーバーハングの少なさやボディーサイズの小ささなどは、衝突時の衝撃吸収力がどうなんだろう、と言う疑念も、やや引き起こすところではありますが、少なくともスマート フォーフォーの、かなり思い切ったボディー形状は未来的なデザインだ、と表現できるはずです。これを、ちょっとワイドにして、無理にでも太目のタイヤを履かせたら、トム・クルーズが『マイノリティー・リポート2』を作るときに、小道具として採用してくれるかもしれない、頭の中にそんな空想さえ広がってしまうのです。
とにかく、車体を上から見た時、フォーフォーの様にその長方形の四隅にタイヤを配置することは、その外側にぶら下がる質量が減ることにつながる訳ですので、自動車としての運動性能がある程度は良くなると見込めます。
見た目のコンパクト感からすると、たとえば、どこかの大胆な方がスーパーの駐車スペースを1.3台分程使用されているような時でも、このクルマだったらその横に収めることが出来るかも、なんて思わせもするのですが、実際の車幅は1,665mmと、日産マーチとまったく同じですので、やっぱり普通の5ナンバーです。さらに、ホイールベースで比較すると、なんとマーチより45mm長い2,495mmとなっていて(全長は、マーチ⁼3,825mm、フォーフォー⁼3,550mm)、その意味で言うと車内空間はむしろ広い、ということになりそうですね。
フォーツーに比べた時、二人分の後席と両サイドのドアを追加したことで、外観上の安定感がかなり増しているとも言えるでしょうから、いわゆるスマート、のイメージが薄まって普通っぽくなってしまっていても、車としてはむしろ良い方向へ進化したのだと思います。

カラーリング

人と同じに、自動車でもスタイリングに対する印象が、そのカラーリングによって、かなり変わるもんだなぁ、と改めて印象付けるのが、スマートの塗装ではないでしょうか。形状も色も、結局、見る人の好みによって評価が分かれる訳ですが、好き嫌いは別として、その両方が相まってブランドイメージを打ち出している所は、なかなかのカラーリング戦術が感じられます。
個人的に興味が有るのは、全体がクリスタルホワイト基調の塗装に、後輪から後ろの狭い面積だけブラックに塗られているタイプです。自動車に、パンダウサギかマレーバクのDNAを注入したようなイメージが、キュートというかファニーで、まぁ、このボディーに自分で本当に乗るか、と問われると若干答えにつまるのですが、街中を流したら、この趣味が合う人の目を引くのだけは、確実だと思います。
もう一つ、個人的に推したいのが、ミッドナイトブルーとホワイトの組み合わせです。これはまさに、スマート(賢そう)でクールな青色が、このクルマの基本コンセプトを体現しているように思います。他には、ディープブラック+ブラックなんていう、ちょい悪な印象のカラーリングもあって、こちらのバージョンであれば、大人の男性需要にも応えられそうですね。

機構。コンパクトに詰め込んだカタチ

スマート フォーツーの場合なら、「どうしちゃったのこのクルマ?」とでも言いたくなる程、車体の前後を思い切り短く詰めていて、素人目にも中身のことが若干心配になってしまいます。乗員数をプラス2したスマート フォーフォーでは、車体自体が大きくなっていますが、これはほぼ内部を拡張するためで、まったく当然のことながら基本のパッケージングは変わっていません。

駆動。路面を蹴り出す後ろ足

スマートを語るとき、たぶん、一番大きなポイントになるのが、RRという駆動方式でしょう。バスを除けば、今どき世間で多く見かけるか?、と言えば絶対にそんなことはない方式です(あのポルシェにしても、できればRRは止めたいな、と思っているフシがある程ですから…)。ちなみに、後輪を駆動輪としてその上部に動力源を置くのがRR駆動です。
運転が好き、でもコンパクトカーは嫌い、という方の中には、普通大概がFFだからという理由を挙げる向きもいらっしゃると思います。後輪駆動のRRは、ポルシェ911なんかにつながる強烈なイメージの機構でもありますし、ちょっとしたカリスマ性すら漂います。しかし、スマートの場合はこの方式を、スポーツカーに必要なアイテムというのとは、まったく違った理由で採用しているようです。つまりそれは短い車体にいかに機械と人を合理的に配置するか、を考えた結果だと言うのです。
現行スマートの後輪車軸上に乗っかっているエンジン自体は、直列3気筒DOHC1.0リッターのエンジンで(海外では0.9リッター&ターボもあります)、いわゆるダウンサイジングと呼ばれるものだと思うのですが、それでも、ある程度のラゲッジスペースを確保しながら、その下に押し込むにはかなり窮屈です。これを縦置きすればコンパクトで超スポーティーなクルマが仕上がりそうですが、それでは、客室容積を圧迫してしまうのも必然、従って、横置きになる訳ですが、そうすると車体の幅に収めるのがきつくなるという寸法で、どちらにしても、なにかの工夫をしなければいけません。
結局、スマートは、通常のエンジンから1気筒減らして(過去モデルには4気筒搭載の時期もありました)3気筒とし、それを横置きに配置している訳ですが、そうすると、リアサスとの干渉が起きるし、トランスミッションとディファレンシャルギア、さらにはドライブシャフトまでの配置もどうなっているのか、なんて言う別の興味が湧いてきます。
スマートのリアサスペンションは、ド・ディオン式という車軸式の一種です。基本設計が19世紀末のフランス、というこの方式は、車体側に固定したディファレンシャルギアから、サスペンションのストロークに追従する自由度をもつドライブシャフトにより、左右の駆動輪へパワーを伝えるという形式なんだそうです。まぁ、公式ページなどには、あまり詳しいイラストがない様ですが、スマートの裏を撮影してくれた方がおりまして、そちらのURLを下のリンクに張り付けておきます。
エンジンもサスも、どの方式を採用したところで、常に一長一短があるだろうと思うので、必ずしも何が良い悪い、と断定しきらないのですが、この写真を見る限り、ディファレンシャルギアは左側にオフセットしていて、ドライブシャフトも左右不等長なのが判ります。この辺りの窮屈さは、一般のFF車とまったく変わらない事情でしょうけど、少なくとも、スポーツカーを狙って設計したのではなさそう、という感じは受けます。
スマートは、後輪駆動でも相当荒っぽくアクセルを踏み込んだら、左右のタイヤで思わぬトルクの差が生まれる可能性もあると、一応、意識の片隅に留めておいても損はない情報だと思いますが、先に書いた通りホイールベースが比較的たっぷりなのは、車の挙動を安定させる助けになっているかもしれません。
ちなみに、前輪のサスペンションはマクファーソンストラット式となっています。こちらは逆に、エンジンとの干渉がなくなった分、舵角にゆとりが生まれたのか、最小回転半径4.1mという、ある意味、スマートにとっては一番売り込みたい性能の一つを、実現しています。

スマート リアサス 解析 - アライメント屋のブログ

トランスミッション

リアサス、デフ、そしてエンジンの配置は、上記の通りに窮屈だとは言え、ある意味で秀逸な配置と言えるものですが、その間に入っているのが、6速のDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)だというのも、また感心に値するのではないでしょうか。国外仕様であれば5速MT仕様もあるのですが、こちらは市場規模に難あり、という判断なのか、当面日本には持ち込まれないようです。
とにかく、変速の段数で言えば一つ多い訳ですし、トルクコンバーター式のATに比べれば、動力伝達の効率は直結クラッチを持つマニュアルと同じ程度、若干重くなるだろう、とか、半クラッチの制御はどうなのか、という細かい話もあるにはありますが、燃料消費効率上でも顕著なデメリットはないはずです。シフトチェンジに要する時間が、ヒトのそれと比べれば限りなくゼロに近いとすると、かえって効率は高くなっていることも考えられます。
しかし最近では、スズキがマニュアル車に乗ろうっ、なんてCMを放送していますから、古典的な自動車ファンにも再び明るい光が射してくるかもしれません。スマートもその辺の波に上手く乗って、日本へも5速、いや6速のMT投入をしてくれたら面白いのですけれどねぇ、いかがなもんでしょうか。

ユーティリティを提供するカタチ

コンパクトの中に、ドライバビリティ、安全、ユーティリティなどを両立した、というのがスマート フォーフォーの売り文句の一つですから、車室の内部も気になるところですね。
まず、フォーフォーのラゲッジルーム容積は、通常状態で185リットル、50:50分割可倒式後席を倒せば、最大で730リットルになり、1,285×996mmの収納フロア面積まで拡大します。とはいえ、遊びに使えそうな度合で見比べた時、今どきの日本の軽自動車に対して有利な程シートアレンジが多彩か、と言われればそんなこともないですね。もともと、シティーコミューターである、と明言して売り出されている車ですから、キャンプに行ったり車中泊するためにこの車種を選ぶ、という話にはならないでしょう。(助手席とその後ろの席を合わせてフルフラットに倒せるので、そこに布団を敷けばなんとか寝れます)エンジンが車体の一番後方へ移動した、ということで、ボンネットの下には邪魔者がなくなった訳なのですが、とは言え、そこを開けてみても補器類で満杯であり、使えるラゲッジスペースは有りません。
ちなみに、両サイドにある後席用のドアは、最大で85°まで開けることができるので、荷物の出し入れもそうですが、高齢者がよく後席に座るという場合も、乗り降りの助けになってくれると思います。

楽しく快適になるカタチ

スマート フォーフォーの様なクルマは、機械としての性能よりむしろ、都会の雑踏の中で光るセンスや楽しさが大切だという、そんなセグメントに置かれているモデルでしょう。スマートの場合、ディーラーへ試乗に来る方々の中には、すでにメルセデスを1台ないしは複数台所有している、という向きも多そうですから、なかなか厳しい目で評価されることも多そうです。
なので、そういった要求にもしっかり応えるべく、いろいろなアイテムが盛り込まれているのも、このフォーフォーというクルマなんですね。

スマート・クロス コネクト

クロネコヤマトのデザインでスマートが発売か?、と思ったら違いました、クロス コネクトです。くだらない冗談は程々にするとして、この機能は、iPhoneもしくはAndroidのスマートフォンであれば、Bluetooth経由で車のシステムと接続し、コントロールパネルとして様々な機能が使えると言う、まぁ今どきの楽しい装備です。
これを使うには無料アプリが必要ではありますが、スマホの画面に燃料の残量を表示するとか、車体の運行状況を表示することが可能です。当然、ナビゲーションにもなりますし、オーディオ系の操作をそこで行ったりできるようになるそうです。また、車外からでも、様々な情報を参照できる機能もあります。

その他快適装備

1.0リッター級のコンパクトカーと言えども、プレミアム感が光らないといけない車ですから、ただ、ダウンサイジングや簡素化だけを是とする訳にはいきません。ですので、スマート フォーフォーにも上質感を演出する、快適装備がいくつか用意されています。
まず最初が、レインセンサー。これは、ワイパーを間欠の位置に設定しておけば、車が自分で雨を検知し、ワイパーを起動してくれるという機能です。もう一つ、視界関係をサポートする装備としては、周囲の明るさに合わせてヘッドライトを自動点灯する、オートライトというのもあります。
さらにドライビングのアシストとして、高速道路などで走行速度を維持する苦労からドライバーを解放してくれる、クルーズコントロールと、それに組み合わされ、速度の上限をきっちり設定するための、可変スピードリミッターなどがあり、合わせて、このクルマにクラスを超えた質感を与えています。まぁ、こういった便利機能は、慣れ過ぎてしまうと後々がコワイけどなぁ、なんて心配するのは貧乏くさいというものです。あっ、あと、エアコンは当然オートエアコンです。

安心・安全なカタチ

トリディオンセーフティセル、が、スマートの安全思想の根幹です。英語版公式ページから引用しますと、「ハイテク鋼板で作られたこのセルは、搭乗者をまるで固いナッツの殻に守られているように包み込み、衝突時の変形も最低限に抑えられています。」、とのことです。ドアパネルの中に仕込まれた斜めの補強フレームが印象的ですよね。
他の安全サポートとして、スマート フォーフォーには、強い横風を受けた進路が乱れた時、車輪に適切なブレーキをかけて直進走行を助けてくれる、クロスウインドアシストや、前方車間距離によって2段階の警告を発してくれる、衝突警告音機能などもあります。公式ページの動画には、派手なクラッシュテストの瞬間が収められていて、そこからは、このスマートという車の事故時の安全に関する、メルセデス社のゆるぎない自信が垣間見えるということでしょう。

まとめ

スマート フォーツーにあった過激な程の個性が、4人乗りにされたことで良い具合に薄まった、と言えるのがフォーフォーだと思います。エネルギー効率などを考えた時、ダウンサイジングは時代からの要請でもあります、メルセデスが本来のブランドではなかなかできない、21世紀型の商品アピールを託したのが、このスマートのプロジェクトだったのでしょう。
しかし実際の所、現行モデル同士を車両重量で比べたとき、(グレードにも寄りますが)日産マーチが950kgなのに対して、スマート フォーフォーは1,010kg、JC08モード燃費で行くとマーチが23.0km/Lで、フォーフォーは22.3km/L、さらに乗車人数を考えたら、スペック上では負けている所も少なくありません。そして決定的なのがその価格で、マーチにモーターアシストの4WDを付けた上位グレードを選んでも、希望小売価格が1,721,520円ですが、スマート フォーフォーの安いタイプでも2,090,000円になります。
カタログを見比べた時、これをどう評価するか、単純な答えが出せない難しい問題です。自動車の選択には、その人の趣味と人間性がはっきり表れる、という私の仮説を信用していただくとしたら、それはそれで、ますます悩みが深くなること必至です。
う謳っていないけれど、スマートは、そメルセデスが作ったコンパクトカー、そこに価値を見出すのもありですし、RR駆動の自動車を乗り回してみたい、という理由も成り立ちますから、スマートを選びましょうか? でも、そう思って日本車の方を振り返ると、とても良く発展・進化したコンパクト市場があって、そっちも捨て難いということを思い出してしまうのです。
本当に、悩ましい話です。皆さま、次の新車のご選択には、どうぞお間違い、後悔のなきよう熟慮ください。ベストなクルマ選びができるよう、私もお祈りいたしております。

【基本情報】
名称:スマート フォーフォー パッション(2016年型)
エンジン排気量:998cc
エンジン出力:52kw(71ps) / 6,000rpm
エンジントルク:91Nm(9.8kgm)kgm / 2,850rpm
全長:3,550mm
全幅:1,665mm
全高:1,545mm
重量:1,010kg
ホールベース:2,495mm
サスペンション:マクファーソン式(前)/ ド・ディオン式(後)