【スズキ イグニス】試乗してわかったカッコよさと使い勝手を両立したクロスオーバービークル

2月18日に発売日を迎えた「スズキ イグニス」に試乗する機会を得ました。昨年の東京モーターショー、先般の東京オートサロンで人気を集めていた同車ですが、実際にはどんなクルマに仕上がっているのでしょうか? 基本的なスペックなどをチェックしながら、試乗の感想などにも触れていきたいと思います。(飯嶋洋治:RJC会員)

スズキ イグニスとは?

日常の使い勝手を考えたコンパクトクロスオーバーというスタンス。

photo by jima

スズキは、イグニスを「コンパクトクロスオーバー」と称しています。街中からオフロード、雪道を含めた自然の中まで走れるいわゆるクロスオーバービークルは、現在人気の高いものとなっていますが、多くは「Dセグメント」や「Cセグメント」に属するもので、普段使いにはちょっと持て余すという面もあります。また、ユーザーの多くはクロスオーバーといいつつも、日常的な使い方しかしていないことも多く、大きめのサイズでは、特に都内の路地などに入っていくには躊躇する場面も多いのではないかと思います。

そんな中でイグニスは「Aセグメント」というコンパクトサイズがウリの一つです。スズキは(1)さまざまなシーンで扱いやすいコンパクトなボディサイズ、(2)高めの前席ヒップポイントが生み出す、運転と乗り降りのしやすさ、(3)新プラットフォーム採用で、ゆとりある室内空間を確保を前面に押し出し、「高めのアイポイントと大きめのロードクリアランスによって、日常で便利に使えるだけでなく、雪道や荒れた道でも安心して走れ、週末にはアウトドアを楽しむことができる、日常と余暇をクロスオーバーさせる新ジャンルのクルマ」としています。

アグレッシブ・コンパクト 新型イグニス誕生。スズキ イグニスの車種情報ページです。イグニスの様々な情報がご覧いただけます。

パワーユニットは?

91PS+マイルドハイブリッドによって、力強い加速性能を持つ。

搭載されるパワーユニットはK12C型です。排気量は1.242cc。高圧縮比化(12.5)とバルブやベルトなどの低フリクション化、吸気ポートや燃焼室形状の最適化を行うことによって、最高出力は67kw(91PS)/6,000rpm、最大トルクは118N-m(12.0kg-m)/4,400rpmとなっています。マイルドハイブリッドとなっているのもポイントです。これはISG(モーター機能付発電機)によるモーターアシストとアイドリングストップ機能を組み合わせたシステムで、減速時のエネルギーを利用して発電、アイドリングストップ車専用鉛バッテリーと専用リチウムイオンバッテリーに充電を行います。

加速時には、その電力によってモーターでエンジンをアシストするという方式となっています。モーターの出力は2.3kW(3.1PS)/1,000rpm、50N-m(5.1kg-m)/100rpmというものですが、発進や加速の30秒だけのサポートはいえ、このトルクの恩恵はかなりのものだと思います。ISGはアイドリングストップからエンジンを再始動する際のスターターモーターともなっています。これはスターターモーターのギヤによるものではなくベルトを介して行なわれるもので、スムーズさと静粛性に優れていることにはすでに定評があると言っていいでしょう。

エクステリアは?

力強くてスタイリッシュ。かつてのスズキのオマージュも効果的。

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エクステリアデザインは、率直に言ってかっこ良くまとまっていると思いました。メリハリがあって硬派な感じもあります。クロスオーバービークルとしてということでなく、ジャンルを特定しなくても優れているのではないか? という第一印象を持ちました。これは当日開発担当の方にお聞きしたのですが、Cピラーの造形は1970年代のフロンテクーペのイメージにするなど懐古的な要素も含まれているということで、ややノスタルジックな雰囲気も良い方向に影響しているのではないかと感じました。

スズキのコンセプトとしては「シンプルアイコニック、シンプルスタンダード」をあげています。特に「頑張ってデサインしました!」という力みがないのがいい方向になったのではないかと思います。シンプルでアイコニック(わかりやすく特徴的)なデザインというのが上手に実現されているのではないかと思います。

インテリアは?

マルチインフォメーションディスプレイがエコドライブの意識を高める。

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インテリアもエクステリアと同じく基本路線はシンプルと言っていいでしょう。インパネはスピードメーター、タコメーターとも針の0位置が真下になっているのが印象的です。タコメーターは小型ながら特に視認性などの不都合は感じないものでした。これは常時照明式の自発光メーターの効果もあると思います。右側にはマルチインフォメーションディスプレイが表示されています。ここには、瞬間燃費、平均燃費、航続可能距離、エネルギーフローの表示がされ、エコドライブの目安として役立つ配慮がされています。

カーナビと一体になったオーディオパネルは、インパネと独立したものとなっています。この視認性自体は問題ないのですが、液晶部分に対して枠部分が大きすぎるのでは? という感ももちました。私が試乗したのは、チタンインテリアと名称されたタイプのものでした。インパネやドアの上部がブラック、下部がホワイトというカラーリングでコントラストの強弱が聞いたもので、これはこれでインパクトがあって良い感じです。

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シートは特にスポーティという感じではないですが、センターコンソールに合わせたアクセントカラーとすることで車内の統一感を出しています。個人的にはもうすこし硬目の方が好きです。後部座席は、HYBRID MZ、HYBRID MXにシートスライドを採用し利便性を高めています。カーゴスペースは、2WDにはツイストビーム式サスペンション、4WD車にはI.T.Lサスペンションを採用したことにより、高さを抑えることで使いやすさも確保しています。スペースは5名乗車の状態で258L、リヤシートの背もたれを倒し2名乗車にすると415Lとなります。ラゲッジボードの下に葉、小物を収納するサブトランクも設定されいます。

ボディ、サスペンションは?

新採用プラットフォームで高剛性、軽量化の両立を目指す!

プラットフォームは新採用のものとなっています。アンダーボディの構造は、滑らかで連続した形状としました。こうすることで補強部材を減らすことができ、軽量化とボディ剛性の両立を図っています。この辺は新型アルトと共通するところです。軽量化が燃費向上に良い影響を与えることは言うまでもなく、メリットは大きいと考えます。サスペンション形式はフロントがマクファーソンストラッチで2WDのリヤはトーションビーム、4WDがI.T.L式(3リンク式)となっています。これも取り付け部の剛性を確保しながら、構造の見直しによる軽量化も図っています。4WDでトーションビームにするとプロペラシャフトの逃げの部分などの問題で、ラゲッジスペースに影響が出るなどの理由があったと思われます。

ボディは、軽量で強度の高い高張力鋼板を重量比で50.1%に使用しているといいます。さらに強度の高い超高張力鋼板の使用率を高め、軽量化に努めています。板金部分の構造を最適化することもコンピューターシミュレーションを駆使、また、材料や形状・構造の最適化など外板部品の軽量化まで行ったということ。ステアリングコラムも構造見直しによって軽量化を図っています。また可変ギヤレシをを採用することでキビキビとした操舵感とし、ステアリングギヤの取付方法を変更することにより操縦安定性を高める努力が行なわれています。

シートフレーム、シートレールにもこだわり、乗り心地の確保に努める。

今回の新プラットフォームでは、シートフレームまでプラットフォームの一部として開発したのもこだわりの点と言えます。シートフレームとシートレールの高い剛性を確保し、乗り心地の向上に貢献しているといいます。また、フロントシートフレームには超高張力鋼板を採用して軽量化をしています。さらに荷重伝達に有利な部品配置、リヤシートの取付構造の最適化によっても軽量化を目指しています。

もうひとつクロスオーバービークルとして欠かせない部分にロードクリアランスの問題があります。タイヤサイズが175/60R16と結構大径なことなども貢献し、最低地上高は、180mmを確保しています。4WDの場合、特に重視されるアプローチアングル(20.0°)、でアーチャーアングル(38.3°)も大きく取られ、大きな段差を登り降りするような、本気の? 4WD走行にも耐えられるものとしているのは、ジムニーを持つスズキのこだわりと言えるでしょう。

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乗り心地は?

軽快でソフトな乗り心地だがスポーティとはちょっと違う?

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硬派? なエクステリアに期待して試乗をはじめましたが、まず感じたのは乗り心地のソフトさです。やはりスポーティな走りを期待していたこともあり、その辺は肩透かしの感はありましたが、一般的な乗り心地という面では上質といっていいと思います。これは175/60R16という大径タイヤの影響もあるかもしれません。ちょっと速めのペースで山道を走る限りは、当然ながら地上高が高いので腰高感はありつつも安定したコーナリングを見せます。特に上り坂では、マイルドハイブリッドによるアシストやボディの軽さの影響もあるのか、けっこう軽快に走るのが印象的でした。

ただ、調子にのって? コーナーにはいるとそれなりに大きなロール感があり、腹筋に力を入れなければならない場面もありましたが、これは車高を考えるといたしかたないのかもしれません。パワーステアリングは、とても軽いもので、これは日常の使い勝手は良いだろうと思う半面、やはりワインディングでは、もうちょっと手応えがあってもいいかな? という感覚を持ちました。エンジンフィールはとてもスムースなものです。継ぎ目のない加速はCVTならではのもの。ただ、上り坂で3,000rpm以上になるとややうるさいかなという感じはありました。

CVTには7速マニュアルモードがついており、下り坂でエンジンブレーキを積極的に使いたいときなどには重宝すると思いました。実際、シフトセレクターレバーの前進のためのポジションは、DレンジとMレンジしかないために、強いエンジンブレーキを使うにはパドルシフトによるシフトダウンが必要です。これはセレクターでの操作ではなくパドルのみとなります。パドルはステアリングとともに回転する仕様となっていますので、180度以上回すと左右が逆になってしまいますから、ちょっと戸惑うかもしれません。そういう使いかたは想定していないとも言えるとは思いますが、コスト的な問題はあるのでしょうが、できればセレクターレバーでも操作ができればと思いました。

オンオフをあまり意識させないアイドリングストップは秀逸!

アイドリングストップ機能は以前から定評がありますが、特筆されると思います。最初はアイドリングストップの作動を意識していますが、しばらくするとあまり作動を意識させないと言ったら言い過ぎでしょうか? 4WDの方は乗りませんでしたが、車重やリヤがI.T.Lサスペンション(3リンク式サスペンション)ということで、どうなるかが気になるところです。全般的にはスポーティとは言えませんが、上質な乗用車としては十分な性能を持っていると思います。

実燃費はどうなる?

トルクの厚いエンジンと軽量化で、好燃費が期待できる!

JC08モード燃費はHYBRID MG(2WD)で28.8km/L、HYBRID MZ・HYBRID MX(2WD)で28.0km/Lとなります。実走行でここまでの燃費をマークするのはなかなか難しいと思いますが、アイドリングストップや発進、加速時にモーターで30秒間エンジンをアシストするマイルドハイブリッドを効果的に使うこと、そしてもっとも軽量なHYBRID MG(2WD)では850kgという車重を考えると条件次第では、モード燃費に近い値をマークするのではないでしょうか? 今回は短時間の試乗だったので給油する機会がありませんでしたが、また別の機会に燃費に関してはご紹介できればと思います。 

スズキ イグニス(IGNIS)を試乗したい方はこちらから

以下のリンクよりイグニスの展示車や試乗車の検索が可能です。

スズキ株式会社 オフィシャルwebサイト展示車・試乗車検索 全国のスズキのお店の展示車・試乗車情報を検索できます。

発売したばっかりだけど、中古車は?

また発売されて日が浅いイグニスですが、かなり大人気でタマ数が多く出た分、中古車市場に流れるものが早くも出てきている様です。どうしても「少しでも安く買いたい!」という方は検討してもいいかもしれませんね。

中古車をお探しの方はこちら

まとめ

老若男女問わず、おすすめできる仕上がりになっている!

今回試乗したイグニスは2WDのみでした。基本的にはコンパクト、スタイリッシュで使い勝手のいいクロスオーバービークルという感じです。ただ、スポーティというよりもファッショナブルな実用車というスタンスを強く感じました。また4WDに乗るとイメージが変わってくるのかもしれませんのでそちらもぜひ試してみたいと思います。クルマは一台しか持てないというのが普通だと思いますが、そういう方のファーストカーとしてもオススメできますし、十分な満足感を得ることができるだろうと感じました。