【フェラーリ ラ フェラーリ】ハイブリッドでありながらハイパワーのポテンシャル

「フェラーリ社」で初の「HY-KERS」(ハイブリッドシステム)を搭載したモデルです。ハイパワーでありながら燃費の向上や排出ガスの向上も図られており次世代の指標となるスーパースポーツカーモデルの姿に迫ってみたいと思います。

F150「ラ フェラーリ」

「ラ フェラーリ(コードネーム=F150)」は、フェラーリ初の市販ハイブリッドカーとして2013年3月のジュネーブショーにてワールドプレミアされた。エンツォフェラーリの実質的後継モデルである。
開発には、フェラーリのドライバーであった「フェルナンド・アロンソ」と「フェリペ・マッサ」が参加しています。
世界限定499台のみの生産です。
日本円で約1億6000万円のプライスですが、世界中から1000人以上の購入希望者が殺到しました。

初の「ハイブリッド」モデル

「ラ フェラーリ」は、フェラーリモデルとして初めて、800PS/9,000rpmを発生するV12エンジンと150PS以上の出力を発生させるエレクトリック・モーターを組み合わせた、F1からフィードバックした「HY-KERS」システムを装備しています。

スタイリング

ボディスタイリングは、「フラビオ・マンツォーニ」率いる自社デザインで1960年代に活躍したスポーツプロトタイプをモチーフにしています。
またカーボンモノコックはF1マシンと同じ工程で製造され、過去のモデルよりもねじり剛性が27%、ビーム剛性は22%向上することに成功しています。
空力面では「アクティブ・エアロダイナミクス」を初採用し前後ディフューザーやアンダーパネル、スポイラーが自動的に可変し、走行状況に応じて最適な空力特性を実現するシステムとなっています。

「アクティブ・エアロダイナミクス」

フロントは、F1マシンのデザインを取り入れ、ノーズの下に一本のセンター・パイロンで吊られるフォルムで低い位置にフロント・ウィングを装備しています。
リア・エンドには、深い2 つのスリットがホイールアーチの上部から入っており、効果的にエンジンベイからの熱気を抜き、その効果により車体後部のダウンフォースを増大させています。
エンジン・コンパートメントの下には、アクティブ・エアロダイナミック・デバイスが隠れています。
リア・エンドのセンター・パイロンの上部は、大型スポイラーが装備されています。
「HY-KERS」システムのシールドとしても機能する可変式スポイラーはオートマチックで展開します。リアの下部は、無塗装のカーボンファイバーで仕上げられた可動式フラップが装備されています。
このフラップはモーター可動式のスポイラーが展開した時に気流を微調整しエアロダイナミクスを最適化させるためのものです。

最適化された重量配分と重心

車体の幅を狭く、全高を低くして、最大限の空力学的効率の達成を図っています。
レイアウトを見直し、主要コンポーネントを統合し車体の重心高は35mm低くなっています。
重量配分は完全に見直され、重量物はホイールベース内に収められました。
「ラ フェラーリ」は重量の59%が車体後部に分配され慣性による荷重の前後移動が少なくなりました。
「HY-KERS」「F1 DCT」と冷却システムを搭載しながらホイールベースと全長は「エンツォ」と同じ数値とコンパクトです。
またドライバーが車体の低い位置にリクライニングした姿勢となりF1マシンのドライビング・ポジションを基本としています。
またシートは固定式でステアリングとペダルボックスを調節式となりドライバーはベスト・ポジションを設定できます。

F1スタイルのステアリング

ステアリング・ホイールは、車輌の機能の全てが、F1スタイルのステアリング・ホイールに統合されています。
ギアシフトのパドルはより長くなっています。
「F1 ギアボックス」の機能をクラスター状に配置している「シグネチャー・ブリッジ」は、各種のボタンが配置されています。
また12.3インチのデジタル・インストルメントパネルは、伝統的なレヴ・カウンターを中央に配置したレイアウト、もしくは、レーシングカースタイルを選択できるダッシュボードの機能がセットされています。

「バスタブ型」シャシー

バスタブ型シャシーを採用し、ほとんどは「T800」カーボン製です。
この素材が自動車で使われるのは今回が初めてで、ファブリックとユニディレクショナル(単一方向)テープ共に、手作業によって積層作業を行うことで、適切な部位に適切な素材を使うことが可能となっています。
「T1000」ユニディレクショナルテープとファブリックは、ドアやシルなどに採用されています。
剛性に優れ、また軽量な素材「M46J ユニディレクショナルテープ」とファブリックが車体の構造部材に使われています。
アンダーボディに使用するカーボンファイバーには、さらに特別な複合素材ケブラーが併用されています。ケブラーは、カーボンを保護するために使用されています。
ワンピース・リアセクションは、「M46J」「T800」カーボンファイバーによって一体で成型し、剛性構造部材でありながらも、非常に軽量です。
カーボンファイバーは、F1マシンのシャシーと同じオートクレーブで、130℃と150℃の2段階に分けて加熱し、硬化・成型されます。また、この作業はカーボン層の剥離が発生しないよう、真空状態で行われます。

「HY-KERS」ハイブリッドシステム

「HY-KERS」システムは、マニエッティ・マレリと共同開発した2モーター方式で、ミッドシップにV型12気筒エンジンをレイアウトし、7速DCTと1つのモーターを一体設計しており、もうひとつのモーターはエンジンの前方にレイアウトされています。
2つのモーターがバッテリーと接続され減速時にはモーターがジェネレーターとなり発生した電力をバッテリーに蓄えます。
その結果、エンジンの全回転域で大パワーと約90kgmの最大トルクを発生させています。

コンパクト構造

エレクトリカル・モーターは、ハイパワー・デンシティ技術によって設計されているため、大幅な重量および容積の削減を可能にしコンパクトなサイズとなっています。
高電圧バッテリーは、1つのモジュールに15セル、それを8モジュール合わせた120セルで構成されており、出力は既存のバッテリー40台分に相当しますが、重量は60kgと軽量です。
バッテリーの充電は、2つの方法で実施され、サーキット走行時のようにABS が介入するようなハードなブレーキングも含めて、制動時に充電します。
またV12型エンジンが必要以上のトルクを発生させた場合は、常時充電が実施されます。この場合、余剰トルクはホイールに伝達されず、電気エネルギーに変換されてバッテリーに充電されるシステムになっています。

環境を配慮したトルク特性

出力数値は、F1マシンに比べても同等のトルク密度と効率(94%)を達成しています。
「HY-KERS」システムの制御は、V12型エンジンとエレクトリカル・モーターの両方からの動力伝達を、2台のインバーターと2台のDC-DCコンバーターによって実施します。
可変周波数制御によりトルクの伝達は迅速かつ正確に行なうことによって動力性能の発揮と燃料消費量の削減を可能としました。
CO2の排出量は、330g/kmに減少しました。
また開発中のテストにおいて、完全EVバージョンの「ラ フェラーリ」は、複合サイクルで、CO2排出量を220g/kmという数値を記録しています。

搭載V12型エンジン

F150「ラ フェラーリ」に搭載されるエンジンは、排気量 6,262cc V型12気筒 DOHC 48バルブエンジンです。
最高回転数9,250rpm を誇るもので、最大出力800PS/9,000rpm、最大トルク71.4kgm/6,750rpmを発生させます。
容積効率、機械効率、燃焼効率という3つの分野における研究結果によるパフォーマンスです。
容積効率を高めるため、連続可変式インレットダクトを採用しています。
インレットダクトの長さをエンジン回転数に合わせて変化させることで、エレクトリカル・モーターのトルク出力に適合させながら、トルクと出力を全回転域で最適化を図っています。
機械的効率の向上には、クランクシャフト設計が関係しています。
クランクシャフトはより軽量化され、新設計の空力学的効率を考えたカウンター・ウェブを採用してポンピングロスを減少させています。回転軸周辺の質量を軽減させ、総合質量は19%軽減しました。
燃焼室の効率向上は、リアホイールアーチ上部にあるダイナミック・エアインテークから吸気プレナムまでの間が、吸気容量効率を最大化するよう設計されたことでエンジンの圧縮率13.5:1となり燃焼効率向上につながっています。

ポテンシャルを引き出す足回り

「ラ フェラーリ」はフィオラーノ・サーキットで「エンツォ」が記録したラップタイムを5秒以上短縮しています。
ハイブリッド技術と、トラクションおよびダンピング制御、それにブレーキとタイヤの性能によって得られた記録です。
最適なセットアップによって80kgmを越えるトルクを駆動に使うことが可能となっています。
このトルクはV12型エンジンと常に瞬時に応答するエレクトリカル・モーターとのコンビネーションによって得られたものです。
コーナリング時は、「HY-KERS」が「V12エンジン」の回転数を一定に保ち、素早いレスポンスを可能としています。
加速しながらのコーナー脱出時には、「EF1-Trac(トラクション・コントロール・システム)」が継続的にトルクを制御するとともに、「E-Diff(電子制御デファレンシャル)」が駆動ホイールに適切なトルクを分配するようになっています。
「ESC(スタビリティ・コントロール・システム)」が車輌のリアクションを継続的に制御します。
エンジンに余分なトルクが発生している時には、「HY-KERS」がそれをバッテリーに充電し、V12型エンジンのトルクが不足している場合には最適なトルクを発生させ一定した力強い動力性能をもたらします。

ブレーキは、冷却性能の向上を目的に、特別に設計された新型の軽量キャリパー、ブレーキ・ディスクが装備されています。
「ブレンボ製」のカーボンセラミック・ブレーキは、フロントが6ピストン・キャリパーと15.7インチディスクで、リアは4ピストン・キャリパーと15インチ・ローターが装備されています。
この新型ブレーキシステムにより、ディスク表面摩擦が増し、制動力の安定性とフェード耐性が向上しています。
ブレーキ系統は、他のすべてのビークル・ダイナミクス・システムと完全に統合されています。
そのため、ハイブリッド・システムはブレーキングで回生ブレーキモードに入ると、たとえ「ABS(パフォーマンス・アンチロック・ブレーキ・システム)」が作動するようなハードブレーキング時においてもバッテリーがチャージされます。
タイヤは、フロントに「265/30R 19 ピレリP-Zero」、リアに「345/20 R 20 ピレリP-Zero」を装着します。

ポテンシャル

「ラ フェラーリ」のポテンシャルは、排気量 6,262cc V型12気筒 DOHC 48バルブエンジン、最大出力800PS/9,000rpm、最大トルク71.4kgm/6,750rpmを発生しますが、60kgのリチウムイオン・バッテリーと25.7kgのモーターが備わり、さらに最大出力162PS、最大トルク27.5kgmが合わさり、システム総合の最高出力は963PS、最大トルクは98.9kg-mに達します。
この数値はスクーデリア・フェラーリ最後のV12型エンジンを搭載した「F1マシン」1995年の「412T」を十分上回っています。
また「ダイナミック・コントロール・システム」と「アクティブ・エアロダイナミクス」に加えて、メカニカル・セットアップを統合した結果、ステアリング・ホイールの入力からコーナーへの旋回までのレスポンスタイムは30%短縮されました。またコーナリング時の横方向への加重は20%増加しています。
新型ブレーキシステムにより、ディスク表面摩擦が増し、制動力の安定性とフェード耐性が向上しています。その結果、前後方向の減速性能は15%向上し、200-0km/hの減速停止距離は30m短縮しました。
さらに0‐100km/h加速は、3秒以下(KERSを用いた場合は2.5秒以下) 、0 - 200km加速7秒以下、0 - 300km加速は15秒、最高速は350km/hオーバーの動力性能を誇っています。
テストトラックのフィオラノ・サーキットにおけるラップタイムは、「エンツォ フェラーリ」より5秒、「F12 ベルリネッタ」より3秒以上速い、1分20秒以下と記録されています。

「ラ フェラーリ」主要諸元

エンジン:排気量 6,262cc V型12気筒 DOHC 48バルブ
圧縮比:13.5:1
最大出力800PS/9,000rpm
最大トルク71.4kgm/6,750rpm
最大回転数:9,250rpm
1リットル当たりのパワー:128PS/1L
エレクトリカル・モーター
最大出力162PS
最大トルク27.5kgm
トランスミッション:7AT(F1DCT)
駆動方式:MR
サスペンション:F ダブルウィッシュボーン R マルチリンク
ブレーキ:F/R カーボンセラミック
全長:4,702mm
全幅:1,992mm
全高:1,116mm
ホイールベース:2,650mm
前後重量配分:F/R 41:59
車両重量:1,420kg
最高速度:350km/h以上
0-100km/h加速:3秒未満
0-200km/h加速:7秒未満
0-300km/h加速:15秒

まとめ

「ラ フェラーリ」は、「フェラーリ社」で初の「HY-KERS」(ハイブリッドシステム)を搭載したモデルです。ハイパワーでありながら燃費の向上や排出ガスの向上も図られており次世代の指標となるスーパースポーツカーモデルといえるでしょう。